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No.26029の一覧
[0] IS インフィニット・ストラトス 『if』[ヒーハー](2011/02/14 23:07)
[1] IS インフィニット・ストラトス 『if』 『気遣い』[ヒーハー](2011/02/16 00:26)
[2] IS インフィニット・ストラトス 『if』 『その思い』[ヒーハー](2011/02/18 00:15)
[3] IS インフィニット・ストラトス 『if』 『日常』[ヒーハー](2011/02/21 22:25)
[4] IS インフィニット・ストラトス 『if』『三人寄れば』[ヒーハー](2011/02/27 00:17)
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[26029] IS インフィニット・ストラトス 『if』
Name: ヒーハー◆c835a6b1 ID:0ae489d1 次を表示する
Date: 2011/02/14 23:07
 どうもはじめましてヒーハーです。
 この物語は原作の設定を守りますが、タイトルの通りifの物語です。話が前後したりするかもしれませんし、原作の間の話を私が勝手に想像して書くことがあるかもしれません。

 そのような物語がお嫌いな方はバックしてください。

 そんな物語でもよろしければ、つたない文章ですが読んでいただけたなら幸いです。



 基本として、本作は数話構成とします。たまに一本だけというものあるかもしれません。


 そのあたりはご容赦ください。



 では、どうぞ。



















 あぁ、なんだろうか。


 白い天井。


 思い浮かぶあのセリフ。


 でも言えない。


 何でかって?


 そりゃあ…


「……」

 腕を組んで苛立ちを隠そうともせず、だからといって声を荒げることはせず、かといって行動を起こすわけでもない。

 視線の先には黒のスーツにタイトスカート、すらりとした長身、よく鍛えられているがけして過肉厚ではないボディライン。組んだ腕―――は言ったか。狼を思わせる鋭い吊り目。



 姉である、織斑 千冬。



 しかし… 今なら狼だって逃げ出すかもしれない。
 だって俺が逃げ出したい。決して俺は狼にはなれないけれどもチワワにはなれるかもしれない。涙目だけども。

「あ、あの、織斑先生? か、彼女たちも反省しているようですし、その辺りで…」



 弱々しくもこの場の空気を和ませようとしている山田真耶先生。

 でも先生、俺にしか聞こえないほど小さい声で言ってもどうしようもないと思います。
 でも先生、その勇気に乾杯。



 そして俺は皆に完敗した。











 時は夏休み。
 全国の生徒諸君がテストという困難を乗り越えて得た一カ月近い休日。
 まぁ、中には補習というオプションがつくものもいるわけだが。


 俺はもれなく入院というオプションが付いた。



 皆でISの訓練をやっていたら、どういう流れがあったのかはわからないが、4対1の超パワープレーを余儀なくされた。


「お、織斑くん、リンゴ食べますか?」
「い、いただきます」

 そう。織斑一夏は入院していた。そのパワープレーによって怪我をした。
 エネルギーが切れ、絶対防御が発動せず… 今に至っている。


「…別に訓練が悪いとは言わん。しかし、度を超えた訓練が身体を壊すことぐらいはお前たちならばわかっていて然るべしだ。ましてや代表候補生ともなれば加減の一つや二つできるはずだ。そうでなくとも武術に通じた者でも同様だ。
 わかるな?」
「「「「はい…」」」」

 四人が力なく頷く。


 セシリア・オルコット。イギリスの代表候補生であり、専用機持ちでもある。彼女のISはブルー・ティアーズは狙撃が主体。
 彼女の巧みな狙撃でダメージは無かったものの動きを制限されて―――後述。


 凰 鈴音。中国の代表候補生でありセシリアと同様に専用機持ち。ISは甲龍。龍砲という衝撃を弾として放ち、双天牙月という二本の大型の青龍刀で近接攻撃もできる。
 セシリアに動きを制限されたところを双天牙月で攻撃され、離れようとしたところを衝撃砲で追撃され、エネルギーシールドをギリギリまで削られ―――後述。


 シャルロット・デュノア。フランスの代表候補生。前述の二人と同様。ISはラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ。
 彼女の特技として、武装を高速で交換できる。実弾を使用するため、白式の零落白夜では攻撃を無効化できない。
 鈴にギリギリまでエネルギーシールドを削られたところを、止めの一撃をライフルで狙撃された―――後述。


篠ノ之 箒。代表候補生ではないが専用機を持っている。彼女の姉でありISの基本理論を考案、実証し、ISのコアを全部で467機全てを作った『篠ノ之 束』
 その彼女から与えられたISが赤椿だ。
白式と対になる存在の機体であり、又、箒自身が得意としている剣術を駆使し、雨月・空裂の二刀を使用している。
 シャルロットに狙撃され、エネルギーシールドが切れた瞬間、上空からの一撃。それを防ごうとして右腕を盾にしたが…骨折。
 加えて吹き飛ばされた際に全身を強く打ち…全身打撲+右足首の捻挫。


