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No.27108の一覧
[0] 素直クール君と偽クーデレちゃん[小渕遊羽](2011/04/10 23:04)
[1] 素直クール君と偽クーデレちゃん――2[小渕遊羽](2011/05/09 22:29)
[2] 素直クール君と偽クーデレちゃん――3[小渕遊羽](2011/04/25 20:46)
[3] シスコン君とエロっ娘ちゃんとピュアっ娘ちゃん――1[小渕遊羽](2011/05/09 21:42)
[5] 素直クール君と偽クーデレちゃん――4[小渕遊羽](2011/07/22 22:45)
[6] お知らせ[小渕遊羽](2011/07/22 22:47)
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[27108] 素直クール君と偽クーデレちゃん
Name: 小渕遊羽◆c92906d2 ID:d2134302 次を表示する
Date: 2011/04/10 23:04
「頼むから、そこをどいてくれ」
「いやだ、その頼みは聞けない」
「どうして、こんなことをする」
「それがわたしの使命だからだ」


……なんて、言葉だけ聞けば、まるでこれから死地に向かう主人公を止めるヒロインのような、または悪役になってしまった元仲間が、門番の如く待ち受けているような会話だが、それが自宅の一室――それもベッドの上で女が男に覆いかぶさっている状況だとしたら、当人以外はどういった印象を受けるのだろうか。

しかも、男女の関係は恋人同士などでなく、かと言って夫婦でも友達でもない。

「姉ちゃん、なに人のベッドに勝手に入ってきてんだ。つーか重い」
「いや、最初は寝顔を写メるだけで終わらそうとしたんだが、弟の寝顔を見てたら、こう、我慢できなくなった。あと重いって言うな」
「……このさい写メの件は目を瞑るよ。狙ってるのか知らんけどさ、思いっきり肺の上に乗られてるから苦しいんだよ。ていうか重い」
「むう……この期に及んでまだ重いというか。これでもスタイルには自信があったのに」

言われて、弟はなんとはなしに姉の体を眺めた。
脚は程よい肉付きですらっと長く、つやつやと輝くように滑らかで、まさしく脚線美といえる代物だった。
体型もスレンダーで、出ているところは出ている魅力的な体つきをしていた。そして何より、顔の綺麗さは弟が今まで見てきた中でもトップクラス――いや、トップだった。
特別な手入れも化粧もしていないと言うのに、肌はきめ細やかで潤っている。目は少し切れ長だが、大和撫子然とした、凛々しい美しさがあった。
背中まで届くほどの長い黒髪は、真っ直ぐで艶やかで、いわゆる濡れ烏のような髪質だった。
ただし、今は少しむくれている。

「それは認めるけどさ、流石にきついんだよ。なんか肋骨が砕けそうな気がしてきた」
「そ、そんなに重くはないっ! デリカシーがないぞゆー君には!」
「弟の部屋に忍び込んできて、挙句の果てに俺の上に乗っかるような人に言われたかないです。なに、山賊かなにか?」

微塵も苦しさを感じさせない涼しい顔で、弟――西澤裕輔(ゆー君)は言った。息がしづらいはずだが、まったく乱していない。いきなり上に馬乗りにされたと言うのに、怒る素振りすら見せない。
だが、西澤裕輔は別段クールなわけでも、ドライなわけでもない。ただ、眠かった。

「ところで今何時? 瞼が勝手に下りてくるレベルで眠いんだけど」

西澤裕輔は首だけ動かして時計を見ようとするが、それだけでは見えない位置に時計はあった。

「夜中の三時だ。この時間なら夜更かしのゆー君でも寝ているだろうと思って来たんだ」

自慢するように、姉は言う。

「そりゃ、草木も眠るんだから俺だって寝るだろーよ。そしていい加減どいてください」
「ふふ、拒否する。この格好だと、ちょうど良い具合にわたしのパンツが見えるのだ。どうだ、興奮するか?」

