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No.27655の一覧
[0] 【習作 IS 転生 チラ裏より】 へいお待ち!五反田食堂です![釜の鍋](2013/03/18 01:45)
[1] プロローグ[釜の鍋](2011/11/27 15:22)
[2] 第一話   妹一丁へいお待ち![釜の鍋](2011/11/27 15:30)
[3] 第二話   友達二丁へいお待ち![釜の鍋](2011/11/27 15:37)
[4] 第三話   天災一丁へいお待ち![釜の鍋](2011/11/27 15:43)
[5] 第四話   試験日一丁へいお待ち![釜の鍋](2011/11/27 15:56)
[6] 第五話   入学一丁へいお待ち![釜の鍋](2011/12/12 12:28)
[7] 第六話   金髪一丁へいお待ち![釜の鍋](2011/11/27 16:30)
[8] 第七話   激突一丁へいお待ち![釜の鍋](2013/03/18 01:39)
[9] 第八話   日常一丁へいお待ち![釜の鍋](2011/11/27 17:13)
[10] 第九話   友情一丁へいお待ち![釜の鍋](2011/11/27 17:38)
[11] 第十話   決闘 【前編】 へいお待ち![釜の鍋](2011/11/27 17:54)
[12] 第十一話  決闘 【後編】 コースは以上へいお待ち![釜の鍋](2012/09/17 17:49)
[13] 第十二話  帰還一丁へいお待ち![釜の鍋](2011/11/27 18:33)
[14] 第十三話  妹魂一丁へいお待ち![釜の鍋](2011/11/27 19:08)
[15] 第十四話  チャイナ一丁へいお待ち![釜の鍋](2012/09/17 16:43)
[16] 第十五話  暗雲?一丁へいお待ち![釜の鍋](2011/11/27 19:53)
[17] 第十六話  迷子一丁へいお待ち![釜の鍋](2011/11/27 20:19)
[18] 第十七話  約束一丁へいお待ち![釜の鍋](2011/11/27 20:43)
[19] 第十八話  始動一丁へいお待ち![釜の鍋](2011/11/27 21:13)
[20] 第十九話  光明一丁へいお待ち![釜の鍋](2011/11/27 21:56)
[21] 第二十話  幻影一丁へいお待ち![釜の鍋](2011/11/28 01:59)
[22] 第二十一話 協定一丁へいお待ち![釜の鍋](2012/04/26 12:52)
[23] 第二十二話 氷解一丁へいお待ち![釜の鍋](2012/09/17 16:51)
[24] 第二十三話 思惑一丁へいお待ち![釜の鍋](2012/02/06 19:27)
[25] 第二十四話 開戦一丁へいお待ち![釜の鍋](2012/02/06 18:38)
[26] 第二十五話 乱入一丁へいお待ち![釜の鍋](2011/12/26 18:09)
[27] 第二十六話 優先一丁へいお待ち![釜の鍋](2012/09/17 16:46)
[28] 第二十七話 三位一体【前編】 へいお待ち![釜の鍋](2012/09/17 17:13)
[29] 第二十八話 三位一体【後編】コースは以上へいお待ち! [釜の鍋](2013/03/18 23:04)
[30] クリスマス特別編  クリスマス一丁へいお待ち?[釜の鍋](2011/12/25 22:00)
[31] 短編集一丁へいお待ち![釜の鍋](2012/04/23 23:29)
[32] 短編集二丁へいお待ち![釜の鍋](2012/09/17 17:24)
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[27655] 第十一話  決闘 【後編】 コースは以上へいお待ち!
Name: 釜の鍋◆93e1e700 ID:6a99fb4e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/09/17 17:49
【箒 SIDE】


む? 挨拶? なんだそれは?


