日常の裏書その1「あややといっしょ」 ※この番外編は、晶君がタイトルの人とただ駄弁るだけののんびりとした番外編です。 派手なバトルや驚愕の展開は一切無いので、期待せず見てください。 ちなみに、キャラのチョイスに深い意味はあんまり無いです。 時間軸も第二期限定ですが、具体的にどこに当たるかは考えていないので気にせずスルーしてください。文「なんて言うか、私負けてる気がするんですよ。保護者として」晶「えっ、まさかの敗北宣言!? どうしたの文姉」文「いえいえ、姉として負けを認めたワケではありませんよ。ただなんと言うか……保護者っぽくは無いなと」晶「違うんですか? 保護者と姉って」文「弟を養わない姉も当然居ますからね。八雲紫なんかは、姉と保護者を上手く両立させていますが」晶「あー。確かに文姉は、家長と言うより長女って感じですねー」文「否定はしません。私も、保護者の一人として晶さんを養っているつもりなんですが……」晶「紫ねーさまには二年のアドバンテージが、幽香さんには住居を提供してるっていう強みがあるからなぁ」文「衣食の比重で考えれば、間違いなく私がナンバーワンなんですけどね」晶「そういえば最近の幽香さん、食料品の買い出し全然してないっけ。料理自体は頻繁にしてるけど」文「私と八雲紫の差し入れだけで十分足りてますからね。ちなみに差し入れ比率は、私七割八雲紫二割その他一割です」晶「そこまでだったの!? 文姉、そんな所で張り切らなくても良いのに」文「いや、私も正直かなり面倒くさくて嫌なんですけどね?」晶「なら止めるか、もしくは比率を減らせば良いのに。別に強制されてるワケじゃないんでしょう?」文「……幽香さんに食材を任せると、鳥肉多めで仕入れてくるんですよ」晶「それは完全に嫌がらせですね」文「そして八雲紫に任せると、自分が食べたいと言う名目でどう調理して良いのか分からないブツを持ってきます」晶「ああ。そういえばたまーに、食卓に理解不能な料理が並ぶ事あるっけ。マズくは無いけど素直に美味しいとも言えない微妙なの」文「そう言う時に限って、あの隙間は調理をこっちに丸投げしますから。我々の知識ではアレが限界なんですよ」晶「……二人共、どんな食材でも容赦なく自分の知ってる料理にするからねー。ねーさまが自分で作るのが一番安定するはずなんだけど」文「結局アレも風見幽香と同レベルって事ですよ。そりゃ、必然私の割合が増えるってもんです」晶「お世話になっております。……あれ? でも最近は、僕も結構食材持ち帰ってる様な」文「扶養家族の収入はカウントしないんです」晶「……それを言ったら、文姉の差し入れも扶養家族の収入扱いになるのでは?」文「失敬な、風見幽香に養われた覚えはありません!」晶「でも最近の文姉は、妖怪の山に居る事より幽香さんの家に居る事の方が多い気が」文「あれで風見幽香ってマメですからね。全部自分でしなきゃいけない我が家よりも居心地が……」晶「文姉、それ完全に実家暮らししてる社会人の台詞や」文「そ、それだけじゃありません! なんと私は着たきりスズメになりがちな晶さんの衣服もサポートしてます!!」晶「あーうん、確かに貰った服は一番多いね。次点の紫ねーさまや咲夜さんが霞むくらいには」文「でしょう!? ――まぁ、その割に晶さんは全然着てくれませんけどね。メイド服で無い時はだいたい幽香さんの服着てますし」晶「そりゃ、性能が一緒ならズボンを選びますよ。文姉のくれる服って全部女物じゃないですか」文「風見幽香のは、そもそもお下がりオンリーじゃないですか! 私のは全部新品ですよ!?」晶「あっちはボーイッシュレベルで済むモノだけくれるから良いんです! いい加減にしないと、貰った服全部フリマで売りさばくよ!?」文「別に構いませんけど、晶さんが袋叩きにされますよ?」晶「何故に!?」文「私の用意した服はオーダーメイドですからね。購入する事で、晶さんのスリーサイズが明らかになってしまいます」晶「……えっと、それの何が問題なの?」文「――晶さんの腰は、殺されても文句言えない細さだと思いますよ?」晶「真顔でんな事言われても困るんですが」文「私もスタイルには自信があったんですがねぇ……って、何の話でしたっけ?」晶「文姉は、保護者じゃ無くて姉だよねって話です」文「あやややや!? いつの間にか戦力外通告を喰らってますよ!?」晶「いや、文姉にはお世話になってるけどね? お世話になってるけど……言うほど養われてもいなかったなぁと」文「酷いですよ晶さん! そもそも晶さんが幽香さんのペットになっていなければ――」晶「今度は幽香さんのポジションに、にとりあたりが収まってたんじゃないかな」文「ふむ……言われて見ると、確かにそうですね」晶「文姉が幽香さんのポジションに落ち着くためには、早い段階で僕の入山許可を貰わないといけなかったからなぁ」文「私の家って、なんであんな面倒臭い所にあるんでしょうね」晶「天狗だから……としか言い様が無いです」文「ぶっちゃけ立地条件最悪過ぎですよ。