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No.29737の一覧
[0] 試される大地【北海道→異世界】[石達](2012/11/29 01:19)
[54] 序章[石達](2012/11/29 01:05)
[55] 起業編1[石達](2012/11/29 01:06)
[56] 起業編2[石達](2012/11/29 01:07)
[57] 起業編3[石達](2012/11/29 01:08)
[58] 国後編1[石達](2012/11/29 01:08)
[59] 国後編2[石達](2012/11/29 01:09)
[60] 転移と難民集団就職編1[石達](2012/11/29 01:09)
[61] 転移と難民集団就職編2[石達](2012/11/29 01:10)
[62] 礼文騒乱編1[石達](2012/11/29 01:10)
[63] 礼文騒乱編2[石達](2012/11/29 01:11)
[64] 礼文騒乱編3[石達](2012/11/29 01:11)
[65] 礼文騒乱編4[石達](2012/11/29 01:12)
[66] 戦後処理と接触編1[石達](2012/11/29 01:12)
[67] 戦後処理と接触編2[石達](2012/11/29 01:13)
[68] 嵐の前編[石達](2012/11/29 01:14)
[69] 北海道西方沖航空戦[石達](2012/11/29 01:14)
[70] 大陸と調査隊編1[石達](2012/11/29 01:15)
[71] 大陸と調査隊編2[石達](2012/11/29 01:16)
[72] 大陸と調査隊編3[石達](2012/11/29 01:16)
[73] 魔法と盗賊編1[石達](2012/11/29 01:17)
[74] 魔法と盗賊編2[石達](2012/12/08 01:24)
[75] 決戦[石達](2012/12/08 01:20)
[76] 盗賊と人攫い編1[石達](2012/12/31 22:47)
[77] 盗賊と人攫い編2[石達](2013/01/19 21:24)
[78] 盗賊と人攫い編3[石達](2013/01/19 21:23)
[79] 道内情勢(霧の後)1[石達](2013/02/23 15:45)
[80] 道内情勢(霧の後)2[石達](2013/02/23 15:45)
[81] 外伝1 北海道航空産業の産声[石達](2013/02/23 15:46)
[82] 東方世界1[石達](2013/03/21 07:17)
[83] 東方世界2[石達](2013/06/21 07:25)
[84] 東方世界3[石達](2013/06/21 07:26)
[85] 幕間 蠢動する国後[石達](2013/06/21 07:26)
[86] 東方世界4[石達](2013/06/21 07:27)
[87] 東方世界5[石達](2013/06/21 07:27)
[88] 東方世界6[石達](2013/06/21 07:28)
[89] 東方世界7[石達](2013/06/21 07:28)
[90] 世界観設定[石達](2013/06/23 16:49)
[91] 人物設定[石達](2013/06/23 16:57)
[92] 東方世界8[石達](2013/07/15 01:51)
[94] 帝都ティフリス1[石達](2013/08/09 02:02)
[95] 帝都ティフリス2[石達](2013/08/12 00:21)
[96] 帝都大脱走1[石達](2013/09/23 00:16)
[97] 帝都大脱走2[石達](2013/09/22 22:47)
[100] 帝都大脱走3[石達](2014/02/02 03:03)
[101] 対エルフ1[石達](2014/02/02 03:03)
[102] 対エルフ2[石達](2014/02/05 22:45)
[103] 対エルフ3[石達](2014/02/05 22:45)
[104] 対エルフ4[石達](2014/02/05 22:46)
[105] カノエの素性1[石達](2014/02/05 22:46)
[106] カノエの素性2[石達](2014/02/09 13:13)
[107] 別れ、そして託されたモノ1[石達](2014/02/09 13:14)
[108] 別れ、そして託されたモノ2[石達](2014/02/09 13:16)
[109] 決意[石達](2014/02/09 13:42)
[110] 新しい風[石達](2014/04/13 10:41)
[111] 交流拡大、浸透と変化1[石達](2014/04/13 10:41)
[112] 交流拡大、浸透と変化2[石達](2014/06/04 23:46)
[113] 交流拡大、浸透と変化3[石達](2014/06/04 23:47)
[114] 交流拡大、浸透と変化4[石達](2014/06/15 23:55)
[115] 交流拡大、浸透と変化5[石達](2014/06/15 23:55)
[116] 平田、大陸へ行く1[石達](2014/08/16 04:02)
[117] 平田、大陸へ行く2[石達](2014/08/16 04:02)
[118] 対外進出1[石達](2014/09/14 08:19)
[119] 対外進出2[石達](2014/08/16 04:04)
[120] 対外進出3[石達](2014/10/13 01:58)
[121] 回天1[石達](2014/10/13 01:59)
[122] 回天2[石達](2014/10/14 20:24)
[123] 回天3[石達](2015/01/18 08:20)
[124] 回天4[石達](2015/01/18 08:24)
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[29737] 魔法と盗賊編1
Name: 石達◆48473f24 ID:a6acac8b 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/11/29 01:17
拓也は夢を見ていた。
長いまどろみから覚醒すると、かつて働いていた名古屋の会社にあった自分の机に、拓也は座っていた。
自分の格好を見てみれば、いつものブルーの作業着に安全靴を履いている。
PCのデスクトップに表示される日時は、去年の盆休み前。
拓也は明日から北海道に帰省する予定の為、手を付けたら面倒そうな仕事には手を付けず、
机の上の整理整頓をして定時待ちモードとなっていた。