「セシリアさんの二人に対する『危機感』の低下ですか?」
「おそらく、五反田の最初の狙いはそれだろう。」


モニターを見つめつつ、織斑先生がそう口にする。
画面の中では、一夏がビットの攻撃を巧みにかわしている。

馬鹿、素早い行動の割に、顔が【必死】とはおかしいだろうに。
まぁ、一夏に高い演技を求めるのは酷だろうが、それにしてももっと…。

弾、あいつはあいつで攻撃を楯で上手く受けている。

かわすと見せかけて、かわせなかったという態度で攻撃を楯で吸収。受けた射線上の先には一夏の姿。

こちらは言うだけあって、上手い。一夏が捌ききれないかもしれない攻撃を見極めて【護り】に徹している。

凸凹コンビだとは思っていたが、お互いに役割は果たしていた。


「元々、セシリアは二人対し警戒心も危機感もさほど感じていなかっただろう。だからこそ、二人は【喧嘩】して見せた。自分達の低い警戒心を、さらに地に落とす為にな。」
「え? どうしてです?」
「セシリアに最初からある程度の本気を出させないためだろう。 セシリアは女尊男卑の傾向が高い。 元々男を下に見ていた所、対戦相手の男二人が自分との力の差で動揺して、さらには互いを罵っての喧嘩を始めたとしたらどう思う? 少なからずもこう思った筈だ『本気で戦うことすら馬鹿馬鹿しい』とな。」


―――― 流石は、織斑先生だ。

二人の狙いを一瞬で見破った。この策は冷静な人程見破られやすい。逆にいえば頭に血が上った人程嵌りやすい。


「それじゃあ、織斑くん達のさっきの【喧嘩】は。」
「セシリアに本気を出させない為の策の一つだろう。 それにセシリアは短期戦を望むタイプではない。 場を盛り上げるだけ盛り上げて、自分の力を周囲に誇示する長期戦を望むタイプだ。 最初から本気で来ないとしても保険はかけておきたかったのだろう。そして、本気でないビット攻撃はIS起動が二回目である織斑にとって、練習相手に申し分ない。」
「練習…あっ!」


山田先生が、今気付きましたとばかりに声を上げて、モニターを覗き込む。

一夏の動きは、すでに最初のようなもたつきはほとんどなく。いくらか余裕も出て来ている。

はぁ。だから、表情と動きが矛盾しているだろうに。全く。


「少々荒療治だが。織斑の短い時間でのIS機動の向上も狙いの一つだ。攻撃より回避に専念させるのも、下手に攻撃してダメージを受けることは無論。一次移行もすんでいない初期設定状態時に無駄なエネルギーを消費させない為だろう。後は、一次移行まで悟られないよう挑発し続け冷静さを奪ってやればいい。途中違和感に気付き攻撃のレベルを上げても、それは織斑の成長の糧にしかならんし。なによりセシリア自身のエネルギーと弾薬の消費にしかならん。・・・・まぁ、セシリアのエネルギー浪費も狙いの内だろう。」
「ほ、ほあ~!? ご、五反田くんて策士ですね~!?」
「悪知恵が働くと言うんだああ言うのは。それに五反田自身も隠し玉を持っているかもしれんな。織斑の一次移行が作戦の全容とは思えん。作戦内容の一つだろう。」


策士か。

一夏はどちらかというと、考えるよりも先に体が動く性質だ。それに対し弾はある程度、観察と調査を行い行動する性質。

なるほど、お互いの長所と短所を補っているという訳か。二人が妙にウマが合うのも少なからず納得できるな。

そう思いモニターの戦闘に視線を戻す。


『無駄無駄無駄無駄ぁ!』
『さっきから煩いぞ弾! 集中できないだろうが! 静かにしろ!』
『【しょうがないな】』
『腹話術!? いらん技術身につけやがった!?』
『ちょこまかと鬱陶しいですわね! 観念なさいな!』
『そうだ! いいかげんに観念して『IS/VS』を貸せよ一夏!』
『いきなりなんだよ!? というかその前に、貸したままのゲーム返せよ! もう半年も貸したままなんだぞ!』
『そんなもんとっくに金に換えたわ。』
『その発言待てえええええっ!? 何してくれやがるんだボケナス!?』
『うるせぇよ!』
『なんでお前が切れるんだよ!?』
『しょうがないだろ! 行き先で駄菓子屋のう○棒が目に入っちまったんだから!』
『どんだけ購入したんだお前!? 俺のゲームは○ま棒の誘惑に負けたのかよ!?』
『一個だぞ? 何言ってんの? いや無性に食べたくなってなー。』
『十円の為に売るんじゃねぇ!? 残りはどうした!?』
『お前に返そうと思った行き先で、お使いの買い物の商品を、道端に落して駄目にしちゃってグスグス泣いてた女の子に近付いて。商品確認して『ちょっと待ってな』って一言告げて、手持ちなかったから仕方なくゲーム売った後に近くのスーパーで同じ商品買ってきて、女の子の所に戻って『よかったら、お兄ちゃんのと交換してくれないかい?』っていう一コマの中で消えた。すまん一夏、いくらなんでもその為にお前のゲームを売るなんてどうかしていた。遠慮はいらん、盛大に罵ってくれ。』
『できるかああああああ!? 何の感動を届けてるんだお前は!?』
『出来もしないなら始めからするな!? そんなんだからお前は一夏って影で呼ばれるんだ!』
『本名だよ!? 別に困らねぇよ!!』
『あ、あの? 私忘れてません事? そ、それとお二人ともまず落ちついて。』
『外野は黙ってろ! 取り込み中だ!』
『レディに向かってなんだその態度は!? でもセシリーちゃんも、ちょっと空気読もうな?』
『す、すみませ―――――って!? 何で私があやまらないといけないんですのおおおおおおおおっ!?』
『悪いことしたら謝らないとな?』
『あーもう! 貴方という男はホントに! ホントにホントに―――!?』
『らーいーおーんだ!♪(古)』
『『お前(貴方)はもう喋るなあああああああああっ!!』』
 


