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No.26803の一覧
[0] 【プロット無しで】 「Mythology Online」 現実→異世界 (TS) 【突っ走る】[九鬼 修造](2011/03/30 00:53)
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[26803] 【プロット無しで】 「Mythology Online」 現実→異世界 (TS) 【突っ走る】
Name: 九鬼 修造◆498e73ca ID:4a9903d9 次を表示する
Date: 2011/03/30 00:53


「Mythology Online」 現実→異世界





第零章にして最終章 



Mythology Online というゲームを皆さんは知っているだろうか?

キャッチフレーズは、「君が創り出す神々の物語」で有名なアレである。
別に響きが新しかったとかではなくCMで起用したグラビアアイドルが嵌って人気が出たというだけなのだが。

また独特のゲームシステムを売っているが、この業界ではなにも特別に語るべきものがあるわけでもない、
個性を売りに出したゲームが百もあればそれは没個性であると言わざるを得ないのだ。

そして、Mythology Onlineは網膜投射と手袋型の集積センサーで操作するVRMMOの比較的初期型のゲームでもあるが、
みんながみんな脳神経接続型の完全VRMMOに移行したわけではなく、
こういうレトロな操作方式もまだまだ需要がある産業なので、まったく過疎とは無縁であった。


まぁ言ってしまえばそこそこ人気の普通の日本産オンラインゲームである。

しかし、雨後の筍の如くにょきにょき大量に現れては消える厳しいこの業界で
12年という歳月を常にTOP10入りで生き抜いてきた事実だけは特筆すべきことかもしれない。


さてそんなMythology Online、12年という長きに渡り運営されてきただけあってプレイヤーの数だけは多い。
一度にLoginしている人数は日本だけで二万人を超えるといわれ、全世界では十四万人という規模である。


そしてこの話の結論から言うと、
不幸にも八月一日という厄日にMythology OnlineにLoginしていた十四万人はなんと、
このゲームのステータスをもって異世界に召還?されてしまったのである。

まあこれを幸運ととるか不幸ととるかは人しだいなんだけれども。



そしてかく言う私も当然その一人である。
しかし、こういう話で必ずでてくる「リアルは投げ捨てるもの」とか言い出す廃プレーヤーとか、
β版テスターだとかチーター(ボッターではあるが後述)だとかそういうことは一切ない。

多少(本人視点)マニアックなプレイはしていたものの、
大学生活の合間に息抜き程度にプレイしていたごく普通の一般プレイヤーのひとりだった。

プレイ歴は丁度三年と半年ぐらい。


だが特筆すべきは、「どうしてこんなことになったのか」と、
蹲って動けない者を置いて既に原因究明に乗り出していた最前線プレイヤーのひとりであった事だ。


この道のりは、思えば常に苦難とともにあった。



計らずもこの広大な世界の新たな風となったプレイヤー達。
私たちの行動の一つ一つが文字どうり新たな神話となる可能性を秘めている事をこの時既に私は感じていたのかもしれない。


私は、この世界で強大な力を持つものの一人となった自覚はあった。
しかしこの世界で新たに生まれる潮流の支配するほどの力はいかな廃プレイヤーだとて持ちえはしないと理解もしていた。


だがどこかで楽観的に物事を考えていた節は否めない。どこまでいっても平和ボケの日本人だったということだろう。


運命の女神は時に人の想像など遥かに超える濁流を生み出す。

一つ一つは小さなことだったが、それらが重なりあって大きすぎる不幸を生み出してしまった。

流血を望む巨大な悪意は歴史を呑みこんだ。



何をしても無駄だと嘲笑する者達、無気力の波に飲まれ俯く者達、欲望のまま罪を重ねる者達。神にすがり、悲劇にその身を散らす儚く弱い者達。

そこに異世界人とこの世界の人間の差はなかった。



灰色の風が異世界に吹き荒れる。






誰かが言った。


違う、こんなのは違う。こんな筈じゃなかった。


誰かが思った。


違う、我らの欲しかった未来はこんなものじゃなかった。


誰かが祈った。


子のために、親のために、友のために、国のために、世界のために。



けれども無力な祈りはただただ空っぽの世界に木霊するばかり。











絶望が、そこにあった。


深い、深すぎる虚無に呑まれた世界があった。









されど、祈りは届く。

無限の空から、無限の祈りが降り注ぐ。

諦めない人たちがいた。

灰色の風に向って羽ばたき始めた雛鳥がいた。

深い闇の底を見据える勇気ある瞳がそこにあった。



私は弱いなら、何も出来ないなら、少しでも何か出来るようになりたいとおもった。

私はせめて、この流れを一番前でどこまでも見ていきたいと思った。

この流れが起こす事の全てを記録したいと思った。

散っていった人たちの命は無駄でなかったと、世界にに訴えたかった。

その流れの先に何があるのか、自分はその流れの中でなにが出来るのか。

その遥か先が見たいと願った。



そして、運命を切り開くという言葉の意味を知るために多くの戦士が"彼女"に挑むことを決めた。



違う志を胸に死ながら「一歩」を踏み出したものは、不思議なことに、誰とも言わず一つの旗の元に集う。

夜明けを求める戦士達は距離の壁を越え、人種の壁を超え、ギルドの壁を超え、言語の壁を越え、世界の壁さえ超えて手を取り合う。

明日を目指して走り出す。



辛い事はあった。腹が煮えるような感情を覚えたこともなんどもあった。

争いが憎かった。無力な自分がひどく情けないと思った。

深すぎる悲しみがあった。

多くの同胞が散って逝った。


けれども、一度も立ち止まろうとは思わなかった。

敬愛すべき仲間が、いつもそばにいたからだ。

「希望」の輝きが常に胸にあったからだ。

いかな強大な力をもつ者も、手折る事の出来ない一輪の花が。





その輝きはいかな宝石よりも価値ある鋼。

闇より出でて、太陽すら陰る至高の光。

折れてもなお立ち上がり、絶望の空を翔け行く翼。




故にこのページから始まる異世界の・・・・いや、世界の神話を、この輝きの欠片を愛する人々に遺そうと思う。

愛する人々の子らに遺そうと思う。

この神話を読むものがいるならば、

願わくば人が歴史を重ねて子に伝えることの意味を理解してほしいと思う。

人が命を燃やして前に進む力を感じてほしいと思う。





知って欲しい。神話は神々の物語ではなく、人々の造る物語である意味を。









ウィリドローア大公国歴史資料館、第一級資料書庫 コスモス夫人の日記 より抜粋。



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始めまして。

ペンネームは九鬼 修造ということにしましたので以後よろしくお願いします。






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