<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.26029の一覧
[0] IS インフィニット・ストラトス 『if』[ヒーハー](2011/02/14 23:07)
[1] IS インフィニット・ストラトス 『if』 『気遣い』[ヒーハー](2011/02/16 00:26)
[2] IS インフィニット・ストラトス 『if』 『その思い』[ヒーハー](2011/02/18 00:15)
[3] IS インフィニット・ストラトス 『if』 『日常』[ヒーハー](2011/02/21 22:25)
[4] IS インフィニット・ストラトス 『if』『三人寄れば』[ヒーハー](2011/02/27 00:17)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[26029] IS インフィニット・ストラトス 『if』 『その思い』
Name: ヒーハー◆c835a6b1 ID:27daee6c 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/02/18 00:15
「―――そうか、了解した。ご苦労だった大尉」

 プライベートチャンネルを切り、いつもと変わらぬ様子を演じる。
 大尉からの情報では嫁は現在、自宅へ帰っているらしい。ただ、不可思議なのは、帰る前と後で、電気消費量や、目撃情報があまり変化していないということだ。帰っている、という情報も、帰路に着くまでのもの。
 
 自宅へ帰ったのは確からしいのだが… それ以後の情報がないのは痛い。

「むぅ、どうしたものか」
「なにがどうした」
「いや、嫁が―――っ!?」

 唐突に背後に気配を感じて距離を取ると、そこにはルームメイトのシャルロットがいた。

 ただ… その笑顔に威圧されている。

「シャルロットか、どうしたんだ?」
「ラウラがなんか難しそうな顔してるからどうしたんだろうと思ったんだよ。
 それで一夏がどうかしたみたいだけど?」

 近くに寄ってくるシャルロット。しかし、その威圧感が徐々に増しているのは気のせいではないだろう。



 どうにかして、偶然を装って必然的に嫁に会う手段は、ここで断たれた。



「なるほど、家にいない可能性が高いんだね?」
「うむ、帰ったのは確かだがそれ以降の足取りが掴めないままだ。嫁の行動範囲である近隣の町に出没していないか情報を集めたが、一切なしだ」
「病院は?」
「来ているそうだが… 調査対象の地域から外れているのか、たまたま引っかかっていないだけなのかわからんが、足取りを掴めない」

 嫁の情報を洗いざらい白状してしまった後は、割り切ってシャルロットと共に嫁の行動について考えることとなった。
 すでに時刻は深夜に差しかろうかというところだが、眠気はいまだに来ない。今は睡眠よりも嫁のことがお互いに重要だった。

 シャルロットは頭の回転が非常に速い。その速さをISの強みにしている。しかし、今はあまり役に立ってはいない。
 嫁の性格は私達はある程度理解している分、全くと言っていいほど情報が入ってこないことが逆に私達にとって想像不能の状況になってしまっている。

「シャルロット」

 考えに耽るシャルロットを呼ぶと、顔を上げて何か思いついたのかというような期待する表情を見せるが、そうではない。

「私は今回の件に参加していないから、ある程度無茶をできる。教官―――織斑先生に怒られることを覚悟で嫁に会いに行くつもりではある。
 だが、シャルロットは当事者だ。いざ、見つかった時は今回以上に絞られると思うが、それでも行くのか? これは友人としての疑問だ」

 一夏は私の嫁であるから抜けがけということではない。しかし、何かと私に良くしてくれるシャルロットがこれ以上落ち込んでいる様子は見たくはない。

「うん、僕は行くよ」

 しかし、目の前の友人は落ち込んだ様子など微塵も見せずに言いきった。

「僕が悪かったのは確かだよ。ちゃんと謝る前に織斑先生に怒られちゃったし、そのまま出てきちゃったから… 僕はせめて一夏にちゃんと謝りたい。
 ごめんなさいって、言いたい」

 一瞬、表情が沈んだがすぐに真っすぐに見つめ返してくる。
 
 シャルロットがそのような決意なら、私は何も言うことはない。

「今日はもう寝よう。 
 そして明日街に出て、考え得る嫁の行きそうな場所に行ってみる。ということで問題ないか?」
「うん、そうしよう。さすがに病院に押しかけるのは拙いからね。織斑先生に本当に本気で怒られちゃう」
「うむ… それだけは絶対に避けたいところだな。教官を怒らせた時の恐怖は…思い出したくない」

