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No.30610の一覧
[0] 【習作】ZガンダムにニュータイプLv9の元一般人を放りこんでみる[ア、アッシマーがぁぁ!!](2011/11/21 17:15)
[1] 2話[ア、アッシマーがぁぁ!!](2012/02/24 23:53)
[2] 3話[ア、アッシマーがぁぁ!!](2012/02/25 00:39)
[3] 4話[ア、アッシマーがぁぁ!!](2012/03/22 02:04)
[4] 5話[ア、アッシマーがぁぁ!!](2012/05/10 05:57)
[5] 6話[ア、アッシマーがぁぁ!!](2012/05/26 06:30)
[6] 7話[ア、アッシマーがぁぁ!!](2012/06/07 06:44)
[7] ※お知らせ※  10/23 別板移行[ア、アッシマーがぁぁ!!](2012/10/23 11:02)
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[30610] 3話
Name: ア、アッシマーがぁぁ!!◆a9b17cc5 ID:c60a23d6 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/02/25 00:39
作戦前のアーガマの格納庫では、整備兵たちが慌ただしく準備を進めていた。
整備班長であるアストナージは周囲へ鋭く指示を飛ばしていた。

「順調か、アストナージ」
「はい、クワトロ大尉」

整備の手を休めながら、珍しく格納庫まで足を運んだクワトロへ向き直る。
正規軍でないアーガマであるので敬礼はしないが、普段あまり顔を合わせない上官に、アストナージは落ち着かない気分で答えた。
緊張するアストナージを気にするでなく、クワトロは格納庫の一角をするジム・クゥエルを見上げた。
濃紺のティターンズカラーから、白を基調とした色に再塗装されたそれは、パイロットを交えながら、現在急ピッチで調整が進められていた。

「…こう言っちゃなんですが、酷い機体です。無理矢理上げた追従性に、フレームの方が悲鳴をあげてます。下手したら後数回の戦闘で使い物にならなくなるかもしれません」
「だろうな。一度この機体と戦ったが、とてもジムが耐えられる動きには見えなかった」

クワトロには、このジム・クゥエルがアポリーのディアスを片腕を切り落とした時の機動が、まだ鮮明に思い出せた。
敵の攻撃に対する、まるで未来予知のような反応。更にそこから超常的な速度をもって次の行動を起こす反射神経。
パイロットとして非凡な物を持つクワトロを持ってしても、あの動きを見たときは背中にナイフを突き付けられた様な怖気を覚えた。
クワトロ自身が拾った少女、ナナのモビルスーツに対する常識を越えたセンス。
それこそがアムロ・レイと同じ、ニュータイプとしての才能の証明に他ならなかった。

「しかし、本当に機体はどうにもならないのか?予備のディアスを彼女専用に回しても構わないが」
「無茶言わんで下さい!ディアスの出力でそんな超機動やらせたら、下半身がどっかに吹っ飛んでいきますよ!」

クワトロの提案に、アストナージは悲鳴を上げるように抗議した。

ナナの出撃が決まった時、整備班でも彼女をジムで出撃させる事に疑問の声を上げる者が多くいた。
装甲の剛性の事もそうだが、なによりクゥエルではパワーが無い。
ならば、艦にある他のモビルスーツを使えばいいという考えに行き着くのは当然の流れだった。
…しかし、そんな話し合いの最中に、電卓片手に顔を青ざめさせていた整備兵がいた。
嫌な予感をひしひしと感じながら、アストナージがその整備兵の手元を覗き込んだ時、彼は自分の目を疑った。
常識外の追従性と、そこから導き出される狂気染みた機動。今のエゥーゴに、彼女が乗れる機体は存在しなかった。

ナナの最初の機体がクゥエルだったのは幸運だったと言えるだろう。
これがジム・カスタム、それもクワトロ達との戦闘が宇宙戦だったのなら、機体が分解していても不思議ではなかった。