「なんだ。全部夢だったのか」

そう言って拓也は溜息を吐く。
何とも不思議で長い夢だった気がする。
だが、拓也はある事を思い出しハッとして周りを見渡した。
幾ら盆休み直前とはいえ、就業時間中に居眠りをしている所を見つかれば何と言われるか分からない。
だが、幸いにも周りの人間でおかしな素振りを見せている者はいない。
居眠りしていたのはバレてはいないようだった。

「それにしても変な夢だったな」

拓也は小声で独り言を呟くとクスリと笑った。
北海道に帰省したら、異世界への転移に巻き込まれ、色んな人たちの助けを借りて起業。
それに国後島での銃撃戦や、異世界での調査隊派遣など荒唐無稽も良いところだ。
拓也は余りに現実離れした夢の内容を思いだし、「最近、マンガの読み過ぎかな~」等と思っていると、工場内に響き渡る様にチャイムが響く。
そのチャイムを聞いて時計を見れば、待ちに待った五時の定時になっていた。

「仕事終了~。さてと、盆休みだし家に帰るか」

どうせ他の会社も盆休み直前なんてロクに稼働していない。
入ってくる部品が無ければ、品質管理なんて居ても意味がないので、さっさと帰る事にしよう
そう思って拓也が自分のカバンを手に取り家に帰ろうとした時だった。

「石津くん。帰るのちょっと待って」

もうすっかり帰宅モードとなっている拓也に、背後から声がかかる。

「…本日の営業は終了しました。御用の方は盆明けにお願いします」

「そう言うなって。
今、加工屋から電話があって、鋳物部品の加工面に素材不良が見つかったそうだ。
んで、使用可否の指示が欲しいってさ」

ギギギ…と首を回して振り向くと、そこには製造課のリーダーが手招きをしている。

「今からですか?」

「そう、今から。
加工屋が言うには、今日判定を貰えれば盆明けの納入に間に合うそうだ。
生産スケジュールも遅れ気味だし、ちょっと頼むよ」

「もう帰る気満々だったのに… しょうがない、わかりましたよ」

諦め加減に承諾する。
するとリーダーの方も、逃がさずに捕まえられたとでも言いたげな笑顔で話を続けた。

「いやぁ すまないね、品管さん。じゃぁ、後はよろしく」

「ふむぅ… ちょっと待ってください。嫁に帰りが遅くなるって電話してからそっち行きます」

あともう少し早く帰っていれば逃げられたのにと思いながら拓也は電話を取る。
ダイヤル先はマンションで拓也の帰りを待つ嫁のエレナ。
幾ら仕事とはいえ、ウチのお嫁様は連絡なしに残業すると、せっかく作った晩飯が冷めると怒るため
残業の際、拓也は出来る限り彼女に電話していた。

プルルルル…… プルルルル…… ガチャ

『Aлло?』

何度かのコールの後に電話がつながり、電話越しに嫁の声が聞こえる

「あ、エレナ。拓也だけど」

『どうしたの?今、晩御飯の準備中であまり手が離せないんだけど』

「それなんだけどさ、今日ちょっと残業で遅くなりそうなんだ」

『え~。タケルもあなたの事待ってるのに、何とかならないの?』

電話越しからもわかる不満の声、時折電話の向こうから「パパは~?」と子供の声が聞こえるのがつらい所である。

「まぁ そんな訳だから、帰るのはちょっと遅くなるわ」

そう言って拓也は説明するが、返ってきた声のトーンはそれまでとはまるで違っていた。

『…え、帰る?あなた一体どこに帰るの?』

ビックリしたような、それでいてどこか冷めた声でエレナが言う。

「は?家に決まってるじゃん。そんなふざけてないで機嫌治してよ」

『いやだから一体どこに帰るの?帰る所なんて… もうないのに…』

一体、彼女は何を言っているのだろうか。
だが、嫁の声にふざけている素振りは無い。

「帰るっていったら、俺らのマンションしか無いだろ。一体何を…」

そこまで言って拓也は気付いた。
周りの風景がおかしい。
さっきまで沢山人が居たのに、人っ子一人いない所か物音すら聞こえない。
よく見れば、何時の間に工場の電気を落としたのか、事務室の外が真っ暗で何も見えない。

