妹が生まれました。
ちわーっす。どうも1才になったスーパーベイビー五反田 弾です。さっそくですが妹が出来ました。
俺の横でスヤスヤ眠っているお猿さゲフンゲフン、もとい初妹な赤ちゃん。そんな妹の横でふてぶてしく座っている俺は、じーっとその顔を覗き込みます。
…男の子じゃね?
うーむ? どう見たって女の子にゃ見えんのだよねー。猿っぽいし? つか猿やん。家のお母様は何処かで拾って来たのではなかろうか?
時折、んぶんぶと寝言らしき謎の声を発する妹的な存在に、もうちょっち近付いてみる。
…猿じゃね? いや猿じゃね?
「……(猿やーん、おーい猿?)」
「(スヤスヤ)」
むぅ、俺の念話(厨二病)にも気付きもしないとは、やるな妹よ!!(意味不明)
とりあえずなんか寒そうやからタオル掛けてやるぞほれ?
無造作に蹴りどかしているタオルを掴み、起こさないよう優しくかけてやる。
ファサ…ゲシ。(掛けたタオルを蹴りどかす妹)
……。
ファサリ…ゲシ。(も一度掛けるけど、普通に蹴りどかす妹)
…ほほう、そうきますか。
寝蹴りの良い子や。将来は立派な蹴りを放つ女傑になるだろう。兄として鼻が高いね、将来自慢できるかね?
【ほらほらみんな見てくれ! 今テレビに映っている選手は俺の妹なんだぜ! いけ! そこだ! うおおお見事な空中回し蹴り! 勝った―――――!】
うむ、中々いい未来じゃね? 頑張れ妹よ、兄は応援する。
「…(じー)」
おう? いつの間にやら起きたのか。妹が兄である俺をガン見していた。
泣きもしないとは好感度アップだぜ妹よ。ただいま妹魂度200パーセント。臨界なんざとうに超えたわ!
ふっしかしこの俺にメンチ切りとは。妹よ、お前にメ○チビームは一カ月早い。見よ!!これが兄の本場メン○ビームだ!!
「…(ギュピ―――――ン!!)」
「(じー)」
「…(バチバチバチ!)」
「(じー)」
「…(〇才児に負けた兄の図)」
恐ろしい奴だ、まさか負けてしまうとは。さすが俺の妹だ、兄は嬉しい。
「うー。」
モゾモゾと動き出す妹。
おう? どうした妹よ? 兄に分るよう喋ってみろほれ。
「あー。」
なるほど、おしめね。兄に任せろ。
「うー?」
「かーしゃーん! らんがおみょらししたー!」
…ぱたぱた。
「あら本当に? どれどれー?」
俺の声を聞いた母さんは、奥の方からやって来てひょいと妹を抱き上げる。
奥の方からは爺ちゃんの「おーう! 弾! 良く知らせたじゃねーか! 流石兄貴になった男は違ぇなぁ!」という声と「へー、しっかりした子だな」「あれで1才? 凄いなぁ」という声が聞こえた。
それに続く爺ちゃんの「だろう!? そうだろう!? 家の孫は凄ぇだろう! なんてったて俺の孫だからな!!」という爺馬鹿節にちょっと照れる。
その声に母さんも苦笑して見せ「ちょっとお店をお願いねお父さん。」と、爺ちゃんに声を掛けて蘭のおしめを確認しはじめた。
五反田食堂。本日も大好評営業中です。
あ、紹介がまだでしたね。
俺の妹の名前は五反田 蘭です。覚えてね?(今更)
「あ、本当だわ。すぐにおしめを替えようねー蘭?」
「ぶー。」
「きもちわりゅいってー」
「はいはい、すぐに替えてあげますからねー。弾もありがとうねー。蘭を見ててくれたのね。さすがお兄ちゃんね。偉いわねー。」
「うーあー。」
「いいっちぇこちょよー。きにしゅるなーらんー。」
「(会話できてるのかしらこの子達?)」
「キャッキャッ!」
「てりぇりゅじゃねーかーちくしょうめー。」
「…弾? 蘭はなんていったのかしら?」
「ありがちょーおにぃりゃってー。」
「…そう、なの?」
「ぶぇぇぇ…!!」
「はやくおしめかえちぇりゃってしゃー、かーしゃん。おしめとっちぇくりゅねー?」
「…うん、そうねー。お願いねー弾。(凄いわね家の子達って。)」
何処か衝撃的なものを見たような母さんに、ちょっと首をかしげながら。俺はよろよろと立ちあがり。おぼつかない足取りで部屋の隅に置いてあるオムツへと足を進める。
くぅ…!! まだ立って歩いて三歩だというのにもうHPがレッドゾーンだ!! ええい!燃費の悪い身体だ!!
