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No.29005の一覧
[0] 人気アイドルの幼いころの出来事(日常系、幼少時代、単発SS)[るな](2011/07/25 06:11)
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[29005] 人気アイドルの幼いころの出来事(日常系、幼少時代、単発SS)
Name: るな◆bb550455 ID:5a7acb13
Date: 2011/07/25 06:11
始めまして、るなと言う者です。

この場所では初投稿となるため、所々不始末な点や至らないところがあるかもしれませんが、お許しください・・。

タイトルは適当です。あと完全単発SSなのでお話もかなり短いです。

自分自身小説を書き初めてまだ日が浅いため、局所に描写不足や乱雑な点もあるかと思いますが、少しでも皆さんの目に留まってくだされば幸いです。


それでは、どうぞ。








【人気アイドルの幼いころの出来事】


ここは、とある街の住宅街。


1戸建ての家を基本に、あらゆる建物が所狭しと並ぶ。
大正くらいの時代から建てられているような日本家屋。
つい最近テレビの広告でもやっていた大手企業のアパート。
同じような形と色合いの家が4,5軒続く集合住宅。耐震設計になっていてとても安心できる造りらしい。


日差しの色に朱が混じりつつある、いわゆる夕暮れ時である。にも関わらず、
空を照らしている太陽は未だにジリジリと輝き、住宅の間に挟んで点在する街路樹からは
夏の木特有のなんとも形容し難い匂いが伝わってくる。

その街路樹に留まっていたであろうアブラゼミのジジジとした鳴き声は止み始め、
代わりにカナカナカナとヒグラシの鳴き声が聞こえ始めてきた。


自転車を漕いでカゴに買い物袋を入れて帰ろうとする主婦。
カゴに入っている袋の中身が重いのか、それとも日差しが強くてまともに前を見られないのか
終始よろよろしながら走っている。見ていてとても危なっかしい。

スーツを着てタイを緩めながら帰ろうとするサラリーマン。腕につけている腕時計をちらちらと気にしている。
学校が既に終わり下校途中なのか、3,4人でわいわい話しながら帰ろうとする子供達。
背を向けて歩いたり、互いにふざけあいっこをしながら道路を駆け回る。


そんなごくありふれた日常の町並みの一角に、すべり台や砂場を筆頭に子供向けの遊具が
あちこちに並んでいる。

つまりは公園だ。

一般的には子供の遊び場になっている場所。ただ時刻もいい頃合いになってきているので、
中にいる人はほとんどいない。

しかし、2人の少年と少女を除いて。

「ねえ、ゆうく~ん!きーてるっ!?」

「あ~もう、さっきからうるさいなあ、きいてるよ!」

元気にはしゃぎ回ったりしゃべったりしている少女を少しうざったそうに見ている少年と、
一方でそんな少年の態度や表情などおかまいなしにしゃべり続ける少女。

端から見れば、公園の中で無邪気に遊んでいる2人の子供だ。
だが、遊んでいるように見えてそうではない。

少女は少年に自分の『夢』を唱えていた。

そう、今のこの瞬間も。

「わたしねっ!『あいどる』になるのっ!なってやるの、ぜったい!!」

「さいきんそればっかりじゃないか・・・。てゆーかさ、なんでいきなり
『あいどる』になんかなろうっておもったんだ?」

「きれいだからっ!」

「へ?」

「だからあ~、きれいだからだってばっ!だってさ、ゆうくんいつもあたしの
 ことガサツでブッキラボーでうるさいとかヒンがないとかってゆーんだもん!」

そこまで言うと、少女は一旦言葉を止め、くるっと少年に向かって身を乗り出しながら――

「だからね、あたし決めたの!『あいどる』になって、それでうーーーんっっと
 キレイになって、ゆうくんをおどろかせてやるんだってっ!!」

「・・・。あーーー・・。」

少年は少女の訴えになんと言っていいのかわからず、言葉につまってしまう。
そんな反応が気に食わなかったのか、少女は少年にさらにずいっと身体を押し出す。

「あー!もおーなによお!そのたいどは!いっとくけど、あたしはホンキのホンキ
 なんだからねっ!!」

みてなさいよよおおお!!
と叫ぶと同時に、公園の中にあるジャングルジムをまるで蟻のようにシャカシャカと
よじ登っていく。
使い古された物のせいか、少女が手や足をつけていった所から塗装や錆がぼろぼろと
剥がれ落ちていく。

