——あぁ、これですべてが終わる。
貫く痛み。流れ出る血。遠のく意識。
およそ最悪の状況だが、不思議な充足感に満たされている。
平穏な人生ではなかった。
幸福な結末とも言い難い。
脳裏に浮かぶ苦い記憶の数々が、血と涙に染まっていても。
それでも俺は、俺自身の選択の結果、この結末に辿り着いた。
そのことに後悔はない。
記憶の断片が目に浮かぶ。
平穏に生きていた学生時代。
人並みの幸福に浸かっていた若き日々。
失われた日々と大切だった誰か。
機械のように淡々と動いた今日まで。
そして辿り着いたこの結末。
やけに感傷的になっている。
走馬燈の一種だろうか。
情けない。
このまま命を奪われるというのも腑に落ちない。
俺はあの時から、いつだって奪う側の人間だった。
だから最後まで、俺は俺らしく。
失われていく感覚、にも関わらず感じる右手の重み。
それをもたらすオートマチック。
その銃口を上げ、口にくわえる。
弾倉に残ったままの八つの弾丸。
そのうち一つを送り出せば、すべてが終わる。
この引き金を引いて、俺の手で幕を引く。
後悔はしない。無念もない。恨みなど残してやるものか。
ただ一つ。
もし大切なものを守れていたら、俺は機械ではなく、人間のままでいられたのだろうか——?
そんな疑問が、浮かんでいた。
だからだろうか。
そんな疑問を持ったから、クソったれな神の気紛れに遭ったというのか。
目の前の見知らぬ風景と、若返ったこの身体は。
「…なんなんだ…なんなんだよクソが………ああああああああああああああああああ」
やり直せというのか。
俺のこれまでを否定しろというのか。
言いようのない怒りを覚えながら、俺はこの地、古代三国志の舞台へと降り立った。
<はじめに>
恋姫†無双の二次創作です。
完全別人な魔改造一刀君が主人公ですので、お嫌いな方はブラウザバックでお願いします。
また、かなりダークな方向の内容となりますので、読まれる方はそのあたりも覚悟の上で。