…あいつは本当に考えて喋っているのだろうか?



「あ、あの。あれも冷静さを奪う為。な、なんですよね?」
「…。」
「…あ、水。入れますね…。」



静かに胃薬の蓋を開ける織斑先生の背中が、やけに小さかった




と、とりあえず頑張れ! 一夏! 弾!






【弾 SIDE】


「は――――っ! は―――――っ! さ、三十八分っ! も、持った方ですわねっ! ほ、誉めて差し上げまっえほえほっ! は―――・・!」
「…なぁ、弾。」
「言うな。それが紳士だ。」
「お、おう。」


むしろ誉めてあげたいのは俺らの方なんだがね?

いやー、さすがセシリーちゃん。すごいわ体力。野郎二人相手に。

うむ、マジすごい。一対二の状況の中で、ここまで体力が続くとは感嘆の息しかでない。


「それよりも一夏? どうだ?」
「後もう少しだと思うんだけど・・・。」


ふむ、まだ一次移行は成らずか。時間稼ぎもそろそろ限界なんだがな?

セシリーちゃんに視線を戻す。

ありゃー、不味い。

なんか警戒の色が、表情ににじみ出てる。さすがに戦闘の途中で違和感に気付いたか。そりゃそうかもね? 俺達一切攻撃しなかったし。


「貴方達っ! 一体何が狙い何ですの!? こんな時間稼ぎなどして! 私のエネルギーの枯渇が狙いなのでしたら無駄ですわ! そんな幼稚なミスを犯す私ではなくってよ!」
「ん? 気が付いてたのセシリーちゃん? どのあたりから?」
「ふん! そんなものすぐに気が付いてましたわ! あえて幼稚な策に乗ってあげた私に感謝してほしい位ですわね。」
「でもなんか途中激昂しなかったか? お前。」
「おいおい。そこは黙ってようぜ相棒。紳士なら」
「あ、あれは貴方達のせいではありませんか! わ、私を無視して!」
「「寂しかったのか? そりゃ悪かった。」」
「その台詞は二回目ですわっ!? なんでまた息ぴったりなんですの!?」
「愛かな?」
「「それも二度目!?」」


ほほー、時間稼ぎと感づいても攻撃してきたのか。

ふむ成程ね。俺達の策にあえて乗ってくれたのか。

その上で俺達を超えて勝利する自信があると。

恰好良いねぇ。 強い淑女さんだ。 眩しい位に気高い心。最高だっ!!

でも、今回その余裕はちょっとばかし悪手だぞ? セシリーちゃん。


「まぁまぁ、別に俺達に大層な狙いなんて―――。」
「っ!? 弾!」
「…来たな? 手札がようやく揃ったぜ。」


俺が会話を続けようとした時。

一夏が、待ちに待ったという表情で声を上げ。―――次の瞬間。

『白式』が、強烈な眩い光を放つ。

――――――― キィィィィィン

静かな高周波音を立てながら、『白式』の姿が劇的に変化していく。光に粒子を放ち、一夏という宿主のために、己を形成していく。

装甲からまだ僅かな光の粒子を生みながら、一夏の【白式】がこの場に誕生した。


ようこそ、歓迎するぜ! 『白式』!


