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No.28479の一覧
[0] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 【完結】[一兵卒](2011/09/10 21:09)
[1] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep1[一兵卒](2011/06/21 23:58)
[2] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep2[一兵卒](2011/06/25 23:58)
[3] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep3[一兵卒](2011/07/02 23:33)
[4] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep4[一兵卒](2011/07/09 22:50)
[5] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep5[一兵卒](2011/07/15 23:56)
[6] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep6[一兵卒](2011/07/22 23:19)
[7] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep7[一兵卒](2011/07/29 23:11)
[8] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep8[一兵卒](2011/08/05 22:40)
[9] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep9[一兵卒](2011/08/12 23:19)
[10] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep10[一兵卒](2011/08/19 22:29)
[11] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep11[一兵卒](2011/08/27 01:33)
[12] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep12[一兵卒](2011/09/03 00:40)
[13] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 最終話[一兵卒](2011/09/10 21:05)
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[28479] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep4
Name: 一兵卒◆86bee364 ID:e2f64ede 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/07/09 22:50






Side 大沢ひとみ


「お前の妹は私のところにいる。家族を取り戻したければ、警視庁にと来い」

 アルファルドは、受話器を握りながらそう告げると、その鋭い視線を床に倒れ、その手足を縛られている、黒髪の少女にと移す。受話器を握り、大沢マリアと瓜二つの容姿であるひとみの前にと電話の受話器を寄せる。

『ひとみ!?ひとみがいるの!?』

 愛する姉さんの声が聞こえる。本当は喋りたい、怖くて怖くて仕方がないから。姉さんが生きてくれていたことも嬉しくて。だからこそ、自分のせいで巻き込みたくない。今日のクリスマスは、自分が姉さんと一緒に過ごす特別な日だったのに。自分のせいで、こんな目にあって、さらに迷惑をかけるなんて、絶対にできない!

『ひとみ?ひとみ!』
「強情なのは、姉譲りのようだな……」

 アルファルドが合図を送ると、ジュリがひとみの髪の毛を掴み、引っ張り上げる。激痛が走り、ひとみは、目に涙を浮かべ、悲鳴をあげてしまう。ジュリは、髪の毛を離し、大きく息を吐くひとみの声を、受話器越しにアルファルドはマリアに聞かせた。

『やめて!アルファルド、お願い……ひとみに酷いことしないで……』
「ふ、フフフ……警視庁で待っている。急いだ方がいい。お前の大切な妹に会えなくなるかもしれないからな」

 アルファルドは受話器を切る。
 ジュリは、大声で笑いながら、床に這いつくばるひとみを眺める。

「あ~あ~、喋っちゃって。あんな悲鳴あげちゃったら、きっとお姉ちゃんは、心配で心配でたまらなくて、来ちゃうだろうなぁ~~」

 ジュリは、倒れているひとみにと腰をかがめて挑発している。ひとみは、涙を流しながら、ただうつむくことしかできなかった。アルファルドは、ひとみを見下すように、イスにと座る。ひとみは顔をあげ、目の前に座るアルファルドを睨みつける。二人の視線が交錯する。






学園黙示録×CANAAN


Episode4 隻腕の蛇×迷える剣士





Side 大沢マリア



「なにがあったんだ?マリア!」

 嗚咽を漏らすマリアを支えながら毒島冴子は問いかける。マリアは、涙を流しながら、顔を上げて冴子を見る。マリアは、冴子を見つめると、少しずつ話を始めていく。

「……い、妹が、ひ、ひとみが……捕まった」
「妹君が?一体誰に!?」
「……アルファルド」

 冴子は、その名前をテレビで聞いたことがあった。渋谷ウイルステロ事件、上海国際会議でのテロ事件等。世界各国でテロ活動を行っている凶悪なテロ組織『蛇』を指揮するもの。それが、マリアの妹をさらった?冴子は、にわかに信じられない。だが、マリアのような純粋な少女が、嘘をつくようにも思えない。

「妹君は、どこに?」
「ダメ!冴子さんには関係ない!!私一人で……」

 マリアは、冴子を見つめて告げる。
 冴子は、笑みを浮かべマリアの肩を掴む。

「私は、君を助けると約束した。最初は<奴ら>から君を守り抜くことだった。それが少し変わっただけのことだ」
「そんなの……アルファルドは<奴ら>と違う!」
「今更、私を一人にするというのも酷いとは思うが?」
「でも……」

 マリアは自分たちのことに、冴子を巻き込むことが嫌であった。アルファルドは、自分を邪魔するものに容赦はしないだろう。そして、冴子さんは、戦うつもりだ。そんなことをしてもし冴子さんに何かあったら……。