山の上、閉鎖的、近くに宗教施設有り。冷静に考えるとロクでも無い家です」晶「守矢神社をマイナスポイントにするのは止めてあげて!」文「しかし、私はまだ保護者としての地位を諦めたワケではありませんよ!!」晶「へー」文「清々しいほどに無関心!」晶「いや、そう言われましても。衣食住に関して、僕は現状で満足してますからね」文「……何か、私の保護者力を上げそうな懸念事項とかありませんか?」晶「無いです」文「晶さんの意地悪! だけど大好きです!!」晶「わぁ、理不尽。……いやまぁ、さっきはあんな事言ったけどさ。文姉も立派に保護者やってると思うよ?」文「そんな事は当然です! 晶さんのお世話は、姉としての責務ですから!!」晶「文姉のそういう所、素直に凄いと思う」文「ありがとうございます! しかし私は、それだけでは満足出来ないのです!!」晶「有り体に言うと?」文「風見幽香よりも八雲紫よりも上に立ちたいです!」晶「うん、諦めよう」文「辛辣!? 辛辣ですよ、晶さん!!」晶「文姉は多くを望み過ぎなんだよ。もうちょっと妥協しても良いと思うんだけど……」文「高みを目指す事を止めた妖怪は死ねば良いんです」晶「わぁ、文姉カッコイイ。目指す高みがわりとどうでもいい事を除けば」文「なんか今日の晶さん、ちょいちょいツッコミが厳しいですね。遅れてきた反抗期ですか?」晶「文姉がコメントに困る張り切り方してるからです。見捨てないだけありがたいと思ってください」文「晶さんが「僕の保護者は文姉だけだよ!」って言ってくれれば全て解決するのになぁー。ちらっ、ちらっ」晶「そういう無責任な発言は身を滅ぼすだけって知ってるので、絶対に言いません。きりっ」文「……おねーちゃん、晶さんのそういう流され体質なクセに肝心な所で引かない所が結構好きですよ」晶「ありがとうございます。――で、どうするの?」文「ふむむむむ……どうしましょうか」晶「むしろ逆に考えたらどうです? あえて保護者を捨てる事で、姉としての特徴を出すとか」文「その発想は無かった! 確かにそうすれば、八雲紫との差別化が――ってそれじゃダメですよ色んな意味で!!」晶「はぁ、ダメなんですか?」文「ダメですよ! ソレ完全に負けを認めてるじゃないですか!! しかも姉としても格で負けてるし!」晶「正直、そこらへんの姉的価値基準がさっぱり分かりません」文「そりゃあそうですよ。晶さんは弟ですからね」晶「ドヤ顔で当たり前の事言われても。つーか、保護者と姉って実質無関係なんじゃないですか?」文「姉ならば皆知っています。属性は乗算し、お互いを高め合うのだと! 必要なのは両者が相乗すると言う事実です!!」晶「……うん、なんか今すっごく納得した。このごった煮衣装の根源を知った気がするよ」文「私ももっと保護者属性を強くする必要がありますね。……さて、どうしたものか」晶「とりあえず、保護者がやりそうな事をやってみればいいんじゃないですかね。文姉の考える保護者の基準は分かんないですけど」文「そうですね――まずは無難に掃除でもしましょうか」晶「それは幽香さんじゃなくて僕の仕事なんですが。交代しますか?」文「……いえ、止めておきましょう。では洗濯を」晶「それも基本的に僕の役目です」文「えっと、お庭の手入れとか」晶「もちろん僕がやってます」文「――晶さん、そんなに働いてるんですか!?」晶「僕にも出来る事をコツコツやっていたら、いつの間にか結構な量になってました。ビックリです」文「でも、晶さん普通に遊んでますし普通にゴロゴロしてますよね?」晶「まさか僕も、紅魔館でのメイド経験がこんな形で生かせるとは思いませんでした。咲夜さんには足を向けて眠れませんね」文「むむむ、意外な伏兵が……いや、けどメイドだから時間を作れると言う理屈は少々おかしい様な」晶「一流のメイドは、全ての仕事を誰にも認識される事無く終えるそうですよ? 僕はまだその境地には至れてませんけど」文「晶さん、順調に黒幕への道を歩みつつありますよね」晶「……いや、さすがに暗躍にまでは活用できないと思います。と言うかですね」文「なんです?」晶「そこらへんが保護者の仕事になるなら、僕の保護者力は文姉より上になると思うんですけど」文「…………はい?」晶「だって僕も食材差し入れしてるし、調理以外の家事はほとんど僕がやってるし」文「……晶さん」晶「なんですか?」文「保護者ってのは世話をするだけでなれるモノでは無いんですよ。必要なのは、養う家族に対する責任です」晶「うん、その台詞数十秒前の自分に言ってあげようね?」 続かない