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No.26062の一覧
[0] けいおん! 消失!軽音部の無い日常と真鍋和の相克[アルファルファ](2011/02/17 20:09)
[1] 第二話[アルファルファ](2011/02/17 00:36)
[2] 第三話[アルファルファ](2011/02/17 20:02)
[3] 第四話[アルファルファ](2011/02/18 21:49)
[4] 第五話[アルファルファ](2011/02/19 23:28)
[5] 第六話[アルファルファ](2011/02/20 01:06)
[6] 第七話[アルファルファ](2011/02/20 16:40)
[7] 第八話[アルファルファ](2011/02/23 20:57)
[8] 第九話[アルファルファ](2011/02/24 00:55)
[9] 第十話[アルファルファ](2011/02/24 17:49)
[10] 第十一話[アルファルファ](2011/02/26 06:07)
[11] 第十二話[アルファルファ](2011/02/27 12:54)
[12] 第十三話[アルファルファ](2011/02/27 13:01)
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[26062] けいおん! 消失!軽音部の無い日常と真鍋和の相克
Name: アルファルファ◆d4222b72 ID:567b6a87 次を表示する
Date: 2011/02/17 20:09
疲れる。なんでこの学校は生徒会の仕事がこんなに多いのかしら。生徒の自主性を重んじると言いつつ、ただ教師が楽しているだけなんじゃないかと思えるわ。

「ふう・・・・。」

私は山積みになっている書類から目を離し、椅子にもたれかかる。部活や委員会が生徒会長の認印を必要とする書類があり、来月の文化祭の書類も新しいのがどんどん出てくる。全部私が目を通さないといけないので他の子達に任せることができない。おまけに自分のクラスの文化祭の出し物も決めないといけないし、私自身の受験勉強もある。もし漫画の主人公みたいに分身ができるなら、ぜひともお願いしたいくらい。

「もうそんな時間になったのね。みんな、先に帰ってて。私はぎりぎりまで残るから。」

時計は5時を過ぎている。他の子達には特に仕事が無いので時間を無駄にさせるのも悪いわね。先に帰ってもらうことにする。

「お先に失礼します、会長。」

「うん、また明日ね。」

最後の一人を送り出して生徒会室の扉を閉める。さて、残り時間で少しでも書類整理をしておかないと。

「うっ・・・。」

椅子に座ろうとした時、少し目眩がした。少し根を詰め過ぎたかしら。帰ったら少し休まないと。

「えっと、上半期分の部活動監査の回答用紙は・・・・。」

監査委員から回ってきた用紙。監査委員がチェックしたものを私が再度チェックする。バスケ部、バレー部、サッカー部、バドミントン部、卓球部・・・・。

「また軽音部だけ未提出か・・・。」

私のイライラのボルテージが上がってしまう。律は書類の提出期限を守ったことが一度もない。実際軽音部のそういう書類の提出率の悪さに各委員会から苦情が来ていて、私がそれをいつもなんとか取りなしている。

「今日は軽音部は活動してるはずだし、後で言いに行くか・・・。」

メールで連絡しても次の日には忘れているのが律の日常だから、直接言ったほうがいい。それにしても、しっかり者の澪が少しはサポートすればいいのに。いつも律に怒るだけでその後のフォローがなっていない。そういえばムギが持ち込んでいる私物のティーセットについても以前から何度も意見が投じられている。唯と律が持ち込む私物も同じ。それをかばっているのも私。軽音部について考えているとストレスが溜まる一方ね。

「うっ・・・。」

また目眩がした。随分疲れてるみたい。受験勉強の時間を増やして睡眠時間が短かくなっていたし、多量の仕事に圧倒されていたし。その上で軽音部。軽音部に唯がいるから肩入れしているのが大きいけど。もちろん軽音部のメンバーのことも好きだけど、生徒会長の立場で言えば軽音部の活動の不注意さは本来見逃すわけにはいかない。

「なんで私ばかりこんなに苦労を背負い込まなければならないのかしら・・・」

高校に入学した時、迷っている唯に部活動をするように勧めたのは私。もし私が後押ししなければ唯は興味を持てる部活もなく、中学までと同様に帰宅部になっていたかもしれない。そうすると、人数不足で軽音部は発足していなかったはず。一方の私はストレスが軽減されて・・・って何考えているのかしら、仕事が多いからって八つ当たりしたりして。でも、軽音部の存在が私の仕事や心配事を増やしているのもまた事実。また同じことを考えてしまう。

「もし軽音部がなくなったら・・・。」

いけないいけない。早く音楽準備室に行こう。そう思って椅子から立ち上がった。

「その世界を望むか?」

いきなり大きな声が私の耳に語りかけた。どこから聞こえてくるんだろう?

「えっ?」

その瞬間私は膝ががくんと落ち、そのまま床に倒れこみ、目の前が真っ白になった。

「・・・・あれっ?」

気が付くと私は宙に浮いていて何かを見下ろしている。なんだ、あれ私の体じゃない。あっ・・・唯が下で私の体を揺すっている。ムギに何か言われた律が生徒会室を駆けて出て行く。澪はその場で崩れ落ちて泣いている。梓ちゃんが制服の上着を脱いで私の体に掛けている。何しているの、あなたたち。そう言おうとしたが、声が出ない・・・。



「・・・・・・っ!!」

目が覚めた。生徒会室の床でそのまま眠ってしまっていたみたい。変な夢を見ちゃったわ。臨死体験みたい。ああいうのはぞっとするわ。

「あっ・・・もう7時10分。」

とっくに最終下校時刻を過ぎている。もう学校の中には誰も残っていないんじゃないかしら。軽音部も帰ってしまったに違いない。私も帰らないと。

「あら、真鍋さん。まだいたの?」

生徒会室に担任のさわ子先生が入ってきた。そういえば今日日直だったわね。

「すみません、寝ちゃってたみたいで。すぐに帰ります。」

「仕事熱心なのはいいことだけど、少しは休みなさい。体を壊したら元も子もないでしょ?」

「はい、帰ったら早めに休むことにします。あっ、そうだ、先生。文化祭のうちのクラスの出し物のことなんですけど・・・。」

古典劇がやりたいという意見がクラスで多いことを話そうとしたけど、先生はきょとんとした顔をしている。なぜ?

「クラスの出し物?それなら私なんかより担任の先生に相談したほうがいいわよ。」

「えっ?だって、先生が担任じゃないですか?」

「本当に疲れているみたいね。さっ、仕事の話はおしまいにしましょう。昇降口まで送ってあげるから。」

一方的に話を打ち切ったさわ子先生に急き立てられ、私は下校した。



続く


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