薄暗い工房の中で、轟々と炎が燃えさかる音が鳴り響く。
室内の温度は真夏のそれよりも暑く、炎の前に陣取り中に入れた鉄の焼け具合を見る親父の顔から、滝のように汗が流れ落ちる。
火床の中で真っ赤に焼けた鉄の状態を見極め、取り出してはハンマーで叩き、叩いてはまた火にくべる作業を繰り返す。
単調な作業だが、この作業を疎かにすると全てが台無しになる大切な作業だ。
一分の手抜きも許されない素材との真剣勝負。
だいだら.の親父はこれまで以上に集中して作業を続ける。
事の始まりは、自身のアートを買い求めてくれる一人の少女からの相談だった。
「小さい子供でも扱える調理道具は作れますか?」
話を聞いてみると、調理の手伝いをしてくれる従妹に調理の楽しさを教えてあげたいと言う。
そのためには、子供でも楽に使える道具が欲しいと言うのは理にかなった話だ。
道具は使ってこそ価値がある。その信念の元、様々なアートを作ってきたが子供にも使えるアートは作った事がない。
それは、道具を使いこなせないからと言う理由があるのだが、子供でも安全に使えるアートが一つくらいあっても良いのではないか?
相談してきた少女は自身のアートを悪用するような者ではないので、従妹に間違った使い方を教える事もないだろう。
それに、話に聞くその従妹の健気さもアートを作ろうと思った理由の一つだ。
今時、そんな風に気を配る子供が果たして何人いる事か。
快くその依頼を引き受けると、早速工房に籠もって作業を開始する。
幼い子供が使う事が前提なので、重くなく取り扱いが楽なのが第一の条件として挙げられる。
そして、安全性も確保しなければならない。それは、ある意味で矛盾した性質を持った道具。
職人としての腕の見せ所であると共に、今後作られるアートにも有用な技術の開拓。
思わぬ所で新しい可能性を見出す機会に巡り会えた事に、親父の気持ちは高まる。
手始めに包丁から作る事にする。
子供が使うとなると、落とした時などに危険が及ばぬよう、刃先は丸くして刺さり難くしなければならない。
かといって切れ味が悪いと無駄な力が必要になり怪我をする確率が高くなる。
素材を吟味した結果、“金属の布”を芯鉄にして“しなやかな金属”を皮鉄に用いる事にする。
まず始めに“金属の布”を棒状に丸めて燃えさかる火床にくべ、真っ赤に熱してから叩いて芯鉄を作る。
出来上がった芯鉄は土に入れ粗熱を取った後、水に入れて冷ます。
普通の素材だと固くなってしまうのだが、この素材はその心配がないので作業短縮にも繋がり効率がよい。
続いて熱した“しなやかな金属”を叩いて伸ばし折り返す。この作業を繰り返す事十五回。
そうして出来上がった皮鉄を折り曲げ、芯鉄を挟めるように形を整える。
皮鉄の中心に芯鉄が綺麗に入るよう調整すると、再度火床に入れて熱しては叩き、また熱しては叩くを繰り返す。
こうして芯鉄と皮鉄を完全に圧着させると共に、包丁の形へと仕上げていく。
柄の部分になるところに“力の鉄糸”を幾重にも巻き付け火にくべると、全体に溶け込んでいく。
包丁の形が出来上がると一度冷まし、全面に水で溶いた砥粉や焼き土を塗って乾燥させる。
乾燥した後、火床で加熱して頃合いを見て取り出し水に入れて急激に冷やす。
普通の素材だと硬い反面、非常に脆い状態になるのだが“しなやかな金属”を使った場合はその限りではない。
しかし、焼き戻しという低温で熱した油に入れて熱して空気中で自然冷却を行う事で、更なる粘り強さを持たせる事が出来るのだ。
残す作業は研磨による刃付けと仕上げなので、冷めるのを待って次はフライパンを作る。
使用する素材は“金属の受皿”と“軽鉄”、そして“力の鉄糸”だ。