 今日はそのまま寝ることにした。
 明日は早くに起きて、行動を起こすとしよう。








「終わったか」
「おう。悪いな待たせて」

 俺と弾は病院に来ている。当然、俺は治療に。弾はその付き添いに。
 打撲の方は違和感が完全に消えた。捻挫は極端な運動をしなければ問題ない程度まで回復した。しかし、依然として右手にはギブスがある。

 骨が曲がってついたら大変だからな。

「蘭の方はやっぱり早かったな」
「ただの夏風邪で、お薬もらうだけですから」

 まだ少し元気がないが、俺が最初に五反田家に行った時よりはかなり良くなっている。
 蘭は俺達と一緒に病院に来て、風邪の診断を受けていた。この様子では普通の夏風邪のようだったが、風邪をこじらせても大変だからと厳さんが病院に行くことを勧めたのだ。

 本当に蘭には甘いなあの人。


「さて、そしたら帰るとするか。どこも寄らないだろ?」
「そうだな。蘭が辛いのに外食とか言語道断だし。俺も右手使えないからな」
「俺が食わしてやろうか?」
「その時はギブスエルボーをプレゼントしてやろう」

 冗談を言い合いながら帰路に着くことになった。
 蘭が顔を少し赤くしていたし、早く帰って休ませてやらないとな。

「ほれ、キャップ」
「お、サンキュ」

 弾から差し出されたキャップをかぶる。
 これは千冬姉の指示だ。先日弾の家に泊まるということを説明した時に『お前はそれなりに顔を知られているからな。友人が傍にいるときは少し、存在を隠しておけ。周りにも、友人にも迷惑をかける』とのこと。
 確かにそうだと思うし、実際、診察の時に看護師のお姉さんに握手を何故か求められてしまった。気がつかれるのは稀だが。

 男で唯一、ISに乗れるということはニュースにもなったし、興味のあった人であればまだ覚えていることだろう。
 弾達に迷惑をかけるのは避けたい。


 ただ、キャップを被った影響が歳を重ねた時に出ないことを願いたい。
 あれ? でもあれって頭に雑菌がいることで髪が後退したり、去って行くんだったか?

 帰りはタクシー。何度も言うが厳さんは蘭に甘い。身体の弱っている蘭をバスや電車で辛い思いはさせんという意思の表れだろう。
 そして、タクシー代を健康な弾に渡さずに、怪我人であり、泊めさせてもらっている立場である俺に渡すのは信頼度の違いなんだろうか。弾は泣いていた。

 街の中に差しかかった時、助手席に座っていた弾が何かに気がついた。

「おい、駅前なんか人だかり出来てないか?」
「本当だ。何かあるんですかね、一夏さん」
「人で見えないな… アイドルかなんかでも来てるのか?」

 女性優遇の世の中になってから男性の地位は瞬く間に下がりストップ安。
 ただし、容姿の優れたアイドルやホストは女性という権力者から愛されるという構図があるのも事実。とはいっても、見る限り男女入り混じって人だかりができているから普通のアイドルというわけでもなさそうだ。歌手か何かかもしれないな。

「蘭は好きなアイドルいないのか?」
「わ、私は… 」

 ?言葉に詰まって俺を上目づかいに睨む蘭。
 むぅ、おかしなことを聞いてしまったみたいだ。

「お前、病院で検査してもらえ」
「は? 今してきたじゃん」
「違ぇよ。眼科と脳神経外科か? そこら辺で診てもらえ」

 弾が何を言いたいのか全く理解できん。こいつはたまにわけのわからないことを言うからな。
 慣れたけど。

「ま、いいか。俺もアイドルには興味ないし。帰って飯食って店手伝わないとな」

 確かに俺もアイドルにはあまり興味は持ってない。
 ていうか、アイドル並みの容姿持った友人がいるからな。目の保養には事欠かない。





 店の裏口から入り、一度部屋に戻る。
 蘭はそのまま休むようで、部屋に戻って行った。
 
 弾と少し話をしていると、扉が開けられ蓮さんが入ってきた。

「一夏くん、さっき鈴ちゃんが来てたわよ」
「鈴が? …何か言ってましたか?」
「一夏くんを知らないかって聞かれたけど、見てないって答えておいたわよ。一夏くんがここにいることがわかったら困るんでしょ?」

 千冬姉の指示はもう一つ、もしも今回の件の関係者が訪れた時には心を鬼にして追い返すか、蓮さんのように口を会わせてもらって俺を知らないということにしてもらっている。
 結構、辛いが… 千冬姉にも考えがあるだろうし、五反田家に厄介になっている身としては皆が来て迷惑なってしまうことは申し訳ないが避けたい。いかに中学の同級生で見知った仲だったとしても。

「はい… すいません…」
「いいのよ。事情があるみたいだし。
 それにしても、鈴ちゃん可愛くなったわね。あの子もうかうかしていられないわね」

 うふふ、とにこにこしながら部屋を出ていく蓮さん。
 あの子とは誰のことだろうか?

