「なんと凄まじい弾幕ごっこでしょうか……」「ううっ、何が起こっているのか私にはさっぱり分かりません」「いえ、それだけで終わらせてしまってはいけませんね」「見る事も修業の内だと、以前に幽々子様が仰ってました!!」「咲夜殿の能力は確か時間停止。恐らく先程の奇怪な動きは、それによるモノだったのでしょう」「……しかし何故、晶さままで動いていたのでしょうか。うーむ」「ってうわっ、二人の動きが急に早くなりました」「わ、わ、短剣がいっぱい」「うわ、晶さまの周囲に竜巻がっ」「と、止まった。何が起きたのでしょうか、今のは」「え? お二人とも、何を始める気で――」「……うう、私はまだまだ未熟です」幻想郷覚書 緋想の章・捌「意気天候/WOMAN THE COOL MAID」 ―――――――神速「オーバードライブ・クロウ」 ―――――――「咲夜の世界」 互いの宣誓と共に、スペルカードが効果を発動した。 ゆっくりと、静止に向かっていく時間。 先程の‘技’とは違う、強力な時間への干渉が僕のスペカの効果を薄めていく。 参った、これが本気の咲夜さんか。さすがに能力の桁が違うね。「時間停止までの時間は、先程よりも短くなっております。抵抗するならお早めにどうぞ」「御忠告どうも。せいぜい悪足掻きさせて貰いマスよ!」 大周りに咲夜さんの周囲を旋回しながら、風の弾幕を放射線状に放つ。 この状態に唯一利点があるとしたら、それは咲夜さんに防御手段が無くなる事だろう。 時間停止も時間遅延も、さすがに重ねて使う事は出来ないはずだ。 時を加速させる可能性は十二分にあるが、咲夜さんにその速さを裁く‘目’は無い。――と思いたい。 ならば、この風でそれも封じられる。 僕はさらに、初撃の風の隙間を縫う様に二撃目の風弾を放った。「なるほど、正攻法で来ましたか」「ええ。条件が同じなら、基本能力の高いこちらの方が有利デスからね」「それが逆転の秘策だとしたら――ガッカリですね。私が能力の特殊さだけで、紅魔館のメイド長をやっているとでも?」「むっ――」 冷笑と共に、咲夜さんが後方へと飛び下がる。 的確な判断だ。風弾も後方に下がれば隙間が大きくなるし、何より時間が稼げてしまう。 まぁ、彼女が短期決戦を挑む理由は一切無いのだから、当然と言えば当然の行動だが。 しかし、こちらもむざむざ時間稼ぎを見逃す理由は無い。僕は追撃のために三撃目の風弾を放とうとして――「攻撃の途中にこそ、最も付け込み易い隙が生まれるのですよ」 咲夜さんが先程も放った『バウンドするナイフ』に、その動きを止められてしまった。 くそっ、幾ら隙間が出来たとはいえ、ここまで的確にナイフを通してくるなんて。 まるで機械の様な精密射撃だ。と言うかコレ、本当に投擲してるの? 普通に銃弾よりも速いんですが。 「ならばさらに、スピードで撹乱させて頂きマス!」「さて、出来ますかね?」 翼を広げ、僕は咲夜さんから見て丁度反対方向の場所に移動する。 だが到着したその場所にはすでに、待ち構えていたかのようにナイフが飛んで来ていた。 身体を捩じる様に動かして、氷扇でナイフを叩き落とす。 それなりに速く動いたつもりだったけど、まさか読まれているとは思わなかったよ。 姿勢を戻しながら着地すると、僕は不敵な笑みを浮かべている咲夜さんに視線を向けた。 「残念ながらその程度の速さでは、見えずともどこに向かうかは容易に予測出来ます」「なるほど、完全で瀟洒な従者の名は伊達では無いと言う事デスか」「そういう事です。……そして、これでチェックメイトかと」 咲夜さんの宣言と同時に、世界と身体が一斉に停止した。 分かっていたけど、予想以上に停止が早い。恐らくは停止時間も延びている事だろう。 感覚だけが残っている状態の僕に、咲夜さんは冷たい笑みを浮かべる。「最後は尻すぼみな結果になってしまいましたが、それなりに楽しめましたよ。では―――」 咲夜さんの放った無数のナイフが、僕の四方を囲んでいく。 時間停止の影響を受けて空中に静止したナイフ達は、枷が外されるのをぎらつきながら待っていた。 刃物のドームの中に閉じ込められた気分だ。これだけの数のナイフが直撃したら、頑丈さが売りの僕もただでは済むまい。 