 エネルギーが切れた瞬間、箒も止めようとしたが、振られた刀は急には止められない。


 …骨折でよかった。





「はい、織斑くん」
「あ、すいません」
「む、待て一夏。利き腕がそれでは食べづらいだろう。わ、私が食べさせてやる」
「お、サンキュー」

 
 そして、パワープレーに参加していなかった俺のもう一人の友人。


 ラウラ・ボーデヴィッヒ。ドイツの代表候補生。専用ISはシュヴァルツェア・レーゲン。
 AIC―――ラウラは停止結界と呼んでいるが、任意に対象を停止させることができる全くもって反則的な効果を持っている。加えて大型レールカノンとワイヤーブレード、プラズマ手刀を駆使して戦う。ここにいる生徒の中では一番強い。

「あ、あーん…」
「ん。お、美味いなこのリンゴ」
「と、当然だ。この私があーんをしてやったのだからな」


 ? なにかリンゴの美味さと関係があるのだろうか。



 怪我をした時、ラウラはドイツの関係者から連絡があったらしい。その為、アリーナに来れなかったというわけだ。


 ラウラまでいたら俺はここにいないかもしれない。



「「「「…」」」」


 な、なんだ? すごく冷たい視線がどこからかやってきている。


「聞いているのか? それとも私に言われずとも理解しているから聞く意味は無いということか。
 これは恐れ入ったな、代表候補生とISの開発者の妹には」


 いつにも増して―――いや、こんなにも棘どころか剣山の如き言葉を四人に放っている千冬姉は初めて見るかもしれない。
 いつも厳しいけど、それは規律だったり俺達が悪いことをしたときに、それを自覚させるために厳しく接している。

 
 さすがに今回は一歩間違えれば怪我では済まなかった可能性もあるからな。
 それもあってより厳しく、というところだろうか。


「大体、こいつが鈍感なのはいつものことだろう。それに一々腹を立てていてはキリがない。こいつの鈍感さと発言を流せるぐらいには大人になれ。いつまで子供のつもりだ。
 特殊な学園ではあるがお前たちは高校生だ。つまり、大人と子供の中間であり成長の途中だ。大人になる兆しが見えてくる年頃だ。それがどうした、いつまでも同じことで腹を立て、あまつさえISを使用して弱いものいじめか」
「よ、弱いものいじめではありませんわ
ま!」
「弱いだろう。お前たちの中では」


 く、挫けないぞ。確かに俺は弱いし、専用機を持ったばかりの箒にも負けてしまうぐらいだけどちゃんと成長している!―――はず…

 それに俺は鈍感じゃ…


「―――ふぅ」
「な、なんでため息つくんだラウラ?」
「気づかざるは本人だけ、とな」

 どういう意味だろうか?


「ラウラ、お前にも言えることだということを忘れるな」
「わ、私もですか!?」
「そうだ。お前が参加していなかったというだけだ。参加していればこれ以上のこともあったかもしれん。
 自分だけが違うということは無い。お前もこいつらと同様の気持ちを持っている。だからこそ、忘れるな。ISは良くも悪くも『力』なんだ。一歩間違えれば命を奪ってしまう力だ。力の認識を間違えることは許されん」
「はい…」

 少し、俯きながらも返事をするラウラ。


 でも、千冬姉の言うことは正しい。
 力の認識を間違ったらそれは暴力だ。

「織斑、お前もだ」
「はい」
「男ならもっと悔しがれ。女に負けていつまでもへらへらするなど軟弱極まるようなことはするな。もっと堂々としろ。
 お前が言った言葉は意味が重いんだ」

 『守る』
 たくさんの意味を持って、それを実現することは非常に難しい。
 誰にも強さで負けなければ、確かに守れるものは多いかもしれないが、それだけでは守れないものもある。

 身体も、心も、強くあれ。

 強いというのは力だけではない。

「はい、精進します」
「…よし。
 では、私達は帰る。そこの四人―――と、ラウラ。帰るぞ」
「っ!? わ、私は一夏の看病を!」

 それに続けとばかりに四人が何かを言おうとしたが、それよりも先に“織斑先生”が喝を入れた。


「馬鹿者。お前達がここにいてはまた同じことをする可能性がある。一人だけ看病というのも駄目だ。その一人に対抗するために何をするかわからんしな。
 加えて病院に大人数でいては迷惑だ」



