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No.29045の一覧
[0] 【チラ裏から移動】そして科学者は笑う【未来人転生】[ミケ](2011/07/27 20:46)
[1] 2話 再会[ミケ](2011/07/27 20:15)
[2] 3話 レスキュー守[ミケ](2011/07/27 20:16)
[3] 4話 ロボロボ[ミケ](2011/07/27 20:17)
[4] 5話 惑星開拓[ミケ](2011/07/27 20:18)
[5] 5話 IF こんな宇宙生命体との出会いもいいよね![ミケ](2011/07/27 20:39)
[6] 6話 ロビン号>超えられない壁>ステーキ>人質[ミケ](2011/07/27 20:20)
[7] 7話 勇気を出して踏み出した一歩X4=命を賭けた大爆走[ミケ](2011/07/27 20:23)
[8] 8話 準備[ミケ](2011/07/27 20:24)
[9] 9話 エデンと地球、それぞれの戦い[ミケ](2011/07/27 20:25)
[10] 10話 決着[ミケ](2011/07/27 20:26)
[11] 11話  誓いよりも覚悟よりも事実よりも財宝が僕らを勇気づける[ミケ](2011/07/27 20:29)
[12] 12話 エデンは今日も頑張って生き延びてます。[ミケ](2011/07/27 20:34)
[13] 13話 ベアラズベリーは見ていた[ミケ](2011/07/27 20:36)
[14] 14話 そして歴史書にはTOYAMAは日系人じゃったと書かれる[ミケ](2011/07/27 20:41)
[15] 15話 宴のあと[ミケ](2011/07/27 20:42)
[16] 16話 【喜ばそうと思ったら】楽しいエデンツアー【泣かれたお】[ミケ](2011/07/27 20:44)
[17] 17話 真老にとっての捨て石=花形のお仕事[ミケ](2011/07/27 20:46)
[18] 18話 賢狼[ミケ](2011/07/27 20:49)
[19] 19話 【生き延びるって】厳しいクルー試験【難しい】[ミケ](2011/07/28 12:56)
[20] 20話 わんわんお![ミケ](2011/07/28 22:28)
[21] 21話 思い出[ミケ](2011/07/29 13:01)
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[29045] 3話 レスキュー守
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:9a8f54f5 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/07/27 20:16


三年後、ついに「科学者の食事」は発売された。
CMでは、科学者が分厚いカタログをめくっている所が写される。

『我が栄登製薬が自信を持ってお届けするこの食事は、戦う科学者を想定して作られたものです。朝食、昼食、おやつ、夕食、夜食の五食を三六五日、一八二五食を、通販でお届けします。食事と栄養ドリンクの要素の合わさったこれは、頭脳労働をする科学者に最適な内容となっております。飲めるゼリー状の物や特殊加工した食品のみで形成されており、宇宙食にしても問題が無いほど、周囲も汚れません。なお、刺激が強い為、幼児やご老人の服用はご遠慮ください。また、他の栄養ドリンク、薬との併用は事前に医師にご相談ください』

 場面が変わり、ずらりと並べられた一八二五食が写される。

『当社の誇る小さな科学者、真老くんの愛用の一品です。当社は、真老くんの推進するレスキューロボ開発を応援し、売り上げの1%を真老くんに寄付します』

 それは話題を呼んだ。栄登製薬は同時にいくつもの商品を開発しており、社運を掛けた大攻勢へと転じていた。
 それは某掲示板で有名となっていた。

『真老って誰?』

『ほら、三年前に手術をしやがった天才一年生だよ。大地震で……』

『ああ、あれね』

『科学者の食事食べた事あるよ。被災地で配ってたし。美味かったけど……一日五食、三六五日って。種類の多さが半端ねー』

『カタログ分厚すぎ。頼んだけど』

『頼んだのかよ』

『一年通販して食べてみるサイトを立ち上げてみた。俺が全部の味をレポしてやんよ』

『なんという勇者』

『真老のサイトみっけた。寄付募ってるけど、デザイン案がありえねーよ』

『小学生三年生なんだから、それは許してやれ』

『栄登製薬のものだけど、お前ら真老様甘く見過ぎ。あいつマジ天才。化けもの。栄登製薬との最初の契約金、一億。あれパソコン代を除いて全部特許料に消えてるんだぜ。嘘だと思うなら資料取り寄せてみろよ。我が社じゃ真老様が愛用しているって理由で、それにあやかる意味で我が社の研究員の食事全部それなの。そしたら作業効率20%も上がったし、『科学者の食事』の名前は伊達じゃねー』