「真正面から行くつもりはない……妹君を含めて、みんなでこの場所を脱出する」
「……」

 マリアはゆっくりと頷く。

 冴子は、刀を握り、コンビニの出入り口にと向かっていく。どちらにしろ、このような事態を引き起こした相手を誰かが打倒さなければ、この地獄は永遠と続いていく。そして、それを撃ち破れれば、逆に、この地獄を終えることが出来るのだ。冴子の手に力が入る。おかしな話だ。自分は、これからアルファルドという凶悪なまでのテロリストと対峙をしているというのに、気持ちが高鳴っている。

「……私は、戦うことに興奮しているのか。命のやり取りをすることになるかもしれないというのに」

 コンビニから足を踏み出し、冴子は、自分の手を見つめ告げる。

「冴子さん?」

 問いかけたマリアのほうを見て、冴子は、笑みうを浮かべる。

「行こう……場所は?」
「……警視庁」

 冴子は、頷き、刀を握ったまま道を急ぐ。
 本来捕まえるべきであろう組織、その中で一番の重要な役割を持つ場所を、手中に収めている。相手がどれほどのものかは容易で想像が出来る。冴子は、急ぐ。それは、マリアの妹を助け出すため……自分の心の中でそう言う裏では、アルファルドという存在に強く興味が湧いていた。まだ夜が明けない寒さが身にしみる空の下、割れた商品ケースのガラスの向こう、大きな液晶テレビでニュースが流れている。


『……12月24日20時から東京都内各地で発生した、大規模な暴動事件の続報です。避難先のお台場で、首相は、先ほど記者会見を発表し、自衛隊からの救出活動を開始したと発表。また、今回の大規模暴動事件は、テロリスト『蛇』によるウイルステロ事件であることを明かしました。今回のウイルスは、人間の凶暴性を上げ、無差別に攻撃するように仕向けるものであるとのことです。いまだ、東京都内には多くの逃げ遅れたものたちがいるとされ、自衛隊の一刻も早い、救助が待たれます』




side アルファルド



「……日本政府には、なんて注文つけたんだ?」


 ジュリは、周りでパソコンなどを弄っているテロリストたちの中、1人、アルファルドの隣で、背を伸ばしながら、準備運動をしている。キャミィに攻撃をされた痛みもあるのか、たまに、目を細め痛みに耐えている。アルファルドは、ジュリを見ることなく、東京都内の各地に配備された監視カメラを眺めていた。逃げ出そうとして捕まり、体を食われる男。噛まれた彼氏を置いて逃げようとする彼女。その彼女もまた、別の<奴ら>に捕まり悲鳴を上げている。人間の脆い感情現れ、皆、自分の命のために、他者を陥れている。助けようとして、食われてしまうものもいるようだが……。

「別に、彼らには何も求めないさ。まあ、テロリストの体裁として、身代金2000億円、逃走用のヘリを警視庁屋上に用意し、羽田空港に燃料満タンのジェット機を用意しろと言ってはいるが」
「アハハハ、随分とありきたりなテロリストじゃねぇーか」
「私が求めるのは、この地獄絵図を世界中に見せつけることだ。日本のマスコミは優秀だよ、世界中に恐怖を知らせてくれる」

 アルファルドは、床に倒れている大沢ひとみを見る。

「かつて、お前たちは、私の計画を打ち破り、渋谷を救った」
「……」

 アルファルドと出会うきっかけとなった渋谷ウイルス事件。大沢マリア誘拐に伴い、ひとみが、解放するための身代金を受け渡しを行うよう告げられた。あの事件がすべての始まり。あの事件で、自分達の人生は変わったと言っていいだろう。それは結果、最良の結果で、終えることが出来た。

「お前たちが守った街は、今、目の前で崩れ落ちている」

 ジュリが、倒れているひとみをイスに座らせ、画面を見せる。

 画面に映る光景。

 それは、まさにアルファルドが言ったような地獄絵図としか言いようがない光景だった。渋谷は、完全に<奴ら>の巣と化し、逃げ惑う人々は無慈悲に食い殺されている。ひとみは、視線を逸らすが、ジュリにより、それさえ出来ない。頭を抑えつけられて、無理矢理、その光景を見せられる。ひとみは、涙を浮かべながら、何も言うことが出来なかった。

「自分の境遇が不幸だと思うか?」

 アルファルドはモニターからひとみにと視線を移す。
 ひとみは何も答えられなかった。

 答える気力が彼女にはなかった。

「不幸なのは、ここにいる人間たちだ。世界の凄惨な状況に目にも向けず、社会という機械に取り込まれ、己の欲望を殺されている。哀れだな、自分の能力を発揮できぬまま、飼い殺しにされる。自分の居場所を見つけられぬまま…」
「……これが、貴女の求めている居場所だとでもいうの?」