 織斑先生の眼力と正論に押され、俺以外の女性は部屋を出て行った。






「…静か、だな」

 棚の上に置かれた剥かれたリンゴが、どことなくさみしく感じる。
 俺以外の音は蝉の鳴き声だけだ。



 どうしようか。突然のことだったから当然、何も持ってきていないし、かといって身体を動かすことは厳しい。
 
 活性化治療を受ければ一週間ほどで完治するらしい。IS操縦者として、ISに乗れないということは問題だ。




 だが、暇なものは… 暇なんだ。


 コンコンッ

「? どうぞ」

 誰だろう皆が来る前に医者が安静にしててくれと言っただけで今日は特にも何もないはずだ。


 そう思っていると入ってきたのは――――千冬姉だった。


「ど、どうかしたんですか?」
「いや、忘れ物だ」

 そう言って、手を伸ばした先には柊の柄が入ったハンカチだった。
 いつの間にかそこに置かれていたそれは、確かに千冬姉が使っているものだった。
 俺もそのハンカチにアイロンをかけたことがあるし。

「…」
「お、織斑先生?」

 何も言わずにじっと見つめてくる。
 気まずい―――と思っているのは俺だけだろうか?

「一夏」
「は、はいっ!」
「ふっ。今は職業中ではない」
「はい、あ、えと…」

 俺がしどろもどろになっていると、千冬姉は小さくため息をついた。


「後でお前の着替えを持ってくる。それまでおとなしくしていろ」
「え? あ、ありがとう千冬姉」
「まったく、もっとお前はしっかりしろ。いつまであいつらの尻に敷かれているつもりだ」
「そうは言ってもなぁ。俺が弱いのは本当だし、訓練も足りてないのはわかってるよ。
 っていうのも言い訳だな。俺、もっとがんばるよ」

 そう言うと満足したように頷き、扉へと足を向けた。



 

 また部屋に一人になった。


 でも、少しだけ、さっきより落ちついている俺がいた。










「着替えと、お前の私物だ」
「ありがと。でも携帯はいらないんじゃないかな。病院だし」

 夜、面会時間のギリギリに来た千冬姉は俺の着替えや私物を持ってきてくれた。
 鞄に無造作に入れられたそれは、少しではあるけれど綺麗に入れようとした感じがあった。ただ、それが苦手なのが千冬姉なんだけれども。

「いや、お前は明日の治療を受けたら別の病院へ通うことになった」
「え? どこ?」

 突然のことに驚き、千冬姉の口から出た病院名にも驚いた。

「そこって家があるところの病院じゃないか! どうしてまたそんな遠いところに通わないといけないんだ?」
「遠くはない。お前は明日には家に帰る」
「は?」









 千冬姉の話では、俺が病院にいると、必ずあの5人が来るということだ。俺としては罰を覚悟で来るだろうかと言ったら馬鹿にされたように千冬姉に鼻で笑われ、釈然としなかった。

 けれども、千冬姉は病院のことを心配して俺としては少しつらいが家から通える大型の病院へ通うこととなった。
 あっちでも同じ治療は受けられるし問題は無いけど…

「俺の心配は?」
「お前は無駄に丈夫だからな。今回はそれなりに大きなけがだったが、一週間で治るとなれば軽傷だろう。
 それよりも病院に迷惑をかけることが心配だな」

 ちくしょう、姉の優しさに視界がぼやけるぜ。



「二日もすれば打撲のほうはよくなるとのことだ。そうしたらどこかに遊びに行っても構わん。
 骨折のほうは相手に迷惑にならないように場所を選んで行くように」
「へいへい。
 でもまぁ、夏休みに入ってまだ帰ってなかったし、ちょうどいいかも。弾とどっかにいくのもありか」


 あいつのことだから笑うだろうが、それなりに考えてくれる奴だ。
 あいつの家で話をするのもいいかもな。蘭にもIS学園の話をしてやれば入学に役に立つかもしれないし。

「私も、少ししたら向こうへ戻る。
 あぁ、それと向こうに戻っていることは奴らには教えるなよ。厄介だからな。接触は禁止したが不可抗力だとか言って向こうに行く可能性もある。一週間はISを潜伏モードにしておけ。わかったな?」
「わかった。
 とりあえず、家のことは任せてくれ。できる範囲でやるから」
「任せたぞ。
 ではそろそろ行く。消灯時間を守れよ」
「健全な男子学生には早すぎるぜ」
「阿呆」


 千冬姉が帰り、ISを潜伏モードにした。


 明日から家か… 弾には悪いけど、買い物手伝ってもらうか。



 まだ眠るには早いが、疲れの影響か、すんなりと俺は夢の世界に旅立った。


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