『マジで? 食うだけで成績上がるの?』

『少なくとも記憶力は上がる。マジで。一か月だけでも通販試してみろよ。店は駄目。種類が多すぎて、一週間分とか一月分セットで買ってもらってるから、同じ日付の食事は一箱につき一個しか入ってない』

『俺、買いたくなってきた』

『寂しい一人暮らしには良いかもなー。メニュー考えなくてもいいし』

 こんな様子で話題性が出て、初めの売れ行きはまずまずだった。
 一番商品を買ったのは、他の製薬会社だろう。何せ、千以上もの新商品が発売され、それを研究しなければならないのだから。
 次に医師だ。なにせ、CMで医師に相談しろと言われてしまったのだ。医師は仕方なくカタログを取り寄せた。
 そして、驚愕の結果が出た。
 本当に頭脳労働の効率が上がるのだ。はっきりと数値への影響が断言できるほどの効果がある栄養ドリンクは非常に少ない。
 しかも、栄登製薬は真老と独占契約を結んでいた。
 頭を抱えた各種製薬会社に、栄登製薬は囁いた。
 共同開発したいなーと。正直、莫大な開発資金の投資で、栄登製薬は売り上げをゆっくり待つ事が出来ないほど経営難に陥っていた。しかし、栄登製薬は動じなかった。
 独占契約をして真老の了解も得ているし、栄登製薬は真老への食事の提供だけを考えればいい。後は、技術使用料だけで収益を上げるなりなんなりしても構わないと言うわけだ。
 殺到する申し込み。噂を聞いたNASAからの接触もあり、種類の多さが買われて本当に宇宙食にもなり、栄登製薬は嬉しい悲鳴をあげた。
 そして、特許の元々の開発者の真老のサイトにも、製薬会社からの寄付が相次いだ。
 その寄付を利用し、真老はいくつかの特許を申請し、町工場に依頼をし、栄登製薬から警備付きの倉庫を借りた。
 さすがに古代の技術レベルは低く、真老は加工方法や素材開発の内容も思い出し、特許申請せねばならなかった。幸い、それは武美が良く知っていたので、特許申請を武美に任せ、その製法を使って町工場で作業をしてもらう事を依頼する。
 町工場の人は大いに戸惑ったが、それでもお金を払ったら協力してくれた。
 この時点で、木田は会社のお金で、二人にボディガードをつけるのだった。
 二年がたった。「科学者の食事」レポートを書きあげたブログが話題になり、美味しさランキング五位までの食事が売り上げを伸ばした。
 その頃には、確かな効果で「科学者の食事」は安定した売り上げを見せており、研究費は順調に増えていった。
 真老が武美と倉庫で町工場の人に手伝ってもらいながら作業をしている時、大人が訪ねてきた。

「すみません、真老くんと武美ちゃんはいらっしゃいますか」

「何の用かね」

 二人が出迎えると、黒服にサングラスの金髪の男が微笑んでいた。
 無言で二人のボディーガードが前に出る。

「私は怪しいものではありません。テレビで見ませんでしたか? 元宇宙飛行士のアレクセイです」

「NASAの者かね。話を聞こう」

「ありがとう」

 お茶を出すと、アレクセイはゆっくりとお茶を啜って言った。

「この前公開された特許ですが、あれは素晴らしい物でした。早速宇宙服の素材として試してみると、五割増しの強度を得た」

「ほぅ……! あれをもう衣服に転用したのかね。いや、どこに頼めばいいやらと思ってね。まだ服については用意できていないのだよ」

「特許について契約をして頂ければ、NASAで作りますよ」

「あら。それは契約内容によりますわ」

 武美がお茶を注ぎ足しながら言った。
 アレクセイはすっと契約書を差し出す。真老はそれに目を通す。真老はもちろん英語が得意だ。ただし、それは未来の英語である。古典を読み解くにも似た感覚に、真老はため息をついた。