「鈴か。一夏がここにいることを嗅ぎつけるとは、さすがだな」
「あいつは行動パターンがわかってるというよりは、俺が頼りそうなところを回ってるってとこか。
 そう考えたら弾が一可能性あるからな」

 中学時代の友達で俺と仲の良かった奴で俺が頼りそうなのって言ったら弾と和馬ぐらいだろう。

 もしかしたら俺の家の前で鈴が待ち伏せているかもしれないな。

「そんなもんか。まぁいいか。
 飯食うだろ? 持ってくるから待ってろ」

 今日も五反田定食を御馳走になる。
 ありがたく頂きます。


 遠くで救急車の音がする。病院にいた時も気がついたが、熱中症にかかる人が今日は多そうだと思った。高温多湿で老若男女限らずにその症状は表れる。
 仕事熱心な人は外での営業の時に。室内でもかかることはあるし、体調がすぐれない人や睡眠不足の人もなる。
 この季節は水分をちゃんととって、体調がおかしいと思ったらすぐに休むようにしなければ大変なことになる。

 
 千冬姉も、皆も気をつけてくれればいいけど…








「…何なんだこの人だかりは」
「なんだろうねぇ…」

 僕とラウラはうんざりしていた。
 朝早くに街に来たのはいいけれど、当然ながら一夏の行方がわかるわけじゃない。
 病院に迷惑をかけたらそれこそ、一夏に嫌われてしまいかもしれない。骨折という重傷を負わせてしまっているんだから… 嫌われても何も言えない。

 でも、それは今の状況とは全く関係ない。
 一夏が行きそうな店や場所、病院に行くまでの道のりを歩いて一夏がいないか探してけど、そんな気配はどこにもなかった。

 一度駅に戻ろうということになって戻って来たのはいいけど、なんかアイドルにならないかという女の人に話しかけられてから人だかりが徐々に出来上がってきた。
 移動しようにも… 

「きゃ~、可愛い!」
「どこの国の人かしら」
「留学生だったら俺はあの子の通っている学校に転校するぞ!」
「綺麗な銀髪…」
「あえて言おう。まさしく愛だ!」

 人の壁で動きが制限される。
 一夏と買い物に来た時はこんなことにならなかったのに… 今日は運がない。

『シャルロット、一度撒くぞ』

 そうラウラの視線が言っていた。
 それには僕も賛成だ。これ以上時間を無駄にするわけにはいかない。早く一夏を探さなければ。

 僕は近くにいた女の子の前まで移動して声をかける。

「あの、すいません」
「え!? わたしを選んでくれるんですか!? 最高です! お姉さまって呼ばせてください!」

 ものすごい方向に話が飛んで行っている気がするけど、今は構ってられない。ごめんね。

「ちょっと道をあけてくれますか?」
「よろこんで!」

 彼女の後ろにいた人たちも道をあけてくれた。もっと早くにやればよかったかも。


 ラウラと一緒に、最初はゆっくりと歩く。後ろには何人かついてくる気配… あと、嫌な空気を感じる。
 さっき見た限りだと、ホストみたいな男の人がいたからその人たちかもしれない。そういう人は僕は嫌いだ。
 

 だから一気に撒いてしまおう。


 予備動作を感じさせないように僕とラウラは駆けだす。

「あ、待て!」
「待ってくださいお姉さま!」

 案の定というべきか、男の人がついてくるような感じはしたけど、追いつけはしないだろう。
 

 僕とラウラは街の中を駆け、ある場所を目指すことにした。










「弾の家を頼ってると思ったんだけど、違ったみたいね。ていうか蓮さん、全く変わってるように見えなかったんだけど… なんか不思議な薬でも使ってるのかしら?」

 久しぶりに会った蓮さんは親しげに『あら、鈴ちゃん久しぶりね~。可愛くなっちゃって、若いっていいわね~』と言って撫でててきた。悪い気はしないけど… 人が見ている前であれは恥ずかしい。
 