 ひとみは、虚ろな目でアルファルドに問いかける。先ほどまで友人だった、家族だった、恋人だったものたちが怪物となり、襲いかかり、殺される。こんな地獄が、求めている場所だというのか。

「フ……アハハハハハ」

 アルファルドは、ひとみの問いかけに、大きく、声をだして笑う。それは、部屋の中でよく響いた。アルファルドは、ひとみのほうを見ると襟首をつかみ、自分にと顔を向けさせる。その表情は狂気に満ちていた。

「お前達にはわからないだろうな。生まれながらにして周りすべてが敵であるという環境。信じられるものなど何もない。私には、それが普通で、それが居場所なのさ。今更、それを否定などさせない。私にはそれでしか生きることが出来ないのだからな!」

 アルファルドは、ひとみの襟首から手を離す。

「ジュリ」
「……ちょうどいいタイミングだぜ。お客様、ご到着だ」

 モニターが切り替わり、映し出された映像。
 そこには、警視庁玄関前に姿を現す、大沢マリアの姿であった。ひとみは、目を見開き、縄で縛られた体を前のめりに出す。

「ね、姉さん……だめ、ダメぇ!!来ちゃダメ!!」

 ひとみは、大声をあげながら、モニターに向かって叫ぶ。その声は、マリアに届くはずもない。ひとみは、何もできない自分の無力さに、テーブルに顔を伏せ、すすり泣く。

「丁重に、迎えてやれ」

 アルファルドの言葉に、数人のテロリストが頷き、部屋を出ていく。アルファルドは、モニターに映る大沢マリアの様子を眺める。




Side カナン


「……マリアの光が見える」

 カナンは、立ち止まり、そうつぶやいた。

「何をしているんだ?早くしろ!」

 キャミィが、足を止め、カナンのほうにと振り返り言う。病院の目の前に止めていた車両は、既に多くの<奴ら>に取り囲まれてしまって、乗ることが出来ない。しかも、車の音に集まったのか、病院周辺は、既に<奴ら>に取り囲まれていた。キャミィたちは、病院内の薬物を用い、簡易的な爆弾を作成、それを囮として脱出を図ろうとしていた。

「マリア……」

 カナンは、再び走り出す。

 病院から外にと投げ出された爆弾は、大きく光を放ちながら、辺りの<奴ら>を巻き込み、大きな音を響かせた。炎が、<奴ら>にとつき、手足を吹き飛ばした。カナンたちは、その中を、走り抜けていく。

「おい、車はどうするんだ?このまま走っていくのか!?」

 加納の言葉に、キャミィは、いまだ集まってくる<奴ら>を排除すべく、走りながら体勢を低くし、飛び上がる。そのまま、<奴ら>の頭を蹴り飛ばし、首をヘシ折る。カナンと加納は銃を握り、頭を向かって撃ち抜く。

「どっちにしろ、このままでは危険だ!」
「わかっている!」

 キャミィは、乗り捨てられている車を発見すると、其処に向かって走り抜く。危険がないかを即座に見て、ガラスを割り、ドアを開け、乗り込む。

「な、慣れているな」
「いいから早く乗れ!」

 キャミィの言葉に、加納が後部座席にと乗り込む、カナンは、キャミィがエンジンをかけようとしている中、近づいてくる<奴ら>を正確に撃ち抜いていく。だが、数が数だ。

「急いで!弾がもたない!」
「やっている!」

 キャミィが、車を弄りながら、エンジンをかけた。カナンは音を聞くと、すぐに車にと乗り込み、窓ガラスを開けたまま、銃を撃つ。キャミィはアクセルを踏み、そのまま、その場から走り抜ける。振り返ったカナンの視界には燃え盛る炎と、こちらにと燃えながら、追いかけようとする<奴ら>がいた。カナンは大きく息を吐く。

「なんとか脱出できたね」
「……まったく、無茶を考える。病院の出入り口に手製爆弾を使って道を開けようとするなんて」

 キャミィは、カナンの発案した作戦に冷や冷やさせられたことを、愚痴っている。キャミィは、運転をしながら、カナンをフロントガラスで見る。

「さっき、マリアといったな」
「あ、うん……」
「それは大沢マリアのことじゃないのか?」
「マリアのこと知っているの!?」

 マリアの話題に食いついたカナンの表情は、先ほどまで、淡々と銃で対象を撃ち抜いていた存在とは思えない少女の表情だった。

「まさか、英国軍人が、大沢マリアのことを知っているとは……。あの子は一体どこまで有名人なんだ?」

 加納は、苦笑いを浮かべながら、あのくったくのない少女のことを思い出す。どこまでも純粋で、強い心を持っている少女であった。

「……この間、米国で知り合った。まさか、そのとき言っていた奴がお前だったとは」
「そっか。マリアの知り合いなら……貴女はいい人なんだね」
「そこで判断するのか?……それよりも、それじゃ今まで悪い奴みたいな言い方だが?」

