日常の裏書その11「ロッドちゃんと晶君」 ※この番外編は、付喪神と晶君がただ駄弁るだけののんびりとした番外編です。 派手なバトルや驚愕の展開は一切無いので、期待せず見てください。 なお、東方キャラは基本登場しません。 時間軸は輝針異変の後ですが、具体的にどれくらい後なのかは考えていないので気にせずスルーしてください。ロッド「あふ……ねむ…………」ロッド「神剣はまだ寝てるね。……まぁ、そもそもネボスケのアイツが起きてるはず無いけど」ロッド「三叉錠と魔法の鎧は久しぶりの外出許可って事で、昨日からずっと出掛けたっきり」ロッド「保護者達も全員不在だけど――こっちは、誰かが絶対昼前あたりには戻ってくるだろうから過信は禁物か」ロッド「…………髪型良し」ロッド「…………服装良し」ロッド「…………身だしなみ良し」ロッド「……よし、作ろ」晶「あふぅ……おはよー。なんか良い匂いだけど、こんな朝早くから何を……」ロッド「………………」晶「アレ? しん――ロッドちゃん?」ロッド「……ん? なんだ、ご主人様か。おはよ」晶「朝早いね。意外と早起きなの?」ロッド「まさか。夜更かししてたらこんな時間になってただけだよ。今は夜食を作ってる所」晶「いや、確かに早朝というにも若干早い時間だけど。さすがにもう夜食という時間帯では無いと思うよ?」ロッド「どーでもいい」晶「さいですか。ところでさ、そのフレンチトースト美味しそうだよね!」ロッド「それで?」晶「僕、これから自分の分の朝食用意しなきゃいけないんだけど……分けてもらえないかな!?」ロッド「………………」晶「だ、ダメっすか? くれるなら、美味しいカフェオレ入れるよ?」ロッド「……作るのめんどいんだけど。そんなに欲しい?」晶「欲しい!」ロッド「じゃ、作ったげる」晶「やったぁ!」ロッド「くいしんぼ」晶「うぐっ」ロッド「冗談だよ。はい、フレンチトースト」晶「わーい、美味しそー! あ、はい。僕からはミルクたっぷりのカフェオレ!!」ロッド「フレンチトーストにもミルクたっぷり使ってるから、カフェオレは少なめでも良かったと思うけど?」晶「カフェオレはミルクたっぷりが基本! 砂糖たっぷりなら尚良し! ……だけど砂糖の量は強制しませんのでお好きにどーぞ」ロッド「あたしは砂糖要らない。フレンチトーストで甘さは充分足りてるし」晶「そーなの? もぐもぐ……おおっ、心地よい甘み! 実に僕好み!!」ロッド「良かった。失敗して甘くしすぎたんだよね、ソレ」晶「そういう言い方されるとちょっと複雑な気分になります。でも美味しい」ロッド「…………ふーん」晶「それにしてもアレだね。ロッドちゃんとこうして話すのも、結構久しぶりになるのかな」ロッド「覚えてない」晶「うぐぅ。最近出てこなかったけど、なんかあったの? 忙しかったとか?」ロッド「寝てた」晶「あ、さいですか」ロッド「ぶっちゃけあたし、特に用事が無いなら出るつもり無いから」晶「今までが出過ぎてただけだったんすね……」ロッド「騒がしいのも嫌い。だから、ご主人様の周りに色々居ると出る気が無くなるの」晶「そういえばここ最近の僕、一人になった事無かったなぁ。だからかぁ」ロッド「それは関係ない」晶「……じ、自意識過剰でスイマセン」ロッド「全然関係ない」晶「追い打ちは止めて!!」ロッド「おかわり」晶「あ、はい。カフェオレですね。……ロッドちゃんってばマイペースね」ロッド「ご主人様の入れるカフェオレは、まぁ好きだよ」晶「はいはい、ありがとー。――ところで外出許可が出たみたいだけど、ロッドちゃんは外出しないの?」ロッド「めんどい」晶「バッサリだなぁ。なんとなくそんな気はしてたけど」ロッド「外出っていうか、まず外に出るのがめんどい。そういうのはアイツに任せる」晶「ロッドちゃん多重人格を活用しまくってるね。でもさー、少しくらいは行きたい所とかあるんじゃないの?」