斬撃と弾丸が交差し、ぶつかり合い、火花を散らす。
9月3日、場所は第3アリーナに於いて開始した新学期最初の実戦訓練である1組と2組の合同授業は、ミシェル対一夏という男性IS操縦者同士の模擬戦の場と化していた。
世界に2人しか存在しないISを操縦できる男子、それに加えて両者ともつい先日2次形態移行を果たしたばかりの機体の操り手である事も相まって、その戦いを見物するクラスメイト達の熱い視線は虫眼鏡で集束した日光もかくやな集中っぷりだ。
少女達、そして監督役である教師陣のそんな期待っぷりに違わぬ激戦を2人は繰り広げる。
「くっ、その弾幕は反則だろ!?」
「抜かせ・・・・・・!砲弾斬り飛ばすそっちよりはマシだ・・・・・・!」
一夏はより一層機動力が強化された<白式・雪羅>の緩急をつけた機動で的を絞らせず、それでもたまに飛んできた命中弾も<雪片弐型>で叩き落として機体を傷つけさせず。
ミシェルは豊富な兵装と火力を生かして一夏の接近を封じ相手の得意な接近戦に持ち込ませず、開始早々距離を取って常にアリーナの壁を背にする事で相手が接近してくる方向を制限して機動力の無さをカバーする。
己の、そして相手の技量と機体特性に精通しているが故に、開始当初から同じような攻防をずっと繰り返す2人。
だがその結果、不利な状況に追い込まれているのは一夏の方である。
何故ならば、スラスターの増設と共に出力も増大した代償として当初から酷かった<白式>のエネルギー消費速度が更に悪化しているのだから。それはミシェルだってよく知っている。
対してミシェルの<ラファール・レクイエム・ガーディアン>は火力と防御、そして燃費を重視した信頼性と安定性の高いモデル。実弾メインの兵装と拡張領域の広さも相まって長期戦にも向いている。
これ以上逃げ回っていてもエネルギー切れで負けが決まっているのならば、イチかバチかの捨身しか今の一夏には残されていない。が、それもまた相手はお見通しだろう。
逆転の目はそれぐらい。ならば無謀な選択は出来る限りの技術でカバーしろ。
「(せめて<銀の福音>の時みたいな事が出来れば・・・・・・!)」
「・・・・・・そろそろ終わらせるとしよう」
「っ!!」
ミシェルの腰の後ろ当たりの半円型ミサイルポッド<ホーネット・ネスト>から大量のマイクロミサイルが発射。顔がヘルメットに隠れているせいで他の誰かを相手にしている時よりも発射のタイミングを読み取り辛いのが、ミシェルと戦う時に不利な要素の1つだ。
くそっ!と吐き捨てながら奥の手である左腕の多機能武装腕部<雪羅>に内蔵された荷電粒子砲で迎撃。<雪羅>の荷電粒子砲は過去にライフル以外にもショットガンを一夏が用いた事もあったせいか、遠距離用の集束モードだけでなく射程は短いが面単位で被害を与える拡散モードに切り替えが可能となっていた。
最後の攻勢を仕掛けるまで温存しておきたかったが、ミサイルから逃げ回るよりは荷電粒子砲で迎撃した方がむしろエネルギーの消費が少ない。
拡散モードで発射すると、効果範囲内のマイクロミサイルが着弾前に一斉に爆発して炎と煙が広がる。それを目晦ましに一夏は斜め上へと飛翔し、瞬時加速でミシェルへと急接近を試みた。
その加速力は一夏の予想を大分上回っていて、PICが一夏にのしかかるGを相殺しきれず全身が軋む。それを爆炎諸共振り払ってミシェルへと斬りかかった。
「はあああああああああああっ!!!」
「そう来ると思ったっ・・・・・・!」
一夏の突貫を読んでいたミシェルは<シールド・オブ・アイギス>で<雪片弐型>による斬撃を受け止め制止させる。
本命は別の方だった。AICが一夏の全身を絡め捕るよりも早く<雪羅>をブレードモードに切り替え、横一文字に一閃。盾形ビットの表面に亀裂が入りAICが展開できなくなる。それに従い一夏の身体も自由を取り戻した。
もうエネルギーも無くなる寸前。これで決める!
