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No.26027の一覧
[0] 史上最凶の殺人鬼  (史上最強の弟子ケンイチ × MELTY BLOOD)[えそら](2011/05/30 22:35)
[1] 1話 武術世界は殺人鬼を受信する[えそら](2011/03/17 19:40)
[2] 2話 そして誰もいなくなった?[えそら](2011/03/07 20:57)
[3] 3話 大英雄とは違うから[えそら](2011/03/17 23:52)
[4] 4話 物語のプロローグさながらに[えそら](2011/03/29 15:55)
[5] 5話 危険な夜になりそうです[えそら](2011/05/13 00:40)
[6] 6話 梁山泊最強の生物[えそら](2011/05/30 17:18)
[7] 7話 状況は流転する[えそら](2011/05/13 20:39)
[8] 8話 高架線路の影で[えそら](2011/05/31 21:25)
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[26027] 6話 梁山泊最強の生物
Name: えそら◆45576ec2 ID:1ec8cee9 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/05/30 17:18
 リディアを餌に闇の武人を釣る。
 梁山泊に行く方が優先度は高いものの、その目論見はあった。
 収穫もあったと言えるだろう。七人の襲撃に始まり、それ以降も一度とは言え襲撃にあったのだから。
 だが釣れた魚は小物ばかり。楽しめるほど技量ある者は居なかった。
 いくら質より量を取っていたとしても拙すぎる。障害には成り得ない。お蔭で早く梁山泊に着くことは出来たが、どうにも興醒めの印象はあった。

 それにしても梁山泊に着いたは良いが、外装があまりに想像と違っていた。
 七夜とリディアの目の前には、木で出来た立派な門扉だ。上部には『梁山泊』の看板がある。
 それは広大な面積を誇る和風の屋敷だった。
 梁山泊というのは一種の道場に近いのだろう。だが七夜は梁山泊を一つの組織と勘違いしていたため、あまりに場違いな外装に思わず沈黙してしまう。
 そもそも一介の住宅街にこの屋敷だ。
 違和感の塊と言っても言い過ぎではないと思う。

 気を取り直す。
 場違いなんて些細なことだ。
 気にすることじゃない。

 贅沢を言えばインターフォンくらいは付けて欲しかったが。
 和風贔屓なのは良いが、文明の利器がないのは不便だ。
 そんなことを思う自分に苦笑する。

 七夜の里という文明の利器も届かぬ山奥に暮らしていたとは思えない感想だ。
 随分と俗世に塗れてしまったものだ。

 それはともかく、この扉を潜り敷地へ入るべきだろう。
 そうでなければ話にならない。のだが。

「……開かないな」

 扉に片手を当て、力を込めて押すのだがまったく開く気配がない。
 まさか建付けが悪いなんてことはないと思うが。
 夜も遅い。鍵をしていると考えるのが妥当だろうか。

「本当ですか? 少し失礼して……あ、本当だ」

 リディアも両手で扉を押すが、やはり微動だにしない。
 一応、単に扉が重いという可能性もある。だが誰が好き好んでそんな馬鹿な真似をすると言うのか。そんな機能性を無視した作りなど無駄も良い所。時代に適応できない変人くらいしかやろうとすまい。素直に取り払った方がまだマシだ。
 よって原因は解らないが、このままでは埒が明かないのは解った。
 此処まで来て門前払い? それこそ埒外だ。
 ならばこの門扉――――。

「バラすか」

「バラさないでください!?」

 七つ夜を取り出しかけた右手が途中で止まる。

「注文の多いクライアントだ。これくらいは許す度量を身につけろよ。そんなんじゃこれから苦労するんじゃないか?」

「……貴方のような非常識はそういないと思うんですが。そもそも私の家でもないのに、どう許せって言うんですか」

「黙認して貰えればそれで良かったんだけどね」

 屋敷の主に悪印象を持たれるかもしれないが、七夜としてはそれこそ望む所だ。敵対関係になれば宣戦布告でもすれば良い。
 それに歯止めを掛ける理由も既になかった。
 リディアの役目も大よそ終わっているのだから。

