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No.28479の一覧
[0] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 【完結】[一兵卒](2011/09/10 21:09)
[1] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep1[一兵卒](2011/06/21 23:58)
[2] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep2[一兵卒](2011/06/25 23:58)
[3] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep3[一兵卒](2011/07/02 23:33)
[4] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep4[一兵卒](2011/07/09 22:50)
[5] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep5[一兵卒](2011/07/15 23:56)
[6] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep6[一兵卒](2011/07/22 23:19)
[7] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep7[一兵卒](2011/07/29 23:11)
[8] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep8[一兵卒](2011/08/05 22:40)
[9] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep9[一兵卒](2011/08/12 23:19)
[10] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep10[一兵卒](2011/08/19 22:29)
[11] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep11[一兵卒](2011/08/27 01:33)
[12] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep12[一兵卒](2011/09/03 00:40)
[13] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 最終話[一兵卒](2011/09/10 21:05)
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[28479] 学園黙示録×CANAAN 彷徨う剣士 ep12
Name: 一兵卒◆86bee364 ID:e2f64ede 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/09/03 00:40





Side 小泉孝


どうしてこうなってしまったのだろう。


<奴ら>が現れて?
テロリストが現れて?
テロリストを生み出すような世界だから?
そんな世界を構築している大人たちがいるから?
なら、その大人達を支えているのは?

誰のせいでもない。
俺たちにだって、責任がないわけじゃない。
だから……、命をかけて、この世界を、この街を、大切な人を守りたい。

「はぁ……はぁ……」

 流れ出る血を、抑えながら、孝は、鉄の柱に隠れていた。大沢マリアとひとみは、互いを信じ、想い合うから、あの感情を読み取る無人兵器から身を守っている。だが、彼女たちだって人間だ。心が揺れ動くこともある。彼女たちがいなくなれば、万事休す。だから、そのために、感情が大きく揺れ動く、自分たちが、的になる。それしか手段はなかった。

「平野、刑事さん、無事か?」
「あはは……な、なんとか」
「こっちもだ」

 孝たちは、壁際で涙ぐむ……麗や、沙耶を見ながら親指を立てる。流れ出る血は、その量を増やしながら、俺は意識をなんとか保ちながら、今日の渋谷駅でみんなで待っていた時のことを思い出していた。あの時のまま、冴子さんと出会い、楽しいクリスマスを過ごしていたら……どんな一日になったのだろうと。

 この世界に、神様などいないだろう、信じたこともない。
 だけど、今は…信じたい、願いたい……。
 どうか、自分たちに、奇跡を。


 だって、今日はクリスマスだろう?





学園黙示録×CANAAN

Episode12 狂気の剣士×闘争代行人




Side カナン




「……色が変わった」


 刀の切っ先をカナンにと向ける冴子に、カナンは答えた。カナンの瞳に映る冴子の姿。それは、今まで様々な混じり合った色ではない。はっきりとした色が、浮かんでくる。それは殺意の色……青。冴子は、一気に距離を詰める。その切っ先は、まっすぐとカナンの首を狙う。横一線の攻撃。カナンは、それを後ろに、飛び回避する。その瞬時の攻撃に、銃で迎え撃つ暇さえない。

「逃げろ……」

 冴子は、つぶやきながら、その勢いに乗った刀を両手で速度を押し殺し、すぐに次の斬撃にと移る。カナンは、冴子の攻撃に、応戦する暇がなかった。冴子は、カナンを逃がすまいと追い詰めていく。カナンは身を返し、冴子の突きをかわす。

「くっ……」
「逃げろ、逃げろ……」

 冴子は、笑みを浮かべながら、突きだした刀を横にと向け、避けたカナンを追う。カナンはしゃがみこみ、冴子の攻撃を再度避ける。冴子は、横にと線を描いた刀の動きを止め、しゃがみこんだカナンの頭にと、刀を振り下ろす。逃げ場所を、徐々に奪っていく冴子の攻撃の仕方だ。カナンは、咄嗟にと前にと飛び出す。


前……それは、冴子の体がある。


 カナンは、冴子の腰にと腕を巻きつけ、抱きつくようにして冴子の動きを止める。冴子は、刀から離した空いた片手でカナンの白いストレートの髪を掴み、自分の顔の前にともっていく。痛みに顔をゆがめるカナン。冴子は、その表情を見つめると、目を細め、頬を染める。