「これで、終わりだあ!!」
<零落白夜>起動。なけなしのエネルギーを注ぎ込んだ光刃で袈裟切りにすべく、右腕を振り上げ―――――
腹部に強烈な衝撃。
「ぐぶへっ!?」
「・・・・・・こういう時は蹴った方が速い」
前蹴りを食らって後ろへ弾き飛ばされた瞬間、エネルギー切れを宣告されて一夏の敗北が決定された。
「だー、もう少しだったのになー」
午前の授業を終え、例によって仲間達と食堂で昼食を取りながら模擬戦の内容を検討し合っていた一夏が漏らした一言である。
やや悔しそうながらも一夏は大体の敗因の検討はつけていた。それは他の一同も同じであり、食事の手を止めないまま合間合間に意見を述べていく。
「せっかくパワーアップしたっていっても、やっぱり使いこなせなきゃ意味が無いよなあ・・・・・・」
「燃費は悪い、性能はピーキー。ただでさえ展開しただけでシールドエネルギーを削る仕様の武器が2つに増えたのに移動するにもエネルギーをガンガン食うなんて何それ、燃費重視の<甲龍>にケンカ売ってんのその機体」
「言うなよ、これでも更識さんの機体組み立てるついでに<白式>も調整してもらったおかげでマシになった方なんだし」
「その分機動性も最初より更に向上してはいますが・・・・・・今度は一夏さんの方が<白式>の加速に反応し切れなくなっていますものね。むしろ一夏さんはよくやっている方と思いますわ。並の操縦者なら何度壁や地面に突っ込んでしまっている事やら」
「セシリアの言う通りだ、一夏はうまくやっている・・・・・・それに、どちらかと言えば場所もこちらに有利だったからな」
「そうだね。ミシェルはずっと壁を背にして一夏の動きを制限してたから対応しやすかったし、これがもっと広くて何もない空の上とか平原とかだったらその機動力を最大限引き出せるだろうから、逆にミシェルが負けてた可能性が高いと思う」
臨海学校での海上における対<銀の福音>戦が良い例だ。
「つまりここのアリーナ程度ではもはや一夏や<白式>にとっては狭すぎるという事か?」
「そうとも言えるが、その時はこちらも戦い方もその場に応じたものに変えれば良いだけの話だ。ルールに縛られる『試合』では勝てなくとも『実戦』ならば私でも十分嫁に対抗できる」
「例えばどんなやり方なのですか?」
「視認外からの超長距離狙撃」
「・・・・・・一夏はともかく、千冬さん辺りならそれでも飛んできた弾切り落としちゃいそうね」
沈黙。それから、一斉にこう思う。
――――――――――あの人ならやりかねん!!
なお、一夏の兄弟子も刀で受け止める真似はしなかったものの、純然たる勘のみで数百m先からの狙撃を回避しきった経験がある事を一夏は知らない。
あれこれ論議している内に予冷のチャイムが鳴り響く。午後も実技授業なので急いで着替えなければ。
とはいえISスーツに着替え直す事そのものには慣れたので大した時間はかからないが、宛がわれたロッカールームまでの距離が遠い。だから食堂からロッカールームまで辿り着いた頃には、授業開始までの残り時間にはあまり猶予が残っていなかった。
一夏とミシェル、2人だけの男子の独占されたロッカールームは逆に広すぎ、静かで落ち着かない。どちらかが存在しなければもっと居心地悪く感じただろう。
「やっぱり<雪羅>にエネルギーの配分を裂き過ぎなんだよな。でもそっちに回す分を減らすと今度は荷電粒子砲のチャージが更に延びる事になるし・・・・・・うーん」
「・・・・・・いっその事荷電粒子砲を封印して近接オンリーに戻ってみるというのは?」
「でもやっぱり飛び道具もあったらあったで便利なんだよ。ほら、午前の時みたいにミサイル撃ち落す時とか―――――」
唐突に2人は勢いよく振り向いた。ミシェルの右手はまだ外していなかった腰元のホルスターめがけ閃き、背後を向く一瞬の間にP14カスタムの安全装置を外して両手で構えてすらいた。一瞬の早業だ。ミシェルの銃は薬室に弾薬を装填してある状態でも安全装置をかけられるタイプなので、既に引き金を引けば発射される状態だ。
