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No.27782の一覧
[0] しぃくれっと・げぇむ (元ネタ シークレット・ゲーム)[Re:peter](2013/01/01 00:50)
[1] はぁむふる・えぇす[Re:peter](2013/01/02 19:28)
[2] すけあぁど・つぅ[Re:peter](2013/01/03 00:07)
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[27782] しぃくれっと・げぇむ (元ネタ シークレット・ゲーム)
Name: Re:peter◆b03e26c6 ID:91304535 次を表示する
Date: 2013/01/01 00:50
この作品はFlat様が原作のキラークイーンおよびシークレット・ゲーム killer-queenの二次創作となります。

このSSには以下の成分が含まれる予定です。

・オリジナルキャラ95%
・独自解釈80%
・独自設定20%
・不幸および絶望 未知数

以上の成分をお確かめの上、ご自身の体質やアレルギー等を配慮し、用法・容量を守って適度にお読みください。

誤字や誤用を発見された場合は報告をお願いします。

 ♯

 皆さま、大変お待たせいたしました。

 この度は、われわれが主催する“ゲーム”を開催するにあたって、ご足労いただきましたこと、誠にありがとうございます。

 前置きはこのあたりでいいでしょう。それでは、お手元の資料とこちらに映る画像を用い、今回のゲームの概要を説明させていただきたいと思います。

 さて、今回のゲームの舞台はスクリーンに映っております、代傘島で行われます。
 島の南部から南東部にかけて広葉樹林が広がり、東部には小さな集落、北部から西部にかけてはかつて観光地として栄えた名残があります。そして、島の中央に立つ三本の電波塔と地下にある発電所、これによりゲーム進行の様子をくまなくチェックいたします。
 なお、今回のゲームの期間は3日と1時間ですが、その間に悪天候に見舞われる確率はほとんどないと言っていいでしょう。

 次に、お手元の資料の3ページをご覧ください。
 そこにいる13人が、今回のゲームの参加者となります。
 各参加者の経歴、性格、現在の基礎能力等は全てそこに書かれている通りになっており、またPDAの解除条件もそこに記したものになっております。

 よろしいですか。
 それでは、只今から1時間の間、誰にBETするかを決めていただきます。
 BETはゲーム進行中でも行うことができますが、倍率は逐次低下していきますことをご了承下さい。

 ♯

 お決まりになられましたか。
 それではゲームを開始させていただきます。

 いえ、なにも気にすることはありませんよ。
 例え今回集められた13人全員が死亡するようなことがあったとして、それはあなたがたの責任ではありません。

 あなた方には、この場をどうすることもできないのですから。
 あなたが何かを行えば、このゲームの行方が変わるのですか? いえ、何も変わらないでしょう。そこは断言させていただきます。

 ですから、何も気にすることはありません。

 何も、気にすることはありませんよ。

 ♯

 目覚めはお世辞にも良好とはいえなかった。

 その原因は昨夜、大学合格を友人達と祝い合ううちで慣れないアルコールを大量に摂取したためだと思われるが、それが全てと言うわけではない。その日は結局歩いて帰ることができずに友人の家の床で、仲間内全員で転がるように寝ていたはずだった。
 はっきりとそうだと言い切れないのは、体内に残るアルコールが脳に少なくないダメージを与えたからだろう。結局のところ、意識が途中で途切れたため何も覚えていなかった。

 だが、それでも。
 友人の家はそもそもマンションの一室である。俺が今いる、時代に取り残されたような木製の廃屋では決してなかった。ついでに誰の配慮かは知らないが、ボロボロのベッドの上に転がされていた。
 辺りを見渡してわかることは、室内に一つだけ取りつけられた窓から見える青空に、太陽がぽっかりと浮かんでいること。この部屋は確かにボロいが、天井に穴が開いているということはなく、多少の雨風程度ならば問題無いくらいには丈夫であること。そしてこの部屋には生活感というものが全く感じられないことくらいだ。

 八畳ほどの部屋にあったのは、俺が居た薄汚いベッドのほかには、枕元にあった小棚と窓と扉だけ。おおよそ人が生活する空間とは言えない。使われなくなってから少なくとも5年は経っているのではないだろうか。天井や壁の汚れが、手入れされなくなって久しいことを告げていた。
 腹が減った。起きたらとにかく腹に何かを詰め込まないと身体も脳も上手く働かない。ここに居ても食糧の確保ができない以上、この部屋から出ることが先決だろう。

