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No.29587の一覧
[0] 何でも屋「東西南北」一話[ノラネコ](2011/09/04 02:24)
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[29587] 何でも屋「東西南北」一話
Name: ノラネコ◆ef36a1d8 ID:e6bacff8
Date: 2011/09/04 02:24
何でも屋「東西南北」一話


「お~い」
「起きろって」
「客だぞ~!!」
「客!?」
僕は客という言葉に飛び起きた。
「やっと起きたか」
「ここが繁盛しない理由はきっとお前のせいじゃないか…」
とぶつぶつ言ってるこの男の名前は<西 隼人>残念ながらここの唯一の仕事仲間で相棒だ。
というよりもこいつとは腐れ縁のようなものだが…
そして、僕の名前は<南 勇太> 一応ここの経営者だ。
さて、自己紹介はここまで。
そんなことより、まずは客だ
めったに来ない客を逃してはしばらくおかずがない食生活を送ることになってしまう。
僕は服装をただすと応接室に出てきた。
さて、まず客の第一印象は…
自分に自信のないどこにでもいるサラリーマン風の男性だ。
これなら危険な仕事ではないだろう。
「ご依頼でしょうか」
僕は営業用の笑みを浮かべて聞いた
「あ、はい…」
どうやら性格は見た目通りのようだ。
「あの、実は手に入れてほしいものがありまして…」
僕は一瞬どきっとした。
以前にそんな依頼で危ない橋を何回かわたっているからだ。
おそらく僕の笑顔がひきつったのだろう
「あ、えっと無理でしょうか…?」
と言われてしまった。
「いえいえ大丈夫ですよ」
ここでおかず代を逃がすわけにはいかない
大体、危険な仕事なんていままでたくさんあったんだし…
「何を手に入れればいいのでしょうか??」
僕は笑顔がひきつらないように細心の注意を払いながら聞いた。
「鳥を探してほしいんです…」
「鳥??」
あまりに予想外な内容に聞き返してしまった。
「はい…」
「えっと特徴とかありますかね??」
「足に手紙がついてるメジロです」
「えっと…どの辺にいるかとかは…??」
「国内にはいると思うのですが…」
それは無理だろ!!
と心の中で叫んだ。
一体、国内にどれだけのメジロがいると思ってるのだろうか…
「ちょっと、それでは情報が少なすぎて難しいかと…」
あぁ…さよなら、おかず代よ…
「そうですか…失礼しました…」
そう言うと、男性は帰って行った。
僕がおかず代を逃したことにへこんでいると
「珍しいな、お前が依頼を断るなんて」
と西がからかってきた。
「お前、足に手紙がついてるメジロを国内から探せってのは無理だろ!!」
「まぁ…そうだな」
「今日も具のないみそ汁と白米かぁ~…」
そう僕が呟くと
「まったく、頑張ってくれよ」
と西が言ってきた。
「居候まで許して雇ってやってるのにずいぶん上からだな」
とからかうと
「まぁ…俺様だからな」
と言われた。
全く、こいつはめちゃくちゃだ。
おかず代(客)を逃して時間がありすぎるので少し説明しよう。
ここは、何でも屋。
名前の通りたいていの仕事は引き受ける。
んであの生意気な居候と俺の関係は学生時代からの友人。
あいつは高校時代に野球をやっていてかなりうまかったのだがその分、勉強は全くできなかった。
あいつはうまかったのだが、他の野球部員が平凡だったために甲子園などに出れることもなく、勉強ができないので就職もうまくいかなかったあいつを友人だった俺が何でも屋を作った時に拾った。
勉強は全くできないが身体能力がすごくいいので、危ない仕事のときは頼りになる。
僕は普通に働くのでは面白みがないと思い、そのまま勢いで何でも屋を開いてしまった。
何でも屋の仕事は結構、楽しい。
危険なこともあるけど普通に生きるよりも楽しい人生をおくれる。
<東>と<北>という名字の人は学歴を問わないのでぜひ入社してくれ。
それでやっと、東西南北が揃うから。
さて、説明はこの辺で終わり。
僕は白米だけの朝ごはんを食べながらテレビをつけた
すると、(メジロの足から不気味な手紙)というニュースがやっていた。
手紙には送り主は書いておらず、あて先は<カメレオン>と書いてあったらしい
内容は暗号化されていてまだわかっていないとニュースでやっていたが僕は全てが分かった。
この仕事をやってると結構、裏の世界と関わってしまう。
おそらく、さっきの冴えないサラリーマンはカメレオンだ。
カメレオンとは裏世界の住人で変装の天才である。
性別や年齢は誰にもわからず、依頼をすれば人になりすましていろんなことをするらしい。
おそらくあの手紙は依頼書だろう。
まぁ、カメレオンのことだから警察になりすまして盗むだろう。
裏の住人とはよく関わるので何人か知ってる人たちもいる。
まぁ…それはこれからの話の中でじきにわかるだろう。
僕は眠いからもう一眠りすることにした。
客が来れば西が起こしてくれるだろう…


