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No.30115の一覧
[0] 豪腕ロルフ~心優しき我学の子~ (灼眼のシャナ二次創作)[海](2011/10/13 17:50)
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[30115] 豪腕ロルフ~心優しき我学の子~ (灼眼のシャナ二次創作)
Name: 海◆8a45358b ID:47a71d2a
Date: 2011/10/13 17:50
 天才。というか天災。
 そんな評価が一般的な“王”がいる。

 名を、“探耽求究”ダンタリオン。
 通称、教授。

 ダンタリオンの最大の特徴は、その真名、通称に恥じぬ知識欲、知能、そして呆れんばかりの行動力だった。

 自作の燐子にして助手、『我学の結晶エクセレント28-カンターテ・ドミノ』を引き連れてこの世を渡り歩くこと数百年。
 好奇心の趣くままに世界の理法を捻じ曲げ、道理を踏みつけ、条理を破壊する。
 そうして行われる実験、発明は、確かに常軌を逸している程の頭脳明晰さを表すものではあったが、そのついでに起こる二次災害が町一つ、国一つ、あるいは世界一つを滅ぼす規模であることも珍しくなかった。
 それ故に“紅世の徒”にもフレイムヘイズにも(勿論だが実験の被害者にも)疎まれており、隙あらば討ち滅ぼさんと狙う者も多い。そしてそれ以外も、その“王”に関わることそのものを忌避するか、逆にその頭脳と好奇心を利用しようとするかのどちらかだった。

 それらの要因が重なって、教授がそんな連中に色んな意味で追い回された時期が、特に執拗に追跡された時期があった。

「『大命詩篇』の扱い……少し、無造作に過ぎたね」だの、「親父殿、いい加減に隠居して実家に帰れ」だの。
 三つ目やら失敗作やらに追い回され、おちおち実験もできない状況で、教授のストレスはキリキリ溜まっていた。

 そして、ある日。
 家ほどもある大きさのフラスコを用意して、常の如く傍迷惑で珍妙な実験に臨もうとしたが、その二秒後にフラスコを破砕された時のこと。

「おぉーのれ、サァァァァアアアーッレ・ハビヒツブルグ!! 今日こそ実験の邪魔はさせませんよぉーっ! じゃんじゃんじゃかじゃかじゃんじゃかじゃんじゃか躊躇うことなく真理目指して突き進むこの私“探耽求究”がお送りする今世紀最大のぉーっ、大・発・明っ!! 倉ぉー庫の隅で埃を被って数百年!! しぃーかし破壊力は折ぉーり紙つきっ!! 火ぁー山にも匹敵せんばかりの熱ェエエエーネルギィィィィィーーー!!」

 教授の手にいつの間にか握られているのは、罪人を磔にする際に用いられる鉄製の太い釘。それが、煌々と赤く発光していた。

「鉄よりも硬く! 針よりも鋭く! 風よりも早く! 火よりも熱く! さぁーらに! 改良を加えたことで燃費も安心! 我ぁーが学びと探求の枝葉末節、『我学の結晶ェエークセレント1373-彩火の釘』改め『我学の結晶エクセレント5934-災火の釘』の餌ぇー食となりなさぁーい!!」

 時間にして数十秒になろうかという絶叫を終え、教授が前方を向いたとき、既に杭の尖端を向ける相手は存在しなかった。
 怪訝そうにする教授に、ドミノが声をかける。

「教授。サーレ・ハビヒツブルグはとっくに退散してるんでございまふでふひはいひはい」

 思い切り頬を抓られ、ドミノの台詞が途切れた。

「ドォーミノォー! そういうことはさぁーっさと言いなさい!! こぉーの私が間抜けのようではあぁーりませんかっ! さては、臆病風に吹かれて逃げ出しましたねぇー?」
「その通りでございますです! 流石は教授! その発明品の恐ろしさに、飛びあがって逃げていきましたです、はい!」

 ここぞとばかりに機嫌を取り、お仕置きから逃れるドミノ。
 実はサーレも忙しく、とある大規模な戦いに参戦するために旅路を急いでいる途中であり、教授という藪蛇しか招かなさそうな相手はスルーしていったというのが真実なのだが、教授もドミノも、それを知る由はない。
 そこで、ふと思いついたとでもいうように、教授がドミノを見やる。

「とぉーころで、実験用の特性特大フラスコはどぉーうなったのですかぁー?」
「あ……じ、実は、繰られた岩がぶつかって粉々になっちゃったんでありまふひはひひはひ」

 再びドミノの頬が抓り上げられた。

「おぉー前は、それを黙って見ぃーてたのですかぁー!? 自分の身体を投ぁーげ打ってでも阻止するのが、おぉー前の役目っ!!」
「ふひゃひははひへふははひひはひひはひ(無茶言わないでください痛い痛い)」





 懇願から数時間後、さっさと現場を離れた教授は、自作の自動運転馬車――、『我学の結晶エクセレント4668-不撓の車』に揺られながら、珍しく研究以外のことを考え出した。
 即ち、如何にして外敵から研究を守るか。
 研究に専念するための、最良の方策。

(今までも、私自身が手動で操っている限り、実験の遂行に専念できませんでしたからねぇー)

 そもそも、教授の研究の専門性は戦いにはない。もっと深遠で不可思議なものにある。
 防衛機構も作ろうと思えば作れるのだが、時代は産業革命が起こったばかりである。いかな教授といえども、人間の技術を大きく凌駕した物を作ることはできない。裏を返せば、教授が発明品を作るようになったのも、殆どは人間がきっかけなのである。
 発明よりはむしろ、実験。
 技術者ではなく、むしろ科学者。

(私は思う存分知的好奇心を満たし、且つあぁーのシイタケ共を駆逐する方法――)

 しかし、その発想力は並大抵ではない。
 物を作るという点においても、今は亡き高名な宝具製作者“髄の楼閣”と並んで称されたことがある鬼才である(その“髄の楼閣”は、教授が引き起こした騒動が原因で、晩年を隠居して過ごしていた)。

 そして今回、ふと脳裏にふと浮かんだのは、かつて、ある宝具を目当てに調べたことがある二人。

「……『約束の二人』」
「はい?」

 次いで浮かんだのは、異形の戦輪使いと呼ばれた、恐らくは史上最強のミステス。
 ピースが嵌った。
 教授は上半身と下半身を逆回転させながら立ちあがり、天井に頭をぶつけて悶絶した。
 しかしそこからすぐに気を取り直し、ドミノに人差し指を突きつける。

「ドォーミノォー! 次の町に着いたら、急いで人間を調達してきなさぁーい! なるべく『器』の大きそうなのを選ぶんですよぉー!」
「え? 久しぶりに食事なさるんでございますはひはひひはひ」
「食べちゃダメですよぉー! そぉーんなことしたら、向こう十年は油無しですからねぇー!」

 教授とその助手は、騒がしくも次の町へと進む。
 教授の思いつき。それは至って簡単で、誰でも考えそうなこと。しかし彼にしかできないこと。

「私が作り上げてみせますよぉー! 史上最強にしてぇー、最高っ! 自爆スイッチも戒禁も完備の安全安心お手軽兵士! 私だけのミィーステスを!」
「前も同じようなこと言って、結局あのサーレが生まれはひゃひはははは」

 余計なことを言ったドミノは、やっぱり抓られて口を閉ざした。










タイトルは皆知ってる某原子くんから。
シャナの需要があるかわからないので、ありそうなら続きを投稿することにします。


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