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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 8話
Name: ソーイ◆9368f55d ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/04/09 10:36

――――――エヴァンジェリン

「綾瀬さん達が今夜、図書館島に忍び込むそうです」

 学校が終わり、ちょうど帰宅すると茶々丸がそんな事を言いだした。
 ふと、何の事か考え――そう言えば、じじいにそんな事を頼まれていたな、と。
 しかし――我がクラスながら、本当に食い付くとは。

「ほう……随分と遅かったな」

「はい。彼女は図書館島の罠、通路をおそらく2-Aの中の誰よりも熟知しています。
 準備を万全にして臨むつもりだと思われます」

「……入った事は無いが、そこまで酷いのか?」

「一般人では、地下三階以降は踏破は不可能かと」

 どうして学園にそんなものがあるのか……全くもって理解に苦しむな。
 まぁ、地下には貴重な魔道書やら、マジックアイテムが置いてあるらしいが。
 現状、必要な者はじじいに頼めば手に入るので、いまだ入った事はない。面倒だし。

「しかし、綾瀬という事は、バカレンジャーが行くのか?」

「はい。それと図書館探検部の面々で」

「――何だ、その珍妙な部活は?」

「図書館島を踏破し、マップを作る部活だと報告してあります」

「……そうか」

 一般人では踏破が不可能な場所を踏破し、マッピングする部活、か。
 よく創部の許可が下りたものだ。

「どうなさいますか?」

「ん?」

 そう、だな――。
 どうしたものか……。

「ぼーやはどう動くか判るか?」

「ネギ先生は、おそらく参加されるかと」

「おそらく?」

「同室の木乃香さんが参加されるので、その流れで明日菜さんとネギ先生も」

 なるほどな。
 何だかんだで押しに弱いからな、あの二人は。
 ふむ。

「様子を見に行く、時間の確認と準備をしておけ」

「わかりました」

 そう一礼し、部屋を出ていく。
 ――どうなる事か。
 制服から着替えをしながら、溜息を一つ。

「じじいの掌の上、か」

 もし本当にそうだとしたら――それだけでしかなかったという事か。
 期待していた訳ではないが、それでも落胆してしまう。
 所詮は、まだ子供か……。

「ふ……まぁいい」

 愚かな子供なら、それだけ踊らせやすいというものだ。
 手応えのある獲物も悪くないが、愚かな獲物もそれなりに楽しめる。

「マスター、楽しそう」

「ああ、それなりに悪くない気分ではある」

 メイド服に着替えた茶々丸が戻り、制服を洗濯しに持っていく。
 楽しそう、か。
 そうなのだろうか? 自分の事だが、良く判らんな。







 その夜、皆が寝静まる時間帯――吸血鬼の時間に、図書館島に赴く。
 目的はもちろん、魔法の本なわけだが。
 あのじじい、本当にそんなのを用意したんだろうか?
 それはそれで、どんなものか興味があるな。

「楽しそうな事をするらしいじゃないか?」

「……エヴァンジェリンさん?」

 最初に声を掛けたのは、この中で最も“本”に興味を示しているであろう綾瀬。
 どうにも、私が流した噂に飛び付いたのはこいつらしい。

「どうしたんですか?」

「一枚噛ませろ。図書館島に入るなら、茶々丸も役に立つぞ?」

「……何が目的なのです?」

「“本”に興味があるだけさ――どんなものか、な」

 疑っている?
 まぁ、当然か。自分で言うのもアレだが、私も人付き合いが良い方ではないからな。
 準備をしていた早乙女、宮崎、長瀬、佐々木もこちらを見る。
 しかし、揃ったのはバカレンジャーばっかりか。
 宮崎のどかと早乙女ハルナは、綾瀬夕映の付き添いと言ったところか。
 もしくは、ただ楽しそうだからか。
 ……どうでも良いか。

「判ったです」

「そうか」

 別に、お前がどう言おうが、私は参加――見学するのを止める気は無いがな。
 一言そう言い、皆とは少し離れた場所に、腰を下ろす。

「茶々丸、お前は私を守れ」

「判りました」

 流石に、こんな事に魔法を使うのも馬鹿らしい。
 万が一があっても、茶々丸ならどうにでも対処できるだろう。

「先生は来ないのか?」

「木乃香にネギ先生を連れてきてもらうように、頼んでるです」

「……神楽坂明日菜は?」

「来ないと言ってたです」

 ほ、う。

「来ないと言ったのか?」

「アスナは明日のバイトがあるから、来ないアル」

 真面目な事だな――じじいが喜ぶ訳だ。
 教育者からすれば、それより勉強を……と、あの男は言うんだろうが。
 他人事ながら、そう的外れでは無いであろう考えを浮かべ、小さく笑う。

