第二次世界大戦において、異世界《シエル》と魔法の存在が世に広まった、もう一つの戦後の世界。
先の大戦からおよそ九〇年近く、三度目の世界大戦が魔法使いの敗北で終え、およそ三年の歳月が経っていた。
日本帝国の男性、篠崎隼は、空が好きで、戦闘機のパイロットをしていた。
しかし、今、隼は戦闘機に乗っていない。
《ヒューマノイド・アームズ》と呼ばれるロボットに乗って、異世界で戦い続けていた。
魔法使いの残党の勢力が衰える兆しはない。
減らない敵。
いつ終わるか分からない戦場。
そこに、隼は居続ける。
隼の望みは、今は自分が乗るロボットに搭載されている、元戦闘機用AIの如月と空を飛ぶこと。
如月と共に、再び空を飛ぶことを夢見る隼は、フランス語で空を意味する異世界の大地を、如月に乗って駆ける。
いつか、世界を覆うあの空へ戻る為に――。