 とどのつまり、俺は自分の現状と言うものを全く理解していなかったのだ。

 ピロリンピロリン、という軽快な音楽が小棚から流れたのは、俺がとにかく飯を探そうと思って身体を起こそうとした時だった。この部屋の中に似つかわしくない電子音を奇妙に思い、小棚を開けてみる。中に入っていたのは、それこそまたこんな場所にあるからこそ不自然に思えるものだった。
 薄型の黒いPDA。発信源はそれだった。
 俺が呆けている間もせわしなく電子音を響かせるそいつは、まるでそれが俺の物であるかのように音を鳴らすのをやめない。仕方なくそれを手に取り、表面の8割近くを占めている画面に触れると、電子音が止まり、奇妙な文章が浮かび上がる。

 ――の殺害。手段は問わない。

 目眩がして、手に力が入らなくなった。俺の手からPDAが滑り落ち、ベッドの上でぽふんという音を出す。何の気にすることもない、単なる文章、単なる言葉。それが書かれているだけだというのに、それが酷く罪深いことに感じる。
 小説やら映画やら、普段から見慣れた言葉であったのに、それが何故ここまで重苦しいように感じるのか、俺には判断がつかなかった。それは『他者』と『自分』であることの違いか、『虚構』と『現実』であることの違いか。
 何を考えているのか、と自分に言い聞かせる。これが現実になるとでも思っているのだろうか。殺人が現実になるほど自分の世界は殺伐としていない。それはニュースで見るような、どこか見知らぬ他人の世界の出来事であったはずだ。
 だから、これは悪戯に違いない。後で考えれば理論も根拠も何もありもしないことであったが、今の俺にはこれが限界であった。つくづく情報というものの大切さを思い知ることになるのは、まだまだ先の話だ。

 はっとして、落としてしまったPDAを拾い上げる。幸か不幸か、俺のPDAには目立つような傷は見当たらず、本来の機能を満足に使用することができた。
 そこに書かれている文章は、信じるというにはどこか遊びや悪戯のように感じる要素が入っており、かといって無視できるほど稚拙なものでもなかった。

 10の解除条件
 ゲーム開始から1日以上行動を共にした人間を殺害する。手段は問わない。

 何度見てもその文面は変化しない。殺害。まず初めにその二文字が頭の中を駆け巡ったが、頭を振ってその思考を中断した。考えても意味のないことだ、と信じられない、というよりは信じない方向でいくことにする。心のどこかに、これは現実だと警告している箇所があったが無視した。続けて文章を読んで行く。

 ルール1
 参加者には特別製の首輪が付けられている。それぞれのPDAに書かれた状態で首輪のコネクタにPDAを読み込ませれば外すことができる。条件を満たさない状況でPDAを読み込ませると首輪が作動し、15秒間警告した後、首輪に仕込まれた信管が作動する。一度作動した首輪を止める方法は存在しない。

 首輪、という単語をみて、ようやく首の違和感に気付く。指で触れる限り、そこには確かに冷たい肌触りの金属があった。何故今まで気が付かなかったのか、と問いたくなるほどであったが、寝起きということとアルコールが重なったためだと思われる。
 その首輪と首の隙間はほとんどなく、無理やりはずそうとすれば爪か首のどちらかが先に外れてしまうだろう。つまり、はずすためにはここに書かれている“解除条件”とやらを満たさなければならないらしい。馬鹿馬鹿しい、と感じると同時に、背筋がうすら寒くなる。もし、ここに書かれていることが本当なら……
 それ以上は考えず、まだ先にある文章の読解にいそしむことにする。

 ルール2
 参加者には1から9のルールが4つずつ教えられる。与えられる情報はルール1、2と、残りの3から9から2つずつ。およそ5、6人でルールを持ちよれば、全てのルールが判明する。

 ルール5
 侵入禁止エリアが存在する。進入禁止エリアに侵入すると首輪が警告を発し、その警告を無視すると首輪が作動し首輪に仕込まれた信管が作動する。また、2日目になると侵入禁止エリアが拡大していき、最終的には島内全域が侵入禁止エリアとなる。

 ルール7
 指定された戦闘禁止エリアの中で誰かを攻撃した場合、首輪が作動する。

 全てのルールを見ても、やはり半信半疑、信じるよりもやや疑いが強い。むしろこれをすんなり信じることができる人間は、純粋培養された穢れを知らぬ箱入りか、どこか人として歪んでいるに違いない。
 しかしこの文章、まさに“ゲーム”そのものだった。“ルール”があり、破れば罰則。そして与えられる“目的”。つまりこれを仕組んだ人間がいる。それが何を意味するか、考えるだけでも恐ろしいことである。

 そこで俺は簡単に思考を放棄する。考えない方が楽だから、何も思わない方がいいから。目を逸らすのは昔から得意だったので、俺は一つ深呼吸をするとドアを開けて外へと向かう。
 何か食べるものは無いか、それが重要事項だった。