胸の上で大きく股を開いている姉の格好は、確かに弟の視線の真ん前でパンツが見えるようになっていた。
しかし、弟はそんな言葉に殆んど動揺することなく、言い放った。

「……姉ちゃん、スカートのパジャマってあったっけ?」
「ん? あまり聞かないが……ああ!! スカートはいてくるの忘れてた!!」
「……姉ちゃんが馬鹿で助かったよ」

西澤裕輔はもはや姉をどかすことを諦めて、暢気に大口であくびをした。目じりに涙が溜まり、零れそうになる。眠気で拭う気もおきず、西澤裕輔は滲んだ視界でぼんやりと姉を眺めた。
姉は頭を抱えて本気で悔しがっていた。時折、「ああ、パンツも間違えてくまさんだ!」だとか、「ブラ外すの忘れた!」などと、お前それ完璧に最初から夜這いする気まんまんだろ、とツッコミたくなるような独り言が聞こえてきた。
その時、急に苦悩していた姉の動きが止まった。
ん? と西澤裕輔は怪訝な顔で声を出す。すると、姉はいたずらっ子のような笑みを浮かべて聞いてきた。

「助かった、と言うことは、もし見ていたら興奮したということか?」

くつくつと笑う姉は、勝ち誇った顔をしていた。聞いて、西澤裕輔は片眉をあげる。そして、細く長く、息を吐く。なにか反論しようと思い、止めた。眠いのであまり面倒なことになるのは避けたかった。そして何より、否定する意味もなかった。

「ああ、多分ね。興奮してたよ」

西澤裕輔は姉のことが好きだ。シスコンと言われても言い返すことなどできないほど好きだ。だから、正直にそう答えた。ただし、あくまで姉としてだが。

「な、なななな……!」

まさか肯定されるとは思っていなかった姉は、顔を真っ赤にして驚いた。言葉が出てこず、口を金魚のようにパクパクと開いたり閉じたりする。俯き、目を逸らし、ぎゅっと目を閉じてから、ようやく話す。

「ゆ、ゆー君のスケベ! 破廉恥だぞ!」
「自分から襲ってきておいてどの口が言うんだよ!」

そりゃねーよ、と西澤裕輔は口を尖らせた。姉はりんごのように赤い顔を隠すように、手で覆った。責めるのは得意だが、責められるのは苦手な姉にとって、直球でくる西澤裕輔は天敵だった。

「明日早いんだから勘弁してくれよ」
「え、日直かなにかか?」
「日直だから早く行くってのはよく聞くけど、実際は日直の仕事って早朝からやるほど無いよ。部活の朝練があるだけ」

まあ知ってるだろうけど、と付け加えて、西澤裕輔は睫毛で視界が埋もれるほどに目を閉じかける。それでも完全に目を閉じないあたり、付き合いのよさが如実に現れている。

「むっ、部活とわたしのどっちが大事なんだ」と、姉は半ば本気で問い詰めた。
「そんなもん、姉ちゃんのほうが大事に決まってんだろ」なにを当たり前のことを、とでも言うような平然とした表情で、西澤裕輔は即答する。
一瞬、姉の顔が固まる。そして下から筆でなぞるように、熱でどんどんと真っ赤になっていく。熱が脳まで達したとき、姉はぽふんと爆発して目を回した。

「ふ、ふにゃ~~」
「え、え~……。なにこのXb○xのような熱暴走の早さ」




閑話休題。




「さっきから気になってはいるんだけど、俺の寝巻きが大胆に脱がされてる。あと明らかに舐められた跡がある」

西澤裕輔の寝巻きはボタンが全て外されており、胸板から腹筋までが露になっていた。そして、筋肉の線をなぞるようにして、唾液としか思えない液体が重複して線を引いている。