「ちょっと待ってて…」

そう言って拓也は受話器を机の上に置くと、事務所の扉を開け放つ。

「何だよこれ…」

拓也は絶句した。
そこには何もなかった。
先ほどまで工場の敷地が広がっていた所は、真っ暗の、漆黒の無が広がっているだけだった。
その光景に呆然としていると、机に置いた受話器からエレナの声が聞こえる。

『帰る所なんてもうないの。 それに私たち…  …もう人間じゃないでしょ?』

受話器から聞こえる不吉な言葉。
拓也は恐ろしくなって電話を切ろうと受話器を持ち、手が止まった。
そこには先ほどまで普通の手だった自分の手が、筋肉質で異質なナニモノかに変わっている。

「うわぁ!」

拓也は電話を投げ捨て、体の他の部位も確認する。
見れば手足の長さも変わり、その爪はまるで魔女の様に長く鋭くなっている。
顔は?顔はどうなった?
拓也は自分の顔をまさぐるが、触感だけではどうにもよくわからない。
拓也は鏡は無いかとあたりを見渡し、そして見てしまった。
事務所の壁にかかる身嗜みをチェックする為の鏡、そしてそこに写る… 変わり果てた自分を…





「うわぁぁああぁぁあああぁぁぁ!!!!!」

叫び声と共に拓也は飛び起きた。
荒れる息を何とか沈め、ビクビクしながら辺りを見渡す。
かなりシッカリした石造りの壁に天井。

「ここは… どこだ?」

先ほどまでのリアルな夢?のせいで何処から何処までが現実なのか分からない。
とりあえず自分の現状を確かめようと視線を自分の体に戻した瞬間、バーンという音と共に勢いよく扉が開け放たれた。

「社長!気が付きましたか~?」

余りに勢いよく扉を開けたため、あたりに土埃が舞い上がる中
アコニーが心配そうに拓也に駆け寄ってくる。

「あぁ アコニーか…」

「『あぁ アコニーか』じゃ無いよ。
社長達ったら急に倒れたら全然目を覚まさないし。もう3日目ですよ?めちゃくちゃ心配したよ」

そう言ってアコニーは、拓也の手を握って安堵の溜息を吐く

「3日…そんなに寝てたのか。 それに、ここは一体?…」

急な覚醒の為、まだハッキリとしない頭で拓也が聞く

「ここは、村の教会ですわ。
急に社長達がバタバタと倒れたのを見て、村長と村の神父様が流行病だといけないので病人はココに隔離しておくようにと
教会の一部を貸してくださったの。それと、お目覚めは社長が一番最後です。他の方は一応お目覚めになられました」

「カノエ…」

見れば、アコニーに続いて他の面々が部屋へと入ってくる。
どうやら他のメンツも大事には至ってないようだ。
拓也は安心したのか自分の顔を撫でる。


もさり…

妙な感触が掌に広がる。

もさもさ…

更に触ったり、引っ張ってみる。
それは自分の顎から10数センチの長さまで伸びている。

「あぁ 社長。それとですね。
寝ている間に髭が物凄い事になってますよ。まるで私の同族の男みたいに」

ヘルガそう言って鏡を拓也の方に向けると、そこにはイスラム戦士ばりの髭を生やした男が写っていた。

「なんだぁこりゃぁ?!」

拓也は驚愕の声を上げる。
寝ていたのはたった3日である。
無精髭が生えることはあっても、こんなもさもさの髭が生えるなんてことはあり得ない。

「エドワルドさんも教授も男の方はみんな同じ状況です。
まぁエドワルドさんはサッサと剃っちゃいましたが…」

拓也はヘルガの説明を聞きつつも、鏡を見ながら自分の髭を触る。
触感は普通。引っ張ると痛みもある。正真正銘、自分の髭であるようだった。

「うむむ… まぁ 髭は剃ればいいか… それにしても、一体どうなってんだ?」

そう言って再度自分の髭に手を伸ばす。

「それとですね… みなさんの耳も、私みたいに尖ってます。
なんというか、ハーフドワーフっぽくなっちゃってますよ」

そう言われて拓也は自分の耳に触る。
長さはさほど変わらないが、ヘルガの様に耳の上面が少々鋭角になっていた。

「おいおい… マジか…」

そう呟いて拓也は外に体に異常がないか探る。
よく見れば、若干体つきが筋肉質になっている気がするが、他に変わってる所は無さそうだった。
ヘルガ達に聞いてみても、他に目立つところは無いそうだ。

