日常の裏書その4「パラソル・ラプソディー」 ※この番外編は、晶君が誰かとただ駄弁るだけののんびりとした番外編です。 派手なバトルや驚愕の展開は一切無いので、期待せず見てください。 ちなみに、キャラのチョイスは完全なランダムです。 時間軸は第二期限定ですが、具体的にどこに当たるかは考えていないので気にせずスルーしてください。小傘「ししょー! 今日も私に、人を驚かす秘伝を教えて下さい!!」文「……話には聞いていましたが、本当に妖怪の先生なんてやっていたんですね」晶「あははは、まぁ成り行きで」小傘「わぁ、天狗!? し、師匠この人は?」晶「僕のお姉さん、射命丸文です。優しい人だけど怒ると容赦無いので注意するように」文「ふふふ、晶さんの悪口を言わない限りは基本優しいですよ。私は」小傘「悪、口? ――師匠って悪い所あるんですか?」文「小傘さんはカワイイ子ですね! お菓子食べますか!?」晶「わー、文姉ってばわっかりやすーい」小傘「良く分からないけどお菓子は頂きます! むぐむぐ――とっても美味しいです!!」文「ふーむ……しかしアレですね。見てて不安になる可愛さですね」晶「正直、僕もこのままで良いのか悩んでいます。キャラの方向性と目的が違い過ぎなんですよねー」小傘「ふにゃ?」文「ちなみに晶さん、この愛玩動物みたいな妖怪はどうやって自分の食い扶持を稼いでいるので?」晶「人間って、暗闇だと識別能力が思いっきり低下するんですよ。だから夜に仕事させます」文「ほうほう」晶「そして完全なる無音は想像力を掻き立てるので、小傘ちゃんには一言も喋らせない様にします」文「……それは、喋るとボロが出るからでは?」晶「ついでに無闇矢鱈に姿を見せると怖さが激減するので、詰めの瞬間まで姿は見せず物音だけを出させるようにします」文「…………なんでしょうコレ。正しい意見ですけど、どんどん彼女の存在感が消えている様な」晶「最後に、見えるか見えないかの範囲に佇ませてシメです。ニッコリ笑えば大抵の相手はビビります」文「暗闇の中で傘を差して笑ってる少女がいればそりゃ怖いでしょうけど……なんかソレは、なんと言うか……」小傘「っくん――凄いんですよ! 師匠の言う通りにやってみたら、お腹いっぱいご飯が食べられたんですから!!」文「まぁ、人間心理を突いた見事な作戦だとは思いますけど…………小傘さんはソレで満足なんですか?」小傘「はい? 何がですか?」文「いやその……唐傘お化けとしての矜持と言うか、妖怪としての誇りと言うか」晶「同じ事ですよ、文姉」文「……ぶっちゃけソレ、自分で無くても良いのではとか思いません?」小傘「良く分からないけど、私でも簡単に出来るから助かってます!」文「…………えっと。貴女はなんでコレで人が怖がるのか、分かってますか?」小傘「…………そういえば、何でなんでしょうね?」文「あ、あやや……」小傘「でも師匠の考えた作戦ですから、きっと凄い怖さが隠されてるんだと思います!」文「――晶さん。お姉ちゃん基本的に晶さんの方針に意見するつもりは無いんですが、今回は色々言わせてください」晶「どうぞ」文「今の状況、将来的にも現在的にも彼女の為にならないと思うんですが」晶「…………知ってます」文「もう少し何とかならないんですか? せめて、自分のやっている事の意味くらいは」晶「……文姉。文姉は、皿屋敷の怪談を知ってますか?」文「そりゃまぁ、有名な話ですから」晶「じゃあ、皿屋敷の怖い点ってどこだと思います?」文「夜な夜な自分を殺した相手に恨み言を言う所でしょう。まぁ、正直言うとあんまり怖い話でも無いと思いますが……」晶「――小傘ちゃん。小傘ちゃんは皿屋敷の話を聞いて、どこが怖いと思った?」小傘「はい! お皿が一枚足りない所だと思います!!」