 とはいえ久しぶりに刺激的な夜を提供してもらったのも事実。せめて護衛を完遂させる程度の義理は果たすつもりは一応ある。

「仕方ない、他の方法だな……塀を飛び越えるのが手っ取り早いか?」

「いえあの、まともな意見を出しましょう?」

 まともな意見というと、ここから住人を呼ぶか、強めにノックするくらいか。
 今は深夜だ。本来なら住人が寝ていることも考慮すべきなのかもしれないが、どうやらその心配はないらしい。

 門扉が重量感ある音を立てながら、ゆっくりと開いた。
 この敷地に相応しい、木製の巨大な家が見える。

 開いたからには入れということなのだろう。
 七夜は構わず扉を潜り抜ける。遅れてリディアも扉を潜った。

「自動ドア、ですか? これほど風情のあるものは珍しいです……ね……?」

 敷地へ入ったリディアが扉へ振り返ると、肌黒い巨漢が居た。
 門の扉より上部に捕まり、両足で器用に扉を開いていた。

 外から見る分には死角となり隠れていたが、敷地内から見れば一目瞭然だ。
 七夜は気付いていたためそう驚いてはいないが、リディアは違う。
 一瞬で思考停止に陥る。

 そして眼が合った。

「やぁ、アパチャイだよ」

 ふら、とリディアの体が傾く。
 辛うじて踏みとどまる。
 外見で人を判断してはいけない。そんなよく聞く論理で補強し理性を保つ。

「こ、こんばんは、リディア・フォレットと申します」

「こんばんはよ。リディアは何しに来たよ」

 う、と言葉に詰まる。
 梁山泊に匿って貰う。この要件こそが何より重要なのだ。
 だが味方になって貰えるのか、という不安が消えない。事ここに至って、リディアが無意識的に見ないようにしていた不安が膨れ上がってくる。

「……現在フォレット家は『闇』に狙われています。生き残りもおそらく私が最期でしょう。……恥を承知でお願いします。私を助けては、頂けないでしょうか」

 頭を下げる。
 資産家としてのフォレット家は酷く脆弱になっている。それほどの打撃を『闇』から受けた。リディアが身動きの取れない状況にある以上は更なる衰退が予測される。リスクに対する見返りを、多くは出せなくなってしまうかもしれない。
 更にそれだけではない。リディアを匿うということは梁山泊と闇との戦争の火種にもなりかねない行為だ。
 こんなことで味方になって貰えるのか、そんな考えが過ってしまいどうしても顔が上がらない。どうしようもなく重たかった。

 そんなリディアを見て、アパチャイは満面の笑みを浮かべる。

「勿論よ! スキヤキハラキリよ!」

「ぅ、あ、ありがとうございます!」

 強張っていた表情が緩んだ。
 涙腺まで緩んで視界も歪んできてしまった。
 そんなことになってしまって少し恥ずかしさも出てくる。

 スキヤキハラキリな言動に……言葉、通じてるんだろうか。と思わず疑ってしまうし、この屋敷の主に改めて話さなければならないだろう。
 それでもアパチャイの言葉に、リディアは安堵するのを抑えられなかった。

 頭を上げると、アパチャイが地面に着地している所だった。

「ところであの少年は良いのかよ」

「そう、ですね。七夜さんは……」

 どうするべきなのか考える。
 彼は『闇』の武人に顔を見られているのだ。
 それは拙いのではないか、と今更なことを思ってしまう。
 そんなことは七夜とて百も承知だろう。寧ろ狙ってやった節さえあった。だがリディアが無事に梁山泊まで辿り着くことが出来たのは七夜のお蔭だ。大恩ある人を放っておくことはしたくない。だが梁山泊任せにしてしまうのが心苦しい。
 そんなジレンマの中、リディアは気付く。
 いつの間にか七夜が消えている。