そしてあっという間にてっぺんまで到達してしまった。

「お、おい!あぶないぞあいりっ!そんなところでたったら――」

すぅーーっと息を大きく吸い込んで、両手を口に添えてメガホンの形を作る。そして、

「あたしはああああ!!ぜったああーーい!!なってやるんだあああ!!!」

少女は叫ぶ。思いっきり。

それに満足したのか、今も心配そうに見上げている少年に向かってにんまり
として笑みを見せる。

少年はその時、夕暮れの太陽をバックに笑みを見せていた少女をしばし眺めていた。
いや、恐らくは見惚れていたのかも知れない。

なぜなら、その笑顔があまりに眩しくてとても輝かしかった―――

「とーーうっ!」

ピョンっ

「へっ?な・・、お・・ちょ、うわああああああああ!!」

ドシャアッ!

「いっててええ・・・・。」

「あいったあー。・・えへへー。おどろいたー?」

「おどろいた?じゃないだろっ!!あんなとこからとびおりて、おおけがでもしたら
 どうするんだっ!!?」

「へーきだよっ!ゆうくんがうけとめてくれるっておもってたから!」

「そりゃあ、おれにむかってとんできたらそうするしかないだろうよ・・。
 ってそういうことじゃなくてなあ!」

少女の飛び込みを文字通り身体で受け止めたため、お互いに抱き合った姿勢になる。
そのため、少女の顔がとてつもなく近くて正面から見るのを少しためらってしまう。

でも、そんな事を気にしていられない。
多少傷つくかも知れないがもっとガツンと言ってやらなくては、と思った。

―――だが、少女の顔を見た瞬間、次の言葉が出なかった。出せなかった。

「・・・そうだね。ゆうくんなら、ぜったいうけとめてくれるもんね・・。
 ゆうくんてだいじなときはぜったいやさしいから・・。」

「・・・?あいり?」

ついさっきまで夏の太陽のように明るかった少女は、突如降る夕立のように陰りを映した表情になる。



「ねえ、ゆうくん。」

「ん?」

「もうちょっとだけ、このままでいてもいい・・?」

「・・・・・・ん。」

いつも気ままに明るく振る舞っている少女は、時折自分に自信を持てなくなるのか突然自信喪失
に近い感じのモノに陥ってしまうことがある。
なぜ不意にそうなるのかは、少年でも分からない。

それでも、今はただこうするべきだと、いやこうしていたいと思い、

「・・えへへ。ゆうくんのなでなで、やっぱりいいな。」

少女は少年のそんな反応に安心したのか、ゆっくり目を瞑って身体を完全に少年に預ける。

「あったかいね、ゆうくんのからだ。」

「・・・なつだぞ、いまは。ふつうにかんがえてあつくるしいだろ。」

「いいのっ。あついとあったかいはべつなの。」

「はいはい、わかったって。」

一方少年はというと、少女の細くて新鮮な絹糸のような髪をやさしく撫で続けていた。



―――どれくらいそうしていただろう。ふと少年が口を開く。

「・・・なあ、あいり。」

「なーに?」

「『あいどる』。おまえならきっと、いやぜったいなれるよ。
 だからがんばれ。」

その少年の励ましがとても嬉しかったのか、少女の瞳が水々しくなり、あどけない顔が
ぱあっと明るくなる。

「・・っ!ゆうくん・・・!!」

「だから・・・さ。」

「うん・・・!うん・・・!!!」


「はやく、このおもいからだをいいかげんどけてくれないか?」


・・・・・・。

今の空を彩る夕焼けの太陽のように明るかった少女の顔は、一瞬にして夜の帳が下りるように
暗くなり、それはやがて目に見える怒りへと変わり始める。

一言で言うと、つまりはやってしまったのだ。

「・・・もおおおおおお。」

「えっ?おまえ、てをあげてなにを・・・。いやまてじょうだんだって!ちょ!おま―――」

「ばかあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

――――バチイイイイイイィンッッ!!!

夕暮れの誰もいない公園に乾いた弾けるような音が鳴り響く。




―――ねえ、ゆうくん

―――ん?



―――――ありがとねっ!



あたし、ぜったいがんばるよっ!!


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