そうして僕の周囲をナイフで満遍なく覆い尽くした咲夜さんは、静かに時計を確認すると優雅に一礼してみせた。 同時に、時間の凍結がゆっくりと解除される。「――お終いです」 檻から放たれた獣の様に、無数のナイフが僕に迫る。 そう、これでお終いなのだ。 ――最初から、逆転の瞬間はここにしか無かったのだから。 ―――――――「幻想風靡」 それは、一瞬よりも短い刹那の行動だった。 風を纏った僕は、全てのナイフと咲夜さんを吹き飛ばす。「ぐっ、馬鹿な。動きが見えな―――」「残念デシタ。わたくしのトップスピード、少々侮り過ぎていた様デスね」 そう言って僕は、倒れた彼女の首元に氷扇を突きつける。 時間停止が出来る咲夜さんに意味は無いけれど、降参の意志を引き出すには充分過ぎるポーズだ。 まぁその、何と言うか、侮っていたのは僕も同じなんですがね? 先程言っていた『うっかり見逃していた事』と言うのは、つまりこれの事だ。 まさか神速のスペカに対抗されると思って居なかった僕は、天狗面での全速力をただの一度も出していなかったのである。 幾ら咲夜さんでも、認識より早い攻撃に時間停止で対応する事は出来やしない。 実に間の抜けた話だが、時間操作での勝利を捨てて得意分野に勝負を持ち込む事が、咲夜さんに勝つ唯一の方法だったのである。 ……神速のスペルカードは、使う相手が悪かったと言わざるを得ない。咲夜さん以外なら最初の一手で終わってたんだろうけどなぁ。 ちなみに時間遅延中、咲夜さんに加速の初動を見せたのもワザとだったりします。 まさか着地点を読まれるとは思って無かったけど、上手い具合に「見てからでも充分反応できる速さ」だと誤解してくれたようだ。 「……お見事です。私とした事が、完全に裏をかかれてしまうとは」「運が良かっただけですヨ。わたくし自身、途中まで自分に欺かれていた様なモノでしたシ」「主人自身も気付かない欲求に応えてこそ一流のメイドです。私もまだまだ、精進が足りない様ですね」「メイド的な問題なのでショウか、今の」「ふふふっ、強くなりましたね久遠様。それを知れただけでも、ここに来た価値はあったのかもしれません」「……アノー、咲夜さん?」「その成長の果てに何があるのか、見守れない事だけが残念です。久遠様、お嬢様達の事をよろしくお願いしま……す……」 ―――え、何この茶番。 まるで激戦の末力尽きたかの様な表情で、ガックリと頭を垂れる咲夜さん。 命の灯火は後少しみたいに振舞っているけれど、さほどダメージを受けていないのは素人目にも明らかである。 だいたい、何だかんだで幻想風靡もガードしてたでしょーが。 ダメージが軽微だとは言わないけど、生死にかかわる程の重体でも無いよね。確実に。「さ、咲夜殿ぉぉおおおおおおお!」 ……妖夢ちゃん、叫ぶ前にまず相手の生死をきちんと確認しよう。 一応専門分野でしょう? 死の方限定みたいだけど。 場の空気? 的なモノに当てられて見事にテンパっている妖夢ちゃんを横目に、僕は咲夜さんの顔を覗き込む様に睨みつけた。「――で、わたくしにどの様なリアクションをお求めデ?」「そうですね。「僕が間違っていた、僕の事を思いやってくれる真実の姉は咲夜さんだったんだ」とかどうでしょう」「どうでしょうと聞かれましテモ。わたくしには「姉は二人でお腹いっぱいです」としか答えられまセン」「ちっ、やはりヤるしか――」 咲夜さん紫ねーさま文姉の三つ巴大血戦とか、色んな意味で泥沼にしかならないから勘弁して欲しいんですが。 と言うかですね。前々から思っていたんですけど、その「より強い者こそが久遠晶の姉に相応しい」と言う思考はどこからくるんでしょうか。 文姉も紫ねーさまも、その点に関しては論ずるまでも無く同意しちゃってるし……やっぱ幻想郷では力こそ全てなのかなぁ。 いやまぁ、僕も誰が姉に相応しいと問われると困ってしまうんですがね? つーか自分で言っといて何だけど、姉を選ぶって何さ。いつから姉は選択制になったんですか? それから妖夢ちゃんは、いい加減今のが咲夜さんの演技だと気付くべき。 無事でよかったとか言って泣くシーンじゃないからね、ここ。「ところで咲夜さんは、今回の異変に関して何か御存じデスかネ?」