「……どこに行ったんでしょうか」

「アパ、道場に向かってたよ」





 リディアが梁山泊の敷地に入った時点で護衛は完遂した。
 故にこれより先は七夜個人としての行動だ。

 梁山泊の敷地内部には引戸の締め切られた道場がある。
 そこより押し殺された強い気配を感じる。
 正面から道場の引戸を引く。
 木製の風情ある道場内部が見え、抜身の気当りが放たれた。

 道場内には二人の男が並び佇んでいる。
 そのどれもが規格外。ウィルムを極上と称したが、あれは間違いだった。明確なそれ以上が此処に存在しているのだ。あれで極上は早計だったと言わざる負えない。

 左手には柔道着を着た髭の似合う男。『哲学する柔術家』と呼ばれた柔術の達人、岬越寺 秋雨。
 そして右手、白髪に白い髭の老人でありながら、その鍛え抜かれた身体には老いを見いだせない男。『無敵超人』風鈴寺 隼人。

 彼ら二人の桁外れの気当りを受け、七夜は体を震わす。
 常人が受ければそれだけで意識を失ってしまいかねないほど高純度の気当りが二つ。それでどうして体の震えを抑えられるというのか。こんな化物共を前にしては歓喜に震えずにはいられない。
 思わず笑みが漏れてしまう。

 七夜は七つ夜を取り出す。
 シャキン、と刀身を外気に晒す。

「今夜は良い夜だ――――そうは思わないか、梁山泊」

 両眼が黒から蒼へ変色し、爛々と輝く。
 二つの気当りに呼応するように強い殺気が放たれる。

「ふむ、雲一つない暗い夜空もまた良いものだ。だが私としては、君がどの様な要件で此処に来たのかが気になるね」

 岬越寺は七夜の殺気に何の反応も見せない。
 この純度の殺気は達人級と見定めてはいる。この年齢にしてこの気当り、眼の色の変色と驚く点は多い。だがそれで隙を見せるには至らなかった。

「とある人物の護衛……はもう終わってしまったか。なら興味本位の道場破り、なんてのはどうかな」

「ほう、道場破りとな。挑戦料は一万円になるが、どうするのかのう……!?」

 風鈴寺 隼人こと長老の眼から怪しいレーザーが発生する。
 まるで原理のわからないそれは、おそらく一種の幻覚だろう。だが気当りが一層に強まったのは確かだ。

「安心するが良い、ご老体。俺の死後にでも金目のものを取ってけよ。ただしアンタが敗けたなら……その首、俺が貰い受ける」

「ほっほっほ、最近の若者にしては骨がありそうじゃ!」

「まったくその通りですね。あぁ安心すると良い。私はこう見えて医療の心得があるからね。気にせず怪我すると良いよ」

 三者より発生した強すぎる気当りにより大気は震え床が軋む。

「秋雨くんや…………治療の準備をしておきなさい!」

「解りました長老、万全を期してお待ちしておきましょう!」

「もう自分の心配かい? 聡明だね。伊達に歳は重ねちゃいないか」

 その言葉に長老はニヤリと口を歪め、長老は前へと踏み出る。
 その震脚により地震が起きたかのような衝撃が伝わる。

「言いよる。中々に楽しめそうじゃ。それでは…………始めようかのう!!」

 それを合図に七夜は地面に倒れかねないほどの前傾姿勢で、音もなく長老へと踏み込んだ。
 長老は床を踏み抜きかねないほどの衝撃を与えながら、騒音を経てて七夜へと踏み込んだ。
 互いに人間離れした速度での踏み込みだ。瞬く間もなく両者は距離を詰める。

