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No.29066の一覧
[0] 【チラ裏から】伝説のレギオスの伝説 (鋼殻のレギオス×伝説の勇者の伝説)[星数](2012/12/04 21:33)
[1] 伝説のレギオスの伝説2[星数](2011/10/26 17:30)
[2] 伝説のレギオスの伝説3[星数](2011/10/26 17:38)
[3] 伝説のレギオスの伝説4[星数](2011/12/19 23:12)
[4] 伝説のレギオスの伝説5[星数](2012/01/20 12:15)
[5] 伝説のレギオスの伝説6[星数](2012/05/20 07:29)
[6] 伝説のレギオスの伝説7[星数](2012/06/14 09:57)
[7] 伝説のレギオスの伝説8[星数](2012/01/13 17:29)
[8] 伝説のレギオスの伝説9[星数](2011/10/22 17:02)
[9] 伝説のレギオスの伝説10[星数](2012/01/11 22:04)
[10] 伝説のレギオスの伝説11[星数](2013/11/12 20:32)
[11] 伝説のレギオスの伝説12[星数](2012/02/11 21:03)
[12] 伝説のレギオスの伝説13[星数](2013/09/03 22:58)
[13] 伝説のレギオスの伝説14[星数](2011/10/22 17:36)
[14] 伝説のレギオスの伝説15[星数](2013/04/04 20:54)
[15] 伝説のレギオスの伝説16[星数](2013/04/04 23:24)
[16] 伝説のレギオスの伝説17[星数](2011/10/22 17:49)
[17] 伝説のレギオスの伝説18[星数](2012/02/02 22:19)
[18] 伝説のレギオスの伝説19[星数](2011/10/26 21:35)
[19] 伝説のレギオスの伝説20[星数](2012/05/09 22:28)
[20] 伝説のレギオスの伝説21[星数](2012/03/11 23:04)
[21] 伝説のレギオスの伝説22[星数](2012/08/29 19:19)
[22] 伝説のレギオスの伝説23[星数](2012/01/30 23:30)
[23] 伝説のレギオスの伝説24[星数](2012/02/24 18:26)
[24] 伝説のレギオスの伝説25[星数](2012/02/24 18:23)
[25] 伝説のレギオスの伝説26[星数](2012/06/14 18:19)
[26] 伝説のレギオスの伝説27[星数](2012/03/16 10:34)
[27] 伝説のレギオスの伝説28[星数](2012/04/25 22:26)
[28] 伝説のレギオスの伝説29[星数](2012/06/15 21:24)
[29] 伝説のレギオスの伝説30[星数](2012/08/29 21:02)
[30] 伝説のレギオスの伝説31[星数](2013/09/03 21:42)
[31] 伝説のレギオスの伝説32[星数](2012/08/29 21:30)
[32] 伝説のレギオスの伝説33[星数](2013/09/03 21:34)
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[29066] 伝説のレギオスの伝説3
Name: 星数◆57d51dc7 ID:dbf71226 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/10/26 17:38
 こぶしが唸りをあげて、ライナに迫ってくる。あったら痛そうだとライナは思った。
 だがライナは避けようともしなかった。こぶしが頬にめり込み、勢いのまま壁のほうまで殴り飛ばされる。
 壁の近くまで飛ばされて、ライナの身体は痙攣を起こしはじめた。

 今は格闘技の授業中である。ライナとしてはサボりたかったが、レイフォンに無理やりつれてこられた。

 闘技場が授業の熱気に包まれる。肉体がぶつかり合う音や、床にたたきつけられる音。さまざまな音が闘技場に溢れていた。

 「そんなわざとらしく痙攣などする奴がいるか!」

 ナルキ・ゲルニが闘技場の音に負けないように叫ぶように大声を出す。
 赤い髪を短く整え、黒い肌が髪をさらに引きたてる。端正な顔立ちと長くまっすぐ伸びた身体から、かわいさよりもかっこいいというふうに見てとれた。
 ライナはこの授業も寝ていようとしたら、レイフォンとナルキに一緒に組み手をやろうと誘われた。
 ライナも最初のうちは嫌がっていたが、ほかにライナと組もうとする人がおらず、結局三人でやることになったのだ。
 それでこのありさまだが。

「ここにいるじゃん」

 にべもなく言うライナに、ナルキはさらに声量を上げ、声のとげとげしさも増していく。

 「だから、なんで貴様は、そんなにやる気がないんだ!」
 「眠いから」

 即答するライナにナルキは絶句したが、再び起動する。

 「眠いから、じゃない! さあ立て、ライナ。その甘ったれた精神を修正してやる!」 
 「まあまあ、そこまでしなくても」

 そんなナルキをレイフォンがなだめる。

 一見、弱腰に見えるレイフォンに、ライナのほうにむけられていた怒りの矛先がレイフォンにむけられた。

 「まあまあ、だと。じゃあなんだ。ライナがこれでいいと思うのか、レイとん。先生から注意されても直らないから腫れ物のような扱いをされてもいいのか? クラスから孤立してもいいと思うのか?」

