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No.29060の一覧
[0] 長門有希の失踪[レゴ](2011/07/28 20:52)
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[29060] 長門有希の失踪
Name: レゴ◆71c5d950 ID:86a4924e
Date: 2011/07/28 20:52
季節は冬。寒いのが苦手な俺はその夜も毛布に包まりベッドで寝ていた。
深夜、ふと目を覚ますと、うっすらとした意識の中、妙なもんを聞いた。

...たすけて

長門!? しかし長門が部屋にいるわけもないし、電話だってありえない。
俺は気のせいだと思いまた目を閉じた。

翌日、いつものように部室へ行きドアをノックする。
朝比奈さんの「どうぞ」の声を確認し部室へ入ると、いつも窓辺にいるはずの長門がいない。

「あれ?長門が来てないなんて珍しいですね」

朝比奈さん「そうなんです。実は今日、長門さん学校に来ていないらしいんです」

「ええ!?」

俺は昨日の夜、かすかに聞こえた助けを求める声を思い出した。

…たすけて

まさか…あの声は本当に…
いや、聞こえたかもはっきりしない上に長門と決め付けるのはよくない。
長門だって体調を崩すことくらいあるのだろう。そうだ。そうに決まっている。
あとから来た古泉、ハルヒにそのことを伝えその後はいつも通り古泉のオセロに付き合ったり
ハルヒのわがままを聞き流したり、そうして時間が過ぎた。今日の部活終了の合図はパソコンの
シャットダウンの音だった。ハルヒ、朝比奈さんと部室を出て行き、俺も帰ろうとしたそのとき

古泉「すみません。このあとお話したいことがあるんですが」

「なんだ?またハルヒのことかそれならもう聞き飽きたぞ」

古泉「いえ、長門さんのことです」

俺は自分の肩がビクッと動いたのを感じた。

「長門だと!?」 古泉「はい、実は昨晩のことなんですが…」

昨晩!? 俺は全身なら汗が出てくるのを感じた。

古泉「長門さんが突然発生した閉鎖空間のようなものに吸い込ませてしまったんです」

古泉はいつもと違い真剣な口調で言った。 じゃあ…あの声は本当に…

「ど、どういうことだ!?長門は閉鎖空間みたいなもんに吸い込まれてどうなった!? 生きてるのかそうでないのか」

古泉「わかりません。今回現れたものは私達の知る閉鎖空間とは似て非なるもの。つまりカマドウマ空間のような
特殊なもので、機関の方達も存在自体を確認はできても進入は不可能。仮にできたとして今度は脱出が不可能。
長門さんが今どうなっているのかを確認することができないんですよ」

俺は、少しの間固まったように動けなかった。
長門…無事だよな。体中に槍が刺さっても生きてるような奴だ。そう簡単にやられるはずがない。
わかっているのになぜか俺は妙な胸騒ぎがした。

古泉「ところで、ひとつ提案があるのですが」 「提案?なんだそりゃ」

古泉「今から長門さんの家に行って見るんですよ。とても危険ですが何かの手がかりがつかめるかも知れません」

俺はすぐに同意し、「俺ってこんなに早く走れたんだ」と感心するくらいの速さで長門の住むマンションへたどり着いた。
インターホンを押してみても無反応。やはり部屋まで行く必要がありそうだ。
しかしテンキーの存在を忘れていた。ハルヒがやったように誰かが出てくるのを待つのは今の状況では耐えられそうになかったが
幸い、2,3分経った頃男性が1人マンションを出て行ったのでその隙にマンションに入りすぐエレベータに乗り込んだ。

「もし…」 古泉「え?」

「もし俺達もその空間に吸い込まれたとしたらどうなるんだ」

古泉「…長門さんですら戻ってこれないのですから、最悪の場合は戻れなくなってしまうかもわかりません」

俺の背筋がゾクッとしたのがわかった。その怖さを助長するようにエレベータが止まりドアが開いた。
あんなに急いでいたのがうそのように、ゆっくりと長門の家の前に向かった。
ドアノブをまわしてみる。なんとドアは開いた。ゆっくり中をのぞこうとしたそのときだ。

…駄目

そう聞こえたのとほぼ同時に、古泉が俺を突き飛ばしドアを大慌てで閉めていた。

古泉「危ないところでした。もはや部屋全体が例の空間になってしまっているようです」

古泉がついていなかったらと今頃俺はその空間に吸い込まれていただろう。

古泉「これは思った以上に深刻な状況ですね。今日はいったん帰ったほうがいいでしょう。私達2人では今の状況をどうすることもできません」

俺は古泉の意見を聞くしかなかった。マンションの入り口で古泉と別れ、1人で歩いていると背後に気配を感じた。
なぜだかはわからないがいやな予感がして俺は走り出した。あきらかにそいつは俺を追ってきている。
徐々に縮むそいつとの距離を感じ、泣きそうになりながら走った。しかしとうとうそいつに追いつかれてしまった。
俺の腕をがっしりとつかんだそいつは北高の制服に、ロングヘアで明るい笑顔を浮かべていた。俺は絶句した。