ロッド「無い」晶「無いっすか」ロッド「全然無い」晶「重ねて言わなくても……」ロッド「……強いて言うなら、静かでのんびり出来る所に行きたい」晶「ある意味、ソレが一番難しい気がするよ」ロッド「そうだね。だから頑張って」晶「ほへ?」ロッド「見つかったら教えて。ついでに案内もして」晶「お、おぉう……えっと、まぁ、見つかったらね?」ロッド「期待してる」晶「ははは……どうしよ」ロッド「はい」晶「ん?」ロッド「フレンチトーストおかわり、どうぞ」晶「おおっ、ありがと。良いの?」ロッド「良いよ。もうお腹いっぱいだし」晶「あ、単に余ってただけですか。まー貰うけど」ロッド「みみっちいね」晶「ちょいちょいキツい事言ってくるの止めてくれない? もぐもぐ……」ロッド「…………味、気に入った?」晶「そりゃ、こんだけ美味しければ気に入るよー。僕好みの味だし――あ、ひょっとして僕のために」ロッド「無い。……味付けミスったって言ったじゃん、さっき」晶「ツンデレ的な意味があるのかと」ロッド「馬鹿?」晶「真正面から言われると凹むなぁ。僕だって本気で思ってたワケじゃないよ」ロッド「――馬鹿だね」晶「断言された!」ロッド「とても凄い馬鹿」晶「畳み掛ける様に……ロッドちゃん、ひょっとして僕の事嫌い?」ロッド「……………………」晶「ろ、ロッドちゃん?」ロッド「…………まぁ、嫌いじゃないよ」晶「返答までに思った以上の間があった! 地味にショック!!」ロッド「大丈夫、ご主人様の事を好きな人はたくさんいるから」晶「ロッドちゃんは!?」ロッド「………………………………まぁ、嫌いじゃないよ」晶「そこは嘘でも好きだと言ってよ!」ロッド「どっちでもいいじゃん」晶「いや、嫌いじゃないと好きはけっこー違うと思うよ? ……本気で聞くけどさ、好きと嫌いだったらどっちに近い?」ロッド「必死?」晶「自分の道具に嫌われるって、下手すると家族に否定されるよりキツいからね。悪い所があったら改善するよ!」ロッド「…………悪い所は、特に無いよ」晶「えっ、マジで?」ロッド「マジで」晶「あの神剣ちゃんですら、こう聞いたら要望を述べてきたのに? マジで無いの?」ロッド「無いよ。……それとアイツは、常日頃から「もっと使え」って文句言ってるよ」晶「いや、他にも結構細々とした注文が。……まぁ、結論は全部「もっと使え」になるんですがね」ロッド「アイツは分かりやすい」晶「ちなみに、三叉錠さんは「とにかく戦わせろ」で鎧ちゃんは「一日一回綺麗に磨いて」でした」ロッド「訂正する。皆分かりやすい」晶「まぁ、大きな不満が無いからこそのいつもどおり……だと思いたいね。下手に溜め込められるよりはずっとマシだよ」ロッド「ふぅん」晶「で、ロッドちゃんは本当に何もないの? 扱いが悪いとか、あんま酷使するなとか、一発殴らせろとか」ロッド「無いよ」晶「……本当に、何の不満もないの?」ロッド「あたしは現状を変えるより現状に合わせる方が得意だから。不満を持つのも面倒だし」晶「後半が本音っぽいのは気のせいだとしておく」ロッド「さすがに極端なくらい扱いが悪ければ愛想を尽かすけど……ご主人様はまぁ、及第点は出してると思う。多分」晶「褒め言葉には慣れてない晶君ですけど、そろそろもっと暖かい言葉が欲しくなってくる時分です」ロッド「無理」晶「……バッサリ過ぎる」ロッド「……………………まぁ、嫌いじゃ…………無いよ?」晶「更に間が開いた上に疑問形! それをフォローとするのは無理がありませんか!!」ロッド「……………………」晶「無言でそっぽを向くのは止めて!!」ロッド「………………すきだよ、カフェオレ」晶「棒読みな上に、結局好きなのカフェオレだけかよ!」ロッド「おかわり」晶「あいよっ! ――うぅ、条件反射で動く自分が恨めしい」ロッド「うん、すきだよ…………………………………………カフェオレ」晶「二回言わなくて良いから! もうだいぶ凹んでるから!!」ロッド「奇遇だね、あたしも」晶「何で!? 何で言った方が凹むの!?」 続かない