 ♯

 部屋から出ると階段と玄関があり、どこか山小屋のような造りになっていることが窺えた。大きさはそこまでない。俺が居た2階の部屋の他には向かいに同じような部屋が一つ、一階にトイレと部屋が二つあったが、どれも最近使われた様子がなかった。
 向かいの部屋は俺がいた部屋と同じように寂れたベッドが一つだけあり、期待しているものは見当たらなかった。足を乗せると軋む階段を慎重に降りながら、一階の部屋にも入ってみる。片方も、ベッド以外の物が見つからなくて肩を落としたが、もう片方は当たりだった。

 中にはベッドの脇に段ボールが一箱置かれており、中には携帯食糧と水の入ったペットボトルがいくつか、ついでに小さめのリュックが一つ入っていた。おかげで簡単な食事にありつけた。味気ない食事で腹を満たした後、リュックの中に余った食料品を入れて、段ボールの中に何も残っていないことを確認してから廃屋を出た。

 外の景色は綺麗なものだった。なによりも空気が澄んでいた。都会の濁った空気ではなく、自然特有の香りが鼻孔をくすぐる。ちょっとしたピクニック気分になった。
 俺が立っていたのは開けた場所であり、近くにあるのは先ほど出て来た小屋と目の前にある木々と川辺くらいしか見当たらない。遠くの方に大きな鉄塔が3本ほど見えたが、何の意味があるのかは分からなかった。

 腹が満たされた今、まずは辺りを散策することから始める。
 まずは森に入ってみることにした。木々の背はそれほど高くなく、密集もしていないので空からの光が上手い具合に差し込んでいる。こうした自然の中を一人きりで歩くというのは、受験期になってから全くしなくなっていたので、久しぶりの感覚に気分が高揚していた。

 たまには、こういうのもいいものだ。本当に呑気にそんなことを考える。現段階で危険にさらされているというわけでもなく、緊張するほどのようなことが起きていなかったことが俺の油断と緩慢を増長させていた。
 辺りから聞こえる鳥の鳴き声が自然と心持ちを楽にさせ、小川のせせらぎもそれを手伝う。だからか、近くでがさがさと草をかき分けるような音が聞こえても、なにか他に生き物がいるのだろうか、程度の考えしかでなかった。

 音の聞こえた方向に顔を向けると、一人の少女の姿があった。
 着ている服はどこかの制服なのだろう、山吹色のカーディガンの上に紺色のブレザー。首のあたりには青色のリボンと、黒々とした首輪が見えた。首輪、おそらく彼女も俺と同じくこの“ゲーム”に巻き込まれたのだろう。

「あのう、どちらさ――」

 声をかけようとした時、彼女の身体が目の前にあった。
 ショートボブの黒髪の下に見える切れ目の瞳が、俺の瞳をぎっと見ていた。それだけならば普通に会話できそうな雰囲気だったのだが、それは彼女の手にあり、俺の首元に近づけられた一つの道具によってあっけなく止められる。
 ちらりと見えたそれは、明らかに少女の手には不釣り合いなサバイバルナイフだった。

「おい、貴様」

 ドスの利いた声だった。彼女が俺を見つめる視線には、確実に人を殺せるほどの鋭さがあった。
 恐怖。その二文字が身体を縛りつける。全身の筋肉が硬直し、声を上げるどころか唾を飲み込むことすらできない。

 今の状況が何を意味するか、俺は漠然と理解する。
 “ゲーム”はもう始まっていたのだ。それはまるで子どもの遊びのように、限りなく無邪気に、果てなく無慈悲に、どこまでも純粋に……人が死んでいくほどの、恐ろしいゲーム。
 俺は一体何を考えていた。解除条件をもう忘れていたのか。見ただろう、あそこに書かれていた単語を。

 殺害。

 脳内の警告が強くなる。これは単なる悪戯である、という思考が恐怖と殺害で埋め尽くされていく。上手く頭が働かない。本当にこれが現実であるのか、まだどこかで疑っている。それが俺にとっての蜘蛛の糸だった。

 少女が再び口を開こうとする。
 たとえそれがどれほど無茶苦茶なことでも、今の俺なら何も考えずに頷いただろう。死にたくない、という感情は誰であれ持っているものだ。死に直面しているような状況ならなおさらだ。
 そして、俺の耳に届いた音は。

