「ブラッディレミリアの名において、これより円卓会議を開催する。――皆、揃っているか?」「グラップラー美鈴、ここに」「デストロイヤーパチュリー、さっきからずっとここに居たんだけど」「えぇい、ノリが悪いな! 最初はさも突然現れたかのような感じで振舞えといつも言っているだろうが!!」「スカーレットマスク、参上致しました」「そう、こんな風にだ――ってコラ。お前は謎の第三勢力なんだから、ダークスカーレット・エンパイアの会議に参加してはいかん!」「えっ!? 咲……スカーレットマスクさんって、ウチの助っ人キャラじゃなかったんですか!?」「私も助っ人だと思ってたわ。だって、初登場時の第一声が「お嬢様に害を為す者を私は許さない」だったし」「あ、あれは私の指示ではない! あの時、私はスカーレットマスクに「どこか高い所で見物し、最後に自己紹介して立ち去れ」と命じていたんだぞ!!」「しかしお嬢様。うっかり避けるはずの必殺技に直撃し、どうしようもない隙を晒してしまったのはお嬢様では……」「ぐ、ぐむぅ」「と言うか、そもそも今更咲……スカーレットマスクを第三勢力扱いには出来ないでしょ」「完全にダークスカーレット・エンパイア側のダークヒーロー扱いですからねぇ。そもそも、なんで名前にスカーレットなんて付けたんですか?」「スカーレットマスクは、一人で第三勢力を担う存在だぞ? ならば出来るだけ立派な名前を与えるのは当然の事だろう」「……まぁ、立派な存在にはなったわね。おかげで私達、三人一セット扱いになったワケだし」「最近は、人形華蝶にあしらわれる役が定着してきましたよね。しくしく……」「わ、分かってる! 故に今回の議題はズバリ――『我々のテコ入れ』だ!」「悪の秘密結社の裏側って、結構世知辛いんですね……」「この世知辛さは、秘密結社運営とはまったく関係無いと思うわよ」幻想郷覚書 地霊の章・弍拾参「終日遅遅/先生の慌ただしい午後」「ふむ、こんなものか」 掃き掃除を終えた私は、普段は子供達で溢れる寺子屋を見回し一息をついた。 久しぶりの休みだったと言うのに、結局寺子屋の掃除だけで午前を潰してしまったな。 いつも妹紅に何か趣味を持てとグチグチ言っていたが、これでは私も人の事をどうこう言えないかもしれん。「さてはて、この後はどうしたものか……」 先程までは昼食の後、読書でもして過ごそうかと思っていたのだが。 一日中寺子屋に篭っているよりは、辺りを散策したほうが建設的かもしれない。見回りも兼ねられるしな。「……いかん、こんな事だから『ワーハクタクは仕事に恋している』等と天狗に揶揄されるのだ」 天狗の記事なんて出鱈目の代表格だと言うのに、あの記事の時は里の人達が本気で心配して見合い話まで持ってきたのである。 もちろん丁重に断ったけれど、あの騒動以降男に興味が無いと言う噂が立つ様になったのは本当にどうしたものか。 私は半獣という種族的な観点から断りを入れただけであって、結婚に興味が無いと言うワケでは無いのだが……。 まぁ、見合い結婚という言葉に若干の抵抗があるのも事実だがな。個人的にはそう、その、恋愛的なアレの方に興味があると言うか。「やっはー、上白沢せんせー!」「うわぁぁぁぁあああっ!?」 しまった。下らない考えに没頭していたせいで、つい叫んでしまった。 私の叫び声に、後ろから声をかけてきた久遠晶はどうして良いのか分からずオロオロしている。 その左右ではフランとメディスンが同様に戸惑っており、少し後ろではてゐがどこまで分かっているのか意地悪く笑っていた。 とりあえず、咳で軽く誤魔化しを入れつつ出来るだけ自然に笑いかける。 若干頬が引きつってしまったが、こちらも余裕が無いのだ。目を瞑ってもらおう。 さてこの状態からどう言い訳しようかと悩んでいると、先に晶の方から私に話しかけてきた。「えっとすいません、驚かせちゃいましたかね?」「いや、謝るのは私のほうだ。考え事に没頭していてな、えぇと……」「エロい事でも考えていたとか? そういう顔してたよん」「ちゃ、ちゃんと想像は健全な範囲内に収めたぞ!」 幾ら何でもその発想は下世話過ぎるだろう。確かにその、夫婦生活というのは、その。 い、いいい、いやいや落ち着け私。悪戯兎の言葉に惑わされるな。とりあえず頭突きを一発かまして落ち着かせて。「とまぁ、上白沢せんせーで遊ぶのはこの辺にして。とっとと本来の目的を果たすとしましょーや」「ほ、本来の目的?」 