一夏の手にはこれといった武器を持っていないが、一夏は格闘技もそれなり以上にこなせるのでいわば一夏の肉体そのものが武器である。人間、素手でも人は殺せるのだ。
そんな攻撃的な気配すら漂わせた2人のすぐ手の届く近さに居ながら、悠然と扇子片手に微笑む女子が新たにロッカールームの中に存在していた。
一夏とミシェルの背中を冷たい汗が流れる。気配には敏感なつもりだったが、ここまで接近されてようやくこの少女の存在に気付いたのだ。それとも敢えて、彼女が2人に気付かせたのか。
どちらにしろこの少女、かなりの実力者である事は疑いようがない。
「あらあら、初対面の女の子にそんな態度は嫌われちゃうよ?」
「誰なんだ、アンタ」
リボンの色からしてどうやらこの学校の2年生のようだが、と少女の姿を見据えていた一夏だったが、彼女が自分の知り合いによく似ている事に気付いた。
気弱そうで少し根暗な雰囲気の『彼女』と比べて纏う空気はかけ離れているが、顔立ちそのものは似通っている部分がかなり多いし、特徴的な髪の色に至ってはそっくりな色合いだ。双子と言われたって納得出来そうなほどである。
先に構えを解いたのはミシェルの方だった。溜息一つと共に愛銃の安全装置をかけ直す。
「・・・・・・生徒会長殿が何の用だ」
「あら、私の事知ってたんだ。お姉さん嬉しいな」
「えっと、ミシェルは知ってるのかこの人?」
「更識楯無・・・・・・この学校の生徒会長で、簪さんのお姉さんだ」
成程、と納得。どおりでよく似てるわけだ――――性格はあまり似てなさそうだけど。
それからふと思う。
「あのー、今俺達着替えてますんで・・・・・・」
只今の格好:一夏(Tシャツにズボン脱ぎ掛け)・ミシェル(制服の上着を脱いだばかり)
「うん、だから?」
ニコニコと猫っぽい満面の笑みと共に流された。別の汗が一夏の額に浮かぶ。
こんな時どんな顔をすればいいんだ?笑えばいいのか!?予想外の展開にテンパった一夏は日本人特有ともいわれる曖昧な笑みを浮かべた。帰ってきたのは可憐かつ小悪魔的なな笑顔。だけ。
綺麗だとは思うけど反応に困るんでお願いです察してくださいこっちの事情!
そんな困惑しきりの一夏を救ったのは、ミシェルが取った行動だった。
普通に着替えを再開したのである。ささっと上を脱ぎ捨てて上半身裸になると、ベルトに引っ掛けていたホルスターも外してズボンにすら手をかける。
「ちょ、ミシェルストップ!まだ更識さんのお姉さんが居るから!」
「・・・・・・勝手に忍び込んできたのは向こうの方だし、授業開始までもう時間がない。一々相手にしている余裕なんてないぞ」
「でもなあ」
楯無に背を向け顔を寄せ合う野郎2人(片方全裸)。そんな状態だからか自然と声も抑え気味になる。
「(・・・・・・大体こういう手合いは自分のペースに持ち込んで引っ掻き回すのが狙いだ。相手の思惑に付き合ってやる暇は今はない)」
「(でも女子の前で裸になるのは流石に恥ずかしくね?)」
「(・・・・・・ISスーツも似たような物だと思うがな。軍では男も女も一緒の場所で着替えるのは珍しくはなかったし・・・・・・それにだ)」
ミシェルは極めて真剣な表情でこう締めくくる。
「(・・・・・・女子1人に裸を見られるのと織村先生の雷、どちらがマシだと思う?)」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ガバッ!と一夏は勢いよくTシャツを脱ぎ捨てた。
「よーしさっさと着替えちまうぜミシェルー!」
「・・・・・・気持ちはよく分かるが分かり易過ぎだろ常考」
吹っ切ったというよりも半ばやけっぱちな感じの馬鹿笑いを上げながら一夏はパンツごとズボンに手をかけ、躊躇いなく引き下ろす。さっさと両足も引き抜き、ISスーツの下を手に取る。
顔を上げた時、ロッカーの扉の内側に備え付けてある鏡が目に入った。全てが反転する鏡の中に映し出されているのは未だ背後に佇む少女の姿。ただし、さっきよりも顔に血の気が集まっているような。ええい無視だ無視!
