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No.30701の一覧
[0] 死神亜種 【異世界トリップ・ほのぼの系ラブコメ】[羽月](2012/02/28 11:45)
[1] プロローグ[羽月](2011/12/22 10:25)
[2] 【第一章】 歴史のテストは赤丸一つ[羽月](2011/11/30 14:03)
[3] 【第一章】 迷いの森に佇む隠れ家[羽月](2011/12/03 04:41)
[4] 【第一章】 黒学の生徒についての考察[羽月](2011/11/30 14:39)
[5] 【第一章】 手綱の行方[羽月](2011/11/30 15:43)
[6] 【第一章】 陰湿遊戯に踵を贈呈[羽月](2011/12/03 05:22)
[7] 【第一章】 高級寝具+α[羽月](2011/12/03 05:38)
[8] 【第一章】 夢オチに清き一票を[羽月](2011/12/05 23:22)
[9] 【第一章】 零れる雫はそのままに[羽月](2011/12/07 16:55)
[10] 【第一章】 摩訶不思議な保健室[羽月](2011/12/14 15:13)
[11] 【第一章】 止むを得ない食事事情[羽月](2011/12/16 13:46)
[12] 【第一章】 殖え続ける悩みの種[羽月](2011/12/18 17:48)
[13] 【第一章】 個人的な忍耐修行[羽月](2011/12/20 12:02)
[14] 【第一章】 全てを超越する者[羽月](2011/12/22 11:14)
[15] 【第一章】 支配と従属そして例外[羽月](2011/12/21 13:18)
[16] 【第一章】 最適で不適なパートナー[羽月](2011/12/22 13:23)
[17] 【第一章】 慮外千万鴨葱ペア[羽月](2011/12/22 14:26)
[18] 【第一章】 藪から棒な予防法[羽月](2011/12/25 11:24)
[19] 【第一章】 真相解明に伴う無罪放免[羽月](2011/12/25 12:01)
[20] 【第一章】 眠りへ誘う魔法の手[羽月](2011/12/30 23:10)
[21] 【第一章】 トレードマークは赤い帽子[羽月](2011/12/30 23:13)
[22] 【第一章】 万年最下位のタイトル保持者[羽月](2011/12/30 23:47)
[23] 【第一章】 イグラント的文明の利器[羽月](2011/12/31 00:20)
[24] 【第一章】 至高の時を齎す毛玉[羽月](2011/12/31 00:37)
[25] 【第一章】 漆黒の森に住まう魔物[羽月](2012/01/09 11:13)
[26] 【第一章】 万年最下位対合成獣[羽月](2012/01/09 11:32)
[27] 【第一章】 行方知れずな通行手形[羽月](2012/01/10 17:30)
[28] 【第一章】 粗悪品という名の命綱[羽月](2012/01/10 17:31)
[29] 【第一章】 蒼黒の異端者[羽月](2012/01/11 01:02)
[30] 【第一章】 擬態の理由と約束事[羽月](2012/01/11 00:57)
[31] 【第一章】 もふもふに懸ける長年の夢[羽月](2012/01/13 00:24)
[32] 【第一章】 闇の支配からの開放[羽月](2012/01/13 00:27)
[33] 【第一章】 秘密の共有者兼協力者[羽月](2012/01/19 21:25)
[34] 【第一章】 おまけ[羽月](2012/01/19 20:30)
[35] 【第一章・裏】 珍妙で不思議な死神 (上)[羽月](2012/02/06 13:40)
[36] 【第一章・裏】 珍妙で不思議な死神 (中)[羽月](2012/02/09 11:03)
[37] 【第一章・裏】 珍妙で不思議な死神 (下)[羽月](2012/02/09 10:58)
[38] 【第一章・裏】 安眠中横での取引[羽月](2012/02/21 17:20)
[39] 【第一章・裏】 悪魔と賭け事 (上)[羽月](2012/03/03 15:04)
[40] 【第一章・裏】 悪魔と賭け事 (下)[羽月](2012/03/03 15:06)
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[30701] 【第一章・裏】 安眠中横での取引
Name: 羽月◆4d65e5c5 ID:ea822ed4 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/02/21 17:20