「一体、何が起こったんだ?全部あのフザケタ霧のせいか?」

思えば、霧の発生から無線機器の不調など厄介ごとが続いている。
何かしらの関係はありそうだが、今の拓也らに調べる術は無い。

「まぁ あの霧は昔から聖なる霧と言われてて、普通の霧じゃないのはたしかですわ。
それと、霧は今現在も辺りを覆ってます。晴れるのはまだ数日先ですね」

「くっ… だが、取りあえず全員の体調が回復したなら軍の中継キャンプまで…」

「戻るのは無理です。社長達の昏睡中、勝手ながら徒歩で来た道を引き返してみましたが
崩落した橋の所から先に進むのは無理でしたわ。
先日の雨で川が増水しているのと、上流でも雨が降っているのか水の引く気配がありません。
通信障害も続いてますし、しばらくはこの村に滞在するしかないと思いますね」

拓也の言葉を途中で遮る様にしてカノエが答える。
どうやら、拓也達が眠っている間に彼等なりに何とかしてみようとしていたようだ。
だがしかし、それでも拓也らが回復した以外については状況は改善していないようだった。
いや、確かに拓也らは回復したが、その身に起こった事も含めれば逆に面倒事は深刻化している気がする。
何か軍と連絡を取る方法は無いものか。
拓也が唸りながら思案を巡らせていると、部屋の入口に出来た人だかりをかき分けて見知らぬ人物が入ってきた。

「目が覚めたようですな。しかし、人族と聞いていたんだが、ドワーフだったとは…」

そう言って、部屋に入ってきた人物は眉を潜めて拓也の風貌を見る。
見た目はキリスト教の坊さんみたいな服を着た、ガッチリとした体格のハゲ。
その腕は、拓也の足と同じくらいありそうな太さまで鍛え上げられており、ヘビー級のボクサーといった感じがする。
拓也は、そんな恐ろしげな人物が自分に疑惑の色が混じった視線を向けているのを感じると、あたふたと慌てて答えた。

「いや、数日前は確かに普通の人間だったんです!霧が出てから色々あって、自分でも何が何やら…」

急に投げかけられた言葉に、拓也はそれは誤解であることを説明しようとするが
まだ何が起きたのか自分でも把握していないため、うまく説明することができない。
そうしてテンパる様が余計に挙動不審に見えるのだが、次の瞬間、その人物は噴き出して笑い始めた。

「はっはっは。すみません冗談ですよ。経緯は他の人から聞いています。
それと申し遅れましたが、私はこの村の教会で神父をしておりますサムソンと申します。
それにしても不思議ですね。最初は病気か何かと思いましたが、既に起き上った皆さんは健康そのもの…
そして全員が同じように亜人化している…」

「他の皆もですか?」

「ええ、ただ皆さん既に伸びた髭は剃ってしまわれたので、少し耳が尖っているかな位の感じです。
それにしても聖なる霧でこの様な反応があるとは、いろいろと興味深いですね。
神からの祝福か、それとも悪魔が変化を破られたのか…」

悪魔の言葉のところでサムソン神父はギロリと拓也を睨む。

「いや!自分たちは普通の人間ですって!確かに今はちょっとおかしいですが、本当に本当なんです!」

拓也は焦った。
宗教に目を付けられるなど厄介なこと極まりない。
この世界の宗教について詳しくは知らないが、もしスペイン宗教裁判ばりに「怪しい→死刑!」なんて事になったらたまらない。
だが、対してサムソン神父はそんな焦る拓也の様子を見て堪能したのか、すぐに表情を柔らかいものに戻す。

「ふふふ… そんな心配されなくても大丈夫ですよ。
仮に私が正統派の神父だったら、人から亜人に変化する奇病持ちは迷わず火炙りか追放を宣言しますが、幸運にも私は教会の中でも純粋派に属する神父でして
亜人や異教徒がどうこう言って差別するつもりはありません」

拓也はホッとした。
どうやらこの神父は現地宗教では穏健派?に属するようだった。

「そうですか。ありがとうございます。
それと神父様でも今回みたいな事はご存じないんですか?」

「聞いたことがありませんね。
まぁ ですが、この事はあまり言わないほうがいい。
正統派の神父に尋ねられた時は、ハーフドワーフだったと名乗るのがいいでしょう」

「え?正統派ってのは亜人を迫害してるんじゃないんですか?」

先ほどの話では正統派の神父であったら拓也らは火炙りに遭っていたと神父は言っていた。
拓也はそれが純粋に亜人が迫害対象になっているからと解釈したのだが、神父はハーフドワーフを名乗れという。

