幻想郷覚書 異聞の章・欄外伍「企め! 何を!? 何かをだ!!」チルノ「ばんごー! いちっ!!」大妖精「に、にっ!」ルーミア「さーん」ミスティア「しっしっしっ~、ししんがし~♪」フラン「五!」メディスン「六!!」てゐ「なーな」お空「しち!」お燐「……お空は八だよ」お空「あ、そうだった。はち!」お燐「んで、あたいが九っと」リグル「……十」こいし「じ、じゅういち!」チルノ「よし、全員そろったわね!! あたい団のていれーかいぎをはじめるわよ!!」リグル「待った。色々と待った」チルノ「なによリグル。まだウダウダと文句をいうの?」ミスティア「おこりんぼうのリグル・ナイトバグ♪ 子分は嫌だーと、叫んだよ♪♪」リグル「……その事はもう良いよ。チルノの子分って言うのは納得行かないけど、仲間外れは嫌だしね」大妖精「あ、あはは……チルノちゃんがご迷惑おかけしました」ルーミア「皆仲良しなのかー」フラン「そういえばリグルさんって、チルノ団入りしたのはお空ちゃん達より後なんですよね」メディスン「意外だよねー。みすちーやルーミアとも仲良くしてるから、てっきり最古参メンバーかと」リグル「ボクにはそこの二人と違って、妖怪としてのプライドがあったからね」ミスティア「誇りは埃、積もり積もって山になる~♪ 山になったら邪魔になる~♪♪」ルーミア「プライドって美味しいのー?」お空「ぷらしど……私も食べた事無い!!」てゐ「ここだけ切り取ると、どこぞの腋メイドの様な言動だよね」お燐「実際は分かってないだけだけどね。あはは……」リグル「ってそうじゃない! ボクが突っ込みたいのは、さっきの『全員揃った』って発言に関してだよ!!」チルノ「みんないるじゃないの!!」フラン「お兄ちゃんがいないよ?」メディスン「人里の皆もいないねー」てゐ「単純な数で言うと、半数以上居ない事になるね。まーそもそも揃うはずが無いんだけど」お燐「……チルノ団って結構規模デカいんだね」大妖精「えっと、正団員はだいたい三十人くらいです。あと、美鈴さんとかが補欠団員なので総数は多分もっと……」メディスン「アリスは相談役だよ!」ルーミア「人里の半獣もたまに、監視役だとか言って遊びにくるねー」ミスティア「たまにを範囲に含むなら、仲間の数は更に倍~♪ どれだけ居るの誰も知らない私も知らない~♪♪」てゐ「だいたい晶のせい。アイツの交友関係がそのままチルノ団のコネになるから、てゐちゃん的にはウマウマ……ごほん」お空「そしてさとり様は!」お燐「いや、さとり様は関係ないよ」お空「うにゅーん」リグル「あーもう、話が進まない! 要するに――なんか一人増えてるんだけど!?」こいし「あぐっ」フラン「リグルさん、声が大きいよ! こいしが驚いてるじゃない!!」リグル「え、あ、うん。ゴメン」てゐ「おおー、普段わりと引っ込み思案なフランちゃんがまさかのマジギレ。これにはリグルんもタジタジですな」メディスン「へへー、フランは友達思いだからね」お空「……虫の人、こいし様をイジメた?」お燐「はいはい。今、良い所だからお空は黙ってよーね」ルーミア「そういえば見ない顔だねー、誰なのかー?」大妖精「フランちゃんのお友達みたいだけど……チルノちゃんは知ってる?」チルノ「しょたいめんよ!」リグル「なんでそれ自慢気に言ったの!?」こいし「えっとあの、私は……古明地こいしと言って…………その」チルノ「みなまでいわなくてもわかるわ!!」こいし「えっ!?」チルノ「アンタにそのいしがあるのなら……アンタはもう、あたいたちのなかまよ!!」フラン「親分さん……」大妖精「チルノちゃん……」てゐ「こいしに意志が無い場合は?」チルノ「よくわかんないけど、やっぱりあたいたちのなかまよ!」お燐「……あたい、今ちょっとだけ感動したんだけどなぁ」お空「うにゅ、よくわかんない」チルノ「つまり、じんるいみなこぶんってことよ!」