朝倉涼子だった。
腕をつかんだまま朝倉は口を開いた。

朝倉「長門さん。探したんでしょ?」 「!?」

朝倉「無駄よ。あの子は情報制御空間に閉じ込めてあるの。それも情報統合思念体によってより強く再構成された私の作ったね」

情報統合思念体に再構成されただと…!? それも前よりも強く…

朝倉「言ったでしょう、操り主が意見を変えるかもしれないって。今回がそれなのよ。涼宮ハルヒの監視は長門さんよりも私が適正と判断したの
長門さんは私の作った空間の中で徐々に力を失って消えていくわ。もう必要のないインターフェースだもの。わかる?キョン君」

わかってたまるか。たしかに以上動作をして時空改変なんてもんをしてしまったこともあるさ。でも今まで長門はあいつなりに頑張っていたはずだ。
それなのにどうして上からの勝手な意思で消えなければならないんだ。

「ふざけるな!!お前は俺を殺そうとして長門に消された。そんなやつがおとなしく監視なんてできるわけがない。
お前は本当にハルヒの監視のためだけに復活したのか!?」

朝倉「うふふ、やっぱりばれちゃうわよね。こんな嘘じゃ」

いつのまにか朝倉はナイフを握っていた。俺は手を振り払おうとしたがとても人間が振り払える力ではない。

朝倉「じゃあ今度こそ、死んで」

俺は死を覚悟し目を閉じた。しかし一向に痛みはこなかった。恐る恐る目を開けた。
俺の手を握ったまま驚いた顔をする朝倉、そして俺と朝倉の間で俺の盾になるように立っている奴がいた。

長門だった。だが制服はボロボロで全身傷だらけだった。そして背中にはナイフが深く突き刺さっていた。

朝倉「あの空間から脱出したようね。でもさすがのあなたもほとんど力を使ってしまったようね」

長門「そうでもない」

そういって長門は朝倉の手を攻撃し、つかんでいた俺の腕を離させた。

長門「逃げて。あなたは死んではいけない。あなたのためにも、涼宮ハルヒのためにも」

しかし俺は逃げなかった。朝倉を睨み付けながら俺は長門に言った。

「俺は逃げない。大事な仲間のピンチに逃げ出すようなことをしたら、それは最低なことだ」

長門「…そう」

そう言うと長門は朝倉に向かって呪文を唱えだした。

朝倉「無理よ。今の状態で私に勝とうだなんて」

朝倉も呪文を唱えだした。まるであのときのようだった。違うのは完全に長門が押されていることだけだ。
ついに長門は力尽きたように地面にドサッと倒れてしまった。
俺は長門の肩を揺らし必死に叫んだ。

「おい!!長門!!しっかりしろ!!!」

あの長門が目を閉じたまま動かない。まさか…長門が…
俺は頬に冷たいものを感じた。長門!! 長門!! 何度も何度も俺は叫んだ。しかし長門は動かない。

朝倉「さすがの長門さんももうここまでのようね」

ああ、俺はなんて無力なんだ。いつもいつも長門に頼ってばかりいた。
最終的には長門を… 情けない。俺は最低な奴だ。

朝倉「キョン君。次はあなたの番よ」

朝倉は不気味に微笑みながら迫ってくる。もう駄目か。駄目なのか。
変わり果てた長門を胸に包み込み俺は呟いた。

「ごめんな。長門」

朝倉はナイフを振り上げた。
しかし何かに気付き手を止めた。

朝倉「な…長門さん」

ハッとして俺は長門を見た。動いている。長門は生きている!!

長門「あなたはとても危険。このまま放置しておけるレベルではない」

俺が手をよけるとゆっくりと立ち上がった。

朝倉「あれだけ力を使ったのにまだ立てるっていうの!?」

長門「私とあなたは現在はあなたのほうが優秀、しかし私はあなたに勝つ方法を知っている」

朝倉「!? 長門さん…まさか!!!」朝倉は驚きを隠せない様子だった。いったい長門は何をする気だ。

そんなことを考えているひまもないくらいにすばやく長門は朝倉に飛びついた。

長門「情報結合の解除を申請する」

朝倉「長門さん!!!あなたも消えてしまうのよ!!それでもいいの!?」

長門が消える!? いったいどういうことだ。

長門「残った力を通常通りの使い方をしても私に勝ち目はない。しかしすべての力を使い切れば話は別
私自身の存在も消える代わりに勝利を得ることができる」

そういっているうちにも朝倉の体はどんどん消えていく。

朝倉「結局こうなるのかぁ、でも今回は半分私の勝ちよ。だって長門さんも消えてしまうんだもの」

そう言い残して朝倉は完全に消えていった。…そうだ。長門は!?
消えていった朝倉の後ろに倒れていた。
俺は長門を抱き起こした。今まで見たことのない弱々しい目をこちらに向けた。