「確かに正統派は亜人を快く思っていない。
それには二つ理由があります。が…
そうですね。
君たちは、こちらの世界について何も知らないと聞いていますので、せっかくだから詳しく説明しましょう。
まず、亜人たちが嫌われている理由の一つですが、彼らは神に創られた身でありながら、神の聖戦に参加しなかったという事と。
二つ目は、亜人は精霊魔法を使うこと。
普通の魔術師は、教皇庁の管理する魔術学校で学び、神との契約の儀式をすることで魔術を行使することができる。
この契約に使う魔術装置は教皇庁が管理しているので、新たな魔術師の契約も破門も全て教皇庁が握っている。
そのため、どの国も教会に歯向うことができず、事実上人族世界は教会が支配しているのですが
亜人たちは契約せずとも好き勝手に精霊魔法が使えるので、これが教会にとって面白くない。
その上、彼らは教会の定めた教えに従おうとしないのが、教会から快く思われていない理由です。
そしてこれが、貴方達が人族から亜人に変化したと言わないほうがいい理由でもあります。
後で試してみないとわかりませんが、恐らく貴方は精霊魔法が使えるようになっているでしょう。
そして仮にこれが奇病の類で、人から人へと伝染するとしたら?」

「人々は魔術の契約が必要なくなって、教会の影響力が落ちる?」

「その通り。
実際の変化の理由は不明ですが、私が正統派ならその様な不安の種は小さなうちに潰すでしょう」

そこまでサムスン神父が断言すると、拓也は顔を青くした。
先ほどとは違い、神父も冗談を言っているように思えない。
もし、運悪く神父の所属宗派が違えば、彼の太い腕で拓也の頭と胴体は引きちぎられていたかもしれない。
だがここで疑問が出た。
教会の影響力が落ちれば、正統派だけではなく神父の所属するという純粋派も困るのではないだろうか?

「神父様… 仮にこれが伝染する病気で教会全体の影響力が落ちた場合、正統派だけじゃなく神父も困るんじゃないですか?」

「そうですね。確かに教皇庁の資金繰りとかは悪化するかもしれないが、これは正統派と僕たち純粋派の考え方の違いでしょう」

「考え方の違い?」

「正統派は、来たるべき次の聖戦は前回と同じくエルフのみと手を組んで、神から与えられた魔術を武器に戦い抜くという主張だ。
正しい軍団で、正しい力を使い、正々堂々と戦う事を信条としている。
特に今の教皇に正統派がついてからは、そういった主張がドンドン厳格になってきていますね。
諸侯や国同士の戦いの様子が教義に照らし合わせて正当か判断する観戦司祭なんてのを送り込む有様です。
そして次に我らの純粋派ですが…
正直なところ、我々には型にはまった主張はありません」

「主張がない?」

「ええ。
有るとすれば、そうですね…
聖戦に勝つためなら何でも有りというところです。
教会は神に従い聖戦を戦い抜くことがその教えの根幹。
そこで我々は、勝利のためならば何でも利用しどんな手段でも肯定するといった立場です。
例え亜人だろうが異教徒であろうが聖戦の際にはどんな手法を使おうと動員し、最終的な勝利を収めれば良いと考えます。
つまらない形式にこだわる暇があれば、己を磨く事に力を使いなさいという事です」

「それは、なんとも…」

好戦的な宗教だなぁと思いつつ、その言葉を拓也はグッと飲み込んだ。

「まぁ そういう事で、あまり突然変化した云々は言わないほうがいいでしょう。
時に、体の方はもうよろしいですか?」

そう聞かれて、拓也は自分の体を確認する。
寝ざめは最悪だったが、少し外見が変化している以外はおかしな所はない。

「あー そうですね。大丈夫だと思います」

「では、軽い食事の後、教会の前に来てください。
私は他の皆さんに、あなたがお目覚めになった事を伝えてまいります」

サムソン神父はそう言うと、スタスタと出口から出て行った。
引き留めることもなくそれを見送った拓也だが、一つの言葉が気になった。

「…教会の前で何があるんだ?」

拓也はベッドの横に立っているアコニー聞く。
質問された彼女はにこやかに笑うと、悪戯坊主のような笑顔で拓也に言った。

「魔法の練習ですよ」








教会で出された遅めの朝食を食べた拓也は、教会の前に来ていた。
既にそこには漆沢教授や荻沼さんをはじめ、エドワルド、セルゲイ、イワンのロシア人達も待機していた。

「これで全員集まったようですね。
では、さっそく始めましょうか。
と言っても、私は精霊魔法は使えないので亜人の方にお願いします」

サムソン神父はそう言うと、教会の前に置かれた椅子に腰掛け、代わりにヘルガが皆の前に出てくる。

「えー 皆さんがハーフドワーフっぽくなっているので、恐らくドワーフ系の精霊魔法が使えると思います。
そこで、この中で唯一のドワーフ族である私がメインとなってご教授させていただきます」

人に物を教えるのに慣れていないのか、カチコチになってヘルガが挨拶する。

「まず、はじめにドワーフの魔法を説明させて頂きますが、私たちの魔法は主に身体と物の強化です。
体の強化は、なんというか力持ちになります。こんな感じに…」

そう言ってヘルガが両手を見つめて集中すると、手に紫の炎のようなものが宿る。
そしてその手で足もとに置いてあった30cm四方くらいの岩を掴むと、軽々と頭上に持ち上げて見せた。

