注意
・原作レイプ(主に一刀)と思われる箇所があるかもしれません
・一部のキャラの性格が変わっています
・多分に文章が下手なのでご了承ください
・この小説は私が書いている小説のR15版です
・書き換えているところや設定を変えているところもありますので、ご注意ください
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―――「其の者白き衣を纏し者。流星に乗ってこの地に降り立ちその智によって戦乱を収めん…」
時は後漢末。現代ではこの時代のことを書き記した数多の書物の題名を飾る名前「三国志」。
これは、この時代で必死に生き抜こうとする少年の物語である…
「……え~っと…」
少年が目にしたのは、どこまでも広がる広大な自然の荒野。この光景に暫くぽかんとしていた
この少年。烏丸 渚(からすまなぎさ)。聖フランチェスカ学園一年生。部活は剣道部。趣味は家の手伝い
彼の家はこの辺でも珍しい『メイド喫茶』。そこでバイトがてら店を手伝うのだ。
このメイド喫茶は、あの「英雄王の英霊」が来店し、料理・サービス・内装などなど、全てにおいて“最上級”を貰ったとか貰わないとか。
そんな渚はこの光景を見る三十分前までは家の手伝いをしていた。
―――メイド喫茶「ファンタスティク・ナギー」
「お帰りなさいませ、ご主人様」
「ナ、ナギーちゃんだぁぁぁ!!!」
「ふぉぉぉぉっ!!!」
「長年通い続けた甲斐があったのですよ」
ナギーこと渚はそんな彼らを苦笑して見ている。
そう、渚は一ヶ月に一度の割合で、ここでメイドとして働いているのだ。女装までして働くのは、なぜかバイト代が諭吉が二枚も出るからだ。これは正直ありがたい
たまーに、桜の大紋をつけた方々も来る。まさか…犯罪を!?なんて勘ぐるときもあるけど、純粋にお客様らしいのでひと安心。
この店はひと月に一回、人気投票を行なっているのだ。一人二票。
渚はこの人気投票二年連続No.1なのだ。母はそれにあやかって、名前にナギーを入れたりもしているのだ
これから席に案内しようとする渚に、母・湊から声がかかる
「ナギーちゃん、卵無くなっちゃったー、買ってきて~」
「ええ?自分で行ってくださいよ!」
「いいからいいから!そこのボウヤ達は私が面倒見るから」
「…すぐ帰って来ますから、イジメないでくださいね?」
「はいはーい!」
軽い口調の母・湊に幾分、心配しながら、渚はお使いに出ていった
「まったく…買い物ぐらい、自分で行けばいいのに…」
そんなことをごちりながら、卵、五十個が入った袋を手にぶら下げて歩く渚。
取り敢えず、早く帰ろうと小走りで駆けたとき、横から人がぶつかってきた
渚と少年は尻餅をついてしまう。その弾みで、少年の持っていた鏡が上に放り投げられる
そして、鏡がくるくると回転しながら落ちてくる。渚はそれを見ずに、少年の顔を見ていた
「ほ、北郷先輩…?」
「…ちっ!」
北郷一刀。学園でもかなりのモテ男だ。なんで北郷先輩がここに?
そんな渚の疑問は、光に打ち消された。鏡が地面に落ちて割れ、そこから強烈な光が放たれたのだ
「うわぁぁぁっ!?」
「しまっ―――」
渚の意識はここで途切れ、目覚めたときは一面の荒野が広がっていたのだ
―――???の荒野
「ここ…どこなんだろう?」
渚はキョロキョロと辺りを見渡す。一面、荒野である。
わかるのは、ここが荒野であること、それだけ。その事実に頭を抱えてしまう渚。
そこで、渚は一刀のことを思い出す。あの光に巻き込まれたのなら、近くにいるのではないかと。
思い立ったら吉日。渚は立ち上がって土埃を払い、一刀がいないか探す。
「あれ~?いると思ったんだけどなぁ…居ないのかな?」
辺り一帯を探したのだが、一刀のかの字も見当たらない。
もしかして、あの場に残ったのだろうか?
首をかしげながら歩いていると、目の前から馬に乗った人がやって来た。馬って…なんか時代がかってるなぁ
そして、乗っていた女性二人が降りて渚に近づいてくる。渚はそれを物珍しそうに見ていた
「申し訳ないが、この辺で流星を見なかったか?」
「流星…?見てないですけど」
「そうか…もう行っていいぞ」
…何だったんだろう?
黒い髪の女性に言われて、そのまま通り過ぎようとする。
通り過ぎた渚を、その後ろ姿を見ていた青い髪の女性が呼び止める
「待て」
「な、何ですか……っ!?」
渚が振り向くと、青い髪の女性が矢を番えて弓の弦を引き絞っている
その目付きは、獲物を狙う鷹のようで
その立ち姿は、一種の芸術性が垣間見えるようで、渚はその立ち姿に見惚れてしまった
そして、青い髪の女性は淡々とした口調で渚に問いかける
「お前は流星を見ていないといったが…お前がやってきたのは、流星が落ちたとされるところの近くだ。街の人間が見ているのに、近くにいたお前が見ていない訳がない…どういうことか説明してもらおうか?」
その言葉に、渚は押し黙ってしまった。はっきりと説明できないのだ。
確かに流星は見ていない。だが、見ていないという証拠もない。
「それにその衣服は、この地方の衣服ではない…ここから推察するに…貴様は天の御遣い本人か、其れに準ずるものと見た…どうだ?」
…天の…御遣い……?