まず始めに“軽鉄”を火床で熱して棒状に鍛え上げ柄の部分を作る。
それと同時に火床で熱していた“金属の受皿”を叩いて鍛え上げると同時にフライパンの形に加工する。
加工が終了すると先ほどの“軽鉄”を取り出し、フライパン本体の縁に先端を引っ掛け叩いて圧着させる。
出来上がったフライパンは、液状に溶かした“力の鉄糸”でコーティングを施す。
最後に“硬い角”で持ち手を作り、柄に装着すればフライパンは完成だ。
冷やしていた包丁の状態を見て、研ぎの作業へと入る。
研ぐ際に、摩擦熱で強度にムラが出たり歪んだりしないように、冷水を掛け流しながら丁寧に研いでいく。
目の粗い砥石で研ぎ始め、徐々に目の細かい砥石へと使う砥石を交換していく。
研がれていく事で、無骨だった刃に輝きが現れる。
フライパンと同じく“硬い角”で柄を作り、滑り止めに紐状にした“魔術のクロス”を巻き付ける。
巻き付けた“魔術のクロス”を濡らし、バーナーで軽くあぶると、使い込まれたかのような手に馴染む柄が出来上がる。
「こっちの方も仕上げておくか……」
そう呟いて、だいだら.の親父はフライパンに油を入れると火床に翳し、全体に油が馴染ませる。
全体に油が馴染んだところで火から下ろし余分な油を捨てると“ヒゲ繊維”でフライパンに擦り込むように油を拭き取る。
そのまま裏面も軽く拭き、油を薄く塗りつける。
作業を終えると、フライパンを梱包する。
包丁の方は“硬い角”から削りだした鞘に入れて、こちらも梱包する。
一連の作業を終えると、今度は本来の作業であるアートの作成に入る。
鏡達から買い取った素材の一つ“青銅の馬具”でメタルジャケットを“魔術のクロス”でまじないローブ、二種類の防具を作り出す。
武器の方は“金属の布”と“金属の受け皿”から居合刀と南蛮具足を、“毒々しい花”から毒塗りの苦無を作り出した。
作業を終える頃には夜明けに差し掛かる頃合いになっていた。
鏡達が引き取りに来るまでには時間があるので、取り敢えず仮眠を取る事にする。
仮眠から目が覚め、店を開けて暫くすると鏡達がやって来た。
「親父さん、お願いしていた物はどうですか?」
「おう、久々に良い物を作らせてもらったぜ」
鏡の質問に親父は会心の笑みを浮かべると仕上げた包丁を取り出して鏡に見せる。
鞘から抜き出し、鏡達に出来映えを見せる。名刀の如き吸い込まれるような包丁の本体に、鏡達は目を奪われる。
落とした時に刺さらないようにと、丸く仕上げた刃先。
日本刀の柄のような拵えは手に馴染み、長く握っていても疲れにくい作りになっている。
種別としては万能包丁に該当するこの包丁は、その気になれば石をも切る事が可能だと鏡に説明する。
「使っていて、切れ味が悪くなってきたら持ってこい。研いでやるからな」
親父はそう言うと、包丁を鞘に納めて梱包する。
次に梱包した状態のフライパンを取り出すと、鏡に手渡す。
「えっ!? これって……」
手にしたフライパンは見た目に反して物凄く軽い。
しかし、用意された秤で重さを量ると普通のフライパン並の重さである。
不思議がる鏡達に親父は得意げな笑みを浮かべると、種明かしをする。
このフライパンは用いた素材の特性で、持つ者の力を増加させる効果がある。
結果、フライパン自体の重さはそのままでも、体感的には軽く感じるのだという。
「包丁の方にも程度は違うが同じ効果がある。これなら小さい子供でも楽に扱う事が出来るだろう」
そう言って、親父は『大事に使ってくれ』といって鏡にそれらを渡す。
鏡が代金を訊ねると、これらを作る際に使った方法で新しいアートのアイデアが出来たので不要だと答える。