「魔法を使えば、私でも重い岩を軽々と持てます」

ヘルガはそう言って岩を頭上で上げ下げする。
その様子を見て、最初に質問を飛ばしたのは不思議そうに見ていた荻沼さんだった。

「魔法使いといったら詠唱とか要りそうだけど、それはいいの?」

「人間の魔術師は魔術を使う前にブツブツ言ってますけど、私らはそんなの無いですよ」

「手に魔法とやらが宿ってるようだが、足は大丈夫なのかね?その重量を支えるのはつらいと思うんだが」

ちっこい体で岩を持ち上げているアンバランスなヘルガを見て、教授も質問する。

「あー それも大丈夫です。理由は分からないですけど一応全身が強化されて、その中でも魔力が宿ったところが特に強化される感じですか?
子供のころからみんな普通に使ってたので、説明しようとすると難しいです。
まぁ モノは試し。一度皆さんやってみましょう」

そう言って、ヘルガが「はい皆さんどうぞ」とニッコリと笑う。
が… それに対する皆の答えは一つだった。

「「どうやって?」」

「え?」

ヘルガが固まる。

「だから、どうやって魔法を使うの?」

「いや、だから、ふんぬーって念じたら普通に魔力がこもりますよね?」

その「ふんぬー」がどうやってやればいいか分からない。

「とりあえず、腕に力を込めればいいのか?」

そう言って、エドワルドが腕の筋肉に力を入れるが… 当然何も起こらなかった。
それに続いて他の皆も思い思いにやってみるが誰も成功しない。

「…何かコツとか無いの?」

拓也が半ば諦めた声で聞く

「えぇ~ それは自分の手を動かすのに、どうやって動かすの?って聞いてるのと同じですよぅ
コツって言われても、無意識にできるから説明が難しいです」

ヘルガもこればかりはどう説明したらいいのか分からず、お手上げといった状態であった。
誰しもこりゃ駄目だなと思いだした頃、横から見ていた一人の猫がスッと動き出す。

「ふっふっふ… どきなさいヘルガさん。ここはアタシの出番だよ」

そう言って、皆の前に出てきたのは不敵な笑みを浮かべるアコニーであった。

「魔法に関しては、子供の頃、魔力の集中が中々上達しないアタシに、ジイちゃんが教えてくれたコツってのがあります」

「本当か!?」

皆の注目が集まり、アコニーは大きく胸を張る。

「ふっふん。仕方ないですね。じゃぁ特別にアコニー先生が教えてあげますよ。
…では皆さん、お腹に意識を集中してください」

「意識を集中?」

また出てきた抽象的な表現にエドワルドは眉を顰める。

「そうです。具体的にはトイレで用を足す感じです」

「大きいほうかね?」

「そっちです!」

……なんというか、先ほどよりは表現が分かりやすいが、例えが汚い。
教授も普通に対応しているが、もっと他に例えがなかったのであろうかと拓也は思う。

「んで、皆さん。お尻に力を入れたら、力を入れたまま意識だけツゥーっと腕まで移動させて」

また訳の分らない事を言い始めたが、これ以上疑っても仕方ないと拓也は諦め
肛門から腕へと意識が移動するようにイメージする。

「…出来た」

イメージの結果、拓也たちの腕にはヘルガと同じ紫色の炎が宿っている。

「おー 皆さん、その調子です。
試しにこれを持ってください」

そう言われて拓也たちは、ヘルガが渡してきた岩を順番に回すが、全員が岩をもった瞬間に驚きの表情を浮かべた。

「これは… 凄い」

見た目で100kg以上ありそうな岩だが、まるで軽石のように軽い。

「これが、ドワーフの魔法である身体強化です。凄いでしょう」

鼻高々に自慢するヘルガ。
先ほどまで緊張して硬くなっていたのが、いまでは「ふふん」とドヤ顔を決めている。

「確かに凄いが、これは種族が違えば使える魔法も違うのかね?」

「そうですね。例えばそこのアコニーみたいな猫人族は、加速の魔法が使えます」

「加速?」

「そうです、主に脚力が強化されて風より早く動くとか」

「あぁ それなら見たことあるな」

ヘルガの説明にエドワルドはポンと手を打つ。

「前に国後で基礎体力の特訓中に、妙な技を使ってたな。
走り込みの特訓中にコイツだけ妙に涼しい顔してると思ったら、妙な技でインチキしてやがった。
鉄拳ではり倒そうと思ったらトンデモナイ速さで逃げるんで、
思わずゴム弾を撃ち込んで悶絶させた後、走り込み100km追加の制裁を加えた覚えがある」