「マグネット・コーティングの基礎理論は前大戦中に完成されてますから、追従性の方はどうとでもなります。
 ただ、現在のMSの規格ではどうやってもフレームの剛性が足りません」
「訓練期間の短さ故の、セオリー外れの操縦が仇になったな。機体に負荷を掛けない操縦技術を憶えさせようにも、そんな時間はあるはずもないか…」
「噂のムーバブル・フレーム搭載機でもあれば話は変わってくるんでしょうが……結局は無い物強請りですからね」
「ムーバブル・フレーム、か」

連邦軍の最新技術であるムーバブル・フレーム。
MSに人の動きを再現させる事すら可能にするとされる内骨格システムで、現在グリーン・ノアで開発が進められている、ガンダムMk-Ⅱに採用されるなど、
今後のMS開発に多大な影響を与えると予想されている技術である。

「ガンダム鹵獲――これはいよいよ失敗出来なくなったな……」






ジム・クゥエルのシートに座ること、既に数時間。そろそろダレてきた俺です。
作戦直前だっていうから機体整備なんてとっくに終わってるもんかと思ったら、とんでもなかった。
ジムの周りであーでもない、こーでもないと唸る整備兵の人たち。
俺の内心が顔に出てたら普通に怒られそうである。この体になってからやたら無表情になったけど、こんな形で役に立つとは。
アーガマのカタパルトですっ飛んでくのにワクワクしてる場合じゃなかったです、マジで。

「よっ、もう少しで終わるからな。疲れたか?」

なにやら深刻そうな顔で大尉と話してた、アストナージさんがコックピットまでやってきた。
最初見た時、地味過ぎて原作登場キャラだと気付かなかったよ。……いや、気の良い人なんだけどさ。ゴメンね!
名前で呼ばれているのを横から聞いた時、すぐに「ああ、サラダの人か!」なんて思い出した俺はそろそろ殴られても仕方無い気がしてきた。
死亡フラグの人とか酷過ぎるだろう、常識的に考えて……

「ジムの操縦系は殆ど弄ってないから、動かす分には前と変わらないはずだ。ま、だからって余り無茶はさせるなよ?」
「うん。ありがとう、アストナージ」

甲斐甲斐しく面倒を見てくれるアストナージさんに、言葉だけだがお礼を言っておく。
最近練習を始めた笑顔の作り方も、実践を兼ねてやってみるが……か、顔の筋肉が動かん……
少し前まで、まったく変わらない自分の表情に危機感を覚えて頑張ってみたものの、結果は芳しくない。
ひ、引きつった笑いになってたらどうしよう。
と思ったが、アストナージさんは一瞬面食らったような顔をしただけで、にっと笑いかえしてくれた。

「礼なんていいって。機体とお前さんが無事で帰ってくれば、他に俺たちは何にもいらないさ」

男臭い笑みを浮かべるアストナージさん。ちょっとカッコイイと思ったのは内緒である。
しかし、態々塗りなおしてまでジム・クゥエルで出撃する事になるとは思わなかったよ……
あわよくばリック・ディアスに乗れるかなぁ、なんて思ったが、よく考えたら初めての機体なんかで出撃しないよな。
まぁ、僚艦のモンブランに積んであるらしいジムⅡじゃなかっただけラッキーか……やられメカの筆頭だもんな、アレ。
大尉なら「ナナ用に一機ディアスを回そう」とか言い出しそうとか思ったけど、流石に自重したのかしら?
あの重そうな機体を乗りこなす自信もないし、このジムもなんだかんだで気に入ってるから良かったんだろうけど。




『ナナ、聞こえるか』
「あ――ヘンケン」
『そうだ、ヘンケンだ。だが、名前の後に「艦長」か「キャプテン」を付けろ』

ヘンケン艦長越しに渋面を浮かべるヘンケン艦長。えらいスンマセン。
最近マシになってきたとはいえ、例の言語フィルターは今日も絶好調なのである。

『間もなく発進シークエンスが掛かる。どうだ、本当に行けるのか?』

言外に「今ならまだ止められるぞ」と言ってくれているヘンケン艦長。
俺の出撃に、最後の最後まで渋ってたのがこの人だからなぁ……本音で言えば、戦場に子供なんかを絶対出したくないんだろう。
俺自身の操縦がアーガマのシミュレータで結構いい成績出ちゃったのと、いつも通りのクワトロ大尉からの強烈なマンセーで押し通されちゃったけどさ。