 ナルキはレイフォンのことをレイとんという。どういう経緯でそういうあだ名になったのかは、ライナとしては別に知りたくもないが。
 余計なお世話だ、自分はひとりになりたいのだとライナは思っているのだ。
 できれば今のクラスの状況がいちばんいい。どうしてこうも自分をかまおうとする人が次々と現れるのだろう。

 ――自分のことなんかほっておいてほしい。

 そうライナは切に願っているのに。

 「う……」

 レイフォンはなにもいうことが思いあたらなかったのか、うつむいた。頼みの綱のレイフォンもこのありさまでは、ナルキを止めるのは難しい。こうなれば最後の手段。

 「というわけだ、ライナ。さあ立て……って寝るな!!」

 必殺、寝たふり、のふりをした熟睡。
 次の瞬間、ライナの頭に激痛が走る。

 「って、痛たたたたたた。ちょ、ギブ、ギブ!」

 おそらく活剄を使ってのアイアンクローだ。恐ろしく痛い。
 ライナは自分の頭に伸びた腕にたたいて、降参の意を表す。

 「さあ、私はやさしいから、立たせてあげたぞ」

 どこがやさしいんだ! とライナは全力で突っこみたかったが、へたに言うと、ライナの頭が潰れた赤い果実のようになりかねない。

 「じゃあ、はじめようか」

 ナルキはこぶしを構えた。ライナはナルキの頭に角が生えている幻想が見える。
 この時間はライナはひたすらナルキにぼこぼこにされただけで終わった。



 すでに格闘技の授業は終わって、昼休憩になっていた。
 ライナはあのあとぶらりとどこかへ行ったきり、帰ってこない。おそらく、昼食を食べに行ったのだろう。寝ているかもしれないが。

 レイフォンはナルキとその幼馴染のミィフィ・ロッテンとメイシェン・トリンデンの四人で昼食をとっていた。
 明るく行動力のあるミィフィとおとなしく料理の得意なメイシェンとまじめで正義感の強いナルキのトリオは、かなり絶妙なバランスで成り立っているのだとレイフォンは感心していた。
 そしてその三人と友だちであるのはレイフォンはとても楽しいと思った。

 レイフォンがこの三人と友達になれたのも、実はライナが関わっている。
 ライナが入学式のときに殴られ吹っ飛ばされた先にいたのが、メイシェンだったのだ。
 それを偶然レイフォンが助けたことから、三人との交流が始まったのだ。
 武芸を捨てて普通に生きようとしたレイフォンとしては、皮肉でもあったが。

 「へえ、ナッキもよくライナとかかわろうとしたよね」

 ミィフィはパックの牛乳を飲みながら言った。ミィフィをはじめナルキの幼馴染はナルキのことをナッキと呼んでいる。
 ニックネームをつけたのはミィフィだ。ほかにもメイシェンのことはメイっち、ミィフィのことはミィと呼ばれている。
 レイとんというあだ名をつけたのも彼女だ。

 ミィフィの言いたいことはレイフォンにもわかった。
 ライナは授業中は寝てばかりいてやる気がない。しかも破壊都市ローランド出身だ。
 レイフォン自身は、別の意味で狂っているといわれる槍殻都市グレンダン出身だからそこまで気にしないし、それにグレンダンにすんでいた頃はローランドから来た犯罪者を聞いたことがないため実感しにくいが、学生の中にはあからさまに気にしている人もいた。
 実際、入学式当日に事件が起こっている。あのときも、なんでライナを退学させないんだ、という意見があちらこちらで起こっていると、ミィフィが教えてくれた。
 今は生徒会が責任を持って管理しているらしいが、ライナは特に何も言っていなかった。

