ここはトリステイン魔法学校。
ハルケギニアにあるトリステイン王国の由緒正しき魔法学校のグラウンドに、数十人の生徒が集まっていた。
今日は、二年生に進級するために必要な使い魔召喚の儀が行われているのであるが…
ドーーーーーン
生徒と思われる一人の少女が手に持つ杖を振るうたび、大きな爆発音とともに白煙が上がっていた。
「げほっ、げほっ、また失敗かよ!」
「これで何回目なのよ!!」
「ルイズ、いい加減あきらめろよ!」
周りにいる生徒たちから罵倒の声が上がる。
ルイズと呼ばれた少女は杖をギュッと握り締めてうつむいていた。
近くにいた頭が少し寂しい…中年の男性が周りを見渡した後、回りに気づかれないようにため息をついた。
「ミス・ヴァリエール、今日はあきらめて明日また行いましょうか?」
召喚の儀の担当教諭であるコルベールは時間がもう無いことを確認し、気遣う様に声をかけた。
声をかけられたルイズは顔を上げず黙ったままわずかに震えていた。
「ミス・ヴァリエール?」
「ミスタ・コルベール、もう一度だけ召喚させてください!!」
ルイズは勢いよく顔を上げた。
「いいでしょう、あと一度だけ行いなさい」
「ありがとうございます」
ルイズは目を閉じて集中し、自分の中にあるすべてを出し切る思いで呪文を唱え始めた。
「世界のどこかにいる我が運命の使い魔よ!我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール!五つの力を司るペンタゴン!我の運命に従いし使い魔を召喚せよ!!」
力強く杖を振るうと、まばゆい光とともに大きな爆発が起こり辺りに白煙が立ち込めた。
ルイズは今までに無いほどの手ごたえを感じて、必死の形相で煙の中を見つめていた。
煙の中にわずかに光るものを見つけルイズの表情に笑みが浮かんできた。
すると、煙の中からパリーンという何かが割れたような音の後、ドサッという大きなものが落ちたような音がした。
徐々に煙が晴れていくとそこには一人の男が倒れていて周りには水晶のかけらのようなものが散らばっていた。
「・・・人?」