「痛いか?とてもいい顔だ」
「……自分に負けるな」

 抵抗する素振りに冴子に、カナンは冴子にと問いかける。冴子は、首をかしげながら

「私は、今満ち足りている。ああ、そうさ……私を縛り付けていたもの、すべてから解き放たれ……とても気持ちがいい」

 カナンは、自分の額を、冴子のに顔にとぶつける。頭突きは、レヴィから教わった。相手の隙を突き、もっとも効果的であると。冴子の手が緩み、カナンは、冴子から距離をとる。冴子は、頭を抑えながら、手につかんだ、抜けたカナンの白い髪の毛を宙に舞わせながら、刀を振り、その髪の毛を切り刻む。

「……私はお前をつれて帰る。それが、マリアとの約束だ」
「ふ、ふふふふ」

 冴子は、笑みをこぼしながら、対峙するカナンが銃を向けるのを見る。

「出来るものならやってみるがいい」

 冴子は、最初よりもさらに速度を上げて、カナンを襲い掛る。カナンは、銃を放ちながら、後ろに飛びながら、距離を保とうとする。だが、冴子は、それらを刀で真っ二つにと切り裂きながら、距離を詰めていく。

「私を楽しませてくれ、カナン!」

 カナンは、冴子の声が耳元で聞こえ、即座に、冴子の色を読み取り、銃を放つ。冴子は、銃の弾丸を切り裂く。足を止められてはいるが、弾丸には、限界があり、刀には、限界がない。とくに、冴子のような腕であれば、そう簡単にはこぼれが起こることはない。

「以前と戦ったときとは、別人のようだ」

 迷いがなくなった彼女がこれほどのものとは……。カナンは、冴子の攻撃を避けながら、銃を放ち彼女の動きを止めようとする。だが、彼女は、それを切り裂き、カナンをどこまでもおいかけてくる。空港の床に火花を散らせながら、刀を、カナンにと向け、下から、上にと突き上げるように切りかかる。カナンはバク転をしながら避ける。冴子は、追いかけながら、縦横無尽にと切りつける。

「フ……ふふふふ」

 しかも、彼女の表情は、歓喜の笑みを浮かべており、カナンを追いかけ回すことに明らかに興奮していた。カナンは、彼女の狂気に、驚いていた。そんな中、突然、冴子の足が止まる。

「?」

 カナンは、逃げ回っていた足を止め、冴子を見る。冴子は、刀を振り、床に血を拭い捨てる。カナンは、その血に自分の体を見る。カナンは避けているつもりでいたが、彼女の体には無数の傷がついていた。服も幾つも傷跡が残り、切り刻まれている。カナンは、膝を床にと落とし、大きく息を吐く。避けていたはずだった……距離をとり、しっかりと確実に。だが、冴子の速度は、徐々にあがっていった。だからこそ気がつかなかった。

「ジリジリと削り取られる気分はどうだ?」

 冴子は、カナンを見下ろしながら告げる。
 カナンはゆっくりと立ち上がる。

「……嘘だ」
「なに?」

 カナンは、銃を冴子にと向ける。

「貴女は、自分が解き放たれたと言った。だが、それは嘘だ!!」

 カナンの言葉に、冴子の色が揺らぐ。



Side アルファルド



 銃声が響く中、ホールの中では、アルファルドとレヴィの戦闘が始まっていた。銃弾は、ホール内のガラスを砕き、床に響くように割れる。レヴィはアルファルドを追うように銃で撃ち続ける。アルファルドは、そんなレヴィの懐に飛び込み、床を滑りこむ。アルファルドを狙ったレヴィの銃を握った伸ばした腕を、蹴り、レヴィのカトラスが手から離れ、床を滑る。舌打ちをしたレヴィの前、アルファルドが銃を自分にと向け、レヴィもまた、アルファルドにと銃を向けた。

「たとえドラックに頼っていても、お前の不機嫌な気持ちは、消えはしない!」
「またカウンセラーか?必要なのはお前の方だぜ、蛇女」

 レヴィは、腕を前にと突きだし、銃を放つ。アルファルドは、腰をかがめ、レヴィの脇腹を、強く蹴り飛ばす。レヴィは、その衝撃に顔をゆがめながら、腰を転がる。レヴィは、転がりながら、即座に体勢を立て直し、アルファルドを眼で追う。