「ヘンケン、大丈夫だよ」

戦いは正直勘弁だけど、ティターンズを放っといたら相当ヤバイってのは、俺も分かるからなぁ。
ここ暫くの間に、俺も随分アーガマの人たちには世話になった。
俺が居なくても何とかなりそうな気もするけど、俺が出て少しでもエゥーゴの戦力が温存されれば意味はありそうだ。
そうすれば、ネオジオン抗争時代の泥沼っぷりも少しは良くなるハズ……
ていうか、このまま行けば間違いなくその泥沼に巻き込まれるからね!
後の死亡フラグを折るために、現在進行形で死の危険にさらされてるとか、本末転倒もいいとこである。
まあ、アーガマに乗せられて時から諦めてはいたけどさ!(泣

『…分かった。ただし、絶対に無茶だけはするな。絶対に生きて帰ってこい』
「うん」
『でないと、ある男が俺にサングラスを叩き割られるハメになるからな』

ニヤリと笑うヘンケン艦長に、俺も笑い返す。内心的にだけど。
本当にカッコいい人達である。いつか俺もあんなシブい男になってみたいものである。
もう幼女になっちゃてるから無理な話なんだけどね……いや、マジでどうしてこうなった。
…まぁ過ぎたことを気にしても仕方がないから、ささっとお勤めの方を済ましてしまおう。

各部位チェック、オールグリーン。
全兵装及び各システムに異常なし。
核融合エンジン出力安定。推進剤も問題なし…と。

「カタパルト・スタンバイ、ジム・クゥエル発進よろし。ナナ、行けるか!?」
「うん。ジム、出るよ」

伝統に沿って「アムロ、いきまーす!」的なヤツをやりたかったけど、流石に自重する。
ネタに走って整備班の人たちの空気を和ませすぎるのもアレだし。
今の俺は、空気の読める幼女なのである。

「無事に帰ってこい!お前が戻る頃に、俺が取っておきの――」
「アストナージ、サラダはいらない」
「サラ――ええ!?」

あっぶねぇ!いきなりド級の死亡フラグ建てようとしやがったよこの人!?どんだけ好きなんだサラダ。
でも、これでフラグが一個折れたよな?よし、なかなか良い出だしじゃないか。
カタパルトから射出される際の強烈なGを感じながら、俺の白いクゥエルは宇宙へ飛び出す。
『漆黒の宇宙空間』なんて表現をよく聞くけど―――

―――実際の宇宙は『蒼い』のか、なんて妙な感慨を受ける。






「行っちまったな、あのガキ」
「ああ、そうだな……」

少女の乗るジムを見送ったアストナージに、一人の整備兵が声をかける。
後悔している様にも見えるその整備兵の気持が、アストナージにはよく分かった。

「ホントに良かったのかね、これで。俺ぁ自分がとんでもない罪を犯した気がして仕方がねぇよ、アストナージ」
「とは言っても、艦長とクワトロ大尉が決めた事なんだ。今更俺達が口出しなんてできなかっただろ?」
「……そうだけどよ」

整備班の中には、あの少女ほどの歳の子供を持つ人間もいる。
作戦に彼女が参加する聞いた時、整備班の大多数が疑問や反対の声を上げた。
実際、彼女のジムに残された戦闘データと、彼女に機体を壊され予備のディアスで出撃することになったアポリーの証言が
なければ、ストライキにも近い形で彼女の出撃自体を整備班ぐるみで妨害していたかもしれない。
そうはならなかったのは、偏にエゥーゴという組織が軍隊であるという事によるものだ。
上からの命令は絶対である。その意味を理解しているからこそ、彼らは疑問を抱きながらも少女のモビルスーツを準備したのだ。