 「ああ、でもあたしは我慢ならなかったんだ。ああいうやつがいると、クラスの治安が悪くなりかねない。だから一刻も早くあいつを更生したかったんだ」

 ナルキはパンを握りしめながら言う。この潰れたパンは元に戻るのだろうかと、我ながら意味がわからないことをレイフォンは考えていた。

 「ナッキの気持はわかるけど……」

 メイシェンがそう言ったあとにサンドウィッチを小動物のように食べた。

 「だけど、結局あの時間だけじゃ直せなかった。もっとがんばらないと」
 「そういえばさ、なんでライナって、ツェルニにきたのかな」

 ミィフィが今までの会話の流れを変えた。

 「ローランドってツェルニから遠いうえに鎖国してるはずだよね。レイとん知ってる?」

 レイフォンはまさか自分に話が来るとは思っていなかったため、むせて手を口元に当てた。

 「いや、ライナは寮に帰ったら、ベットでずっと寝てるから話をする機会がないし」
 「何! あいつは帰ってからも寝てるのかレイフォン!」

 いきなり大声を出したナルキにレイフォンは肩がびくっとなった。

 まわりを見ると、クラス中から視線を集めていることに気づき、ナルキが謝罪の言葉を口にした。

 「レイとんって、ライナと同じ部屋だったの」

 メイシェンは驚いたように言った。

 「あ……うん。毎日家に帰ったらベットで寝てるよライナは。朝も毎日遅刻ぎりぎりに僕が起こしてるし」
 「まったく、あいつはどれほど寝れば気が済むんだ」

 ナルキはたいへんご立腹なようだった。

 「前起こしたときに一日三十時間寝ないといけないとか、その気になればは百八時間寝られるとか、そんなことを言っていた」
 「あいつときたら……」

 ナルキは頭を抱え、ミィフィは口に手も押さえずに馬鹿笑いしている。メイシェンは顔を青くした。レイフォンはもうまわりを見る気にはなれなかった。

 「ほんとうにライナって、シオン戦記の昼寝王国の野望篇に出てきそうよね」
 「なに、それ?」

 レイフォンは、その怪しげな題名に耳を疑った。特に、昼寝王国の野望篇って、作者は何がやりたいんだろう。

 「何、って知らないの、レイとん。近頃話題になってる映画だよ」

 ミィフィが意外そうな眼でレイフォンを見る。

 ミィフィいわく、王の子として生まれながら、下賤の犬として捨てられた主人公のシオンが、いろいろあって王になっていく物語、だと言う。

 「でもなんで、それが昼寝王国と関係があるの? わけがわからないよ」
 「まあ、いろいろあってね。それにそれいうとネタばれになっちゃうし」

 そう言ったとき、ミィフィは何かを思い出したような顔をした。
 
 「今思い出したんだけどさ、前見た映画で、ローランドが舞台のやつあったよね。たしか……」

 ミィフィが続けようとしたとき、メイシェンが口を挟む。

 「ローランドの朝日に愛をこめて……だったよね」
 「そうそう。題名のセンスがまるでないの。それにストーリーもなんか超展開だったし」

 ナルキがその映画の内容を思い出すようにうなった。

 「たしか、なんでかわからないけど、暴走すると破壊を撒き散らすといわれているアルファ・スティグマを持つ少女と普通の少年とのラブストーリーだったな」
 「そうそう。で、最後はヒロインをかばおうとした少年が殺されて、ヒロインのアルファ・スティグマが暴走して終わり。いやあ、すごかったよね。わたしあの後しばらく夢に見たもん」

 私も、とメイシェンもうなずく。

 「そんなことはともかく、これからは私たちがライナを更生させよう、レイフォン」

 ナルキがレイフォンに手をのばしてくる。レイフォンはなんとなくその手をとった。
 メイシェンの顔がなぜかさらに青くなっていく。
 そんなメイシェンをなだめるため、ナルキは手を放しメイシェンのほうに顔をむけ、ミィフィはレイフォンを理不尽に追い払う。

 追い払われたレイフォンは、ライナのことで疑惑をおぼえていた。
 ライナには授業中ずっとナルキに攻撃されていたはずなのに、顔にひとつのあざも見られなかったのだ。
 疑問に思ってライナの動きを注意深く観察していると、驚くべきことに気づいた。

 ライナは打撃を受けるときに、打点をずらし、当たったと同時に後ろに跳んで、さらに受身までとっていたのだ。
 しかも天剣授受者と呼ばれるグレンダンで、もっとも強い十二人に選ばれていたレイフォンですら、注意深く観察しなければ、そのことに気付かないほどに巧妙に動いた。
 おそらく闘っていたナルキですら、このことに気づいていないのだろう。気づいていたら、怒っているはずだ。

 ある程度強い武芸者ならできるであろう剄息を日常で使っている。剄の量はかなりの量がある。しかしそれも使っているふうにも見えないが。

 だが、それでも違和感があった。

 ライナの日常の動きに武芸を習った形跡がないのだ。まったくといいほど素人の動きをしている。

 そういったことがさらにレイフォンを惑わせる。
 レイフォンが見ていたことは全部間違っていて、たまたま偶然そうなったのかもしれない。しかし、偶然がそう何度も起こることなのか。
 だが、もし仮に、日常のライナの動きこそが演技で、授業中のものが意図的にやったとするのなら。

 「もしかすると、ライナは天剣授受者クラスなのかもしれない」

 レイフォンのつぶやきは、教室の誰の耳にも届かずに、ただ騒がしい教室の中に消えていった。







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