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No.30506の一覧
[0] マブラヴ×まどか[QП](2011/11/13 13:36)
[1] 第2話[QП](2011/11/14 07:51)
[2] 第3話[QП](2011/11/14 07:52)
[3] 第4話[QП](2011/11/14 07:48)
[4] 第5話[QП](2011/12/23 19:39)
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[30506] マブラヴ×まどか
Name: QП◆70e2767d ID:0fd65f93 次を表示する
Date: 2011/11/13 13:36
これはいわゆるただの思いつきです。
続かない可能性、設定改変等が大いにあります。
それでもよろしければどうぞご覧下さい。


1993年、度重なる敵の侵攻により北欧戦線が瓦解した。
それは同時に人類が侵略者の手によって欧州大陸から駆逐された事を意味していた。
侵略者の名はBETA。
人類に敵対的な起源種という意味の言葉のそれぞれの頭文字をとって、そう呼ばれている。
そして、この物語は以上の事柄を背景に始まる。

ここはブリテン島にある軍事基地。
夜の帳も落ちた頃、そこの人気のない一画である一人の女性が泣いていた。
頭をたれ、建物の壁面に両の手を当て、声を押し殺して泣いていた。
それは、まるでそうでもしなければ崩れ落ちてしまうといった有様であった。
歳の頃は二十歳になるかならないか。髪は栗色。背丈は165、6であろう。
彼女は軍人であった。それもただの軍人ではなかった。
戦術機と呼ばれる人類がBETAに対抗するために生み出した一つの剣。
それに乗る「衛士」といういわば選ばれた存在であった。
彼女は優秀であった。生まれ持った天賦の才と、それに驕る事無く積み重ねた努力によって、衛士としても同期中断トツの成績を残した。
これで人類の勝利に貢献できる。仲間も家族も殺させない。BETAなんて怖くない。
彼女はそう考えていた。

訓練生時代の成績から彼女は最前線に飛ばされた。彼女と同期の者も2名同じであった。
彼女が配属された部隊は北欧戦線の、しかも最前線で戦う部隊であった。
筋骨隆々とした体に意思の強そうな太い眉、いかにも歴戦の戦士といった風体の部隊長。
軍隊独特の厳しさを持ちながら、しかし女性特有の柔軟な姿勢で隊長を補佐する副隊長。
事あるごとに冗談を言って、隊内のいわば潤滑油の役割を果たしていたイタリア人の中尉。
そんな中尉にいつもおもちゃにされる人のよさそうなフランス人の中尉。
自分より一つ上で何かと気遣ってくれた4人の先任少尉たち。
しかし、皆一度戦闘になれば無慈悲にBETAを打ち砕く。
そんな戦友たちが彼女の配属された中隊の面々であった。
これならやれる。BETAを倒せる。
彼女はそう信じていた。
部隊に配属されて間も無くのころであった。
BETAが侵攻してきたのである。その数およそ1万5千。約1個師団規模であった。
ようやくの初陣。彼女の血は滾っていた。この程度の敵など、何度もシミュレーションで倒してきた。こちらには頼れる先任衛士の方々と、訓練生時代支えあった戦友がいるのだ。
何より自分は訓練校の歴史に名を刻むほどの成績を収めてきたのだ。
恐れるものなど何もない。BETAなど私が全て滅ぼしてやる、と。
彼女は信じていた。まるで自らが神話の英雄でもあるかの様に。