「それは、身体から出ている緋色の雲に関する事かしら」「……身体から、出てイル?」「あら、気付いて無かったのですか。天気を変える緋色の雲、私達の身体から出ているのですよ」 咲夜さんに指摘された僕は、天狗の面を砕いて素に戻る。 魔眼と気を使う能力を最大にして咲夜さん達を見つめてみると、確かにその身体からは緋色の煙が立ち上っていた。「本当だ。かなり見えにくいけど、確かに緋色の煙が身体から出てる」「そうなのですか? 私には全く見えないのですが」「恐らく、貴方達の力は強過ぎるのでしょうね。身体から出ている雲が多過ぎて、周囲の変化に鈍くなっていたのかもしれません」「咲夜さんも、相当な力を持っていると思いますけど?」「偏っているだけです。私の力は、そこまで強くはありませんよ。久遠様達がファルシオンなら、私は精々ナイフと言った所でしょうか」「そこまで自分を卑下しなくても……」「おや、自虐に聞こえましたか? ならばご安心ください。私のナイフの刃には、神をも殺す猛毒が塗られておりますから」 にっこりと微笑みながら、基本スペックの差なんぞなんぼのもんじゃいと言い切る咲夜さん。 幻想郷の女性達は、大概が男前だから困る。僕の立つ瀬が完全に無いもん。 え、お前はお前で女性陣の立つ瀬を奪ってるからお相子だろうって? あはははは、聞こえない聞こえない。 ――さておいて。 咲夜さんの言葉が正しいのなら、身体から出てくる雲の量は個人の力に左右されるらしい。 その理屈で言うと、天気を固定し続けている僕の力が一番強い事になってしまうが――そこはまぁ、何かの間違いって事で良いんじゃないカナ。「ダメでしょう」「もういい加減、心を読まれるのにも慣れましたよ。アハハ」「誤魔化してもダメです」 ううっ、咲夜さんツッコミ厳しいなぁ。 心の中を暴かれた上で、スルーしようとした事を追及されてしまう僕。 つまり誤魔化すなと言う事ですね、分かりました。 まぁ、何と言うかアレだ。どうやら僕は、緋色の雲基準では相当な力を持っているらしい。 正直自分でも半信半疑――むしろ二信八疑? だけど、咲夜さん程の人がそうだと言うならそうなんだろう。 「仕方ありません、話が進まないのでそこらへんで妥協させましょうか」「いや、そこらへんって。咲夜さんは僕に何を望んでいるんですか」「そうですね。強いて言うなら、お嬢様の様な傲慢不遜さが欲しい所です」「それは無理でしょう。アレもう一種の名人芸ですよ、新喜劇で登場する度に毎回やるレベルのネタですって」「しんきげき?」「久遠様の場合、傲慢になるくらいが丁度良いと思われますが……まぁ、贅沢は言わない事にしましょう。自覚して頂けた様ですし」 本当に、手厳しい御意見ばかりで痛み入ります。――泣いて良い? と言うかそこまで責め立てて、僕に何を自覚させようと言うのですか。 緋色の雲がたくさん出るって事を? 何でまた?「分かりませんか? 異変の犯人の目的がどこにあるにせよ、緋想の雲を大量に吐き出す久遠様は――」「分かりました! 晶さまが色んな方々から狙われると言う事ですね!!」「間違ってはいません。が、そこが問題と言うワケでもありません」「みょふん……」「僕の意志がどうであれ、異変を増長させている事に変わりは無いと言う事ですか」 咲夜さんは肯定の意志を示すため、静かに頷いた。 どうやら、この異変に天気を変える以上の意味がある事はほぼ確実らしい。 ううむ。想定していたつもりだったけど、実際にそうだと認めてられてしまうと地味にショックだなぁ。 おまけに僕が、間接的にその異変を煽っていると言うのだからもう何て言うか。――霊夢ちゃんに退治されないよね、僕? と言うかひょっとして……。 「咲夜さん、今何が起きているのか知っているんですか?」「いいえ、私は存じておりません」「……‘私は’?」「ですが、薄々ながら事態を把握している方はいらっしゃるようです」 ――あれ? 何か今の咲夜さん、おかしくなかった? 態度は変わって無いけれど、微妙に話の矛先をズラされた気がする。 どうしたもんかな。突っ込んで聞くべき? だけど、知らないという言葉に嘘は無さそうなんだよなぁ。 