「ようは、世界観の問題だ」

 アルファルドは、まっすぐ、こちらにと向かってくる。レヴィは、かがんだまま、銃を放ち、アルファルドの動きを止めようとする。アルファルドは、レヴィの銃弾がどこにくるかわかっているかのように、避けながら、レヴィにと向かってくる。レヴィは立ち上がり、アルファルドにと走って向かっていく。二人は衝突するように、銃同士をぶつけ合わせ、互いを狙う。

「誰もが、私のようになる」
「蛇女!人間は、お前のように弱くはない」
「弱い?私が?」
「ああ、弱いな。自分を律することもできねぇー奴は、駄々っ子のガキと同じだ」

 レヴィは、そう言い放つと、アルファルドは、音を鳴らす銃同士のぶつけ合いを前に、顔をレヴィにと近づけ合う。

「お前は!自分が気にいらないものをぶっ潰したいだけなんだよ!すべてが思い通りに行くことなんかありゃーしねぇ!それがわからねぇーお前はただのガキだ!」

 至近距離で、引き金を引く二人。
 二人は、銃を中心にしながら、回るようにして、放たれる銃弾を避けていく。銃弾が、床に突き刺さり、火花を散らせながら、二人は、離れながら銃を撃ち合う。銃を避けながらも銃を放ち合う。レヴィの体に突き刺さる痛み……。

「ちっ……さっきの蹴りがきいてんのか」

 レヴィは、目を細めながら、アルファルドが笑みを浮かべている表情を見る。

「……永遠に我慢し無理をすること、そんな人生に何の意味がある?」

 アルファルドは、レヴィが痛みを抱えていることを知り、距離を詰める。レヴィは、後銃撃を避けながら、もう片方の銃……カトラスを捜す。

「みんな、そんな矛盾の中で生きているんだ……。我慢をして、無理をしながらな。なんでか、お前にはわからねぇーだろうな」

 息を乱しながら告げるレヴィをアルファルドは追いかける。体を回転させ、銃を避け、放つ。それは、レヴィの体を貫通した。レヴィは、床に転がりながらも、その先にある、カトラスを握りしめる。

「……お前のような奴に、抵抗している人間が、今も、色々なところで戦ってる。みんな誰に感謝されることもなく、命をかけてな。だけど、そいつらは世界のためとか、そんなことは欠片も思ってねぇ」

 血が流れる中、レヴィは、顔をあげる。
 アルファルドは自分を見下ろしながら、立っていた。

「お前から説教されるとは思ってなかったな?」
「うるせぇ!!」
「……だが、結果はどうだ?私を求める人間もいる」
「あの、発狂女と、どっかの日本人か……」
「代表的なものは。だが、それ以外にもいるはずさ。胸にため込んだものを吐き出す、きっかけを求めている者たちが……」

 レヴィは、かつてこの地に訪れた際に、自分達と同じように、生と死の境目で刀を握り、戦った男を思い出した。彼らは、決してヨルダンや、イスラエルにいたわけではない。平和の代表である日本にいた。そんな地でさえも、アルファルドのいう、混沌を、血を求める人間がいる。

「お前にはわかる筈だ、そういった人間たちが闇に染まったら、もう戻れない」
「……染まっていればな?」
「フ、フフフフ………」

 アルファルドの笑みに対し、レヴィは目を細め……にらみを利かせながら、立ちあがった血に濡れた二挺拳銃は、目の前の蛇と対峙する。




Side 毒島冴子



 廊下に響くカナンの声に、冴子は、握っていた剣を震わせる。

 頭の中に駆け巡る一瞬の記憶……。

 それは、学校にと通う自分の姿、登下校道を、歩きながら、自分を追いかけるように走ってくる孝、そして、彼のクラスメイト。冴子は、そんな彼らを見て、笑いながら心地よい風が通る道を歩いていく。

 剣道部として一人、オレンジ色に染まる道場で竹刀を振う。そんな姿を見ながら、腕を組み、私を見る宮本麗。彼女は、棒術でかなりの腕があると言っていた。勝負をしたいと、彼女は言ってきた。勿論、それだけの理由でないことを冴子は知っていた。