「ま、まさか一次移行!? あ、あなた今まで初期設定だけの機体で戦っていたんですの!? この為の時間稼ぎでしたのね!?」
「そ。ついでに起動に不慣れな一夏のレベルアップも兼ねたね? 練習相手ありがとうなセシリーちゃん。」
「おかげで十分練習になったぜ。俺からも感謝する。」


俺と一夏の感謝の言葉に、セシリーちゃんの眼元が引き攣った。
うむ、その顔も美人だ。どんな表情も似合うね♪

一夏は、体の調子を確かめるように腕を回し得たりしている。
手の中の【近接ブレード】も形を変え、神々しさを発している。

――――― 凄ぇな。 『七代目五反田号』が、あの刀に特A級警戒信号を発している。そこまで凄いのかアレは?


「それも狙いだったという訳ですのね!? 私とした事が…! ッ!? では最初の【喧嘩】も!?」
「セシリーちゃんの手を抜かせる為の作戦の一つ。練習を始めるなら最初はEASYモードの方がいいだろう?」
「少しづつ射撃の正確さとスピードが上がって来てたけど。なんとかなったぜ?」


いやいや、それはお前の順応能力の高さがおかしいんだよ。なんだよ、一発二発は覚悟してたのに避けきるって。

成程、千冬さんの弟という肩書は伊達じゃないってことか。あの姉にして、この弟ありって奴かね?

まぁ元々一夏の身体能力の高さは身をもって知ってる。今は体が心に追いついてないだけだから理解はできる。にしても潜在能力高すぎるだろお前。

いつか、こいつは誰もが放っておけない人間になるだろうな。

調子に乗るから絶対言わないがね?


「あとはセシリーちゃんのエネルギーを無駄遣いさせようと目論んだんだけど。」
「そんなミスは犯しませんわっ!?」
「でも、いつもよりも消費は大きいんじゃない? 一対多向きでも、当らなければ消費はでかい筈だ。その辺どう?」
「――― くぅっ!」


俺の言葉に、セシリーちゃんがビットを前面に展開。自分を護るように、俺達に構える。

どうやら【敵】として認められたようだぜ相棒。光栄だな。

一夏も一夏で、真剣な表情で相手を睨みつけている。

手に持った刀も、一層光を放ちその存在を周囲にしめいている。一夏が動かないのは、おそらく合図をまってるからだろうな。


ここからが本当の勝負だ。作戦もいよいよ大詰め。そろそろ決着つけようか? 

奥の手】も準備はOK。いつでもいける。


「さてと、ここからが本当の勝負だ。さっきとは違って、一次移行した一夏の『白式』の段違いの機動力。そして防御から、攻撃へと戦法を変える俺の『七代目五反田号』。凌げるもんなら凌いでみなってね。」
「攻撃っ!? 武器がその楯以外にあるのですか!?」
「一夏の言葉に勘違いしたね? 俺は攻撃手段ないなんて一言もいってないぜ? ナイス一夏。やるじゃん。」
「い、いや。俺も持ってないと思ってた。」
「「……。」」
「や、やめろ! 二人してそんな目で見んなよ!?」


…まぁいいか。

想定よりもエネルギー消費の多い自身のIS。

さっきとは性能と戦法をガラリと変えて来る敵のIS。

それも二人同時に相手をする。

しかも片方は所持武装の詳細が鍋(え?)以外一切不明。


かなり厳しいハンデをぶつけてやった思うが、どうなるか。相手は代表候補生。何か温存している可能性もあるし油断できないな。


これを凌がれたら、もう打つ手なし。最初から出し惜しみはなしで全力で行くぜっ!!


「一夏。」
「なんだ?」
「セシリーちゃんだけに集中しろ。背中は任せてくれ。」
「その方が分りやすくて良い。了解だ。頼んだぜ。」


俺に背中を預ける事に一瞬の躊躇いもなしか。カッコイイじゃない!

なら、その信頼にこたえるために全力を尽くさせてもらう。


「そんじゃ行くぜ? レディ――――。」





「「――― GO!!」」





――――――― ドンッ!!

空気が弾ける音が鳴り響き、同時に動き出す俺と一夏。

一夏がセシリアちゃんへ真っ直ぐに向かっていくのを、ハイパーセンサー越しに見ながら、俺は真っすぐに、アリーナの地面を目指す!