「大丈夫か!? 長門!!」

長門「私自身もまもなく消える。心配しないで。私は外国へ行ったことにすればいい」

「どうしてこんなことを… なんで長門が消えなくちゃいけないんだ」

長門の顔にポタポタと落ちるものがあった。

長門「悲しむ必要はない。朝倉涼子は新たな監視役として再構成されたにもかかわらずあなたを殺そうとした。
それは情報統合思念体の意思に反すること。再び監視役として私が配置されることも少なからずありうる」

ハッとして俺は長門を見た。まっすぐに俺を見ている。
悲しむ必要はない…か。 俺は涙をぬぐい再び長門を見た。

「その言葉、信じていいんだな?」

小さくうなずくのがわかった。
その直後、長門が足のほうからだんだんと消え始めた。

「長門!! 俺は、SOS団は、おまえが帰ってくるのをずっと待ってるぞ!!」

下半身がなくなった長門は何を思ったのか俺に近づいてきた。

長門「あなたは私のことを大切に思ってくれた。これはそのお礼」

「えっ!? 長t…」長門は俺の唇にそっとキスをした。俺は言葉を失った。

長門「有機生命体は最も信頼する者にこうすると聞いた」

いつもの無表情の中にすこしだけ満足そうな表情を浮かべていたかと思うとあっという間に消えてしまった。
俺はしばらくその場に立ち尽くした。長門は自分のした行為の意味をわかっているのだろうか?
不思議と長門とに度々会えない気がしなかった。

「悲しむ必要なない。そうだよな?長門」

広い夜空を見上げ、俺はそう呟いた。


翌日、ハルヒが騒ぎ出したのはいうまでもない。

ハルヒ「有希が突然外国に行くなんて変よ。絶対何かあるわ」

「考えすぎだ。朝倉のときもそんなこと言っててなんにもなかったじゃないか」

ハルヒ「いーや、絶対何かある。あのしっかり者の有希が直前まで連絡もなしに外国へ言っちゃうなんて…
そうねぇ、たとえば有希は実は宇宙人で仲間同士の争いでやられちゃったとか」

「!?」さすがだハルヒ。大正解だ。

朝比奈さんと古泉には事情を話したらすぐに納得してくれた。

古泉「長門さんはきっと戻ってくるでしょう。そう信じて皆さんでゆっくり待ちましょう」

朝比奈さん「そうですね。戻ってきたときはみんなでお祝いをしましょう」

バンッ 

ハルヒ「みんな!!!今日は有希の住んでたマンションへ行くわよ!!!」

やれやれ、こうして長門がいない日常が始まったわけだが長門を信じて待ち続けた。ちっともさみしくなかった。


そうして1年の時がたった。
その日の夜、俺は寒気を感じ目を覚ました。寝返りをうった際に毛布から体がはみ出していたようだ。
かけなおそうと体を起こしたときふと窓を見ると雪が降っていた。
そういえばあいつの有希って名前は雪からとったんだっけ? 俺はフフッと小さく笑った。
そのとき、1年前のあの時のようにどこからか声が聞こえた。

…戻ってきた

俺は振り返り窓の外を再び見た。あぁ… だから雪が。

数時間後俺はいつものハイキングコースをすいすいと進む。

ハルヒがまた長門が戻ってきたことに関してさわぎだす。なんだかんだいってうれしそうだ。

放課後、長門が帰ってきたことをみんなでお祝いといってファミレスへ行った。

無表情だがちょっとだけうれしそうにしているような気がした。

俺のおごりかと思いきやなんとハルヒが払った。珍しいこともあるもんだ。

その帰り道、俺は長門を呼び止めた。

「去年の別れ際のこと覚えているか」長門は頷いた。

「いいか長門、ああいうものは信頼しているといっても人としてとかじゃなくてだなぁ」

うまく説明できないでいると

長門「私はあなたを異性としてあなたを信頼している」

あの時と同じように俺は言葉を失いその場に立ち尽くした。
長門、それって告白か? そういう大事なことを無表情でドストレートに言われても…
顔がゆでだこみたいに真っ赤になる前に

「そうか、ありがとよ」

といって逃げるように家に帰った。

妹「キョン君顔赤ーい」家での妹の第一声だった。
シャミセンを犠牲に部屋へ逃げ込み落ち着いて考えた。
おれは長門の告白にはっきりとした返答を出さずに終わらせたことになる。
そうなると明日長門に言ってやらねばならない。

俺も同じ気持ちであることと、そういうことを人は「好き」というのだと


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