そういえば、随分と変わった組み合わせだな。マーガトロイドはいないし氷精も大妖精もいない。 そもそも寺子屋が休みなのだから、彼らがここに来る理由は無いはずだが……。 少しばかり嫌な予感がするな。晶が居るから大丈夫だとは――うん、大丈夫なはずだうん。そこで不安になるな私。「あ、警戒しなくても大丈夫ですよ先生。今回はわりと穏便というか、平和的な用件で来ましたから」「そうだよ! 今日は、デレラの新しい話を考えに来たの!!」「デレラと言うと、以前晶の新聞で書いていたアレか」 そういえばあの話は、この三人が協力して書いていたな。なるほどそういう繋がりだったか。 宇宙を舞台にした珍しい話だったが、幻想郷にない素晴らしい作品だった。 特に世界観の重厚さと軽妙なやり取りに関しては、特筆すべきものがあったと思う。 ……そういえば、『技術監修:因幡てゐ』と書かれたアレは問題無いのだろうか。 明らかに月の技術を流用したと思しき描写が所々にあったぞ。永遠亭の蓬莱人達に怒られてないのなら良いのだが。 まぁ、そこに関与する必要は無いか。私が気にするべきは、彼女らがここに来た理由だろう。「目的は分かったが、何故わざわざ寺子屋でやるんだ? 紅魔館あたりで良いだろうに」「ダメだよ! 出来上がるまで内容は秘密なの!! ね、フランちゃん!」「うん。お姉様もめーりんも咲夜もパチェもこぁも楽しみにしてるから、内緒にしておきたいの」「そういうワケで、人里での僕達の用事を片付けるついでに寺子屋まで来た次第です」「私は何の用事もないのに、執筆者の一人だからと言う事で強制的に付き合う羽目になりました。てゐちゃんわりと不本意」「なるほど、そういう事なら遠慮なく寺子屋を使ってくれて構わ――ん? 僕達と言うのは晶とてゐの事では無いのか?」 メディスンもフランも、小説作成以外の目的は無さそうだが……他にも誰か居るのか? 周囲を見回してみても彼ら以外の姿は見当たらない。強いて言うなら――おや、チリトリはあんな所にあったかな。 「アリスも一緒で、今は阿求さんちで用事を片付けている所です。僕は皆の監視役というか子守というか」「ちなみに晶がこっちに回された理由は、コイツが人里歩き回ると里の人がビビるからだよ。唯一の人間なのにね、ぶふっ」「違うやい! 理由はそれだけじゃないやい!! それもあるけども!」 やっぱりあるのか。人里の守護者的に、気遣いありがとうと言えてしまうのが悲しい事だが。 私も噂を何とかしようとしているのだがな。その度に新しい噂で上書きされるから、いたちごっこにすらならないと言う。 本当、少しは自粛してくれよ。無理なのは分かっているけれど、出来ればで良いからさ。「それで、稗田殿への用件とは何だ? 個人的な用向きである事は分かっているが、相手が相手なのでな」「ああ、大丈夫です。ちょっと物を置いてもらうだけの話なんで」「……その説明でさらに不安になったぞ。一体何を置くつもりなんだお前らは」「ふっふっふ、里の平和を守る為のもの……とだけ言っておきましょうか」「今すぐ稗田殿の所に行って確かめてくる」「勿体つけたのは謝りますんで待って! 中身に関しては、ちょっと話せない事情があったりするんです!!」 回れ右をした私の腰に、凄まじい速さでしがみついてくる晶。素早い。 上目遣いでじっと見つめられると止まるしかないが、女性相手にこの接し方は気安すぎるのでは無いだろうか。 本人の外見と振る舞いで忘れがちだが、十代後半なんだよなこの腋メイドは。 色々と説教してやりたい気持ちはあるのだが、この無邪気さが久遠晶を成り立たせているのだと思うと忠告するのを躊躇ってしまう。 と言うか、だ。男と分かっても‘男らしい’晶の姿がまったく想像できないと言うのは些か問題ではないか? 男女のあるべき姿にこだわるほど固い頭をしているワケでは無いが、これはもう少し何とかした方が良い様な気が………。「ちょ、せんせー! 一瞬止まったのはフェイントですか!? 引きずる速度が無駄に上がってますよ!?」「良いなー、楽しそー」「アレは一種のプレイだから真似しない様に。良い子の皆はこっちで小説のネタでも考えてましょーね」「はーい」 あ、いかん。余計な事を考えていたら普通に歩いていた。 重さを感じないせいで、勢いよく引きずられた晶の姿勢は大分愉快な事になっている。もう少し飯を食え。