 からっきしダメな、機械に関しては、平野君に力を借りたこともある。高城沙耶には、孝のことで、麗と決着をつけるようになどというアドバイスを受けたこともある。

 学校生活。

 今の冴子にとってはどうでもいい、どうでもいい……はずの記憶。だが、それが、電流のように、自分の頭の中を駆け巡った。冴子は、膝を落として、片手で頭を抑える。目を閉じ、痛みをこらえながら、冴子はカナンを見る。

「冴子……」
「私は……これを求めている!!」

 片手で頭を抑えながら、顔を歪める冴子は、刀を握り、カナンを見る。カナンの眼には、冴子の色が、再度混乱を現していた。

「負けるな!貴方なら……戻ってこれる!」
「黙れっ!!」

 冴子は、足を踏み出し、切りかかる。カナンは、銃を放ち、冴子の動きを止めようとする。冴子の視界にはしっかりと、カナンの放った銃弾が捉えられていた。真っ二つにとして、冴子は、カナンを追う。だが、今度はカナンも逃げてばかりではない。カナンは、冴子の刀をしゃがんで避け、胴体を蹴ろうとする。冴子は、その動きを読み取り、蹴ろうとした足を、膝で、叩きおとす。だが、カナンは、今度は身を回転させ、冴子の両足を、横にと蹴り、バランスを失わせる。

「くうっ!!」

 冴子は、床に倒れると、目の前に迫るカナンを見る。

「私は……もう、元には戻れない!あの生活も、すべて、私は捨てた……捨てたんだ。私には、この血に飢えた世界でしか生きていくことができない。私は、敵を葬り、苦しむ姿を見て、笑っている。元々、壊れているんだよ!私は!」

 冴子は、立ち上がりカナンにと切りかかる。冴子は、カナンに反撃の隙を与えないように、腕を振り、カナンを追い詰めていく。髪の毛を乱しながら、カナンは、冴子の心がますます、混乱に満ちていくのを知る。

「はああっ!!」

 冴子は、頭の中にかかった靄を切るように刀を振り続ける。カナンはそれを避けながら、軸足を、踏みつけた。カナンにとって、混乱した彼女の心は読めなくても、カナン自身が経験した戦闘で、冴子を止めることが出来る。冴子の動きを止めたカナンは、冴子を見た。

「壊れている……貴女はそう言った。だが、本当に壊れている人間が、マリアを助け、友人からの声に反応するはずがない!」

 軸足を抑えられたことで、動きが止まった冴子。そんな冴子に対して、カナンは大きな声で、冴子に怒鳴りつけた。冴子は、目の前で自分を必死に説得しようとするその少女を眺めながら、自分の闇を見せた際、必死になって、それは違うと言ったマリアとカナンの姿が重なった。

「……貴女は、自分を誤魔化しているだけだ。壊れてなんかいない、ただ……自分を偽っているだけだ、逃げているだけだ!!」

 カナンの言葉に、冴子は、顔をうつぶせる。

 なぜ、彼女はここまで自分を止めようとする?それがマリアの意志だからか……。放っておいてくれればいい。私は人を殺した。そんな私が孝達のもとに帰れる資格などないのだ。狂気のままでいれば、何も考えなければ、苦しむことも……なかったのに。

「冴子、貴女には……まだ様々な人との糸が繋がっている、そうじゃないのか」

 冴子は、刀を振う。
 カナンは冴子から、距離をとった。冴子は、追撃をせず、刀を振り、血を払う。前髪を垂らした奥の目が光った。

「カナン……、決着をつけよう」

 冴子は、刀を構えながら、カナンを見つめる。
 カナンの視界に移る冴子の姿は、凛とした美しさがあった。そして、その色は、ギラついた青色はなくなっていた。

「……冴子」

 カナンは言葉を放とうとした、だが、冴子の眼は、そして色は、カナンに思いを伝えていた。廊下は、血が飛び散り、空が、少しずつ明るくなりだしていた。二人は、距離を保ち、動かぬまま、互いの武器を、握っていた。


地平線から漏れた光。
光が、二人を照らした。


冴子は、距離を詰め、刀を振った。
そして、大きな銃声が、廊下にと響き渡る。












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