ミスティア「子分なら手を繋ごう~♪ 古墳なら手を合わそ~♪」お空「えっと、皆仲良しって事だね!」チルノ「そうよ!!」リグル「……頭痛い。なんだよ、この馬鹿丸出しの会話は」お燐「結論的には間違ってないと言うか、むしろ良い話なんだけどねぇ」てゐ「チルノ団では良くある事。適当に流さないと、脳卒中でぶっ倒れるよ?」フラン「とりあえず、こいしちゃんもチルノ団の仲間入りしたって事で良いんだよね?」チルノ「そうよ!」こいし「えっと、ヨロシクお願いします」お空「うにゅ、ヨロシクお願いします!!」メディスン「よろしくー」大妖精「えへへ、よろしくね」ルーミア「よろしくなのかー」ミスティア「よーろしーくーねー♪」お燐「よろしく。……とは言え、あたいらもほぼ新人みたいなモノなんだけど」メディスン「一気に団員が増えたよね。うんうん、感慨深いよ」てゐ「私らも、団員歴はそんなに長くないけどなー」大妖精「晶さんが来てからだね、こんなに人が増えたのは」チルノ「そうね。さすがはあたい軍団のひっとーぐんしだわ!」フラン「……ねぇ、親分さん」チルノ「なに?」フラン「お兄ちゃんは、筆頭軍師なんだよね」チルノ「そうよ!」てゐ「筆頭もクソも晶しか居ないけどね、軍師枠」メディスン「てゐちゃんは?」てゐ「てゐちゃん、そういう相応の責任を求められるポジションは辞退する事にしてるの」フラン「それじゃあ私は、チルノ団ではどういう役割になるのかな?」チルノ「ふらんのやくわり?」フラン「ほら、親分さんは団長でお兄ちゃんは軍師、大ちゃんは副団長でしょう?」大妖精「副団長!? 私が!?」チルノ「そうよ!」大妖精「ええっ!?」メディスン「え、違ったの?」てゐ「まぁ、妥当なトコじゃね?」リグル「チルノが団長なら、必然そうなるよね」大妖精「あぅあぅ。そんなぁ……」フラン「それで、私はどんな役割になるのかなって」お空「私も気になる! 何係なの!?」お燐「私らは平団員じゃ無いかな。参加して間もないワケだし」チルノ「そうね。――なら、フランは今日から「きりこみたいちょー」よ!」フラン「切り込み隊長! 良く分からないけどカッコイイ!!」てゐ「初手に悪魔の妹を配置するこのえげつなさ。親分は天然で鬼畜やでぇ……」メディスン「切り込み隊長がぶっちぎりで強いってどうなんだろーね」チルノ「で、おくうは……えーっと……ほーげきたいちょうね! んで、おりんがほーげきたいちょうほさ!!」お空「うにゅ、任せて! 何でもかんでも吹っ飛ばすよ!!」お燐「ここでもあたいはそういうポジションなのか……。否定出来ないのが辛い」ミスティア「私は~鼓笛隊長とかどうかしら~♪ 歌って皆を鼓舞するの~♪」チルノ「じゃあそれで!」ルーミア「私はー夜戦隊長かな? 夜の闇ならお任せだよー」リグル「……君は、闇の中だと視力が効かないはずじゃなかったかな」大妖精「ルーミアちゃんの能力は、夜戦だと逆に生かせないんじゃないかな……」チルノ「いいわね、さいよーよ!」大妖精「……良いんだ」てゐ「何でもありだなー。あ、てゐちゃんは会計係で良いよ」チルノ「てゐはそういうのより、しょきとかのほーがにあってるとあたい思う」てゐ「……まさかそこで流暢に否定されるたぁ思わんかった。しかもこの流れで書記かよ」リグル「でも何か分かるね」メディスン「分かる。――それで、私は?」チルノ「んー、メディは……どくぶつたいちょーで」メディスン「やっぱりそうなるかー。分かってたけど、どうせならもっと捻った称号が欲しかった」お燐「まぁ、今までの流れ的に必然じゃ無いかな」ルーミア「シンプルな方が、分かりやすくて良いと思うなー」メディスン「そうかなー」てゐ「……親分にその意図が無いのは分かってるけどさ。