「ふっふっふ。ついにどちらの巫女が優れているのか、決着を付ける時が来たようですね霊夢さん!」「アンタ、自分は風祝だって散々言ってたじゃない」「こういう時は空気を読んでくださいよぉ……同じでなきゃ宿命の対決にならないじゃないですか」「大した因縁も無いでしょう、私達」「あれ!? 壮絶にキャラ被りしてると思ってたの私だけなんですか!?」「どこらへんがよ」「例えばその、服装とか………」「役割が似通ってるんだから、着る物が似るのも当然じゃない」「淡白! あまりにも淡白ですよその反応は!!」「どーいう反応を望んでんのよアンタは」「だからこう、一作目から続くライバル関係の二人がぶつかったような熱いやり取りを」「最近来たばっかのアンタにそんな事を言われてもねぇ」「ううっ、もう少し敵対心を持ってくれても良いじゃないですかぁ」「持ってるわよ。守矢神社には」「え、そうなんですか?」「ええ、アンタらのおかげでこっちの商売上がったりだから」「……それはあんまり、私達関係無い様な気が」「そうね。この際だからアンタはボッコボコにしておこうかしら」「え、えええええ!? なんだか、思ってたのと違う方向性にやる気を出されてますぅ!?」幻想郷覚書 聖蓮の章・漆「聖天白日/Witch hunting by the Witch」「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!」「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!」 別に奇妙な冒険ごっこしているワケではありませんよ。どうも、見てるだけの久遠晶です。 似たもの師弟が互いの力を無駄に合わせてしまった結果、元気玉みたいな巨大なエネルギー球が形成されてしまいました。 それを躊躇なく相手にぶつけようとしている所に、この二人の容赦の無さが表れていると思います。ええ。 しかし普通、こうして一撃必殺級の力が溜まったらソレを支配しようとエア相撲してるみたいに押し合いへし合いするモンじゃ無いのかな。 だと言うのに魔理沙ちゃんと魅魔様は、お互いに操作を片手で行いながら反対の手でエネルギー球に向けて弾幕をばら撒いていた。 その光景は、エネルギー球に餌をやっているという表現以外に相応しい言葉が見つからない。 どうやら二人はより強い力を与える事で、この支配権の奪い合いに勝とうとしている様なのだ。――馬鹿じゃないかな。「どうした、弾幕の勢いが無くなってきたぞ?」「そりゃこっちの台詞だ。息切れしてきたんじゃないのか、偽物さんよ!」「うん、この身体意外とパワー無いんだよね。魅魔様ビックリ」 当たり前です、魔法の魔の字もカジッてないド素人に無茶言いなさんな。 魔法使いの知り合いが三人居て、更に身体の中に悪霊まで飼ってると門前の何とやらで魔法や魔法使いの事も少しは分かってくる。 魔法にとって必須である「魔力」と言う力は、霊力のように全ての人が持っているモノでは無いのだ。 技術的な面でのみ言えば、魔法使いと言うのはつまり「生命力や霊力を魔力にコンバートできる存在」なのである。 まぁ、本当に力そのものを変換しているのか、霊力や生命力を生贄にして魔力を引き出しているのかは分かりませんけどね。 僕は生命力を『気』として増幅したり強化したり出来るけど、素のスペック自体は至って平凡だからなぁ。 ……平凡なんですよ? 色んな能力を使って誤魔化しているだけで、デフォルトはただの人間なんですからね? 本当に。 『気』そのものは魔力にコンバート出来ないみたいだし、そういう意味では僕に魔法使いの才能は無いと言えるのかもしれない。〈や、少年はわりと才能ある方だよ? 本気でコッチの道に進めば良い魔法使いになるかも〉 ……そうなんですか?〈ぶっちゃけ、才能だけなら魔理沙より上だね〉 魅魔様は、師匠としてもうちょっと魔理沙ちゃんに気を使った方が良いと思う。〈魔理沙は凡人だから良いのさ〉 いや、だからその歪んだ愛情はどうにかならないんですか悪霊さん。 そろそろ聞いてる僕の方が参ってきました。魔理沙ちゃんだって知ったらきっとドン引きですよ? 〈くっくっく、分かってないなぁ。凡人だからこそ魔理沙は最高の魔法使いになれるのさ、半端な才能なんぞあっても邪魔なだけだよ〉 はへー、そういうモンですか。