彼女たち3名は初陣であったため今回は部隊後方で戦うことになっていた。彼女はそれを内心不満に思っていた。自分ならば、たとえ初陣であろうとも戦果をあげてみせる。やられるようなヘマなどしない、と。その時、彼女の中には確かに輝かしい未来が描かれていた。
全てが終わった後、残ったのは彼女一人であった。
まず、同期であった者が死んだ。突進してきた突撃級に引き殺されたのだ。あっという間のことであった。
次に先任少尉の内の一人が死んだ。同期が死んでしばらくした後、要撃級に殴り殺された。
その少し後、あのイタリア人の中尉が死んだ。戦車級に食い殺されたのだ。あのいつも陽気だった声が、断末魔に変わっていた。
そこまできて、彼女の中で何かが切れた。言葉にならぬ叫びを上げながら機体を前進させ、目の前の敵に向けてありったけの弾丸を見舞ったのだ。
当時、彼女は一種の錯乱状態に陥っていた。そのため、残弾の確認という極めて初歩的なミスを犯していた。両の手と左背部の突撃砲が同時に弾切れを起こしたのである。
一瞬の空白。それはBETAの真っ只中において死を意味していた。目の前に要撃級の前腕が迫る。しかし、それが彼女の戦術機のコックピットを押し潰すことはなかった。
彼女の奇行を察知した部隊長が単身乗り込んできたのである。
彼はその要撃級を撃破するとすぐに周囲のBETAも駆逐しながら彼女に怒鳴った。彼女はというと、その怒鳴り声でようやく我に帰るような有様であった。しかし、訓練の賜物なのか、すぐさま自らの状況と犯した失態とを理解し、部隊のある後方へ移動するべきと考え、それを部隊長に報告しようとしたとき、部隊長のマーカーが消えた。理解が追いつかなかった。次の瞬間、先任少尉のうち2人のマーカーが消えた。そこまできてようやく理解ができた。自分が隊の陣形を乱した為に部隊長がフォローにまわり、部隊長が死んだために部隊が一瞬硬直し、そのせいでまた二人死んだのだと。
そこから先はまるで濁流のようであった。ほとんど一度に三人も死んだことで残ったもう一人の同期がパニックに陥った。彼女はBETAの這い回る地上から少しでも離れようとして空を目指し、副隊長が止める間もなく、光線級の餌食になった。
次に最後の先任少尉とフランス人の中尉が犠牲になった。この二人もまた食い殺された。
最後まで粘っていた副隊長だが、彼女もまた殴り殺された。至極あっさりとしたものだった。最後に残ったのは彼女一人、弾薬も底をつき近接戦闘用の長刀も折れた。
戦う前の決意など当の昔に失っていた。ただ死にたくない。その一念のみで抗っていた。しかし残されたのは近接戦闘用の短刀2本のみ。すぐに限界がきた。周囲に戦車級が群がる。
もはやこれまでと思い死を覚悟した瞬間、戦車級がはじけとんだ。他の部隊の援護であった。この時、彼女は気づかなかったが、戦局はほとんど終局へ向かっており、掃討戦へと移行しつつあったのだ。援護を行った機体から大丈夫か、と問われようやく自分は助かったのだと彼女は理解した。そこから先は特に何も無かった。初陣で部隊が壊滅したこともあって彼女はすぐにブリテン島に送り返された。彼女はこの間特に取り乱すことは無かった。何の事は無い。あまりの出来事に現実感が追いつかなかっただけであった。

冒頭の場面は彼女が引き上げてきてから2週間後、実戦を経験してから3週間余りが経過した頃である。ようやく追いついてきた現実感が彼女をさいなんでいた。自分が錯乱しなければ、もっとしっかりしていれば、もっと強ければ、止めどなく溢れてくる負の感情が涙となって零れ落ち、謝罪の言葉が嗚咽となって漏れ出す。これがここ2、3日の彼女の日課であった。
彼女に割り当てられた部屋はもちろん個室などではなく二人部屋であった。そのため同居人の邪魔にならぬようにこのような場所で一人で泣いていたのだが、今日この時に限っては一人ではなかった。涙も声も枯れそろそろ部屋に戻ろうかと顔を上げ歩き出そうとしたとき彼女に声をかけるものがいた。
「ねえ、何がそんなに悲しいんだい?」
突然の呼びかけに一瞬体が硬直する。しかし次の瞬間には先程まで手をついていた壁を背にし、周囲を警戒していた。しかし不思議なことに人影らしきものが見当たらない。彼女は緊張を解く事無くあたりを見回す。
すると月明かりの元、目の前の建物の屋根に何かがのっているのが解った。一見すると小動物のような愛らしい容姿をしているが、しかしこんな生き物など聞いたこともない。
彼女とその小動物との間で沈黙が続いた。すると、その小動物らしきものがもう一度問いかけた。
「君には何か叶えたい願い事はないかい?」
平時ならば動物が喋るなど何かのトリックを疑うべき所を少なからず平静を欠いていた彼女は異常な空気に耐えられずに挑むように問いかけた。
「お前は何者だ」
すると小動物はその身の丈ほどもある尻尾とこれまた長く垂れた耳とを少し揺らして答えた。
「ボクの名前はキュゥべえ。ボクと契約して魔法少女になってよ」

これは一人と一匹から始まる物語である。


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