【 補足 】

 ※ 講堂で爆睡中のヒイラギ横で遣り取りされていたキリュウ視点の裏話です。

____________________



 午後からある実習の説明が終わり、続々と生徒達が講堂を後にする中、俺は席を立たずそのままでいた。
 チラリと隣に視線を遣ると朝から机に伏せったまま爆睡をしているヒイラギの姿が視界に入る。……間抜けさを惜しみなく出された、だがとても幸せそうな寝顔だ。

「……いと…………うどん……」
「………………」

 ……それは最早素麺ではないのか。

 こいつは相変わらず夢の中で何かを食べているようだが、決まって聞いたこともない細い麺ばかりらしい。
 涎が垂れかけているそいつの頭を何となしに撫でる。
 寝癖でビヨビヨとあちこちに跳ねた髪だが、触ると指通り良くサラリと零れ落ちた。どうやら寝癖は寝相というより髪質によるものらしい……それはとても柔らかかった。

「――――おーおー、まさかお前のそんな姿を目にする日が来るとはなぁ」

 思わずそのまま指で髪を遊ばせていたら不意に声が掛けられた。その聞き覚えのある声に思わず眉根が寄る。

「……何の用だ」

 肩越しに振り返ると頭に描いた通りのいけ好かない笑みを浮かべている担任の姿があった。
 俺が目を細めるとその男はニヤリと笑い、次いでヒイラギへと視線を落とす。

「……やっぱりそいつか。相手がひよっ子学生とはいえ、流石堕ちなかっただけはあるが」

 先程まで俺に向けていた表情は何処へやら、彼女に向ける表情は苦いものであった。
 ……そういえば保健室の前で賭けがどうのこうのと言っていた気がする。恐らく彼女のおかげで負けたのだろう。良い気味だ。

「成績は最下位のくせに悪魔を蹴り飛ばすわ、空間魔法使うわ……一体何者だ?」
「……」

 蹴り飛ばしたのか。…………あぁ、そういや保健室で蹴り上げられかけたし、教室でも手が出ていたな。いずれも未遂ではあったが。
 思わず隣で寝こけているパートナーを見る。無害そうな顔で暢気に寝息を立てている彼女は案外手が早いらしい。

「……その様子じゃお前も何も知らないようだな……知りたくはないか?」
「…………何が言いたい」

 意味深な目の前の男の言葉に眉根を寄せる。
 男はニヤリと笑い一枚の小さな紙____通行手形を差し出してきた。

「今、二枚共お前が持ってるんだろ?――――貸せ。これをやる」

 そう言いながら俺の目の前でそれをヒラヒラとさせる男。それを見て益々眉間の皺を深める。
 恐らくアレの行き先はそこそこ危険な場所だ。ヒイラギを追い込んで正体を暴かせるという魂胆なのだろう……この男の考えそうな事だ。

「何者か知りたいんだろ?だったらこれを使え。……危険になればお前が助ければ良い」

 確かに危険に面しても彼女を助けられる自信はあった。癪だが正体を知りたいのも事実である。

「……」

 チラリと見下ろせば当の本人は我関せずと眠りの世界を漂っている。……出来れば危険な目には合わせたくない。

 …………だが__

「何者か分かったら報告しろよ」
「……」

 俺はそれを受け取った。

 代わりに持っていた通行手形を渡す。そんな俺の様子に男はまたニヤリと笑い、空間魔法を使って何処かへ移動していった。煩い奴が消えた事で辺りを静寂が包む。
 奴に調べられるくらいなら自分で調べた方が良い……勿論正体を知った所で報告するつもりは毛頭ないが。
 柔らかで指通りの良い髪をもう一度梳く。彼女はまだ目覚める様子はない。

 ____誰が渡すか。

 俺は手の中の紙切れを睨むように見た後、懐へと仕舞った。



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