プルプル…ボテっ!!(転んだ)
「あ! 弾っ!? 大丈夫!? 無理しないでいいのよ、母さんが――――。」
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ―――――――ッ(床を転がる弾)
パシッ!(オムツをGETする弾)
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ―――――ッ(転がり舞い戻る弾)
ヒョイ(オムツを母に差し出す弾)
「はい、かーしゃん。」
「…タダじゃ起きない子なのね弾って。」
「おちょこはたおれちぇも、ただじゃおきるものじゃねーっちぇ。じーちゃんが。」
「…とりあえず、ありがとう弾。(お父さん・・・後で覚えてなさいよ)」
「キャッキャッ!」
「おだちぇにはにょらないじぇーらんー。あちょでいっしょにねんねしちぇやるじぇー。」
「ぶー。」
「しょんないやにゃかおしぇんでもいいだりょー、きじゅちゅくじぇー」
「…はーい、おしめ替えようねー? 蘭?(家の子達って一体?)」
母さんが何処か驚愕してるっぽい雰囲気を出しているがなんだろう?
おもらしの度合いが凄いのだろうか?下品ですね、申し訳ありませんでした。
とりあえず、我が妹の蘭がおしめを替えてもらっている光景を、視界の隅に写しながら俺は、ふーと一息つく。
しかし五反田 蘭ね。
この名前もどっかで聞いたことはあるんだが、何処だっけ?
記憶力は良い方なんだがね?ままならんもんですね記憶力。もっと気合い入れろや俺の脳! …え? ちょっと無理? この頃徹夜続きでって、すいません激務の中空気読めない事言って。
むぅ、手詰まりだ。弾…蘭…団欒? 良い事じゃん団欒。(意味不明)
「ふー。ままにゃらんことだじぇー、じんしぇいっちぇもんはよー。」
「…。」
すくっと音も無く立ちあがった母さん。うん? どうしたのだろうか? あ、おしめ替えが終わったらしく妹な生き物の蘭が気持ちよさそうに笑ってる。
ローリング弾(転がって移動する俺の技)で蘭に近付いて、蘭の様子を見守ることにする俺。
母さんも爺ちゃんも、五反田食堂で大忙しだから、蘭の面倒は俺が見ていなきゃならんのだよ。うん流石だ俺。兄の鏡だ俺。
「らんー、ねりゅこはしょだちゅぜー? だかりゃねりゅんだじぇー。」
「あーあー。んまー?」
「こみょりうちゃ?おれはへちゃだじょー?」
「うーうーうー。」
「わかっちゃじぇい。ねーんねーん♪こりょーりーよー♪」
「すぴー…。」
「おおう。しゅげーな、おれのうちゃって。」
今日も五反田家は平和です。
奥の方から
「お父さん! お父さんが変なことばっかり教えるからっ! 弾が変なことを真似ちゃうんでしょ!」「はぁ!? ま、待て!? 俺は別にってうおおおお!? 馬鹿よせ! 中華鍋を振り回すなこらっ!!」「なんてことしてくれたのよーっ!?」「俺は知らねぇぇぇって言ってんだろうがぁぁぁっ!! ぎゃぁぁぁぁ!?」
なんて声がするけど。妹の安眠のため戸を締めた俺には聞こえない。
今日も五反田食堂は平穏無事に、大好評営業中。平和です。
後書き
五反田食堂のメニュー。どんなものがあるんでしょうか?業火野菜炒めは食べてみたいですね。