 ご飯食べてたおじさんに『奢ってやるぞ! 好きなもん食え!』とも言われた。
 さすがに見ず知らずの人に奢られるのは気まずいし、拙い。何かされても対応はできるけど、今の状況で問題を起こしたら、千冬さんの雷が…


 とりあえず、蓮さんは表情が読みにくいから何とも言えないけど、白ってことにしておこう。

「もう一度、一夏の家に行ってみようかしら」

 弾の家を訪ねる前に寄って、呼び鈴を鳴らしたが出てくる気配はなかったし中に人がいそうな気配もなかった。

 その後は街の中を探して、弾の家に行くという行程。

 IS学園の病院から出て行って、可能性としてはこっちの病院に来てる可能性が高いはず。もしも帰ってきているなら人の気配はあるだろうし、何回か言ってみるのもアリとだ思う。



 …今回のことは、あいつが悪い。でもそれ以上にあたし達も悪い。
 止めを刺したのが箒だと言ってしまえばそこまでかもしれないけど、それでは私が自分を許せない。一夏が怪我をしてしまう過程を作ってしまっているのは私たちなんだ。
 直接謝って―――あ、でも許してくれなかったら?

 嫌な考えがよぎる。

 今までは大きな怪我はなかった。あたし達も加減をしっかりできていたんだと思う。でも今回は加減を間違えて一夏は重傷。一週間ほどで治るとしても、普通だったら怒る。嫌われて、しまうかもしれない。

 謝らなきゃ…


 一夏なら許してくれるとか、甘い考えは捨てる。
 自分にとって都合のいい考えは、決して都合よく現実にはならない。



 胸が苦しくなりながらも、早足で一夏の家に向かう。


 一夏の家の通りまでやって来た時、あたしは見知った顔を見つけた。

 長い金髪。見た目からして高そうな服。
 セシリアが一夏の家に立っていた。


 前に皆が集まった時は―――二週間ほど前だっただろうか。それからISの訓練をするためにIS学園に戻って、その矢先に一夏が怪我をした。
 家は覚えているだろうし。今日はセシリアも一夏を訪ねて来たんだろう。直接家に来たかもしれない。あいつ、結構大胆だから。

 声をかけようとして、私はそのおかしさに気がつく。
 季節は夏。そして気温、湿度共に高い。日本の夏らしい状態だ。

 なのに、セシリアは汗をかいていない。暑そうにしているのに、発汗もなくて息が荒くて―――突然、セシリアが崩れ落ちる。

「ちょ、ちょっと!」

 慌てて駆け寄ると同時に拙いと直感する。
 身体が熱い。なのに汗ばんでいるのは服だけで皮膚は乾燥してる。

「セシリア! 聞こえる!? セシリア!」

 意識は無い。

 間違いなく熱中症だ。



 すぐさま携帯を取り出して救急車を呼ぶ。
 ただ、呼ぶ場所は近くの公園。

 救急車を呼び、公園の場所を伝えてから私はセシリアをおぶって公園を目指す。幸い、近くにある。
 セシリアを日蔭のベンチに寝かせ、持っていたハンカチを水道で濡らす。濡らしたハンカチを首に乗っける。そしてすぐに走り出し、近くの自販機で冷えた缶ジュースを買い、それをセシリアの脇に挟む。

「これで応急処置はしたけど…」

 不安なのはセシリアがどれだけ外にいたかということだ。
 少なくとも私が最初に一夏の家に行ったのは三時間前。もしも入れ違いになって、その三時間、ずっと外にいたとしたら倒れなかったのがおかしいくらいだ。あたしが運よく一夏の家に行かなかったら… ゾッとする。




 応急処置から数分後、救急車がやってきてセシリアが搬送される。あたしも同乗し、千冬さんに連絡を入れた。




「馬鹿者が…」

 千冬さんは怒るわけでもなく、しかし優しくもない声で眠っているセシリアに声をかけた。
 倒れてから処置が早かったのが幸いして、命に別条は無い。

 しかし、入院は必然。
 起きたら千冬さんの説教が待っているが。そんなことよりもセシリアに何の問題もなくて本当によかった。

「凰、詳しくは聞かんがオルコットが織斑の家の前にいたのは確かだな」
「はい。少なくとも一時間は外に…」
「馬鹿者め…」

 今度は先ほどとは違う言い方だった。

「山田先生、オルコットをIS学園所属の病院へ移す手続きをお願いできますか?」
「は、はい。わかりました」

 それまでオロオロしていた山田先生だったけど、千冬さんに頼まれて小走りで部屋を出ていった。

「…さて、どうする。このことを一夏に連絡するか?」
「…」
 
 正直なところ、連絡したい。心配するだろうし、いつかこのことが一夏の耳に入った時にあいつは怒ると思う。
 教えてもらえなかったことではないく、友達として怒るんだと思う。