毒物専門隊長が常駐している団って、普通に考えてヤバいよね」こいし「そうなの? でも私の家にも居るよね、毒物隊長」お燐「こいし様、あの子は単純に毒を持ってるだけで、そういう方面を担当しているワケじゃ無いんですよ」チルノ「で、こいしはおんみつたいちょーよ! なんかそれっぽいから!!」こいし「えっ!? あ、うん。良いけど……知ってたの?」チルノ「なにがよ!」フラン「親分さんって凄いよね、あーいう所」お燐「あれで天然なんだから、色んな意味で尊敬するよ。男だったらタラシになってただろうね」リグル「ボクの知ってるチルノは、単に空気の読めない悪戯妖精だったんだけどなぁ」てゐ「今は親分らしくカリスマに溢れてるよね。どこぞの姉と違って」フラン「お姉様の事を悪く言うのは止めて!」メディスン「フランちゃん、語るに落ちてるよ! 皆分かってたけど!!」チルノ「よし、これで全員終わったわね!」リグル「えっ」チルノ「えっ?」リグル「いやいや、ボクがまだだけど?」チルノ「……ほしかったの?」リグル「い、いや、別に欲しかったワケじゃないけどさ。ボクだけ仲間外れって言うのは、なんか違うというか……」ミスティア「妖怪のプライド(笑)」ルーミア「ボクはそこの二人と違うから(失笑)」リグル「さらっと流してたと思ったら、意外と根に持たれてた!?」こいし「リグルさんって、自分をどういう立ち位置に持って行きたいのかな。一歩離れたいの? それとも近づきたいの?」リグル「ぐふっ!?」お燐「ちょ、ダメですよこいし様!? そうやって無意識に他人を傷つける言動をしては!」お空「うにゅ、中途半端だね!」お燐「お空は直球過ぎ!!」リグル「ごふっ」てゐ「まぁぶっちゃけ、お遊び団体の肩書なんて飾り以外の何物でも無いしねー。欲しがってる時点で……」大妖精「あ、あはは」リグル「ううぅ……」チルノ「ま、そーいうことならいいわ、かんがえてあげる!」リグル「この流れを気にせず、素でそう言える君が正直憎いよ……」メディスン「親分はほんと凄いよね。凄い大物か、もしくは凄い馬鹿だよね」フラン「そうだねー」チルノ「ガタガタうるさい! 今かんがえるからだまってて!!」リグル「わ、わかったよ。早く付けてね!」てゐ「わー、ツッコミてー。すっげぇいい笑顔でツッコミ入れてやりてー」こいし「分かる」お燐「こ、こいし様! 変な事言っちゃダメですよ!!」お空「うにゅ? こいし様はいつも同じような事を言って……」お燐「バラさないのお空! せっかく緊張と人見知りで、こいし様が程よく猫被ってくれてるんだから――」てゐ「大丈夫、なんとなく分かってた」大妖精「こいしちゃん、リグルちゃん弄ってる時イキイキしてましたもんね」ルーミア「そーなのかー」お燐「うう、理解があるのは嬉しいけど、これでこいし様を止める要素が無くなってしまった……」お空「どんまい」お燐「……今、お空の事がちょっと嫌いになりかけたよ」お空「うにゅ!?」チルノ「――よしっ、きまったわ!」リグル「……遅かったね。他はすぐ決まったのに」チルノ「リグルは――昆虫王子ね!」リグル「は?」チルノ「ピピっと来たわ! これしかないわね!!」リグル「いや、え、あのその、ええっ?」ルーミア「そーなのかー」ミスティア「いいじゃん~♪ いいじゃん~♪ わりとEじゃ~ん♪」てゐ「まぁ、悪くは無いんじゃない? ……役職じゃないけど」お空「昆虫王子……カッコイイね!」フラン「そうだね!」メディスン「強そうだなー」こいし「ピッタリだと思うよ。うふふ」お燐「……こいし様のスイッチが完全に入ってしまった」大妖精「えーっとあの……お、お似合いですよ?」てゐ「大ちゃんそれトドメや」チルノ「ふっふっふ、こーひょーなようで何よりだわ!!」リグル「――やっぱり君は悪魔だ! 絶対にこの恨みも忘れないからね!!」てゐ「そう言いつつも、逃げ出しはしないリグルきゅんなのでした。ちゃんちゃん」リグル「リグルきゅんはなんか嫌だから止めて!!」