〈まぁ、才能でゴリ押ししてる少年にゃ分からんだろうなぁ〉 そういう極める必要がある系統の事は確かに良く分かりませんが、ゴリ押し呼ばわりは納得できないです。 例え実際にそうだったとしても! 僕は僕なりに色々と頑張っているのですよ!!〈ウンソウダネ。ところで少年、ちょっと相談が〉 はぁ、なんですか?〈この勝負どうやって収拾つけよう〉 知らねーよ! 想定した上で勝負してたんじゃ無いんですか魅魔様!!〈思ってたよりも魔理沙が強かったんだよー。少年の身体は勝手が違うしさー、だから魅魔様ちょっとお困りなんだよ〉 師匠としてどうなんですか、ソレは。〈別に勝てないとは言ってないさ。ただ……このままだと、勢い余ってヤッちゃう可能性がね〉 ああ、なるほど。負けはしないけど、魔理沙ちゃんを五体無事にして勝つ事も難しいワケですか。 どうやら、魅魔様にとってもあのエネルギー球の形成は予想外だったらしい。 大概の方がオーバーキルされてしまうあの球体を、魅魔様も結構持て余していたようだ。 つーか、それなら無駄にアレを強化させる真似しないでくださいよ。魔理沙ちゃん殺す気ですかアンタは。〈いや、アレはテンパった魔理沙の無茶に付き合っただけだよ〉 ……平然としていた様に見えたけど、アレで実は混乱していたのか魔理沙ちゃん。 まぁ確かに、彼女は予想外の事態には弱そうだったけどさ。〈とは言え、魔理沙はそうやって追い詰められてからが強いんだけどな! 逆境になるほどアイツは強くなるんだよ!!〉 バカ師匠ですね。〈せめて師匠バカって言えよ!!!〉 自覚はある様で何より。 で、どうするんですか魅魔様?〈まー、魔理沙なら何とかするだろ。それじゃ全力で叩き潰すぞー!!〉 そんな軽いノリで勢い余っちゃうおつもりなのですか。酷くない? 確かに、魔理沙ちゃんならそんな事態でも対処出来そうな気がするけどねー。 ……身体は僕だけど、やらかした場合の責任は取りませんよ?〈ダイジョブダイジョブ。と、言うわけで〉「――行くよ!」 そう言って、魅魔様はスペカをブレイクさせエネルギー球の支配権を放棄した。 散々に二人の力で強化されたエネルギー球は、魔理沙ちゃんの意志に従って真っ直ぐこちら目掛け飛んでくる。 渦巻く圧倒的な力。どう考えても個人でどうにか出来る物では無いが、魅魔様は構わずフォースを構えて直進した。 えっと、まさか投身自殺を志望しているとは思いませんが……あんな出鱈目な力をどうするおつもりで?「言っただろう? 魅魔様の弾幕は、パワーだけじゃ無いってな!!」 ―――――――闇夜「アケローンの渡し守」 新たなスペルカードの宣誓と同時に、前方に掲げたフォースが前面に巨大な四本の輝く牙を展開する。 それは球体に噛み付くと、まるで綿菓子を巻き取る割り箸のように球体の光を取り込み――靈異面を頭部とした巨大な竜を形成した。〈どうだ! これが技の極みってヤツさ!!〉 いや、これはどう考えてもテクニックと言う名の力押しでしょう。 〈……少年はさ、もう少し魅魔様の気持ちを盛り上げる協力をしてくれても良いと思う〉 ウダウダしてると身体乗っとり返しますよ。「ったく、世知辛い世の中だな!」 光の竜はその身を軽く揺らがせながら、雄大な姿に反した速さで魔理沙ちゃんへ突撃を仕掛ける。 さすがの魔法使いも目の前で起こった光景に唖然としていたが、彼女も伊達に霊夢ちゃんに次ぐ異変解決人と呼ばれてはいない。 即座に事態を把握した魔理沙ちゃんは箒を翻し、擦るようなスレスレの差で何とか竜との激突を回避した。 やるなぁ。馬鹿みたいに広い当たり判定の物体が、かなりのスピードで向かってきたのにキッチリと避けるとは。 ……ただ回避に専念するだけじゃ、このスペカは攻略できないだろうね。 そもそも根本的にパワーが違いすぎるのだ。二人分の全力スペカのエネルギーを纏めた攻撃が、時間経過だけで何とか出来るはずが無い。 魅魔様もそれを理解しているのか、不敵に微笑みながらゆっくりと方向転換した。「どうした魔理沙、逃げ惑うだけか? あんまりあたしを失望させないでくれよ」 「はんっ、私の大活躍はこれからだぜ!! 見てな!」 今度は魔理沙ちゃんがスペルブレイクを行い、光を纏って竜へと真正面から直進していく。 ……攻撃がスペカじゃない? 確かに並の弾幕で対抗出来る攻撃じゃ無いけど、だからってソレは自暴自棄になり過ぎじゃ。 こっちの疑問に構わず、魔理沙ちゃんは自ら輝く竜に飲み込まれる。 魔力を纏ってるおかげで少しは抵抗出来ているようだけど、そんなの一瞬持つかどうかの――ん?「どんなデカい化け物も、腹ン中まで無敵ってワケじゃないだろうよ!!」 碌な抵抗も出来ていない状態で、魔理沙ちゃんは躊躇なく八卦炉を持った右手を竜の中に突っ込んでいった。 当然、暴力的な力の塊は容赦無く彼女の右腕を焼いていく。 しかしそれでもなお、魔理沙ちゃんは苦痛に顔を歪めながら閃光の中に腕を押し入れている。 ……僕もまー、以前にねーさまとの戦いで似たような真似をした事があったけどさ。魔理沙ちゃんも同程度に無茶苦茶するねー。 でも確かにこの手なら、こっちの光竜を何とか出来る――かもしれない。 何しろこちら……と言うか魅魔様も、厳密に言うとエネルギー球の力を百パーセント制御出来ているワケでは無いのだ。 そもそも竜の形をしているのは、制御出来なくて引きずる形になった力が多過ぎたが故の状況なのである。 外部から簡単に崩せるほど脆い弾幕では無いけれど、想定していなかった箇所からの攻撃を耐えられるほど安定してはいない。 つまりこの一撃を喰らえば、光の竜はほぼ確実に爆散するのである。 ――ちなみに崩壊の余波は間違いなく両者へと襲いかかりますが、魔理沙ちゃんは気にしてないでしょうねウン。「さぁ、一緒に吹っ飛んで貰うぜぇぇぇぇええ!!」「面白い、来な!」 挑発せんでくださいよ、この状況で!? ―――――――星符「メテオニックシャワー」 星の弾幕が竜の内部へ降り注いだ。威力はそこそこだが、その乱雑な軌道は光の流れを十二分に掻き乱す。 やがて乱れた竜の身体は巨大な光球へと変わり――眩い輝きと共に、圧倒的な爆発を巻き起こした。 やっぱりこうなったじゃんかー! どうすんだよ魅魔様のばかーっ!!〈大丈夫、その為のフォースだからな!!〉 即座にスペルブレイクして、魅魔様はフォースを中心に薄い光の膜を形成する。 弾幕の吸収よりも軽減を主眼に置いた、所謂一つのバリア的な代物である。と言うかもうバリアそのもので良いや。 しかしあくまで一部の軽減なので、当然の如く全てを防ぐ事は出来ない。 平たく言うとバリアがあっても超痛い。何度も言うけど喋りなどを自粛しているだけなので、痛覚とかはバッチリ共有してるんです。 魅魔様も意外とそこらへんは気を使ってくれていたみたいなんで、これでも被害としては最低限なのかもしれないけど。 やっぱり直撃はキツいっす。うぐぅ、防げなくてほぼ直撃な魔理沙ちゃんは大丈夫なのだろうか。「なっ……めんなぁぁぁああ!!」 魔理沙ちゃんの放っていた弾幕の勢いが増し、防壁となって彼女を閃光から守った。 掻き回すのを前提とした、低威力のスペカでこれを防御するとは……さすが魔理沙ちゃんだねぇ。 この感じだと、双方致命打にならないって感じかな? だとすると――魅魔様?「おー、頑張った頑張った――なっと!!!」「…………へ?」 閃光が晴れるのと同時に、魅魔様が魔理沙ちゃんに襲いかかる。 もちろん、魔理沙ちゃんだってそれくらいの事態は予測していたのだろう。 だからボロボロの状態でも、フォースや靈異面から目は離さなかった……のだけど。 魅魔様は何故か腰に取り付けていたロッドを取り出し、展開し、魔理沙ちゃん目掛けて振り下ろしたのだった。「なん、で――きゅぅぅ……」 あ、当たった。つーか、エグいくらいにイイ音したよ今。 ……散々偽物呼ばわりしてたけど、やっぱり魔理沙ちゃんも彼女が本物の魅魔様だと思ってたんだろうなぁ。 だからこそ、本来の魅魔様なら絶対に有り得ない攻撃方法を予想する事が出来なかったのだろう。 何度も言うけど僕の体をそのまま使用してるから、実は鎧による増幅が無くてもそれなりに近接格闘出来るんだよね。 だから魅魔様の行動には何の問題も無いんだけど――良かったんですか? こんな終わり方で。「ふっふっふ。甘い甘い、甘いよ魔理沙。まだまだ修行がたりないね。わーっはっはっは!」 不満が無い所か超ご満悦だった。 