上の分も着てミシェル共々着替え終えて再度振り返った時にはもう、楯無の姿は綺麗さっぱり無くなっていた。
その後2人は無事(?)、授業開始5秒前にアリーナに辿り着けたそうな。
陽もとうに地平線の彼方に沈み、夕食を終えたミシェルはシャルロットが浴びるシャワーの水音をBGMに携帯電話を弄っていた。正確に分類するならば世界で最も有名なタッチパネル方式の某スマートフォン、その最新機種である。
メールが届いたのは、触るのを止めて充電器に繋ごうとした時だ。送信者の名前と番号を一目見た途端、怪訝そうに眉根が寄せられる。
メールを送ってきたのはDGSE(対外治安総局)――――フランスの諜報機関の知り合いからだった。立場の特殊性とフランス軍所属という経歴から軍関係の機関の人間とも面識がある。相手はDGSEが送り込んできた橋渡し役の1人だった。
内容は簡潔にまとめると、見張り役として日本に派遣されていたDGSEの工作員がIS学園の敷地近郊に於いて未確認勢力の存在を察知したという報告だった。
男性IS操縦者がIS学園に入学して以来、日本にあの手この手の手段で渡来してきた工作員の数はかつての冷戦時代に並ぶ勢いで増加し、特にIS学園周辺の土地に集中しているとミシェルは聞いた事がある。数十億人中現在2人しか存在しない『ISを使える男』とはそれだけの重大性を誇る存在なのだ。
フランスだけではない。アメリカのCIA・NSA・DIA、イギリスのSIS(別名某映画シリーズで有名なMI6)・GCHQ、ロシアのFSB・SVR、イスラエルのモサド(<銀の福音>暴走の際にはアメリカ共々大わらわだったとか)、他にも中国やドイツやイタリアやカナダ等々、両手の指でも足りない数の国の情報機関から派遣された工作員が多数犇めいている。
もちろん日本からも主にDAIS(防衛『庁』情報局)や警視庁公安部の人間が送り込まれ、各国の工作員と睨みあったり時に協力し合ったり暗闘を繰り広げたりしているとか。
それはともかく、DGSEのみならず各国の工作員も活動を活発化させている辺りから察するに未確認勢力が実在する可能性は高いとの事。但し勢力の規模・構成・目的は一切不明。
思い出すのは更識楯無の唐突な接触。
「(・・・・・・彼女はロシアの代表操縦者だった筈。そして更識は元々は裏工作に対するカウンター役としてその方面では有名だ)」
つまり今回の未確認勢力の登場に絡んでいる可能性は高い。対暗部用暗部という立場からかそれとも所属先のロシアからの命令なのかは知らないが、彼女が動くような事態が水面下で蠢いているという証。
そして彼女が自分と一夏に接触してきたという事実が示すのは。
「(未確認勢力が狙っているのは俺か一夏のどちらか・・・・・・それとも両方か)」
どちらにしてもきな臭くなってきたのに変わりはない。まさかどっかの天『災』みたいにISで殴り込んできやしないだろうな、と嫌な予感が脳裏をよぎる。
こうなってくると手持ちの武器だけで備えは十分か不安になってしまう。いや、愛用の拳銃だけでなく世界最強の兵器と目される自前のISも持っているのだから十分だと周りは思うかもしれないが、それでも『備えあれば憂いなし』の格言に肖りたくなるのが人の性ってもんだろう。
それに幾ら小国すら容易く攻略できる兵器を持っていたってあくまで自分は『個人』であり、複数の場所で複数の企みを同時進行可能な『組織』に対し基本自分だけでは1ヵ所で1つの事しか行う事が出来ないという不利が理解できないほどミシェルは愚かではない。
どうする?本国から装備を取り寄せてもらうか?そうだ、ラウラも故郷の部隊から色々と『過激な代物』を送られてきているらしいから彼女から借りるのも良いかもしれない。明日ラウラに話を通しておくか。
「お風呂お先~」
部屋のシャワーを浴び終えたシャルロットがパジャマ姿で現れた。その姿を見やって、すぐにミシェルの唇が緩む。
「・・・・・・最近お気に入りだな、その服」
「だって可愛いでしょ?ミシェルも似合ってるって言ってくれたし」
パタパタと駆け寄ってきたシャルロットはベッドに寝転がっていたミシェルめがけ飛びついてきた。ミシェルの胸板に顔を埋めると、気の抜けた唸り声を漏らしながら愛する旦那様に乗っかる格好で丸くなる。
まるで猫のようだ。というか、今のシャルロットはまさに猫そのものだった―――――着ているパジャマが猫を模したデザインなのだから。
布地は白くふわふわしていて、頭をすっぽり覆うフードには三角形の猫耳付き。袖の先には肉球装備、全体的には幾分大きめのパーカーに似たデザインなのでズボン部分は存在せず、代わりに付属の分厚い靴下にも肉球が。もちろん背中側の裾には尻尾も完備。夏休みの夫婦デート+1の際に購入した代物である。