エドワルドの回想に皆の視線がアコニーに集まるが、当の本人は「へへっ」と笑ってごまかしている。

「アコニー… あんたは…
まぁ それはそれとして、今言ったように種族によって使える魔法も異なりますが
我々ドワーフ族は肉体強化の他に物体強化の魔法があります」

ヘルガはそう説明すると、足もとに落ちていた小さな木の枝を手に取り、ぐっと魔力を込める。

「では皆さん。この枝を折ってみてください」

ヘルガは、先ほど魔力を込めた太さ5mmほどの木の枝を教授に渡す。
こんなもの簡単に折れる。
普通ならそう思える木の枝も、ヘルガが魔力を込めたことにより、まるで鉄の棒のようであった。
教授から順番に枝を渡すが、ちょっとやそっとの力ではビクともしない。
一番力のあったイワンが本気で曲げ、やっと折ることが出来るという有様であった。

「皆さんに体験していただいたように、こんなに細い木の枝も魔力を込めることで、大の大人が本気にならないと折れないくらい強いものになります。
以上がドワーフ族が使う魔法ですが、それとは別に精霊の加護ってのもあります」

「精霊の加護?」

「はい、意識して使わなくても無意識に働いている魔法ですね。
ドワーフ族の場合は、人族が入り込めないような空気の悪い所や高温多湿の場所でも活動できる耐性があります。
魔力が切れると人族と同じようにヘバっちゃうんですが、それでもこの加護と魔法のお陰でドワーフ族は他の部族には真似できないほど深く鉱山を掘り、その資源と強化の魔法で優れた道具の数々を作ることができました。
そういった意味で、ドワーフの魔法はとっても実用性の高い魔法だと言われてます」

「ほう、それは凄いな。
それだけの力が有れば、世界の覇権も取れそうな気がするが…
それでも人族の魔法には勝てないと?」

「悔しながら教授の言うとおりです。
でも、人族の一番の強みは魔術ではなくその人数の多さですね。
個別の魔法では私たちの方が強力でしたが、魔術師が組織だって侵攻してきたら、私たちは逃げるしかありません。
それに一般の兵でも人間は組織で動くんで、魔法を使う私たちでも対抗できませんでした。
あと、人族の使うのは魔法ではなく魔術と言われて区別されているんですが
そこは神父様に説明してもらうのが良いと思います」

ヘルガがそう言ってサムソン神父の方を見ると、やっと自分の出番かと言いたげに腰を上げる。

「さて、色々と精霊魔法について説明を聞いたと思いますが、これからは人族の使う魔術の話です。
先ほどの話でもあったように、人族は精霊魔法は使えません。
ですが、教会の管理する契約の儀式で魔術を使う事が可能となります。
これは亜人達が先天的に体得している魔法と違い、きちんとした理論の元構築されている技術の為、亜人の魔法と区別して"魔術"と呼ばれます。
亜人達は種族によって使える魔法の属性は異なりますが、魔術では習得さえすればあらゆる属性の魔術が行使可能です。
勿論、人によって得手不得手が有る為、習得できる属性に偏りもありますが、それでも全属性を使えるという事は
亜人との衝突があった場合、的確に相手の不利な属性を駆使することで優位に立てます。
ここら辺は、神様の言葉にもある"効率的な軍団を組織せよ"の言葉を忠実に守る人族が、負けるはずが無いのは当たり前ですね。
本当ならここで魔術の素晴らしさを見せてあげたいのですが、生憎この村には魔術師は常駐しておりません。
詳しい話を聞きたければ、各国に設置されている魔術学校に行ってみるのが良いでしょう。
正統派が実権を握るネウレコス教皇領は無理ですが、純粋派が強いゴートルムとお隣のセウレコスでは亜人でも行けるはずです」

「神父様は魔術は使えないんですか?」

拓也はサムソン神父に聞く。
ここまで魔術にズッポリはまった宗教なら、その神父も使えても良いはずでは?と拓也は思った。

「私には残念ながら才能が有りませんでしたので、魔術師を志すのは諦めました」

ハハハ…とサムスン神父は乾いた笑いをする。

「でも、魔術を使えなくても神の僕として聖戦に備えることは出来ます。
筋肉を鍛えるのに魔術師としての才能は要りませんからね。
民に神の言葉を正しく伝え、鍛え抜かれた腕力で悪魔を粉砕し、才能のあるものには推薦状を書いて魔術学校に送る。
むしろ、魔術師にならず神父になった方が神の役に立てるのではないかと最近は考えてますよ」

そう言って神父は腕を巻くり、鍛え抜かれた上腕二頭筋を皆に誇らしげに見せる。
満面の笑みの神父とは対照的に、マッスルなハゲのポージングに周囲は少々引いていたが…
その中でも一番早くポージングの呪縛が解けた荻沼さんが、神父に質問する。