気を失ってゆっくりと落ち始めていた魔理沙ちゃんを優しく抱きとめ、魅魔様は心の底から大笑いする。 物凄い大人げない勝ち方をしたとは思えない、実に満足そうな笑いだった。 ……魅魔様、もう一度聞きますが本当にコレで良かったんですか?〈良いんだよー。あたしはね、何よりもまず魔理沙に立派に成長して貰いたいのさ。師弟感動の再会は二の次で良いんだよ〉 なるほど。……で、その事とさっきの不意打ちに何の関係が?〈こんな負け方をすれば、魔理沙はきっとあたしの存在を認めないだろう。実際の所どう思っていようと、だ〉 まぁ、トドメが「棍でしばき倒す」でしたからねぇ。 ソレを本人がやったとは、魔理沙ちゃん的に認めがたいモノがあるのでしょう。 と言うか、僕もちょっとどうかと思います。トドメくらい魔法を使ってくださいよ。〈うぷぷ。つまりあの魔理沙が、尊敬する魅魔様の偽者に負けたワケなんだよ。相当悔しがって努力するぜー、魔理沙の事だから〉 次に会う時はどれだけ成長してるかなー、とニヤニヤ笑いながら魔理沙ちゃんの頭を撫でる魅魔様。 その歪みきった愛情の形に、僕は他人事ながら何とも言えない気分になるのだった。 ―――何が嫌って、そんな魅魔様の愛情表現が幻想郷だとスタンダードな部類に入る事が嫌です。◆白黒はっきりつけますか?◆ →はい いいえ(このまま引き返してください)【教えろっ! 山田さんっ!! りべんじっ!!!】山田「くぅ~疲れましたw これにて完結です! どうも山田です」死神A「いや、何一つ終わってませんよ!? し、死神Aです」山田「山田さん、ちょっと腹黒なところも見えちゃったけど……気にしないでね!」死神A「……ちょっと?」山田「私のかわいさは二十分に伝わったかな?」死神A「ひょっとして、全員分を言うまでボケ倒すつもりですか?」山田「では最初の質問でーす」死神A「答えるなり続けるなりしてくださいよ!?」 Q:魔理沙が魅魔様好きすぎるとのことでしたが、あくまで師と弟子の関係でですよね?山田「当たり前だ」死神A「山田様、もうちょっと言い方を柔らかく」山田「普通の魔法使いは、かなり幼い段階で勘当されてますからね。魅魔様は彼女にとって母親に近い存在なんです」死神A「……マザコン?」山田「間違ってません。ちなみに父親的存在は霖之助です、異論は認めない」死神A「霧雨魔理沙の両親はまだ存命って言うか、人里で普通に元気にやってますけどね」山田「二次創作で具合は違いますが、天晶花では比較的緩い勘当です。まぁ、魔法使いは勘当後一度も霧雨商店に顔出していませんけどね」死神A「……比較的緩い勘当ってなんですか」山田「家出の延長みたいなもんです。プチ勘当とでも言いますか」死神A「そんなもんにプチ付けて可愛らしくされても困りますよ……」山田「可愛いじゃないですか、プチ断食みたいで」死神A「ど、どこらへんが!?」 Q:前回流れ弾とか書きましたけどキャーイクサーンみたいな人が流れ弾幻想面に当ててすぐに誠意を込めて謝った場合幻想面は攻撃してきますか?山田「A.その質問については現在調整中です(13/3/11)」死神A「早速活用せんでくださいよ!? そんな厄介な質問でも無いでしょう?」山田「まぁ、答えはシンプルに「戦意が無いなら無視されます」ですけどね。もう幻想面関係の質問は全部コレで行こうかと」死神A「いや、質問コーナーの存在意義を放棄しないでくださいよ!?」山田「じゃあ「あなたがそうだと思うものが幻想面です。ただし、他人の同意を得られるとは限りません。」とか」死神A「全然変わってませんって!」山田「正直、作中で言った私の気持ちは本当だよ!」死神A「引用するなら通じるように改変してくださいよ!? っていうか今頃ですか!」山田「……ありがと」ファサ死神A「意味が分かりませんって! だから、幾らなんでも使い方が無理矢理過ぎですよ!!」山田「残り一人は……まぁ良いか、使わなくても」死神A「色んな意味で悪意が有り過ぎる!?」山田「では」山田、覚、隙間、AQN、⑨、兎詐欺「皆さんありがとうございました!」 山田、覚、隙間、AQN、⑨、兎詐欺「って、なんで死神Aが!?」死神A「ツッコミ切れるかぁ!?」山田「貴女今回、感嘆符込みのツッコミ多過ぎません?」死神A「山田様が好き勝手するからですって……」 とぅーびぃーこんてぃにゅーど