「おお、そうなんですか! その人達の事、教えて頂けますか?」「もちろんです。敗者として、出来得る限りの情報を提供させて頂きますよ」「やりましたね晶さま! 手掛かりが掴めそうですよ!!」「ん~……」「……何か?」 出来得る限りの情報を提供。と言う事は、提供できない情報もあると言う事だろう。 穿ち過ぎた見方かもしれないが、一概に気の所為と言い切る事は出来ない――様な気がしないでも無い。 だがしかし、無理矢理聞きだそうとするのも問題があると思う。 と言うか出来ない、まず無理、心情的にも物理的にもインポッシブル過ぎる。 わりと重要な事を隠している気はするんだけどなぁ。うーむ、追及すべきかしないべきか。 とりあえず僕は、首を傾げたままの咲夜さんをじっと見つめた。 「――――」 咲夜さんからの反応は、無い。 こちらの視線の意図が分からない。と言うより、分かってて尚返答を避けている感じだ。 つまりこれは――自分の口から答え合わせをする気は無い、と言う咲夜さんなりの意思表示なのだろう。 ひょっとしたら彼女は、この異変の‘中核’を知っているのかもしれない。 知った上で、僕にそれを話さないと言うのなら――僕に追求する術はもう無いと言う事だ。「何でも無いです。で、その「事態を把握してる方」ってのは誰なんですか?」「……よろしいのですか?」「自分で答えを見つける事にこそ価値があるのですよ――みたいな言い訳を、今思い付いたワケですがどうでしょう」「では、それ採用で」「了解です。じゃあ改めて……自分で答えを見つける事にこそ、価値があるのですにょ」「御馳走様でした」「お粗末様です」「???」 僕と咲夜さんの会話が理解出来ず、しきりに首を傾げる妖夢ちゃん。 まぁ、僕も実の所良く分かっていないので、深く気にする必要は無いと思う。 つーか今、「にょ」って言ったよね僕。「にょ」って。 単純に噛んだだけなんだけど、咲夜さん変な勘違いしてないよね?「あ、突然ですが私用事を思い出しましたので、紅魔館に戻らさせていただきますね。ではではアデュー」「うわぁぁぁっ、ちょっと待ってちょっと待って! 何だか無性に嫌な予感がするから待ってぇぇぇええっ!! つーか手掛かり教えてよぉぉ!」「すいません、本当に急用なんで。本当に急いでいるので」「さ、咲夜殿! 鼻から血がっ、血が!!」 うん、妖夢ちゃんにはまだちょっと早いから後ろを向いててねー。 時を止めてまで逃げようとする咲夜さんを、僕は再び天狗面で追走するのだった。 ……時間停止追いかけっこは、別の意味でキツかったです。 ―――ちなみに後程分かった事だが、この時咲夜さんは音声を録音するマジックアイテムをパチュリーから借りていたらしい。 もちろん後程と言う言葉から分かる通り、その時の僕はその事に気付かなかったワケで―― 手掛かりだけを手に入れてうっかり咲夜さんを解放した僕は、後々その事を死ぬ程後悔する羽目になったのでした。◆白黒はっきりつけますか?◆ →はい いいえ(このまま引き返してください)【教えろっ! 山田さんっ!! りべんじっ!!!】山田「どうも、最近のゲスト共が私の立場を奪いに来ている様にしか見えなくて若干不機嫌な山田さんです」ケロ「あーうー、今日は分からない事を全部山田さんに教えて貰うよー。アシスタントのケロちゃんでーすっ」山田「けっ、カマトトが」ケロ「役割に準じようと言う私の努力を組みとってくれないかな。こっちも結構キャラ被りを気にしてるんだよ?」山田「知りませんそんな事。あーあ、世界中の人間が私の踏み台になればいいのに」ケロ「さすがのケロちゃんもそれは引くわー」山田「はいはーい、ではぶいぶいと質問に行きますよっと」ケロ「これが噂のボケ倒し……ケロちゃんはとんでもない魔境に来てしまった様だね」 Q:面変化のデザインの変化は、もしかして、鎧の増幅効果上昇の影響では?山田「いえ、これには新スペカを獲得した事による、本人の心境の変化が関わっています」ケロ「強くなったと思ったから、自然と外見も強そうになったって事?」山田「そういう事です。面変化はある意味晶君本人とは別の存在なので、彼自身のパワーアップはあまり関係無いのです」ケロ「イメージを元にした強化だもんねぇ。