「あっ、でも魔術を習うのには推薦状が必要なんですか?」

荻沼さんの質問に神父はポージングを解いて説明した。

「えぇ、教会の管理下にある村から、"コレは!"と光る人材が出た場合、教会の推薦状により魔法学校への入学が許されます。
これは身分の貴賤に関係なく、しかも原則的に種族の違いも関係ないため、皆さんも改宗すれば精霊魔法と魔術の両方を使えるかもしれませんよ?
どうです?信仰やってみませんか?」

神父が明るく勧誘する。
だがしかし、そこは色々な宗教・カルトが犇めく現代日本で育った拓也達にとっては、明らかに怪しげな誘いである事は明白だった。
拓也自身、北海道転移前に会社の先輩から人生相談と銘打った勧誘活動に巻き込まれた事は何度かある。
今回も、それと実によく似た"匂い"を感じた。
拓也は神父を刺激しないようにヤンワリと断ろうとするが、それより早くヘルガが神父との間に割って入る。

「社長、駄目ですよ。
教会に入ると十分の一税を取られる上、無償で奉仕活動に駆り出されます。
人族以外の種族が、教会の庇護下に入らないのもここが理由です。
最初から精霊魔法が使えるのに、入れるかどうかわからない魔法学校の為に税を納めたり、労働するなんてもったいないですよ」

そう言ってヘルガはキッと神父を睨むが、神父も慣れたものでひょうひょうとしている。

「ははは。別に今すぐに決めろと言ってる訳ではないので良いですよ。
しかし覚えておいてください。我々純粋派は、正統派と違って亜人だからと言って門を閉ざしたりしません。
来るべき聖戦の為なら、いかなる種族とも手を結びますよ。

…と、私からの話は以上となります。
後は、皆さんで魔法の練習をするなり自由になさったら良いでしょう。
でも、気を付けてくださいね。
霧が晴れるまでまだ数日かかりますので、迷子になったり、勢い余って村の物を壊さないようにしてくださいね」

そう言い残して神父は教会に戻っていった。
あとに残されたのは、調査隊の面々のみ。

「…えーと、そうですね。
神父もここで練習してよいと言ってましたし、後は先ほど教えた事をもう一度やってみましょうか」

その場に残されたヘルガは、仕切り直して皆の練習を再開する。
魔力を溜め、集中し、自分の体を強化したり、物の強化を実践する。
それは彼らが自然と行えるようになるまで、何度も何度も続くのであった。










一方、拓也達が魔力の練習に明け暮れる頃。
拓也達の滞在するメリダ村の数キロ先に、霧に溶け込むように何本もの黒煙が上がっていた。
燃える家々、路上に転々と転がる斬り殺された死体。
その集落は今まさに略奪を受けていた。
霧の中に悲鳴が響き、何が起きているのか分からない村人の家に、村の中心から各家々に伸びた道を伝って武装した一団が襲い掛かっている。
村人は武器を取るが、応戦しようにも霧の為に敵の位置が分からず、逆に襲う側は道沿いに一軒一軒襲撃し抵抗する村人を各個になぶり殺しにしていく。
街道沿いに全速力で逃げる村人が居たようだが、霧の中に街道を走る蹄の音が聞こえると濃霧の中に悲鳴が響き渡って、それっきり街道周辺は静かになる。
そんな村の様子を一人の男は聞いていた。

男は狩人だった。
霧の為に普通に弓を使った狩りは出来ないが、仕掛けた罠に獲物がかかっていないか確認する為に家の近くの森まで来ていた。
例え霧が有ろうとも勝手知ったる自分の狩場、地形を頼りに森の中を歩き回るのは彼にとって朝飯前だった。
そんな彼が罠の確認を終え、今日は一匹もかからなかったと肩を落として村に戻ろうと森の村との境界線に差し掛かった時
霧の向こうから聞こえる惨劇を聞いた。
男は動けなかった。
ガチガチと歯の根が音を立て、小刻みな震えが止まらない。
村の方向から聞こえる老若男女の断末魔ともいえる悲鳴。
略奪を楽しむ高らかな笑い。
金属がぶつかる戦いの音。
暫くして、戦いの音が無くなり、代わりに女の悲鳴だけが辺りに木霊する様になった段階で、男はやっと我に返った。

村が襲われている。
だが、既に勝敗は決したのであろう…
今は凌辱される女の泣き叫ぶ声しか聞こえない。
しかも、その泣き声の中に、男の妹の声が聞こえた気がした。

「たっ… 助けを呼ばねぇと…」

男は小さな声でそう呟くと、再び森の中に向かって走る。
森を通れば、近くの村まで最短距離で走っていける。

「待っててくれよ。必ず助けてやるでよ」

凌辱を受けていても、まだ命はある。
男は、霧の向こうで聞こえた自分の妹の無事を祈り、木々の隙間を縫うように霧の中へと消えていくのだった。


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