「今更後悔したってしょうがないだろ。それに、案外大丈夫な気がするんだよな」

――アストナージ、サラダはいらない。
去り際のナナの言葉が、アストナージの耳に焼き付いていた。
会って間もない彼女に、自分が密かに得意としている料理など教えた筈もない。
心を見透かされでもしたような不思議な感覚は、不快ではないが狐につままれた様な気分にはさせられた。

(あれがニュータイプってヤツなのかね…)

根っからの技術畑の人間であるアストナージには、一昔前にブームになったニュータイプ論など半信半疑がいいところである。
それでも、あの白い少女のミステリアスな雰囲気は、オカルト染みたそれに多少なりとも真実味を持たせてくれる気がしないでもなかった。
それに――

「俺たちは最高の仕事をして、最高の状態の機体でパイロットを見送った。そうだろ?」
「…お前さんは整備士の鏡だよ、アストナージ」

ありがとう。アストナージにそう言ったナナの、薄く笑った笑顔。
あの無機質だがどこか人間臭い笑みを浮かべる彼女が生きて帰ってくるというなら、オカルトだって信じてみるのもいい。
そう思いながらアストナージは同僚の肩を叩き、自分たちの仕事場へと戻っていった。










とりあえず、施設でやってた訓練通りにスラスターを吹かす。
宇宙での操縦は初めてなんだけど、妙に馴染む。

『ナナ、私は先行してグリーン・ノアへ入る。この後はアポリーとロベルトの指示で行動をしろ。出来るな?』
「うん。シャア、気をつけて」
『フッ――そうだな、気をつけよう』

今更だと言うように笑うクワトロ大尉。白兵戦もお手の物なこの人ならではの余裕だよなぁ。
伊達にド派手な機体に乗っている訳ではないのである。
宇宙空間でも視認性抜群の機体とか、この人の腕じゃなかったら完全にギャグだよな…
などと三機のリック・ディアスの後ろを追いかけながら思う。

『よう。緊張してないか?』
「アポリー」
『はは、大丈夫そうだな。まぁ危なくなったら俺達がフォローしてやるさ。この前やられた手前、あんまり偉そうに言えないけどな』

気の良さそうな感じで、話しかけてくるアポリー。
この前のは運というかアレだ。某エクストリームのオンでこっちの勝率が50%以下で相手が油断している所を
ガチャプレイで無理矢理押し込んだとか、そういう感じのやつなのである。
だから、間違っても俺の実力だとは思わないでほしいのだ。
なんてったって、俺の目標はアーガマの後方支援専門だからね!!


――――――――。

不意に感じる頭に響くような、重々しい感覚。
なんぞコレ。ゆんゆん来てる、毒電波か?

『この感覚、アムロ・レイ?違うか……ナナ、何か感じないか?』

俺の感じるこの変な電波を、どうやらクワトロ大尉も感じているらしい。
幼女になった事で、とうとう頭の方に致命的な不具合が出てきたのかハラハラしてたよ。
しかし電波飛ばすとか、そんな超能力みたいな事できるのは俺の知る限り、あのコロニーには一人しかいないよなぁ。

「……カミーユ」
『カミーユ?この感触の持ち主の名前なのか……?』

しまった。うっかり口が滑りおった。
ネタバレも程々にしないとなぁ、唯でさえ不思議系キャラが定着しつつあるのに、おまけに電波扱いとかされたら堪らん。
不思議系で幼女で電波持ちとか、属性がインフレおこして大変である。手遅れな気がして仕方がないが。



なんだかアーガマの中より、MSの方が宇宙を間近で感じられるな。
などとまるでニュータイプみたいな事を考えながら、宇宙に浮かぶコロニーを目指し、ジムを飛ばした。










週一は無理ゲーでした。えらい申し訳ない…

ムーバブルフレーム説とモノコック説とで割れるリックディアスですが、正直ムバフレ説をまともに信じると
とてもSSなんて書けないのでこのSSではモノコック機構を採用している、ということで…

Z計画の停滞がMK-Ⅱのムバフレで打開されたのに、プロトディアスの時点でムバフレ採用とかどういうことなの…


※修正しました。誤字報告感謝です。


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