とは言え、強くなったからイメージが変わるって言うのもどうだろう?」オンバシラ「強化されたら形も変わる、基本だろうがっ!」ケロ「それはロボットアニメの……つーか何で居るのさ、アンタ」オンバシラ「うむ、実はな――」山田「では、次の質問です」二柱「流した!?」 Q:晶もだが、肉体と意識とで受けている遅延能力による影響に差異があるのはどういうことだろう?山田「ちょっと面倒な話になるので、とりあえず邪魔者は排除します。はいボッシュート」オンバシラ「おいそれどういう事―――きゃあああああ」ケロ「うわぁ、昔の悪役みたいな落とし方したなぁ」山田「時間を操る能力と言うのは、時間と言う特別なパソコンを操作する能力だと思ってください」ケロ「そして普通に続けた!? この閻魔計りしれない!?」山田「このパソコンは、時を操る全ての人間が共通で操作出来ます。要するに能力者には特別なアクセス権が与えられるですね」ケロ「はーい、アクセス権を持つ複数人が同時に操作したらどうなるんですかー?」山田「同時に処理を行います。処理をするパソコンは同一のモノなので、結果はごちゃ混ぜです。これが本編であった時間干渉ですね」ケロ「だけど二人とも、時間の遅延も停止もちゃんと認識してたよね。なんで?」山田「JOJOでそうだったからです」ケロ「オイコラ、さすがにそれは許されんぞ」山田「分かってますって。先程のパソコンの例えに戻りますが、アクセス権を持つ者は出力結果を確認する事も出来るワケです」ケロ「それは、ごちゃ混ぜになった結果でも?」山田「もちろんです。故に能力者は、自他問わず入力した時間干渉の結果を感覚で‘認識’出来る――どうです、後付けながらそれっぽい説明でしょう」ケロ「うわ、台無し」山田「ちなみに晶君のアクセス権は神速のスペカ発動中のみ有効です。なのでスペルブレイクすると、実は時間干渉を認識出来なくなります」ケロ「あー、じゃあプライベートスクウェア発動中にブレイクしてたのって……」山田「直後に終了していなかったら、確実にピンチになっていたでしょうね」ケロ「つくづく綱渡りな子だなぁ」 Q:晶君は、咲夜さんの能力も使えるようになったのかな?山田「残念ながら使えません。面変化中の晶君は、基本的に久遠晶としての能力が使えない状態にありますから」ケロ「そもそも、コピーが出来ないワケなんだね」山田「そういう事です。条件こそ満たしていますが、コピーする土台が無いワケです。さらに」ケロ「さらに?」山田「本人にコピーする気が毛頭ありません」ケロ「……いつもの事じゃん」山田「ちょっと違いますよ? あんまりコピー能力に頼っていると、真の能力を本格的に使わなくなりますからね」ケロ「ああ、彼なりに自重してるワケね」山田「そういう事です。ところで、キャラが素に戻ってますよ」ケロ「いやなんかもうね、貴方のキャラの濃さでお腹一杯。ケロちゃんは素で良い気がしてきた」山田「妥当な判断です。まぁそれはそれとして最後の質問に移りますが」ケロ「せめて少しくらい弄ってくれても良いんじゃないかなぁ……」 Q:質問ですが、この新スペカいったいどの辺の人妖なら通用するのでしょうか?山田「十六夜咲夜以外なら大概通用しますが」ケロ「ピンポイント!?」山田「まぁ、時間を遅延させているだけで結局は高速移動ですから、無敵というワケでは無いですけどね」ケロ「私達なら対応できるって事かな」山田「ええ、ただやはり大分キツイです。射命丸文以上の速さがある上に、その速さを裁く目もありますからね」ケロ「あーそっか、遅くなるって事は周りも良く見えるって事か」山田「実に厄介なスペルカードと言えるでしょう。ただし十六夜咲夜が相手の場合を除く」ケロ「……唯一相性の悪い相手と戦っちゃったワケだね。不憫な」山田「では、特にオチも無く今回の山田さんを終えましょう。ほら、とっとと帰れカマトト蛙」ケロ「あーうー、もうちょっと優しくしてくれても罰は当たらないんじゃない?」山田「残念時間切れです。はいボッシュート」ケロ「ちょ、待ってぇえええええええええええええ」山田「死して屍拾うもの無し。まっこと解説コーナーは地獄ですね……」 とぅーびぃーこんてぃにゅーど