文「お、おぉう……」晶「あまりにも価値観が違うと、もう矯正とかそういうレベルにすら至らないんですね。初めて知りました」文「……なんでしょうこの気持ちは。例えて言うなら、血を見ると気を失う吸血鬼を見たような」晶「例えているようでまんまですよね。ド直球に事実を告げてますよね」小傘「? そういう吸血鬼が居るんですか?」文「……お菓子、もっと食べます?」小傘「もっと食べます!」文「たんとお食べなさい。遠慮しなくて良いですから」晶「(わー、凄い優しい表情。人間ってここまで他人を哀れむ事が出来るんだなぁ)」文「……しかしまぁ、やってる事自体は成功しているのですよね? 巫女や人里の守護者達は大丈夫なのですか?」晶「実は、慧音先生には許可貰ってたりします」文「あやや!? あの石頭が、人間を襲う許可を出したんですか!?」晶「まぁ、小傘ちゃんのやり方で人が傷つく事はありませんからね。妖怪に対するトラウマは出来ますが……」文「守護者的には、そっちの方がありがたいって事ですか」晶「妖怪の脅威を忘れてはいけませんから。小傘ちゃんみたいなタイプを残して置く事は、結果的に人里にとってプラスになるのです」文「なるほどなるほど。……そういう理屈で彼女を説き伏せたワケですか」晶「――ははっ」文「晶さんって、そうして邪悪に笑っている時が一番イキイキしてますよね。お姉ちゃんちょっと寂しいです」晶「わりと本気で不本意です」小傘「なんの話ですか?」晶「あ、気にしなくて良いから小傘ちゃんはお菓子食べてて」小傘「はーい」文「……そうやって、後ろ暗い話から当人を避けるのはどうかと思いますが」晶「いえ、最初はきちんと説明していたのですが……」小傘「ふみ?」晶「話の半分を過ぎたあたりで、小傘ちゃんの脳が受け入れを拒否したみたいで」文「……そんなに難しい話でも無いですよね?」晶「小傘ちゃん、頭は悪くないんだけど……こういう駆け引きとか致命的に苦手みたいで」文「今まで、良く無事に生きてこれましたねぇ」晶「まぁ、無くても野生で生きていくには困らない技能ですが。人を怖がらせるには必至な技能ですけども」文「……とことん食べていく為の才能に恵まれない子ですね」小傘「あの、文さん文さん」文「はい、なんでしょうか?」小傘「文さんもどうぞ、一緒にお菓子食べましょう!」文「…………」小傘「? どうしました?」文「アレですかね。可愛ければなんでも許されるという、カワイイ最強説に守られているのですかね」晶「それこそ、野生で生きる上では欠片も役に立たない力だと思うんですが……」文「いえ、意外と有効かもしれませんよ? 強い妖怪ほど小傘さんを見れば同情的になりますし」晶「それはカワイイ最強説関係無いですよね? 単にアホの子が過ぎて哀れになっているだけですよね?」文「ところで晶さん、一つ確認したいのですが」晶「無視っすか……」文「人里の守護者は説得したんですよね? なら、博麗の巫女は? アレは説得に応じる人種じゃないでしょう?」晶「――――ふっ」文「おお、よもや!?」晶「妖怪側も退治される危険性を常に自覚しておかないとダメだと思うんですよ、ええ」文「……ああ、ダメだったんですね」晶「と言うかそもそも説得してません。霊夢ちゃんは、全自動妖怪シバキマシーンである事に意義があると思いますので」文「まぁ、アレは妖怪退治を妥協しちゃダメな存在ですからね。……とは言え、それだと一番の問題が放置されている事になるのですが」晶「一応小傘ちゃんには、また霊夢ちゃんに襲われるかもと言ってはいるのですが」小傘「お菓子美味しー」文「……理解しているようには見えませんね」晶「かなり理不尽な辻斬りに遭ったはずなんだけどなぁ……」文「ある意味、物凄い大物なのかもしれません。……ひょっとしたら」小傘「もぐ?」 続かない