 キャミィの鋭い睨みに、カナンは笑って答える。マリアは変わらないと、カナンは安堵した。シャムを失い、アルファルドを盲目に追う中で出会ったときと同じ。何も変わらない。マリアと出会って、光を取り戻して、カナンは復讐心から解き放たれたのだから。




Side アルファルド


「来たわよ、アルファルド。約束通り!」

 アルファルドの前につれてこられた大沢マリア。マリアは、ヘルメットを被ったテロリスト一人に拘束された状態で、この部屋にと連れてこられた。ジュリが腕を組み大沢マリアを眺めている。マリアは、そんなジュリに決して怯えることなく、まっすぐジュリの奥……アルファルドを見ていた。

「しかし、本当に瓜二つだな。並んだらみわけがつかねぇ」
「……ひとみはどこ」
「けっ、この威勢のよさも姉妹同じか?」

 ジュリは、吐き捨てるようにいいながら、テロリストに顎で指示をする。テロリストは、縄で縛られた状態のひとみを連れてくる。マリアは取り囲んでいるテロリストたちを気にもとめず、ひとみを抱きしめた。ひとみは、疲れ切った表情で、マリアの肩に頭を乗せる。

「姉さん……ごめん、私……私」
「何も言わなくていい……貴女がいてくれれば、私はそれだけでいいから」

 マリアは、ひとみの体を包みながら優しくつぶやいた。

「感動の再会のところわりぃーけどよ。こっちは、こっちでやることがあるんだ?」

 ジュリは、目を輝かせながら、二人にと告げる。マリアは、ひとみを庇うように自分の背にとやる。ジュリは首をかしげる。

「アハハハハ、無駄な抵抗だってわかってやってるのかよ?こんな取り囲まれた状況で、何かお前たちにできるっていうのだ!?あぁ??」

 ジュリは、ケラケラ笑いながら、マリアとひとみを見る。マリアとひとみを取り囲むようにしているテロリストたちの手に握られた銃が、マリアとひとみを狙っている。マリアはそれでも決してひとみから離れようとはしない。

「ひとみ、目を閉じていて」
「……」

 マリアの言葉に、ひとみが、ゆっくりと目を閉じ、マリアもまた目を閉じた。ジュリはその二人の行動に、意味がわからなかった。だが、ジュリの視界で、赤い血が飛び散るのを見た。ジュリが視線を移すと、ヘルメットを被ったテロリストが、その手に刀を握り、取り囲んでいたテロリストの一人の腕を切り落としていた。

「てめっ!!?」

 ジュリが声を荒げる中、テロリストが銃を放とうと、そのヘルメット被った兵士に狙いを定めようとする。だが、次の瞬間、ヘルメットを被った兵士は、マリアとひとみを中心にして、弧を描くように刀を回す。

「伏せろ!」

 そのヘルメットを被った女の声に、マリアとひとみは、その場でしゃがむ。二人を取り囲んでいたテロリストたちは、首から血を噴き上げ、あたりを潜血に染めていく。ヘルメットをその場で、脱ぎ捨てる兵士……毒島冴子。長い髪の毛が舞う中、彼女の足は、既に次の獲物を捉えるために踏み出されていた。その素早さに面喰ったジュリの奥……微笑むアルファルドにと。

「アルファルド!!その首、貰い受ける!」
「……フ」

 アルファルドにと抜いた刀。アルファルドは、コートを舞わせながら、冴子の一太刀を、身を返し避ける。冴子は、咄嗟に、刀の向きを変えて、真横にと切りつける。だが、それもまたアルファルドは、足を大きく広げ、身を低くしかわす。彼女の髪の毛の数本が、切られ、宙を舞った。

「くっ!!」

 目を細める冴子。

「速度、技の切り替え、どれも天性の才能だ……だが」

 アルファルドは、姿勢を戻すと、冴子の軸足を蹴りつける。バランスを失った冴子は、そのまま、倒れそうになる。だが、握っている刀を手離しはせず、アルファルドに再度、真横に切りつけようとした。その時、頭に当たる冷たい感触。冴子の握っていた刀が止まる。

「お前と私とでは圧倒的に違うものがある」

 冴子の額に当てられていたのは、アルファルドが握っている銃である。冴子の刀は、アルファルドの首を狙っていたが、その刃は止まっていた。アルファルドは、微笑みながら冴子を見つめる。冴子の脳裏には死の一文字が浮かんだ。目を開けたマリアもまた、絶望の表情が浮かんでいる。ジュリは、微笑みながら、その引き金の引かれる音を待っている。アルファルドは、白い歯を見せて、口を開けた。


「……お前と私とでは、経験値の差が桁違いなのさ」


 銃声が室内にと響いた。













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