前書き
どうも、駆け出し男です。
名前の通り文章書きとして駆け出しですが、頑張って行きたいと思います。
攻略サイトや各種雑学のサイトを参考にして数値や日数の計算をしていますが、自分でも落胆するほど無知だと思うので、その辺りはスルーするか適宜報告下さい。
なお、この先独自解釈やファンタジーを一部否定するようなSF的な描写を出すことになると思いますが、お固くならないようにしますので敬遠しないよう願います。
目指すは完結。では始まりはじまり
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――――目が覚めるとドラクエの世界に来ていた。
1、
アリアハンの管理するこの港は、まだ朝を迎えてなかった。
風はひんやりと冷たく、まだ薄暗い町は俺とルイーダさん以外人影がほとんどいない。
「どうしても行くっていうの?」
そうルイーダさんは言った。
「ええ、ここも居心地が良いんですけどね。やっぱり、帰らなきゃいけない所があるので」
ゲームでは海マップから二マスは離れた位置にあるアリアハンだが、俺が流転してきたこの世界のこの国は、海まで広がる町並みを持っていた。つまり、船が出ているのである。
「密航なんて危険なだけよ? 海の魔物は危険で、難破もするかもしれないし、船の水夫に見つかったらただ働きで危険な事させられるかもしれない。下手したら海に捨てられちゃうかも」
「……、」
俺は密航をする為に、今からダーマへの交易船に忍び込もうとしているのであった。だからわざわざこんな早い時間に旅仕度をまとめてここに立っているのだ。
「……ねえ、今ならやめられるのよ? ダーマに行ったって、徳になることなんてないかもしれないのよ。だって、まだ行ったことがないって、そういう意味よ」
引っ越しや転居とはそういった苦労が付き物だ。以前の幸福を噛み締めるのだって、やってみなければ解らないのだ。やってみたら、やっぱり過去の方が良かったのだと再発見するかもしれない。しかも今この世界は魔物が跋扈する混沌とした状勢であり、行き先の情報などどの国からも少ししか入ってきていないのだから――。ルイーダさんはそういうような事を、確認するように俺に語った。
――しかし、俺にとっては当て嵌まらない話だった。
「……大丈夫です。俺、ダーマの状勢には詳しいんです。あの辺りには俺の求める物への……快速切符みたいなものが置いてあるんです」
「……それも、“詳しくは話せない知識”ってやつなのね」
ルイーダさんは、さみしさの混じった苦笑を浮かべた。
――ああ、この人は本当にいい人なんだな。
こんな俺みたいな素性が知れない奴の為に一々感情を動かしながら、冒険者を管理する仕事を続けるのは辛いのではないのかと、ぼんやりと考えた。
――話をしている内に辺りが徐々に騒がしくなってきた。そろそろ船員が起き出す頃なのだろう。
「じゃあ、そろそろ行かなきゃいけないので、呪文お願いします」
「……解ったわ。ホント、不思議な体質よね。寝るまで補助呪文の効果が切れないなんて。じゃあいくわよ」
いつもは持っていない杖を俺に向けて、ルイーダさんが俺に何度も暖かい光の波を投射した。
……俺は出会いや幸運などの、いくつものありがたい恩恵を受けとっていたから、この冒険をすると決意できた。
この世界へはどうやってきたのかも、何の理由で来たのかもわからないが。 それでも、神様ってやつに感謝しようと思えた……。
「じゃあ、いってきますっ!」
「はい、いってらっしゃいっ!」
…………例え、俺の最大HPが1しかなくても。俺は、幸せな気持ちで幸せに旅に出たのだった。