「食糧と水、持っていたらよこせ」

 という声と、彼女の腹の虫がきゅるきゅると鳴る音だった。

 ♯

「なるほど、君もわたしと同じ境遇だったのか」

 うんうんと納得した様子で頷きながら、少女は答えた。
 腹が満たされた少女の様子は先ほどまでの雰囲気は感じられず、ともすれば全くの別人であるかのように思うのだが、彼女の手元にあるサバイバルナイフが同一人物だと告げている。
 結果として俺はまずぶるぶると震えながら持っていたリュックを少女に与え、その中身が大体半分くらいになったところで、先ほどナイフを突き付けてきた少女と現状についての話し合いを始めた。
 具体的に、気が付いたらここに居た、ということを再確認すると同時に、自己紹介を行う。

「ところで、さ。俺は高沢善弘(たかざわよしひろ)って言うんだけど、きみの名前は?」
「織部綾乃(おりべあやの)だ。名字で呼ばれるのはあまり好きではないから、綾乃と呼んでくれ。あと、敬語は苦手だから言葉遣いが気になるかもしれないが、癖の様なものだ、許せ。だちなみに年齢は17、現役で女子高生をやっている」
「あ、ああ、分かった。ところで、綾乃は今のところ何処までわかってる?」

 目覚めたら森の中のテントに入れられていたから、そこにあったナイフとPDAを持って食べ物を探していたところまでは聞いた。俺が知りたいのは、このゲームが本当であるかどうか、万が一に本当であったとするなら、ルールが一体何であるのか。それが知りたかった。

「わたしのPDAに入っていたルールは5と8だ。進入禁止エリアについてと、開始直後の戦闘禁止についてだ」
「ルール5は俺のPDAにも入っていたけど、ルール8は知らないな。よければ詳細を教えてくれるか?」
「開始から6時間以内は全域を戦闘禁止エリアとする。違反した場合、首輪が作動する。正当防衛は除外、だそうだ」
「……俺、首元にナイフ突きつけられたんだけど」
「実際に傷つけてはいないから、戦闘行為とみなされなかったんだろうな。おそらく戦闘は他者に怪我を負わせることだろうな。脅迫、尋問、挑発は問題ないとわたしの行動が証明した」

 自分でルール違反かどうかを試したのか、それは恐ろしい。このゲームがもし本当だったら、文字通り自分の首が飛ぶかもしれないのに。

「ってことは、綾乃はこの“ゲーム”が偽物だって思っているのか?」
「いや、まだ半信半疑だ。だが、少なくとも今は本当だと思って行動した方がいい。ルールについて言及されているのなら、それに逆らうことは得策ではないだろうしな」

 なるほど、そういう考え方もあるのか。

「ところで、善弘のPDAに入っていたルールはなんだ?」
「俺のところに入っていたのは、ルールの7。指定された戦闘禁止エリアで誰かを攻撃した場合、首輪が作動するっていう内容だ」
「……なるほど、この島にいくつかあらかじめ指定されたエリアがあるのか。つくづく厄介だな。何がしたいんだ、わたし達をさらった連中は」

 綾乃が毒づくが、俺は彼女の発言に引っかかるところがあった。

「島? ここって、どこかの無人島なのか?」
「おそらく、だがな。ルール5を見る限り、そう思われる」
「……どこのこと?」
「“島全域”という箇所があった。仮にルールが本当である場合、ルールを偽ることは無いだろう。なら、そこに書かれていることが本当だと決めつけるのも問題ない」

 ルール5をよく見返すと、たしかに島全域という単語を見つけることができた。些細なことでも見逃すと、それだけ手持ちの情報が少なくなるらしい。

「ところで、綾乃はこれからどうするつもりなんだ?」
「同じようにさらわれた人間が後11人いるはずだ。まずはそいつらに会うことが目的だな。ついでに、島の地形がわかれば上々。善弘はどうする?」
「俺は……」

 俺は、この先どうする?
 綾乃が言っていることの大部分は、おそらく現状でもっとも正解に近いだろう。当てもなくうろうろしている内に殺されてしまいました、では話にならない。生き残るために最大限の努力をしなければならないのだ。
 どうやら俺は頭の中でゲーム、そしてルールの信憑性を疑いながらも、心のどこかでは確信めいた感情がしっかりと広がっていたらしい。
 いや、頭の中で必死に否定していた、否定したかったのだ。

「俺は、そうだな。特に目的もないし、綾乃に付いて行ってもいいか?」
「わたしは構わない、よろしくな善弘」

 綾乃が言ったことだ。
 今は、ここに書かれていることが真実だと考えて行動する方がいい。ということは。俺の解除条件を満たすためには、確実に人と出会い、かつ共に行動ができる程度には信頼されていないといけない。
 つまり、俺はこの少女を、最終的に……

「ああ、短い間だと思うけど、よろしく」

 ……考えるのを止めた。


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