「っ!? 速いっ!? 【ブルー・ティアーズ】!! 撃ち落としなさい!」


一夏の機動力に、セシリーちゃんが驚きの声を上げるが、すぐにビットで対応する。しかし、撃ちだされたレーザーを、素早い機動でかわす一夏。


――――― 流石! さっきまでとは比べる事すら馬鹿馬鹿しい程の機動だ!


そんな一夏から意識を外し、地面に激突するような勢いでさらに加速。
右腕の装甲に、バチバチと閃光が走り。輝きが増していく。


――――― これが【奥の手】!!



「――――― いっけええええええええええええええええええ!!!!」




『七代目五反田号』の右腕装甲が、アリーナの地面に叩きつけられると同時に。

岩を砕くような轟音を響かせ、俺を中心とした。エメラルドの電磁波のフィールドがアリーナ全域に一気に広がる。


「「っ!?」」


突如現れた電磁波のフィールドに、一夏もセシリーちゃんも驚愕する。

――― うげっ! ごっそりエネルギーを持ってかれた!? 

表示されたエネルギー残量を確認しても、残りわずかしかない。 
やっぱり使いどころが難しい代物だぜ!


「な、何ですのこれは!?」
「弾っ!? お前何をしたんだ!?」


ふふふっ! よくぞ聞いてくれたな相棒! これぞ【奥の手】!


「これぞ! フィールド発生兵器【食の寝台・まな板領域】! 『七代目五反田』の特殊武装だ!」
「なんだそりゃ!?」
「また妙なネーミング武装ですの!?」


驚くのは名前じゃないぞ!
この【食の寝台・まな板領域】の力をとくと見せてやるぜ!!


「『七代目五反田号』。【敵IS所持武装選択】!【武装指定・ブルー・ティアーズ・レーザー射撃型】! 発動しろ!」


俺の発言と共に、フィールドの電磁波が輝きを増し―――――。


「なっ!? 【ブルー・ティアーズ】が!?」


エメラルドの電磁波が一斉にそれ伸び、セシリアちゃんのビットに喰らいつく。
そのまま一気に引き寄せ、電磁波のフィールドの地面へと縫い付けた。

よっしゃあ!! 


「私の【ブルー・ティアーズ】が!? ま、まさかそのフィールドは!?」
「その通り! この【食の寝台・まな板領域】は、敵のIS武装を封じる効力を持ってんのさ! 俺が指定した武器は例外なくこの電磁フィールドへご招待だ!」
「す、すげぇぞ弾!!」
「って言っても、エネルギー消費が激しい上に形成時間が短くてな。使いどころが難しいんだが…。」


そう言いつつ。
俺は【業火鉄板鍋】を構えて、命じる。


「【業火鉄板鍋】! 【貯蔵】解放! 武装展開だ!」


俺の命令に、【業火鉄板鍋】が、その内部に【貯蔵】していた武装を、俺の前に展開する。
解放された武装は、『七代目五反田号』が引き寄せ装着。

これで、『七代目五反田号』も準備完了だ!


「楯の中に隠し持っていましたの!? そんな!?」
「行くぜぇ! 【五反田包丁・初代・二代】! 【食の寝台・まな板領域】が消える前に、ビットを料理する!!」


両脇に装備してある二振りの刃を引き抜く。
そしてそのまま一気に、地面に縫い付けられているビットへ加速。

まな板の上なら俺の独壇場だあああああっ!!


「――――― させませんわっ!?」
「こっちの台詞だぁ!」
「くぅっ!?」


俺に向かって、セシリーちゃんが銃口を向けるが、一夏が素早くセシリーちゃんに肉薄。刃を一閃するが、紙一重でかわされる。
けど、どうやら一夏は、それが狙いだったようだ。


「弾っ! こっちは任せろ! やれぇっ!!」
「ナイス一夏! 後で奢っちゃる!」


相棒のフォローを受け、ビットの二つに接近。
そのまま、【五反田包丁・初代・二代】を素早く振るい【切る】!!

――――― あらよっとぉ!

一閃、二閃と光が走り、ビットが切り刻まれた。


「微塵切り! かつら剥き! どっちも完ぺきに決まったな! お次は!」


自分の位置から、かなり距離のあるビット二つへ意識を向ける。
突っ込んでも【食の寝台・まな板領域】が消える方が先だな…ならば!


両腕に装着された砲身を残りのビットへそれぞれ照準を合わせる。


エネルギー馬鹿食いしたからな。威力は弱火で【焼く】としますか!!