たまには違う物を作るのも新しい発見があり、今回は良い経験をさせて貰ったと満足そうな笑みを浮かべている。
そういう事ならと、鏡は有難く頂戴する事にする。これで、菜々子も調理をする際に楽になるだろう。
それらを受け取った後は、新しく出来たアートを見せてもらい、メタルジャケットと居合刀、南蛮具足を購入する。
今の手持ちだとまじないローブはまだ購入出来ないので、予算が出来るまで雪子にはメタルジャケットを着てもらう事にする。
鏡達の防具もその際に新調できれば新調する方向で予定を立てる。
代金を支払い、居合刀は刀袋に入れ、南蛮具足はリュックに入れる。
メタルジャケットはそのまま着ていっても大丈夫そうだが、雪子は念のために千枝のリュックに一緒に入れてもらう。
鏡達はジュネスへと移動すると、雪子の実戦経験も兼ねて購入した装備の使い勝手を試す事にする。
「センセイ、良いところに来てくれたクマよ!」
クマの説明によると、雪子が居た古城からシャドウの強い気配を感じるそうだ。
犯人とは関係がないが、このままだとこの世界が騒がしくなるので鏡達に元凶を取り除いて欲しいそうだ。
元々、シャドウとの戦闘を行いに訪れたので、鏡達にも異存はない。
クマの頼みを引き受けると古城へと向こう事にする。
この際、クマは古城の場所が解らなくなってしまい鏡達を案内する事が出来ないという。
雪子と千枝なら場所を覚えているはずなので、二人に案内して貰って欲しいとクマは鏡に話す。
その事を二人に説明すると、出来ることならあまり訪れたくは無いのだが、シャドウの件が気になるので案内を引き受けてくれた。
二人の案内で古城へと辿り着いた鏡達は、雪子が居た部屋にシャドウの強い気配を感じるというクマの言葉に従い、最上階を目指す。
最上階までは問題なくシャドウと戦う事が出来た。
雪子の参加で攻撃方法の幅が広がったのが大きな恩恵をもたらしている。
一気に最上階まで到達できた鏡達は扉の前で装備や自分達の状態を確認する。
疲労もそれほどはなく精神力も充実している。
鏡達は互いに頷きあうと扉を開けて大広間へと入る。
玉座の前に居たのは“ぽじてぶキング”を大きくしたような可愛らしい外見をしたシャドウだ。
しかし、見た目とは裏腹に鏡達は苦戦を強いられる事になる。
見た目は同じでも、特性が“ぽじてぶキング”とはまるで違い、物理攻撃主体で攻撃してくる。
その上、攻撃力も恐ろしく高く、最初の一撃で陽介が瀕死直前まで追い込まれるほどだ。
「おいで……コノハナサクヤ!」
すかさず雪子が回復スキル【ディア】で回復するも全快とまでは行かず、鏡もペルソナを付け替えて回復に専念する。
鏡は一端、全員に防御を指示するとペルソナを交換して補助スキル【タルンダ】でシャドウの攻撃力を下げる。
その後、陽介達が攻撃している間に再度ペルソナを交換して【ラクンダ】で防御力を下げる。
直後に仕掛けた攻撃で、疾風属性は無効化され火炎属性は吸収される事が判明する。
「雪子は回復に専念! 陽介はシャドウの注意を引き付けて!」
厄介な特性を持つシャドウに対して、鏡は二人に指示を出し千枝を主体に攻撃を加えていく。
鏡は常にシャドウの攻撃力を下げる事に気を配り、隙を見て自身も攻撃に加わる。
陽介は【スクカジャ】や【ディア】を状況にあわせて使い分け、身軽さを生かしてシャドウの注意を引き付ける。
時間は掛かるが、確実にシャドウを倒すために無理をしないで攻撃をし続ける。
陽介が注意を引いた所で、千枝がシャドウの背後に回り込み攻撃を仕掛ける。
シャドウの注意が千枝に向くと、今度は雪子が直接攻撃で注意をそらす。