「……それで、話せない事情とはなんだ」「それじゃあお耳を拝借して――実は華蝶仮面から預かったアイテムを、置かせてもらってるんですよ」「何、華蝶仮面だと!?」「えっ、華蝶仮面?」「うわぁ、こっそり耳打ちした意味がねぇ!?」「おおっと、すまんすまん」「いや、まぁ別に良いんですけどね……」 華蝶仮面――人里の平和を守る為、ダークスカーレット・エンパイアと戦う謎のヒーロー。 その行いの正しさに疑う余地は無いが、その存在は余りにも謎が多過ぎる。 そんな華蝶仮面とすら繋がりがあると言うのか、晶は。幾ら何でも交友範囲の広さが異常では無いか。 「とは言え、実の所僕らも偶然頼まれただけなんですけどね。――本当に、ド偶然ですとも! 華蝶仮面と晶君に関連性はありませんじょ!?」「墓穴の掘り具合、こんなにも凄まじいのになぁ……」「なるほど、そうだったのか」「これですよ。てゐちゃん、あまりの理不尽さにどうにかなってしまいそう」「良いなー。私も華蝶仮面さんに頼まれごとされたい」「うん、今度それお兄ちゃんに言えば良いと思うよ。きっと色々させてもらえるから」 どうやら晶は、華蝶仮面から預かった物が何かは知らないらしい。 少なくとも人里の平和を守る為のアイテムである事は確実だと言うが、一切確かめず受け入れると言うのは……うーん。 しかし華蝶仮面には多大な恩がある。人里に害が無いと言うならば、見逃すのが私にできる最大限の礼とも。 いやいや待て。本当に、それで良いのか?「うーむ……どうしたものか」「あらら、色々と考え込みすぎて止まっちゃったよ」「参ったなぁ。上白沢先生にも、新聞作りに協力してもらおうと思ったのに」「む、また新聞を作るのか?」「おっ、復活した。華蝶仮面の置き土産はもう良いのかいせんせー」「そちらの事は……まぁ後回しだ。それより晶、先程の話は」「あ、はい。色々と好評だったので不定期ですが連載する事になりました」 なるほど、彼女らが小説の続きを考えていたのはその為か。 新聞……と呼んでいいのかは分からなかったが、アレは中々に興味深く仕上がった代物だった。 何でもあまりに参加者が多彩な為、あの新聞には隠された意味があるのではと一部の天狗が騒ぎ出すほどだったそうだ。 もちろんそんな物は無いのだが、一度で終わるのが勿体無い出来であった事は事実。 次も参加させてくれると言うのなら、断わる理由は勿論無い。喜んで参加させてもらおうでは無いか。「まぁ、今度は個別に記事を書いてもらってそれを回収って形になりましたが。あはは、適当に声をかけたら前より豪華になっちゃいましたよ」「……どれだけ声をかけたんだお前は」「前に参加してくれた人達プラス、その後出会った人達に手当たり次第。おかげで大変な事になった気がします」「いやほんと、てゐちゃんも驚きだよ。なんで閻魔のありがたいお言葉という名の説教が掲載予定表に入ってんのこの新聞」「小町姐さんに記事を頼みに行ったらこう……色々とありましてね? 原稿まで渡されましたよ、その場で」「この新聞、特定組織に偏ってないのが売りじゃなかったの?」「記事内容的には中立なんでセーフかと。と言うか、紫ねーさま参加してる時点で色々と諦めました」「……あの隙間ってさぁ、天晶異変終わってから自重しなくなったよね」「あはは。あとついでに天子の馬鹿にも頼んでみたら、あのアマ前の新聞に載せた僕のネタに全力で被せてきたんですけどコレもう殺っちゃった方が良いかな」「その天子って輩をてゐちゃん知らないけど、関係性は何となく分かった。仲良くケンカする仲ってヤツでしょ」「なるほど――この奥底から湧いて出てくる感情が憤りか」 次々出てくる参加者の名前に、驚愕を通り越して唖然としてしまう。 本当に、どれだけ交友が広いんだお前は。 どうやら本人としては、適当に募集をかけ乗ってくれた者の分だけで新聞を作るつもりだった様だが……。 これもある種のカリスマなんだろうな。無報酬なのにも関わらず、呼びかけた全員が参加してしまったというワケである。 と言うかソレは、普通に歴史の重要文献として保存する必要がある代物じゃないか? どこまで続くかは分からないが、続く限り参加者が増えそうで少し怖いぞ。 「なるほど、良く分かった。……しかしそれほど豪華な面々が揃ったなら、今更私を参加させる必要は無いと思うが」「何を言っているんですか! こういう事は、友達皆でわいわいやるから楽しんですよ!!」 