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No.30271の一覧
[0] 【東方紅魔館】 悪魔のような吸血鬼[豆腐](2011/10/25 15:30)
[1] 01-1[豆腐](2011/10/26 14:01)
[2] 01-2[豆腐](2011/10/28 13:24)
[3] 01-5[豆腐](2012/03/09 11:18)
[4] 02[豆腐](2011/11/26 11:53)
[5] 02-1[豆腐](2011/11/26 11:54)
[6] 02-5[豆腐](2011/12/06 14:37)
[7] 03[豆腐](2012/01/18 11:29)
[8] 04[豆腐](2012/02/10 12:36)
[9] 04-1[豆腐](2012/02/10 12:37)
[10] 04-2[豆腐](2012/02/15 14:29)
[11] 05[豆腐](2012/03/09 11:23)
[12] 05-1[豆腐](2012/03/13 13:24)
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[30271] 04-2
Name: 豆腐◆4185b71f ID:e7b10c20 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/02/15 14:29
「むきゅー、負けたわ……」

 そう言いながらパチェと小悪魔が部屋の中へと入って来る。私とフランは椅子に座ったまま机の上に置かれた紅茶を飲んでいると、彼女もこちらに近付いて来て椅子に座った。直ぐに咲夜の紅茶がパチェの前にも置かれる。これで今この部屋の中には、お兄様を除く紅魔館の主要メンバーが全員揃っている事になった。咲夜と美鈴、小悪魔は皆それぞれ私達の斜め後ろに付いて立っている。

「お兄様はどうかしら?」

「変わらずね。まだ部屋の中であの女とのお喋りを続けているみたい」

 そう……、と呟きながら私は少し後悔していた。やはりお兄様に言わずに独断で動いたのは拙かったかもしれない。きっとお兄様は私を叱るだろう。フランは自分にも責が有ると言ってくれたが、それでも最後に決断したのは私だ。私が責任を取らなくてはならない。

 お兄様は幻想郷を乗っ取ろうとしている。その為の下準備も着々と進行し、その大方にも目処が付いた。もはや何時でも行動に移す事が出来るだろう。しかしその準備にも一つだけ足りない物がまだ有った。名前だ。幾らお兄様が優れた吸血鬼で有ろうとも、幻想郷においては新入りとなってしまう事だけはどうしようも無かった。元々お兄様は表舞台に出て、どうのこうのしようとするタイプでも無い事がこれにより拍車を掛けた。恐らく未だにお兄様の名前すら知らない妖怪も居るのではないだろうか。

 いざ行動に移った際に名声値というのは予想以上に大事だ。ポッと出の新人がするよりも「あのスカーレット家が!!」となった方が、より民衆に対してのインパクトが出せる。私はその手伝いがしたかった。

 幻想郷で有名になるのは簡単だ。武力を行使すれば良いのだ。しかしお兄様はそれを望まないだろう。だからこそ、こんなにも回りくどいやり方でやっているのだ。平和的に世間に名を広めつつ、更にスカーレット家の威厳も見せ付けなければならない。外の世界なら難しいそんな事も、この世界にとっては簡単な事だった。

 では何故独断で動かねばならなかったのか。それはこのスペルカードルールに付いての問題が有る。見て分かる通り、既に我が家が誇る門番、メイド、魔法使い、司書が負けている。これは普通に考えれば有り得ない事だった。直ぐにでも私とフランとお兄様が共同で動かなければならないレベルの出来事だろう。しかしこうなる事は既に異変前から予測出来ていた。

 力有る者が力無き者のレベルにまで下がってあげる。こう言えば聞こえは良いが、ハッキリ言ってこれは力無き者が圧倒的に有利なシステムだった。無論私達が本気を出せば人間など直ぐに殺せる。しかしスペルカードを使う以上、相手にも回避出来る猶予を与えなければならない。更に言えば相手が避けられるであろうと思われる程度の弾幕しか、こちらは張る事が出来ないのだ。避ける猶予は有るが、ほんの一ミリしか有りません。と言って誰が納得するのか。そんな事をすれば大人気無いと馬鹿にされるだろう。しかしじゃぁ一体どれくらいの隙間を開けたら良いのだ。二ミリなら良いのか?三ミリなら許されるのか。そういった細かい部分が何一つ決められていないのだ。こちらは相手の事を気遣いながら勝負をしているのに、向こうは全力全開で攻め込んで来る。これで対等な関係を示しつつ、僅差で勝つというのは至難の業だ。だからこそ私はお兄様に何も伝えなかった。

 お兄様に伝えれば、きっとお兄様が主導として動いてくれた事だろう。しかしそれでは駄目なのだ。お兄様の名前がこんな事で傷を受けるのは私自身が我慢ならなかった。きっとそれはこの部屋に居る者全員がそう思ってくれている事だろう。だからこそお兄様に対して独断で動く事を皆に伝えた時にも、誰も反対しなかった。

 フランが力を放出し、私がそれを操作した。きっと幻想郷中に私達の代名詞が届ききっている事だろう。人間の里だけはパチェに結界魔法を施してもらった。明日の新聞が楽しみだ。スペルカードを用いた異変第一号となるこの出来事は、きっと大きく報じられる事になるに違いない。私は少し含み笑いをしながら紅茶の味を楽しんだ。

 遠くから弾幕を放つ音が聞こえて来る。思った以上に進撃が速いようだ。フランを見るとカップを両手で支えて一気に紅茶を飲み干していた。緊張していないのは良い事だが、もう少し上品に飲んでくれると更に嬉しいのだけれど……でもやっぱり可愛いわね。私がそう余韻に浸っている中、扉が乱暴に開かれた。


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