今のシャルロットはシャルロット・デュノア白猫モードなのである。中の人的にはむしろ黒猫の方が適任なのかもしれないが、ご生憎さまこの作品の場合黒猫はラウラ担当なので悪しからず。
これは余談だが、黒猫バージョンなパジャマ姿で猫っぽいポーズまで取らせて撮影したラウラの画像は、彼女の部下達の手により永久保存版として部隊内のデータベースへ厳重に保管されている。部隊長のコスプレ画像を軍事機密として保管しちゃっていいんだろうかドイツ軍。
湯上りでちょっとのぼせ気味なのか、今のシャルロットは何だかいつも以上にフニャフニャした蕩け顔を浮かべている。動く筈のない尻尾がご機嫌そうに振れているのを一瞬幻視してしまったぐらいだ。
それだけならまだともかく、格好のまんまな子猫的可愛らしさもさる事ながら女としての色気も叩きつけてくるものだから困る。主にひとっ風呂浴びたばかりなせいで彼女が放つ焼きたてのケーキのような熱感混じりの体臭の甘さとか、身体に当たって潰れる布越しの乳房の質量感と柔らかさとか、無意識なのか身動ぎするせいで裾が捲くれ上がっているにもかかわらず擦りつけてくる下半身の感触とか。
付け加えるなら今のシャルロットは風呂上り、なので下着は一切付けていない。なので下半身に至っては裾がずり上がってるせいでダイレクトに触れ合っている事になり、湿気を帯びて平常よりやちゃむっちりしっとり感の増した太腿とかやや薄い叢とか小さな突起のすぐ下に存在する割れ目とかも―――――(以下検閲)
いかん、いかんぞ俺。もしかすると今の嫁はそういう意味じゃないつもりで甘えてきてるのかもしれないんだ。居間襲い掛かったらがっつき過ぎと思われるかもしれない。今は耐えよう。
・・・・・・そういえば、今度更識さんのお姉さんに合ったら今日の事謝っておかなければ。
「みーしぇーるー?」
「・・・・・・なんひゃ?(何だ?)」
「今別の女の人の事考えてたでしょ」
恐るべし女性の勘。まさか読心術にさえ発展してしまうとは・・・!頬を両手で引っ張られているのに関しては別に痛くはないのだけれど戦慄してしまう。
「子猫はね、旦那様が構ってくれないと寂しくて死んじゃうんだよ?」
「・・・・・・それは兎だろうという野暮な突っ込みは置いとくとして、それは一大事だな」
「――――だったら後は分かるよね?」
シャルロットはミシェルの腰に跨る格好で膝立ちになると、パジャマの襟元を引っ張った、火照っていつもより赤みの増した肉の谷間がより強調される。
「たっぷり可愛がってね、ご主人様♪」
ぶっちゃけ眠い。でもってちょっと腰も痛い。
「・・・・・・また昨日はお楽しみだったんでせうか」
「・・・・・・Yesと言っておこう・・・・・・っふぅ」
全校集会の場で欠伸を噛み殺すという強面な友人の珍しい姿に一夏は苦笑を漏らした。ちょっと視線を動かせば彼の嫁も眠たそうである。。その割に肌艶とか腰元はかなり充実しているというのが何ともかんとも。
・・・・・・まあ、自分も人の事言えないか。
すると昨日会ったばかりのあの生徒会長の姿が。あの時と同じ底が見えず、内心の読み取れない魔性の笑みを浮かべながら壇上に上がる。
「何かこっち見つめてねあの人」
「知らん・・・・・・」
『今年は色々と立て込んでいてちゃんとした挨拶がまだだったわね。私の名前は更識楯無。君達生徒の長よ。今後ともよろしく』
知っていますんでさっさと話の続きをどうぞ。眠いので。
『では今月の1大イベント学園祭だけど、、今回に限って特別ルールを導入するわ―――――』
――――――何だろう。俺嫌な予感でゾクゾクしてきたんですけど?
背筋に冷たい物が流れて顔を引きつらせる一夏の気配を敏感に感じ取ったのか、眠そうに俯いていたミシェルも顔を壇上の方に向けた。
そんな2人を放置して、更識楯無は盛大に宣言する。
『―――――名付けて、各部対抗織斑一夏争奪戦!!!』
とりあえずミシェルは昨日の事を絶対に謝罪してやらない事にした。
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原作じゃ触れられてませんけど、ぶっちゃけあの世界の日本ってスパイの見本市になっててもおかしくない気がします。
どっかの国が実際に主人公手を出そうもんなら、残り全部が敵に回るので逆に膠着状態になってる事間違いなしでしょうけど。
・・・・・・そうなるとIS学園何度も襲撃かましちゃう亡国企業ってマジパネェっす。