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アニメのゾイドではなく、小学館様より発行されたゾイド公式ファンブック(ゾイドバトルストーリー)を元に、作者が好き勝手設定を追加したり改変したりして作成しております。
「クック湾とさそりの尻尾」
「白銀の処刑人」
の二本立てになります。
双方にストーリー上のつながりはありませんので、どちらから先に読んでもお楽しみ頂けるはずです。
なお「クック湾とさそりの尻尾」の初回の投稿は2chゾイド板の「自分でバトルストーリーを書いてみようスレ」です("自分でバトルストーリーを書いてみよう"運営スレその3 にてこちらへの改定転載は告知済みです)
●はじめに
地球より六万光年の星海を渡った先に惑星Ziはある。
そこは地球の生命とは異なる進化を経た生命が存在した。
それは金属を主成分とし、機械と類似する構造を持つ生命体。
惑星Ziで生きる人々はそれをメカ生命体-ゾイド-と呼んだ。
ゾイドは惑星Zi人の文明発展の相棒として、共に歴史を歩んできた。
しかし、その歴史も地球の歴史がそうだったように、常に争いの歴史だった。
人が集まり、集落を作り、発展させた結果起きる他集団との衝突。
やがてそれは群雄割拠の時代へと至る。
惑星Zi人と共にあったゾイドもまた戦場を駆ける為の乗り物として戦争に赴くことになる。
ただ、その戦いは前時代的で、後世には牧歌的とさえ言われる程だった。
だが、戦いはある年代に激変する事になる。
その端を発するのは地球からの宇宙船グローバリーⅢ世号が惑星Ziに不時着した事だった。
運も悪かった。
不時着した場所は惑星Ziで一番豊かな大陸である中央大陸。
中央大陸はその少し前にヘリック一世によってヘリック共和国に統一され、長らく続いた群雄割拠の時代が終わったはずだった。
しかし、子の代になってあっさりと東西に二分され、両者が自分こそが大陸の正当な統治者だと言い張り、全土の市民を巻き込む大戦争の最中にあった。
グローバリーⅢ世号の不時着は、正にその時の事だった。
両国は敵に打ち勝つ為に、地球産の高度な技術を持つグローバリーⅢ世号の搭乗者を自国に招いた。
そして、グローバリーⅢ世号の搭乗者も勝手の知らない惑星に不時着した自分達の保身の為に両国に協力せざる得なかった。
その結果、惑星Zi人は不相応な技術力を手にする事になる。
その技術力が向けられた先の多くは、ゾイドであった。
機械的な要素を多く持つゾイドは戦闘用に改造され、機動兵器すなわち戦闘機械獣として生まれ変わり戦場に送り込まれ、中央大陸のみならず惑星全土に戦火を呼び込んだ。
そしてそれは長きにわたりヘリック、ゼネバス、ガイロス、ネオゼネバス、西方大陸の小国群、東方大陸産業連合などの国々が争い、数多くの悲劇とほんの少しの奇跡を生んだ「戦闘機械獣の戦争物語(ゾイドバトルストーリー)」の始まりだった。
この物語は後に文字に起こされ編纂され、遠く未来にようやく訪れた平和の時代になっても、惑星Ziの市民に読まれ親しまれる事となる。
しかしながら数多くの人物やゾイドの歴史を収録した物語はすべてを書き連ねる事は叶わなかった。
これから紐解かれる物語はその本からこぼれ落ち、名を歴史に残す事の無かった者達の物語である。