「焼き加減は弱火だが十分だろ! 【特注コンロ・炎の料理人魂】! 発射ぁ!」



小さな発射音と共に、二つの小さな火球がビットへ放たれ――――― 命中!!
黒こげになり、小爆発を起こし消滅した。

それと同時に【食の寝台・まな板領域】も消滅。

くそ、やっぱり効果時間が少なすぎる。 できればもう一つぐらいセシリーちゃんの武装を破壊しときたかったんだがな。


「――――― ッ!? よくも私の【ブルー・ティアーズ】を!!」
「余所見は禁物だぜっ!!」
「ちょこまかと鬱陶しいですわ! 喰らいなさい!」


セシリーちゃんが一夏に向かって攻撃――――って!? あれは【ブルー・ティアーズ】じゃないのか!? まだ持ってたのか!? それも二機かよ!
でもそれならなんで【食の寝台・まな板領域】が反応を示さなかったんだ?


「っ!? 射撃型じゃない! 弾道型か!?」


一夏の声にハッとする。弾道型…? しまった。

指定したのは射撃型のみだった! 弾道型を備えている【ブルー・ティアーズ】は対象外という訳ね。
くそ、融通聞かないなコンチクショウ!!


ああもう!


「【業火鉄板鍋】!【剛鉄球お玉】! 行くぞぉ!」


【業火鉄板鍋】を地面に寝かせ、背中の【剛鉄球お玉】を大きく振り上げる。
こっからじゃ救援は無理だ。

なら――― コイツで! どうだ!


「【剛鉄球お玉】!その【叩く】威力は未知数だ! 行くぜ! 某寝ぼすけ兄貴を起こす為に編み出された妹の想いのこもった究極秘儀! 死者の―――――――っ!!」


お兄ちゃん朝ですよっとぉぉ!!


「―――― 目覚めええええええええぇぇぇぇっ!!!!」



【剛鉄球お玉】を思いっきり【業火鉄板鍋】に叩きつけた瞬間。



ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォンン―――――ッ!!



―――― 大気を揺るがすが如く、火山が大噴火するかのような物凄い轟音がアリーナ中に響き渡った!!



「「「「「「「――――― 耳があああああああああああっ!?」」」」」」」


うおお!? 凄い威力だ。
観客の淑女たちにもダメージが行くとは、すまん!


けれど、とてつもない衝撃波は観客席のシールドが護ってくれたようだ。さすがIS学園!

だが――― ミサイルはどうかな!?

上空に視線を向けると、二つの弾道型【ブルー・ティアーズ】に大きな亀裂が入るのをハイパーセンサー越しに確認することができた。

そしてそのまま発生した衝撃波にやられ、二つの弾道型が途中で大爆発を起こし消滅。

黒煙で一夏の姿は確認できないが、まぁ無事だろう。上手くいったか。


『IS【七代目五反田号】。残量エネルギー0を確認。戦闘不能、リタイア。』


あー、しまった。最後のでエネルギー使いきっちまったか。

すまん、一夏。後は頼んだ。


「~~~~~~~~~~!? そ、そんな無茶苦茶ですわぁ!?」


耳を押さえ、セシリーちゃんが叫ぶが。

―――おいおいセシリーちゃん? それは、大きすぎる隙だぜ!


黒煙の中を突っ切るように、白い弾丸が猛スピードでセシリーちゃんに接近。

その存在に気付いたようだが、反応が間に合わず硬直する『ブルー・ティアーズ』

刀を振り上げ―――――


「――――― 俺達のっ!!」


一気に振り下ろすっ!!


「勝ちだあああああああああああああっ!!」


白が青を切り裂いた瞬間。ブザーが鳴り響く。






『試合終了。 勝者――――― 織斑 一夏。五反田 弾 ペア』






「「―――― よっしゃあああああああああああっ!!」」


空と大地で、俺達の雄たけびが木霊した。


ギリギリの勝ちだったがまぁいいか――――― ん?

何気なく空を見上げ―――― そこには重力落下していく『ブルー・ティアーズ』の姿が鮮明に・・・・っておい!?


「―――― 一夏ああああ!? セシリーちゃんキャッチしろおおおお!?」
「――――― は? …はああああっ!?」


俺の言葉にセシリーちゃんに視線を向けた一夏だったが。その先には重力落下するセシリーちゃんの姿があり、それを見て思わず素っ頓狂な声で叫ぶ。

おいおい待て!? エネルギー切れにしても空中落下するなんて聞いてないぞ!?
ISって安全性は超高い筈だぜ!?