躊躇いもなく言い切るその姿は、実に何というか晶だった。 やはり、彼に無邪気さは必要なのだろうなぁ。と思ってしまう私は甘いのだろうか。 友達と認識されている事に僅かな嬉しさを感じながら、どう反応したものかと私が苦笑していると――空からマーガトロイドがやってきた。「はぁ……大変よー皆、霧雨商店にだーくすかーれっとえんぱいあがあらわれたわー」「なっ、何だと!?」「た、大変だ!」「またアイツ等が!」「僕ちょっとトイレに行ってきます!」「アリス……お疲れさん」 彼女の告げる言葉に騒然とする私達。何故かてゐがやたら冷静なのが気になるが、そこを指摘している場合ではないだろう。 私は人里の守護者としての役割を果たすため、霧雨商店に向かい全力で駆け出した。◆白黒はっきりつけますか?◆ →はい いいえ(このまま引き返してください)【教えろっ! 山田さんっ!! りべんじっ!!!】山田「山田さんが本気出せば晶君とかあっさりメロメロですよマジで。山田です」死神A「その根拠はどこから出るんですかマジで。死神Aです」山田「私の浄玻璃の鏡は過去の行いを明らかにする……つまりそういう事です」死神A「百パー混じりっ気無しのガチ脅迫じゃないですかそれ!?」山田「まぁ、閻魔エロい目で見るとか地獄行き確定ですけどね」死神A「どうしろって言うんですかそれ……」 Q:晶君に告白されたら直ぐには断らず悩む人ってどれくらいいるのでしょう?出来ればどう悩むのかと結論も教えて下さいヤマダサーン山田「ぶっちゃけ、マジ告白する晶君の姿ってのがまず思い浮かびません」死神A「身も蓋もない事を言わないでくださいよ。とりあえず、晶君側の好感度は無理矢理上げといてください」山田「そうですね。ガチ告白なら悩んだ挙句断わる人物もそこそこ居るでしょう」死神A「ああ、ガチでも断られるの前提なんですね」山田「だから好感度足りないんですって。まぁ、フランドールとかは意味も分からず頷くでしょうけど、所詮ごっこ遊びの範疇ですよ」死神A「そんなもんですか……」山田「まぁ、それだけだとアレなんで適当にヒロインっぽいのからチョイスして一例を挙げてみます。チョイスは適当なんで文句は受け付けませんよ?」死神A「どう考えても後々追加フラグですよね、それ」晶君にガチ告白された際の反応例早苗……まず恋愛的な意味で受け取ってもらえない。受け取ってもらえても「風祝としての使命が……」と断られる。アリス……最初は「はいはいワロスワロス」と言うリアクション。最終的には「友達でいましょう」と提案される。阿求……一瞬テンパった後、阿礼乙女を理由に断られる。ただし告白自体は貴重な経験として脳内リピート。にとり……聞き間違いで押し通す。何度言われても聞き間違いで押し通す。うどんげ……情緒不安定になって50%の確率で原因の物理的除去に。残りの50%で逃走。妖夢……謝る。全力で謝罪してくる。前言を撤回するまで何を言っても聞き入れず謝罪。ぐーや……晶君では不可能な難題を出されて永遠亭出入り禁止。ただし死ぬ気で頑張れば挽回は可能。自称姉’s……家族愛と男女愛は別物です。死神A「うわぁ、ボロクソですね」山田「当然の結果だと思いますけどね。友達としての好感度と男としての好感度は完全に別物ですから」死神A「所謂、友達として仲良くしてくださいって奴ですね」山田「踏み込みが足りん! とも言います。相手の事情に踏み入ってこその恋愛ルートなんですよ」死神A「そういう意味だと、晶君の付き合いって広く浅くになるんですねぇ」山田「単に印象だけ良くして「攻略しました」とか、神が許しても山田さんが許しませんよ!!」死神A「お願いなんで変な事に出張らないでください。私達が超困るんで」 Q:幼女には反応しないとの事でしたが、貧乳の子の場合は流石の晶君でも動揺するってことでしょうか?山田「ぶっちゃけると、そこらへんは色気次第ですね。胸無かろうとエロい子はエロくて、胸あってもエロくない奴はエロくない」死神A「例えだと兎詐欺やスカーレットデビルとか出てましたけど」山田「そこらへんは胸とか関係なく色気無いでしょう」死神A「バ、バッサリいきましたねぇ……」山田「ちなみに作者の考える貧乳だけど色気のあるキャラはぶっちぎりで洩矢諏訪子、異論は認めない」死神A「作者は人妻属性に高望みし過ぎだと思うんですが」山田「異論は認めないっつてんだろーが」 とぅーびぃーこんてぃにゅーど