「出来れば日本語の書類が良かったのだがね。若干読みにくい……。なんだ。衣服の特許だけではなく、これから開発する全ての特許となっておるではないか。それに報酬がこれだけ? 駄目に決まっているだろう」

 武美が横から覗きこみ、ため息をついた。

「あら、アレクセイさん。これでは詐欺ですわ」

「真老くん、武美ちゃん。君達の知識は素晴らしい。それは広く役立てなきゃ駄目だよ。NASAは、将来君達を迎えるつもりだ」

 力強く言ったアレクセイの言葉に、真老は首を振った。

「悪いが、私は義務教育が終わり次第、自分の研究所を立ち上げるつもりでね。誰の下にも着くつもりはないよ」

「私も、ドクターがいる以上、ドクターの下で働きたいと思っています。でも、NASAの皆さんとは、うまくやっていけたらと思います」

「うむ。そうだ。服以外にも、シートとかどこに頼んでいいやらと言うものがいくつかあってね。特許申請はした後だし、これを私の望むだけ作ってもらいたい。それを特許使用料の代わりとしようじゃないか」

「駄目です、ドクター。それじゃあんまり安すぎます。現物支給および、独占契約なしで特許使用料一千万でお願いします」

「武美くん、あの程度の品でそれは高くないかね。あれはどうせ広まっても惜しくないようなものなのだし、服をタダで譲ってもらえる事を考えたら……」

 武美は腰に手を当てて、プリプリとした。

「ドクターは浮世離れしすぎです!」

「いいでしょう。信用してもらえたら、広まったら惜しいような物も紹介して欲しいですが……今は、これで」

「そうだな、そちらが守秘義務を守ってくれると言うなら、委託したい作業があるのだがね」

「ドクター! ドクターはすぐ人を信用しすぎます!」

 武美を宥め、真老は苦笑した。

「まあ、今はこれを頼む」

 差し出された設計図を受け取り、アレクセイはざっと目を通す。

「衝撃吸収スーツだ。レスキューロボを使用する際に必要となる」

「あの特許はこう使うのですか! なるほど、なるほど。確かに預かりました」

 そして、アレクセイは運転練習装置を見上げる。

「あれが、開発中のレスキューロボですか?」

「いや。レスキューロボを操作する為の訓練装置とスーパーコンピュータを先に作っている。技術を持った工場を探すのが難しくてね。中々進まないが……。まあ、一ヶ月後には完成するだろう。操作方法は既に武美くんがレスキューロボのサイトに乗せている。衝撃吸収スーツが出来次第、第一回のイベントを開催しようと思っている。運転練習装置の試乗イベントをな」

「私も乗ってみても?」

「一万円寄付してくれたまえ」

 アレクセイは苦笑し、一万円を渡した。
 そして、写真を取って帰っていった。
 三ヶ月後、スーツが届き、サイトで試乗運転イベントを告知した。
 栄登製薬もCMで告知した。
 NASAもスーツの実験の場として告知した。
結果、多くの寄付が舞い込み、振込用紙の控えを握りしめた多くの人達が倉庫へと押し寄せた。
その上、同級生達が、社会見学に訪れた。
 思った以上に大規模になってしまったそれに、真老と武美は若干緊張する。
 幸い、町工場の職人たちの奥方達がもてなしを一手に引き受けてくれた。
 まず、アレクセイが危なげなく運転する。
 さすが、元宇宙飛行士。軽やかに、テキパキと人命救助ミッションをやり遂げて見せた。
 次に、寄付額の一番多い栄登製薬の重役が。こちらは無難に、障害物のある中を要救助地に辿りつくミッションをクリアした。
 それから先は、スーツを早く着れた者勝ちだ。
 アレクセイは簡単にやってのけたが、他の者は散々だった。
 うまく歩けない、要救助者を踏みつぶしてしまう、などなど。
 特に細かい操作に移るモードが上手く扱えないようだった。それらを見て、改善すべき所を見つけていく。
 試乗会は夜の十二時まで続いた。
 その内容はNASAや栄登製薬で広報され、ゲーム会社が設計図丸ごと買い取りの打診をしてくる。真老は、万が一にも事故が起きないよう、指定する町工場に製作を任せ、プログラムを改変する場合は指定するプログラム会社と協力する事を打診し、最後にプログラムチェックをさせる事を条件に承諾する。
 それと同時に本格的なレスキューロボの開発に移り、真老は自衛隊に外見図を送ってペイント案を考えてくれるよう打診した。
 すぐに、推薦したプログラム会社からお礼と指導を頼む手紙が来て、倉庫にプログラマ達が、そして、自衛隊からはペイントの為の要員が来た。