「セシリーちゃん!? どうしたんだ!?」
「わっ分かりません!? せ、制御が効かないんですの!?」
「「なんでさっ!?」」
「――― も、もしかしてさっきの衝撃波のせいでどこか破損を…!?」
「なんだってぇえ!? 俺のせいっすか!? やべぇ!? 一夏ぁ! 頼む!」
「――――― 任せろっ!!」


お、恐るべし『死者の目覚め』! こ、この技はよほどの事がない限り使用は制限しよう!

俺も『七代目五反田号』を動かそうとするが、機体が重くてどうにもならねぇ!!
くそ! 紳士としてあるまじき失態だ!

視線の先には、地面に向かって落下していくセシリーちゃんの姿…やべぇっ!!


「―――――――――――ッ!?」
「一夏あああああああぁぁぁぁぁ―――――――――っ!!」
「間に会えええええええええぇぇぇぇぇぇぇ―――――っ!!」


地面に激突する瞬間。

白の閃光が瞬き、間一髪でセシリーちゃんを横からかっ攫う。


おっしゃぁ!! ナイスだ一夏っ! 後で【弾特製フルコース】を作ってやるからな! セシリーちゃんにもお詫びを兼ねたスウィーツも作ります!


「ナイスキャッチだ一夏! でかしたぜ!」
「あ、危なかった! 大丈夫だったか?」
「―――― え? は、はい。」
「そっか。そいつは良かった。(眩しい笑顔)」
「…あ、はい。(キュン)」


あ、一夏セシリーちゃんにフラグ立てやがった。

見境ないなあいつは本当。見ろよ。セシリーちゃんの険がとれた、あの乙女な表情。

あー、箒ちゃんの激怒する顔が目に浮かぶぜー。楽しいね!(他人の不幸は蜜の味)

あ~~~。それにしても最後の最後でどっと疲れたぜ。

大きく息をついて、俺はアリーナの地面に大の字になって寝っ転がる。今は唯、ゆっくりと体を休めたい。


こうして、俺達の勝利とセシリーちゃんのフラグが立った事で。決闘は終了した。




【本音SIDE】


アリーナに寝そべるだんだんの姿を見つ続ける。

お~勝ったよー! おめでとうだんだん~!

今まで見たことない、『男の子』なだんだんは、なんかカッコ良かったな~


あれ? なんだか顔が熱いな~。


「あはははははは! 何あのネーミング!? あっははははは! ちょっと待ってお腹痛いぃ~~~~♪ あはははは!!」


席で笑い転げる楯無お嬢様。
あはは~。確かにそうだけど、それでこそだんだんって感じだね~。


「あー♪ おかしい。噂の男の子達は想像以上に面白い子達みたいだね。」


パンと、扇子が広げられ。書かれていた文字は『痛快』。
おー、結構好評価だ~。

もう一度だんだんに視線を向ける。
おりむーに手を貸され起き上がっているところで、へらへら笑っている。
うんいつものだんだんだー。


「…。」


あれ? さっきからお姉ちゃんが妙に静かだなー?

お姉ちゃんを見ると。視線はじっとアリーナに向けられている。

…あれ?


「お姉ちゃん~? どうしたのー?」


私の声にハッとするお姉ちゃん。 一瞬慌てたようだけどすぐにいつもの表情に戻る。


「な、なんでもないわ。 初戦で勝利なんて凄いわね。二人とも。」
「う、うん。そうだね~。」


なんだろう? なんだか嫌な予感がする。

よく分かんないけど…なんだか変な感じがする~~~~? なんでぇぇぇ~!?

そしてまた、お姉ちゃんの視線はアリーナに戻る。

その視線の先にいるのは、一体誰~!?

なんでこんなに気になるの~~~~~~~~~!?



「――― これはっ!?♪(ギュピ―――ン!)」



そんな私達を、楯無お嬢様がキラキラした表情で見ていたことを。
その時のお姉ちゃんも、私も気付かなかったのでした。







後書き

まさかの生徒会メンバー登場です。さて一体どうなることでしょう。ちなみに弾にハーレム願望はありません。紳士ですから。さて次回、IS授業及び祝勝パーティなどの日常編です。――――― そしてもうすぐあの娘が帰ってきます。


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