 長老はその勢いに乗せ、軋みを上げるほどに強く握りしめた拳を振るう。大気を引き裂きながら迫る拳に、七夜は前傾姿勢から一気に跳躍し上空へ躱した。宙返りしながら体を上下逆さにし、長老の死角からナイフを振る。
 音無き銀閃が長老の首筋へと迫る。視界の外より放たれた斬撃に、しかし長老は反応し身を捻りながら屈めることで回避する。
 七夜は片足を床へと着地させ、もう片方の足を折り畳む。体を捻り、足を一気に打ち出すことで長老へと蹴り穿つ。
 長老も屈めた体を更に捻り、回し蹴りを七夜へ放つ。

 直線に穿とうとする七夜の蹴りに、横合いから長老の蹴りがぶつかった。
 轟音を立てながら七夜の蹴りの軌道がズレる。長老の顔面を貫く筈のそれは、髪を揺らすに留まった。

「――――チッ」

 長老が腕を振るい抜き手を突き出す。
 躱しきれず横腹を掠っていくが、構わずナイフを振るう。背後に跳ばれ容易く躱される。
 七夜も同時に背後へ跳んだ。

 そして再び七夜と長老が相対する。

「特異な体技ながらもその実力。負傷してなお見事!!」

「……まいったね、どうも」

 称賛の言葉に対して、呟く言葉に力が籠もらない。
 それほどに状況は切迫していた。

 左腕がまともに動かない。右肩の反応が鈍い。
 ウィルムとの一戦での負傷は確実に七夜を蝕んでいた。
 それも長老に見抜かれる始末。長期戦になれば不利所の話ではない。

 その上に左足だ。
 長老との蹴りの衝突で負傷してしまった。
 痛みはまだ良い。性能が落ちるのがあまりに致命的だ。
 そして横腹からも鈍い痛みを感じる。
 掠っただけでこれならば直撃すれば一撃で終わってしまうだろう。

 ここから先、戦えば戦うほどに七夜の動きは精彩を欠くのは確定事項だ。
 走力は衰退し、剣速は鈍化し、選択肢は狭まっていく。
 敵手は当然のように格上。七夜が上回っている点など隠密性と気配察知くらいのもの。実力差的にはただの一合で勝負が付いてもおかしくないほどにかけ離れている。
 実際に七夜の体術独特の動きがなければその通りの結果が待っていたに違いない。

 そもそも前提からして間違っているのだ。
 長老に勝とうなど、負傷状態では話にならない。
 そして存在を気付かれた時点でほぼ勝敗は決していた。それでも七夜が戦おうと言うのなら、せめて月明りすら届かない深く暗い森。または視覚の利かない狭い室内が舞台でなければならなかった。
 この敵手と戦うにはそれだけのものが必要だと、七夜も気付いていた。

 だが震えが止まらない。笑みが止まらない。こんな所でなど止められない。
 あの敵手の命を刈り取るというのはどれほどの歓喜だろう。
 未だ届かぬ境地に居る者を引き擦り降ろし、解体するというのはどれほどの快楽だろう。

 七夜の浄眼が一層に輝く。
 どうすれば殺せるかを模索し、己が秘奥に手を伸ばす。

 思考の雑念を殺す。
 思考ごと殺す。
 七夜から笑みが消え、能面のような無表情へと変貌する。

 集中。ひたすらに集中。極限の集中を持って脳内分泌物をコントロールし体感時間を引き延ばす。
 体内時計の停滞。それは達人であれば大なり小なり誰しもが持っている技術であり、達人の間ではさほど特別なものではない。

 だが七夜より僅かに放たれた氷の如き冷たさの殺気を長老は感じ取った。
 殺気を受け、自身ですら生半可に受けては死ぬと直感してしまった。
 同時に制空圏を薄皮一枚まで絞り込む。
 七夜の眼の奥を視線で繋ぐ。

 そして七夜の体感時間は一線を画し始める。
 一秒を十秒、十秒を一分、一分を十分にまで停滞し、更なる停滞まで引き延ばす。
 無我に至りてこの身は一つの殺戮機械と化す。