互いが位置を変えてシャドウの注意をそらしながらも、他の面々の補助に回れるよう気を配る。
シャドウは思い通りに行動が出来ない事に苛立ったのか動きを止め、奇妙な間が出来る。
その様子に嫌な予感を覚えた鏡が全員に防御の指示を出す。
直後、シャドウは手にした王錫を激しく振り回して暴れ回る。
気を抜くと、防御の上からでも叩き潰されそうな攻撃が続く。
防御が間に合ったおかげで、雪子が使った全体回復スキル【メディア】で体力がほぼ全快に近い状態まで回復する。
先ほどの攻撃で力を使い果たしたのか、シャドウの動きが目に見えて鈍っている。
この機会を見逃さず、鏡達も一気に勝負を決めるべく波状攻撃を仕掛ける。
「これで……最後だッ!!」
シャドウの動きが止まった隙を逃さず、トモエの【脳天落とし】がシャドウの王冠ごと一刀両断する。
力尽きたシャドウが霧散すると、辺りは静寂に包まれる。
玉座の辺りに以前には見掛けなかった箱が置いてあり、調べてみたところ中には孔雀の羽をあしらった扇が入っていた。
この扇は、どうやら装備をすると精神力を高める効果があるようで、雪子がさっそく使う事にする。
他にめぼしい物も無く、シャドウ達も大人しくなったようなのでクマと合流して鏡達は古城を後にする。
クマと別れて元の世界に帰ってきた鏡が、思い出したかのように陽介達にゴールデンウィークの予定を訊ねる。
雪子は家の手伝いがあったのだが、山野アナの事件でキャンセルが入り、夜だけ手伝う事になっているそうだ。
陽介と千枝は特に用事は入っていないらしく、陽介は夜からジュネスの手伝いがあるかも知れないと話している。
皆の予定を聞いた鏡は、遼太郎がゴールデンウィークに休暇が取れそうなので、良かったら一緒に遊ばないかと誘う。
「や、俺達は別に構わないけれど、良いのか?」
陽介の疑問に鏡は事件があると遼太郎は戻らなければならないので、稲羽からは離れられない事。
皆が居れば菜々子も喜んでくれる事を挙げて、都合が付くようなら一緒に過ごして欲しいとお願いする。
その言葉に、菜々子とは機会があれば一緒に遊んであげたいと思っていた陽介達も良い機会だと快く了承してくれる。
「だったら、ウチで一泊したら良いよ。ちょうどキャンセルが入って部屋は空いてるし、堂島さんなら、お母さんも面識があるから」
雪子のお誘いに、帰ったら遼太郎に訊ねてみてそれから連絡すると鏡は答える。
それだったら、久しぶりに雪子の部屋に泊まりに行こうかなと千枝も思案顔になる。
千枝の言葉に雪子もゆっくり話すのも随分とご無沙汰しているから泊まりに来たらいいよと答える。
こうして、ゴールデンウィークの予定を計画した鏡達は、都合の確認のためにそれぞれ帰宅する事にする。
鏡はいつものようにジュネスで買い物をすませてから帰宅する。
今日の献立は大根と挽肉の煮物に味噌汁とじゃがいものおひたしだ。
「お姉ちゃん、おかえりなさい!」
「ただいま。今日は菜々子ちゃんにお土産があるよ」
そう言って、鏡が特注の包丁とフライパンを菜々子に見せる。
「包丁とフライパン?」
「うん、菜々子ちゃん用に作ってもらったんだよ」
自分専用という鏡の言葉に、菜々子が満面の笑みを浮かべて喜びを表している。
喜ぶ菜々子に、今日からは専用の調理器具を使うようにして少し難しい調理方法も教える事を伝える。
その言葉に神妙な表情を見せる菜々子へ、最初は食材の切り方から教えるねと鏡は優しく微笑む。
これまでは乱切りくらいしか菜々子に頼めなかったのだが、今回は基本の“かつら剥き”を教える事にする。
大根を菜々子が持ちやすい大きさに切ってから、まずはお手本を見せる。