「できれ、ば。伝えないでほしい、ですわ」
「セシリア!」

 途切れ途切れだけど、顔を向けてみればベットに横になりながらも目をあけているセシリアがいた。

「具合はどうだ」
「まだ頭が働きませんが… そんなことより、一夏さんには伝えないでくださいますか?
 一夏さんには… こんな無様な姿を見せたくありませんし、耳にも入れたくありません。これはわたくしが勝手にやったこと。ですからお願いします、一夏さんには…」

 まだ顔色は良くないけど、眼は真っすぐ強い意志を持っている。


 セシリアともライバルではあるけど…

「わかったわ。あたしは言わない。一夏にも、他の誰にも」

 今は友人として、頼みを聞いても良いと思う。
 
 千冬さんはあたしの言葉を聞いてため息をついた。
 呆れるように、深くため息をついた。

「いいだろう。今回は伝えないで置いてやる。山田先生にも言わないように伝えておこう。
 だが、以後このようなことは無いと思え。身勝手な振る舞いで周りに迷惑をかけるな。お前に何かあった時に悲しむのが誰なのか良く覚えておけ」
「はい…」

 明日、ヘリでIS学園の病院に移すということを伝えて千冬さんは出て行った。
 あたしも、その後に続いて帰らなければならない。
 でもその前に。

「あんたも一夏に謝りに?」
「えぇ、鈴さんも同じでしょう?」
「まぁね。
 …今度は二人で行きましょ。あんた一人だったら、同じことするとは思えないけど馬鹿なことやりかねないからね」
「ま、失礼しますわ。このセシリア・オルコットがこのような醜態をさらすのは今回だけでしてよ。
 ですけど… そうですわね、鈴さんがそう言うのであれば、一緒に行ってもいいですわよ」
 
 互いに軽口を叩くけど、これはいつものことだ。
 でも今はこれができてよかった。

「じゃあね」
「えぇ、また」

 それだけでいい。
 



「さて、どうしてお前が織斑の家にいたのか聞かせてもらおうか」
「うっ。さっきは詳しく聞かないって言ったのに」

 学園に帰ってきてから千冬さんの第一声がこれだ。

「さっきまで山田先生がいたからな。お前も良い難いだろうという私の配慮だ」

 そんな配慮なら要らないから聞かずにこのまま帰してほしかった。
 結局怒られるんだろうから…

「まぁ、今回はお前が行ったタイミングがよかったからな。目を瞑ってやろう」
「え、本当ですか?」
「今回だけだ。次に近くで見かけるようなことがあれば覚悟しておけ」

 あぁ~、今度見つかったらやばいわね。

 それでも、一夏に会いにいくけど。






「ちょっと涼んでくるわ」
「おう。アイス買ってきてくれ」
「そこまで遠くに行かねぇよ」

 今日は暑い。夜まで暑い。
 まだ寝るには早いが、だからと言って今の気温はちょっと厳しい。散歩がてら涼んでこよう。


「あ~、外も暑いし…」

 これは… アイスでも買ってくるか。
 金は一応持って来てたし、弾も食いたそうだったからな。蘭の分も買ってくるか。

 
 静かな夜道
 こんなに静かに過ごしたのは久しぶりな気がする。


 ブブブブブブブ


「うぉっ!? そういや携帯バイブにしたんだったな」

 突然震えだした携帯に驚きながらもディスプレイを確認すると、登録していない番号だった。
 …誰だ? あまりこういうのには出たくないんだけど、もしかしたらIS学園関係かもしれないからなぁ。
 でるか。

「もしもし…」
『あ… い、一夏、か?』


 携帯から聞こえたのは、俺のファースト幼馴染である、箒の声だった。


















 あとがき


 なんか忘れていると思ったら、皆さんに伝え忘れていました。
 私はラウラが好きです、シャルロットが好きです。蘭が好きです。会長が好きです。

 ていうか皆大好k―――あ、やめて。石投げないで!

 でも、ラウラとシャルロットは他の作者さんが萌死するような感じで書いてくださっているので、私はあくまで私の頭で考え得ることを書いていきたいと思います。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.026013851165771