日常の裏書その3「仲良き事は美しき哉」 ※この番外編は、晶君が誰かとただ駄弁るだけののんびりとした番外編です。 派手なバトルや驚愕の展開は一切無いので、期待せず見てください。 ちなみに、キャラのチョイスは完全なランダムです。 時間軸は第二期限定ですが、具体的にどこに当たるかは考えていないので気にせずスルーしてください。ナズーリン「ふむ、よもや金をそう使うとは。さすがに予想していなかったな」晶「ははは、ナズーリンさんは面白い事言うねー。……予想してたから、八手前に銀じゃなくて桂馬を動かしたんでしょう?」ナズーリン「いやいや、それは三手前の歩の動きに合わせたモノさ。晶殿の打ち方は独特だから読むのが難しいのだよ」晶「何を言いますネズミさん、思いっきり定石通りの手じゃ無いですか。ほーら穴熊だよー」ナズーリン「ほー、では囲いから外れたそこの駒とそこの駒は何なのかな? 私には大口を開ける熊の顎に見えるのだが」晶「ナズーリンは詩人だなぁ。ふふふ」ナズーリン「君ほどでは無いさ。あはははは」水蜜「……君達は、たかが将棋で良くもまぁそこまで白熱できるモノだね」晶「白熱? そんなワケ無いじゃないですか、ただの遊びですよ?」ナズーリン「まったくだ、他愛も無いじゃれ合いと言うヤツさ」水蜜「その割には、二人共これっぽっちも目が笑って無いんだけど……」晶「(まぁ、今後の為にナズーリンの考えを少しでも分析出来れば良いなーとは思ってるけど)」ナズーリン「(そんな彼の狙いを逆に利用して、今後の布石にする良い機会だしな)」晶「(――もちろん読んでるよ?)」ナズーリン「(当然、私もそうだとも)」晶「(更にその裏をかいてます)」ナズーリン「(ここまで全て私の計算通りだ)」晶「(知ってた上でノリました)」水蜜「(……なんだろう、物凄い高度な技術ですっごい下らないやり取りをしている気がする)」水蜜「とりあえず休憩しよう? ほら、お茶もお茶菓子も用意したんだよー」晶「あ、スイマセン」ナズーリン「助かるよ。晶殿と勝負するのは楽しいのだが、同じくらい疲れてしまうのでね」晶「糖分補給、糖分補給っと。――本当に困るよねー、僕としてはもうちょっと気楽に勝負がしたいです」ナズーリン「私も同じ気持ちだよ。休憩明けには、もっと気楽に打つとしようか」晶「そうだねー、それが良いかもねー」水蜜「……そう言う割には、お互いに加減をする気配が欠片もない様に見えるんだけど?」ナズーリン「あはははは」晶「ふふふふふ」水蜜「あのさ――あんまり聞きたくないんだけど、実は二人って仲悪いの?」晶「はぇ? 特にそーいう事はありませんよ? 油断ならないなコイツ、くらいには思ってますが」ナズーリン「晶殿は良き友人だよ。そして同じくらい厄介な生命体だと思っている」水蜜「えっと……つまりどういう事?」晶「基本的には仲良しさんだけど、後ろから刺される可能性は常に考慮している。みたいな関係かな」ナズーリン「概ね合ってるな」水蜜「物凄い殺伐としている!? えっ、いや、その……とりあえず仲は悪くないって事で良いのかな?」晶「全然問題無いですよ。まぁ、何だかんだで背中刺す事も刺される事も無いだろうと思ってますし」水蜜「そ、そうなの?」ナズーリン「一生に一度あるかないか、そんな些細な可能性の話だな。特に気にする事でも無いよ」晶「(まぁ、その一度を確実に成立させる為に、色々と布石を打ってるんですけどね)」ナズーリン「(刺す以上、必ず殺さなければならない。……そんな事にならないのが一番だがね)」晶「――ハハハ」ナズーリン「――フフフ」水蜜「あれ、何だか重たい空気。なんで寒気がするんだろう」晶「ところで村紗さん、雑談ついでに聞きたい事があるんですが」水蜜「ん、なんだい?」晶「この命蓮寺は、あの船が変形したモノだって噂を聞いたんですけど――本当ですか!?」水蜜「いやいや、変形はしてない変形はしてない。船を改装しただけだよ」晶「バトルシップモードからフォートレスモードへ変形したのではなくて?」水蜜「ば、ばと……?」ナズーリン「守矢の風祝にも同じ事を聞かれたな……言っておくが、君らの期待する機能は我らの船には無いぞ?」晶「――ヒュ、ヒューマノイドモードは!?」水蜜「ひゅーまのいど? えっと、ナズーリン?」ナズーリン「私が何でもかんでも知っていると思わないでくれ給え。まぁ、何となく言わんとせん事は分かるが――無いぞ」晶「人型に変形しない船に価値があるとは思えません!」水蜜「私の知らない間に、船に妙な必須項目が増えている!?」ナズーリン「落ち着け、晶殿が好き勝手な事を言っているだけの話だ」水蜜「……でもこのやり取り、確か守矢の巫女相手にもやってたよね?」ナズーリン「外の世界の人間の考えが特殊なだけだろう。……本当、どうなっているんだろうな。外の世界の常識は」晶「あれ? 僕と早苗ちゃんのせいで、幻想郷の皆様の外の世界観がどんどんおかしくなってる気がする」ナズーリン「正直に言うが、幻想郷より外の世界の方が人外魔境なのでは無いかと思っている」水蜜「晶さんみたいのが未だに出てくる世界だしね……」晶「いやいや、僕が狡知の道化師になったのは幻想郷に来てからだからね!! 外に居た頃の僕はまだ普通だったんだよ!?」ナズーリン「……修正点、そこで良いのかい?」晶「良くないです。だけどこう……反論の言葉を考えても上滑りしてくると言うか何というか」ナズーリン「他人事ながら泣けてくるな……」水蜜「あーうん、ゴメン。そんな追い詰めるつもりは無かったんだけど」晶「別に良いんですけどねー。事実だから、良いんですけどねー」ナズーリン「ほら、元気を出せ。私の分の饅頭をやるからさ」水蜜「お、お茶菓子ももっと出すよ?」晶「――そういうのより、勝負中に一手分ナズーリンの駒を動かせる権利が欲しいかなーって」ナズーリン「意外と余裕があったな」晶「あと、お茶菓子も追加で欲しいです。出来れば買った店も教えてくれませんか?」水蜜「さっきまで落ち込んでいたはずなのに……図太いなぁ」ナズーリン「まぁ、概ねいつも通りの晶殿だよ。……ちなみに、そんな負け確定の権利を与えるつもりは当然無いからな」晶「えー、一手くらいいいじゃん」ナズーリン「そちらが二手分の権利を与えてくれるなら、考えてもやっても良いが?」晶「そんな不当な権利、絶対にあげないよ!」ナズーリン「――自分で自分の言動を振り返って見ろ、心底笑えるぞ」水蜜「……まぁ、二人の仲が良さそうで何よりだよ。だけど皆が不安がるから、煽り合うのは程々にしといてね?」晶「善処します」ナズーリン「覚えていたら努力しよう」水蜜「そこは素直に頷いてよ!?」 続かない