これまでは、ただ見せていただけだが、今回は切り方のコツや注意点を説明しながらの作業だ。
「最初は当たりを付けてから練習しようね」
いきなりは難しいので、大根の切り口に十字の切り込みを入れ、中心に爪楊枝を刺す。
これを目印に丸く切れるように菜々子が練習をする。
今日の目標はかつら剥きを覚える事なので、他の作業は菜々子に教えながら鏡が行う。
元々、鏡の手伝いをしていただけあって菜々子の飲み込みは早く、最後の方になると一度で丸く切れるようになっていた。
とはいえ、目印が無いとまだ綺麗には剥けないので今後も練習を続ければすぐにでも剥けるようになれそうだ。
かつら剥きした大根を乱切りにすると、鍋に調味料を合わせた出汁と挽肉、生姜と一緒に入れて一混ぜする。
落とし蓋をして中火で煮ている間に、今度はじゃがいものおひたしの準備をする。
じゃがいもは千切りにして、その作業の間に菜々子に出汁の準備をして貰う。
菜々子と入れ替わるようにして、三つ葉をさっと茹でて続いてじゃがいもを茹でる。
茹ですぎると萎びてしまうので、シャキッとした歯ごたえがあるうちに上げて湯を切り出汁とあわせる。
おひたしに味を馴染ませる間に、今度は味噌汁の準備を始め煮物の状態も確認する。
味噌汁の具はワカメと、先ほどとは別に用意した大根とじゃがいもだ。
鏡はふと、今日の献立だとフライパンを使わない事に気付き、せっかくだからと炒り卵を献立に加える事にする。
一見するとスクランブルエッグと似ているが、こちらはパラッとするまで火を通すのが違いだ。
菜々子はフライパンの軽さに驚きを見せるが、使いやすいと好評だったのでだいだら.の親父が聞けば喜んでくれるだろう。
煮物も水溶き片栗粉でとろみを付けて、しばらく置いて煮含ませれば完成だ。
全ての調理が終わる頃に遼太郎も帰宅したので、料理を並べて皆で晩ご飯にする。
菜々子は遼太郎に鏡から新しい調理道具を貰って、かつら剥きを教えて貰った事などを嬉しそうに話す。
「鏡、それは幾らしたんだ? その分の代金を渡さないと」
そう言って鏡に代金を渡そうとする遼太郎に、鏡は代金は要らない事を伝えられたと説明する。
その説明に遼太郎は考える素振りを見せるが、職人の拘りなのだろうと納得する事にしてお礼だけは伝えてくれと鏡に頼む。
「そう言えば、叔父さん。雪子から今度のゴールデンウィークに天城屋旅館に泊まらないかって話が出たんですが」
食後のお茶を飲みながら、鏡が遼太郎に話を持ちかける。
休暇が取れそうだと遼太郎が話した際、どうせなら鏡の友人も誘えばいいと遼太郎から話があった。
それでクラスメイトを誘った所、雪子から話が出たと鏡は説明する。
予約は大丈夫なのかという遼太郎の確認に、キャンセルが出たからと事件については触れずに話す。
「それじゃ、すまんがお言葉に甘えさせて貰おうか。連絡の方は頼めるか?」
遼太郎の言葉に鏡は頷き、後で雪子に連絡を入れると話す。宿泊は五月四日の予定だ。
鏡は菜々子とお風呂に入る前にメールで雪子に連絡を入れる。
お風呂から上がり、菜々子を寝かし付けてメールの返信を確認したところ、雪子から『こちらの方も大丈夫だ』と連絡が入っていた。
遼太郎にその事を連絡してから、鏡は自室へと戻ると当日の予定を考える。
天城屋旅館に泊まるとなると、近場の渓流でバーベキューが妥当なところか?
ご飯に関しては飯ごう炊さんでなく、最初からおにぎりを作って行けば片付けの手間も省ける。
色々と考えている自分に気付いた鏡は、皆で遊ぶ事を楽しみにしていたんだなと苦笑して眠りにつく。
当日に菜々子と一緒に作る献立を考えながら。
2011年05月20日 初投稿