「ふふふ、気になるか? じゃあ今から答えをゆー君の体で実演してやろう」
「いや、別にいzzz……」
「寝た!?」

いい加減胸の上から降りた姉は、ベッドに腰掛けていた。そんなわけで、西澤裕輔は開放された途端、失神するように眠りについた。

「くっ、なんて寝つきのいい弟なんだ……! 寝顔が可愛すぎるぞ」

寝息まで立てて完全に寝入ってしまった西澤裕輔に、姉は顔を近づけた。鼻息が当たるほどの距離で、息を荒げながら腕を伸ばす。そして、腕で後頭部を包むように抱きついた。

「ふふ、寝たということは襲われても良いということだな。だったら、好きなようにさせてもらうぞ」

姉は小さく呟いてから、頭頂部に鼻を擦りつけた。大きく息を吸い、恍惚とした表情で、煙草の煙を吐く様に深く息を吐く。

「ん、ふっ。(シャンプーの匂いに混じって、ゆー君の匂いが……)」

姉は抱きしめる力を強め、顔に胸を押し付けた。むぐ、とうわ言のように声を漏らし、西澤裕輔は直ぐに目を覚ました。
しかし姉は気づかず、独りごちる。

「ゆー君、好き……好き、大好き、もうあれだね結婚したいくらいだから、愛しているといって過言ではないよ」

思わず顔が強張った。苦笑いのように頬を三日月状にして、小さく溜め息を吐く。

(ったく、いつもの凛とした空気はどこにいったんだろうなあ)

穏やかに微笑んで、西澤裕輔はけだるい体を動かした。首筋に顔を移動させていた姉を、クレーンのようにがっちり抱きしめる。抱き枕などより遥かに柔らかく、心地よい感触がする。

「え? ゆー君、え? お、起きて……」

姉は眼を白黒させて、顔を青ざめさせた。自分としては、起きないよう慎重にやっていたのだから、驚くのも無理はないだろう。だが、西澤裕輔は内心「あれで起きないと思っていたのか?」と呆れ返った。
――呆れながら、笑った。

「甘えたいなら、素直にそう言いなって。添い寝ぐらい、いつだってしてあげるから」

そう言って、西澤裕輔は、更にぎゅう、と包み込むように抱擁した。鼻を撫でるような、上品な匂いが漂ってくる。

「……う、あぅ」

姉は言葉を詰まらせて、隠れるように弟の胸にうずまった。赤くなった耳から、湯気が出そうなほど熱くなる。
そして、消え入りそうな声で囁いた。

「ゆー君は、ずるい。いつもいつもそうやって優しくして。そんなことするから、もっともっと好きになってしまうじゃないか」

西澤裕輔は何も言わず、絹のような黒髪に指を通し、櫛のようになでつけた。突っかかることなく、指は髪をすり抜けた。繰り返し、撫でる。

「ゆー君」
「ん?」
「朝練、行っちゃやだ。今日は一緒に登校したい」

子供のように駄々をこねる姉に、西澤裕輔は噴出しそうになった。頬が緩み、胸に暖かい空気がこみ上げてくる。

「わかった。その代わり、これからは急に胸の上に乗るようなことは止めてくれよ?」
「うぐっ……りょ、了解した」

姉はしゅんとして、照れくさそうに布団に潜った。ベッドが軋み、スプリングが反発する。軽い羽毛布団から、姉の顔だけがちょこんと出ていた。
興奮しているのか緊張しているのか、眠そうには到底見えなかった。目を合わせると、吸い込まれそうな瞳が、闇の中でも宝石のように輝いていた。西澤裕輔はもう瞼を開いていることに疲れ、小さくあくびをした。
自分でも、もうすぐ眠りに落ちるであろう事が分かる。その前に、姉の顎を軽く持ち上げ、するべきことをすることにした。

「姉ちゃん、おやすみ」

言い終わると同時に、ちゅ、と啄ばむようにキスをする。唇が触れ合うほんの僅かな時間、二人は息を止めた。そして離れると同時に、西澤裕輔は目を閉じた。
あ、と声が漏れる。

(え? い、今キスされた? ちゅー、ゆー君にちゅーされた! ふにゃああ~~~)

姉も追いかけるように、失神同然で眠りについた。



****************





倫理とか無視した姉弟がいてもよくね? とか思って衝動的に書きました。

好評だったら色々書いていきたいと思っています。








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