 ――――閃鞘 迷獄沙門。この永劫刹那の刻の中で敵手を切り捨てる、七夜が秘奥の一つだ。


 何より早く、誰より速く、あらゆる余分を排除し最適な形で力を伝達し、音無く床を蹴る。長老へと真っ直ぐに跳躍。常人はおろか並みの達人でさえ目視不能な速度域に到達した。だが長老は反応し、誤差なく同時に七夜へと踏み込む。
 制空圏を極限まで絞り込んだまま、最速を誇る七夜の眼から視線が外れない。長老の瞳は全てを映す鏡のように澄み渡っていた。


 ――――流水制空圏。相手の流れを読み、相手の流れに乗り、最後には一つになる。静の業の極みの一つだ。


 相手の意図すら読み込む長老の視線に、無表情で時間を引き延ばし続ける七夜。
 正しい時間軸に置いて刹那にすら満たない交差が始まる。

 長老の硬く握りしめた純粋な突き。それは今までの長老の攻撃とは一線を画する速度を誇っていた。同時に今の七夜にはあまりに遅過ぎる突きだった。
 最適最速である七夜の斬撃が長老の首へ迫る。音など遥か彼方に置き去りにして、銀閃が長老の命を刈り取ろうとする。
 しかし長老の首とは僅かに軌道がズレ、首を掠めていくだけだった。あまりに自然過ぎて不自然なほど、吸い込まれるように外してしまった。
 長老の拳が七夜の胴体へと中る。あれほど遅く見えていながら躱せぬ軌跡を描き、当然の如く胴体にめり込む。
 次の瞬間、七夜は砲弾の如く上に打ち出され天井に当たり、跳ね返って床に叩きつけられ、それから跳ねながら転がって行く。床を一部壊しながらも、壁付近でようやく七夜の勢いが止まった。その頃には七夜の意識は完全に途絶えていた。

 長老は大きく息を吐く。
 首から吹き出る血を手で押さえる。

「……想像以上じゃな。見た目通りの年齢とは思えんほどじゃ」

 難しい顔をして呟かれた言葉に、見物していた岬越寺が頷いた。
 その外面は普通通りだが、内面は穏やかではない。あの歳で達人の領域に踏み入れるなど本来なら在り得ない所業だ。
 そして遂には長老に、かすり傷とは言え一太刀浴びせたのだ。末恐ろしいと言う他ない。

「しかし長老、この歳であれほどの武を振るえるのは問題かもしれませんね。力に溺れかねない」

「既に手遅れかもしれんがのう。彼の瞳には危険な影が映っておった」

 流水制空圏は時に相手の心すら映し出す。
 これほどの武を見せた若者が殺人拳に堕ちる。それはなんと惜しいことだろうか。だが行き着く所まで行き着いてしまったかのような、もはや手遅れではないかと思えるだけの暗闇を七夜の瞳から垣間見てしまっていたのだ。
 あまりの歯がゆさに長老の表情が苦虫を噛み潰したかのようになる。

 岬越寺は七夜のことについて悩むより、今は彼を治療すべきと思考を切り替える。
 七夜に歩み寄り、彼の状態を把握するため軽く触診する。呼吸なし。心拍数ゼロ。

「…………」

 痛々しい沈黙が道場内に流れた。
 それも仕方あるまい。
 長老の最期の突きは絶妙な力加減で放たれていたのだ。並みの達人であれば殺さず意識のみ刈り取る、至高の力加減だった。それで誰が七夜が死んでいるなどと思うというのか。
 だが彼らは知らなかった。紙とさえ呼ばれた七夜の防御力を。
 そして見誤っていた。長老の観察眼すら凌駕し、自らの弱点を覆い隠す七夜の隠密性を。

「――――――!?
 1、2、3! 1、2、3!! 長老は剣星を連れて来てください!」

「了解じゃ! すぐに連れてくる!」

 決死の心臓マッサージを行う岬越寺。
 風のように駆け抜ける長老。
 まるで生気がない七夜。

 今宵 最後の戦いが今幕を開ける――――!






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