「ロボットにはセンサーが取り付けられていて、わかりやすく言えば痛みを共有する。繊細な操作の為には、必要な動作だ。だが、加減を誤ると……わかるな? この部分は絶対に間違ってはならない所だ」

「なるほど、適用範囲はどれくらい……?」

「三十だ。これが絶対ライン。これ以上の痛みだと、集中力を削いで作業すら出来なくなる。これを、触れている時、押している時、破損している時など、段階分けして数値配分する」

「真老さん。こちらを見てくれないか」

「ドクター、ここがちょっと……」

 レスキューロボを手掛けている町工場の者に呼ばれて、真老は移動した。武美もスーパーコンピュータの所で真老を呼ぶ。忙しい事この上なかった。
 サイトのアクセス者数も順調に増えている。
 本当に作れるらしいとう話が伝わり、レスキューロボ自体を自身の会社で作らせて欲しいと言う申し込みが殺到したが、第一弾は自分で作りたいからと断る。
 小学校の卒業式にどうにか間に合わせ、真老と武美は試乗会を行った。
 さすがに本物はほいほい乗せるわけにはいかないから、最初の決まり通り一番寄付金が多かった者だけだ。
 栄登製薬かと思ったが、某大会社の社長がその権利を勝ち取った。
 倉庫には招待者が入りきらない為、公園を借り切ってお披露目をする。
 また、人を雇って、写真やデザイン案のパンフレット、お礼の手紙を寄付者全員に送付した。そして、完成に伴って第一次の寄付を打ち切る。
 公園には人が押し寄せ、次々とカメラでレスキューロボを撮った。
 カメラマン集団を連れてきた大会社の社長は、存分に操作を楽しんだ。
 それが終わると、全員で洗い、真老がサプライズ兼最後の仕上げとして、起動を施した。レスキュー隊がロボットの前に並ぶ。

「レスキューロボ零号、ただいまレスキュー隊に配属しました! ドクターを救って頂いた恩に応え、粉骨砕身したいと思います!」

 びしっと敬礼して答えるロボに、真老と武美以外の全員が驚いた。
 さすがに隊長は即座に気を取り直し、敬礼を返す。

「レスキューロボ零号、歓迎する。諸君の奮闘を祈る」

 真老が、そこで頷いて分厚い書類を渡した。

「レスキューロボの整備方法と備品の作り方はそこに書いてある通りだが、ブラックボックスには絶対に触らない様に。初めはプロトタイプとして広がっても問題のない知識だけで作ろうとしたのだがね。やはり、レスキューロボが人命を救えなくては意味が無い。どんな所でも強行出来るよう、飛行装置とバリア装置を。地中に埋まった人を発見できるよう、スーパーセンサーを……という具合に、最低限の装備は外せなかった。そこはまだ特許申請していないから、守秘義務の徹底をお願いするよ。それと、レスキューの為に使う場合に限り、備品作成の際の特許料を免除しよう」

「了解しました!」

「第一次の寄付の余りもついでに寄付させてもらおう。レスキューロボの維持には金が掛かるからね。今後も素早いレスキューを頼む。レスキューロボ01がもしも役に立ったなら、将来私が会社を立ち上げた時に次の機体を買ってくれたまえ」

「ありがとうございます!」

 町工場の職人たちが、たまらず走り出した。

「頑張れよー! 零号!」

「俺達はいつだって見守っているからな―!」

 零号は手を振ってそれに答える。
 その後、零号はレスキュー守と名付けられ、あちこちの災害で、また自衛隊の広報で活躍する事になる。


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