渚は威圧感を放つ青い髪の女性を見ながら、聞き慣れない言葉に首をかしげる
それを見た青い髪の女性は引き絞った弦を戻し、弓矢を直す。
「姉者、その娘を拘束して連れていこう」
「うむ。さ、おとなしくしろ!」
「おとなしくしろって言われておとなしくしないよ!其れに、ボクは『男だ』!」
「「なんだとっ!?」」
二人は、これでもかと言わんばかりに驚いている
渚は、あまりの驚きように顔を引き攣らせた
今まで、数多の人に驚かれたのだが、この二人は驚き方は異常だった
まるで、「なんだこの生物は!?」みたいな…
「ととっ、取り敢えず連れていくぞ!秋蘭!」
「あ、ああ…そうだな」
渚は黒い髪の女性に羽交い締めにされる。そして両足と両手を縛られて馬に乗せられる
「ぐぅぅぅ!!!はーなーせー!!!」
「ええい!おとなしくせんか!」
「行くぞ、姉者」
「おう!」
渚は、ジタバタ暴れながら、二人に連れ去られた。
どうなるんだ、ボク…
―――陳留・???の城、玉座の間
ドシャっと縛られたまま、床に放り投げられては黒い髪の女性を睨む
だが、本人は前を向き、膝をついて頭を下げている。それは青い髪の女性も然り
「これが件の『天の御遣い』?…まさか女の子とはね」
玉座の間の一番奥に座する金髪の少女が品定めをするように視線を投げかけてくる。渚はその視線に何か、悪寒めいたものを感じた
「あ、いえ…こやつ、どうやら男だそうです」
「…は?…よく聞き取れなかったわ、もう一度言ってご覧なさい」
「はっ!この者は男だそうです、華琳様」
こめかみを抑えて、もう一度聞く少女――華琳は、その言葉を理解できなかった。正しくは、理解したくなかったといったほうが良いだろうか。
「冗談よね?春蘭。こんな可愛いひらひらの服を着けているのが男だなんて・・・」
「…申し訳ありません華琳様。こやつがこう言い張る以上は、男ではないかと…」
「ならば、首を刎ねなさい…我が城に男は必要なくてよ」
はぁっ!?なんて無茶苦茶な女なんだよ!
「はっ!…我が七星餓狼の露となれるのだ、誇りに思うがいい!」
黒髪の女性――春蘭が大剣を振りかぶる。
それを見た渚は、足掻こうにも足掻けない状況に、命のリミットを感じた。
だが、その剣が振り下ろされる前に、意外なところから待ったの声が掛かる
「お待ちください、華琳様」
「…何?秋蘭…まさかとは思うけど、庇い立てするつもりじゃないでしょうね?」
「いえ…気になっていたのですが、こやつ…私が殺気を放った時に、平然としていたもので…」
「それが何?それがこれを生かす理由にはならないわよ?」
…これ扱い?何この女…
苛立ちを見せる金髪の少女に青髪の女性――秋蘭が一層頭を垂れて、説明する
「もしや…こやつ、我らの殺気を受けても平気な環境で育ってきたのかもしれません…一度、試させてもらってもよろしいでしょうか?」
華琳も何となく、その疑問が見えてきた
秋蘭は我が軍きっての名将。本気で殺気を放てば、そこらの賊ならそれだけで逃げ出すだろう。
怯え、逃げ出すならそこまで。だが、受けきれば…
「いいわ、試してみなさい。万が一にも耐えたのならばここで召し仕えるとしましょう」
「はぁっ!?何勝手に―――」
「黙れ!下郎!」
秋蘭が声を張り上げると同時に殺気を浴びせかける
賊なら逃げ出し、子供ならばそれだけで気絶するほどの殺気を。
華琳は渚を見、春蘭はざまぁみろといった表情で見ている
そして、渚は顔を上げて秋蘭を見て言い放った
「…下郎って、何?」
「そこは関係ないわ」
秋蘭に問いかけたのに、何故か華琳から突っ込まれてきょとんとする渚
それを見た華琳はいたく面白そうに笑みを浮かべる
「ならば…これはどうかしら?」
華琳の一言で一気に玉座の間の空気が変わる。
華琳が、殺気と威圧感を開放し、春蘭や秋蘭を含めた三人にぶつけてきた
二人は、膝をついたまま耐え忍んでいる。渚もいい知れぬ圧迫感に冷や汗を垂らす
殺気ではない、強烈な圧迫感に渚は華琳に目が釘付けになる
「あら、よく気絶しなかったわね…どうだったかしら?」
「いや…凄かったよ、まるで本気のじぃちゃんと向き合ったみたいだよ~。でも殺気が途中でわかんなくなっちゃって…」
華琳はクスクスと笑みを浮かべながら渚を見る。
最初は、殺気と覇王としての威圧を放っていた。だが、途中からは殺気を放つのを止めた
華琳には殺気よりも覇王としての威圧が効くと判断したため
「あなた…面白いわね。合格よ、ここで召し仕えてあげる」
「いや、ちょっと…」
「断るならここで斬るわよ?敵になられても面倒だから」
渚が出す答えは…一択だけだった
「はぁ…わかったよ」
「そう。私は曹孟徳。よろしく」
―――は?
渚はその名前に目を丸くして驚いた