20x6年、地球はついにフォトンベルトに突入した。
フォトンベルトとは宇宙に広がる光子の帯のことだ。
銀河に乗って周りゆく太陽系は広大な光子の渦に巻き込まれた。
NASAは数ヶ月前に突入を予測。
人類にはなす術もなく、その必要性も感じなかった。
大半の人間は興味を持ち、突入のその日を知らない者は居なくなり、テレビやネットも一時騒然となる。
しかし、この時点で'こんな事'になるなんて考えた奴は居なかったんだ。
いや、一部の政治家と学者は知っていたのだろう。
ただ、どうにもならなかった。
力が及ばなかった。
限界でもあったのだろう。
要するに。
ただ単に。
唐突に。
なるべきようになっただけなのかもしれない。
もしかすると神様は人間を困らせたかったのだろうか。
そうだったら酷い神様だよ、全く。
20x6年、フォトンベルト突入。
同時に全生物の3%が異常をきたした。
知能の低い生物は暴走し、高い生物は欲望に呑まれた。
要するに理性が飛んだ。
体に掛かるリミッターを外した'暴走者'達は人類に牙を剥いた。
6000000000×0.03=180000000
一億八千万人の疲弊なき反乱は人類を疲弊させるには少し多すぎたようで。
今となれば神様は間引きがしたかったとしか考えられない。
まあ、爆発的に増える人口のことを考えたら此処らで刈るのが一番だったのかもとも思う訳で。
結果、人類のきっかり半分が間引かれた。
6000000000×0.5=3000000000
人口:三十億人
暴走者:未だ殲滅に成功せず
暴走した人間は人間に非ず。
生きるためには、
どうしようも無い。
仕方が無い。
尚且つ変えようが無い。
絶対的なルールになるのに時間は掛からなかった。