「ぉーぃ」
「おーい」
「おい!!」
「なんだよ…」
僕は西に起こされた。
「珍しく、今日は客がよく来るな」
と西が言った。
一日に二人とは今日は繁盛だな…
なんて考えながら応接室に出ていくと…
異様に目を光らせた女性がいた。
あぁ…危険な仕事か…
「ご依頼ですか?」
いつも通りに聞いてみる
「はい、ここは殺し屋への仲介をやってくれるんですよね?」
やっぱりか…
「はい、それなりに高額ですが…」
「お金はあります。」
「殺したい相手と殺し方に希望があれば伺います」
「高橋智也の浮気相手の中村涼香をできるだけ早く殺していただきたい」
なるほど、夫の浮気相手を殺したいのか…
「中村涼香の住所はわかりますか?」
「はい、さいたま市のニューシティというマンションの904号室です」
「わかりました、お代は…300万ってとこですね」
女性は封筒を置くと「お願いします」と言って帰って行った。
僕はため息をついた…
「西、仕事行くぞ!」
僕がそう言うと西は奥から出てきた。
そして、封筒を見て
「殺しの依頼かぁ…あそこ空気が重いんだよね…」
とぶつぶつと文句を言った。
僕たちは事務所を出た。
しばらく歩いて僕たちは「スクランブル」というバーに入った。
バーに入り、店員の一人にパスポートを見せると<関係者以外立ち入り禁止>と書かれた扉の中にある一室に通された。
「よぉ…お前らもよくこんなことやるなあ」
この親しげに話しかけてきた人は<藤堂 楓太>こんな仕事だから本名なのか怪しいものだが…
「また仕事か?」
「僕たちが私事で殺しを頼むと思うか?」
「ありえなくはないだろ」
「まぁな…」
「んで、どんな殺し屋に依頼をしたいんだ?」
「できるだけ早く動いてくれるところはどこだ??」
「それ以外はどうなってもいいんだな」
「あぁ」
「ならドブネズミだろ」
ドブネズミとは殺しと強盗をやる犯罪集団だ。
「紹介料はいくらだ?」
「50万」
「ほらよ」
僕は封筒から50万を出した。
「じゃあ、教えてやるよ」
そういうと藤堂はパソコンをいじって言った。
「ドブネズミは今、ここにいる」
そういうといま印刷した紙を渡してきた。
それを受け取ると僕たちはバーから出た。
渡された紙を見てみると、場所は横浜だった。
新横浜駅の近くにあるビルの三階と書かれていた。
少し距離があるので、電車に乗った。
ドブネズミは強盗もやるので依頼料は安い、もしかしたらおかずが増えるだけでなく外食にも行けるかもしれないな…
そんなことを考えて幸せな気分に浸っていたら目的の駅に着いた。
ビルは駅の近くだったので、さほど時間がかからず着いた。
エレベーターに乗って三階に向かった。
エレベーターの扉が開くと、普通の会社の事務所のような外見が視界に入ってきた。
当たり前だが、危ないことをやってるとこだって外見は普通の会社や個人だ。
自動ドアをくぐり、受付のような人に名乗った。
「東西南北です」
「お待ちしていました。こちらへどうぞ」
と言われて奥に通された。
案内された部屋には見るからに悪人という外見の男たちがいた。
「よぉ、てめぇらが依頼人か。案外若いな」
一番古株らしい男が話しかけてきた。
「いいえ、私たちは依頼人と仲介をやっている東西南北です」
ドブネズミに依頼を頼みに来るのは初めてなので僕たちが仲介業をやっていることを知らなかったようだった。
「ほう、仲介業か。まぁ、ごひいきに頼むよ」
「さっそく本題に入りますが、殺していただきたいのは埼玉市のニューシティ904号室に住んでいる中村涼香という女性です」
女性と言ったときに古株の後ろに控えている男の数人が笑みを浮かべた。
「殺し方に注文は?」
「できるだけ早く頼む」
「それ以外には何もないんだな」
そう言った時、ドブネズミの男たちはほぼ全員、顔に笑みを浮かべていた。
「それで、いくらくれるんだ?」
「100万でどうだ?」
「もう少し上げてくれよ。こっちは命かかってんだからよ」
「じゃあ130万でどうだ?」
「乗った」
ドブネズミたちは喜んで了承した。
事務所に戻って西に50万を渡した。
「おいおい、俺のほうが少ねぇじゃねぇか」
「20万は事務所の経営費だ。大体、経営者と居候が同じ給料っておかしくないか?」
「い、いいだろ食費は出してんだし」
そういうと西はさっさと黙ってお金を自分のバックに入れた。
返す気はないらしい。
「食費を出すのは当たり前だ」
こいつは何か勘違いをしている気がする。
「俺は眠いから寝るぞ」
「お前は暇があれば寝てるな」
「追い出すぞ居候」
「へいへい、すいませんでした」
次の日の朝、テレビを見ていると、ひとりの女性がひどい状態で殺されたというニュースがやっていた。
詳細があまり説明されないところを見るとかなりひどい状態だったのだろう。
はじめのうちは罪悪感があったりしたが、今となってはそれほど罪悪感もない。
慣れてしまったのだ。
そういえば誰か偉い人が言った言葉の中にあった気がする。
人間の長所は学習すること短所は慣れることだと。
どちらも同じことだが、確かに正しいかもしれない。
このときはまだ何も知らなかった次の仕事があんなに危険だとは…


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