「しかし、魔法の本とやらは、本当にあるのでござろうか?」

「どうだろうな」

 さて、じじいが何を用意しているのかは判らんが……本当に、どうなる事やら。
 これだけの一般人を巻き込んで、どうするつもりか。
 こいつら全員と仮契約でも結ばせるか?
 身体能力的には問題無いだろう、長瀬とクー。
 綾瀬達も、アーティファクト次第では戦力になるかもしれんしな。

「しかし、エヴァンジェリン嬢と茶々丸殿もそういうのに興味があるでござるか?」

「そうだな……まぁ、な」

「私は、マスターがこちらに来られましたので」

 もう少し、歪曲な物言いはできないのか、このボケロボは。
 マスターなんか、普通は聞かないだろうに。
 しかし、長瀬楓はそうでござるか、と。あっさり頷いてるし。
 相手がバカで助かったぞ……それとも、私が考え過ぎなんだろうか?

「それにしても、ネギ先生の卒業課題が2-Aの最下位脱出なんて、難しいアル」

「……何?」

 何だそれは、と茶々丸を見上げるが、首を横に振る。
 どうやら、茶々丸もその情報は持っていないらしい。
 私も、そんな話は聞いていないんだが。

「知らないアルか? ネギ先生、次のテストで2-Aが最下位ならクビらしいアル」

「それに、拙者達も小学生をもう一度とか、色々噂がたってるでござる」

 あ、の、くそじじい。
 私の情報以外にも、噂をバラ播いたのか……。
 しかし小学生とは……もう少し、マシな噂は無かったのか?
 それは流石に、誰も信じないだろう。

「そうか……いや、流石に小学生云々は無いだろ」

「そうでござろうが、何か罰が下るのはあるかもしれないでござる」

 まー、毎回最下位だったからな……あるとしても、春休みに勉強会くらいだと思うが。
 それに、ぼーやもどんな事があれ、きちんと課題はクリアすると思うがな。
 それが本人の実力か、それとも誰かの助けが入るのか。
 ……まったく。あのじじいの身内への甘さも、考え物だな。

「お、来たでござる」

「む」

 茶々丸を見上げると、それから数瞬して、図書館島と学園を繋ぐ橋に目をやる。
 ……こいつ、気配の感知範囲は私達以上か?

「あれ、アスナも来たアル」

「うわ、夜の図書館って怖っ」

 何でお前まで来てるんだ……まったく。

「バイトが忙しくて来ないんじゃなかったのか?」

「あれ、エヴァ? あ、茶々丸さんも」

「こんばんは、明日菜さん」

「エヴァはどうしたのー?」

 はぁ、相変わらず能天気な奴だな。
 その後ろでは遅れてきた近衛が皆に謝っている。
 ぼーやは、

「ふぁ」

 欠伸をしていた。パジャマ姿で。
 ……頭痛を抑えるために、目頭を指で押さえる。
 どういう状況だ、これは。
 まぁ、しっかり杖だけは持っているのは褒めても良いが。

「あ、エヴァも国語悪かったもんね」

「……お前らと一緒にするな」

 それに、私は点数なんか気にしていない。
 とりあえず、補習を受けるような点数でもないしな。

「はー、魔法の本なんて信じてるの?」

「ふん――お前はどうなんだ?」

 ぼーやの魔法を見た事があるお前なら、それも現実にあると感じるんじゃないか?
 正直に言えば、この中で一番その存在を信じれるのも、コイツかも知れん。

「信じないわよ、胡散臭い」

「ほう」

「それに――まぁ、魔法なんて、胡散臭いじゃない」

 ――ほぅ。

「碌なもんじゃないわよ、魔法なんて。どうせエッチなもんじゃないの?」

「そ、それもどうかと思うが……」

 魔法って、あんまり好きじゃないんだよねー、と言いながらぼーやについて行った背を目で追う。
 ……はぁ。

「あまり、ネギ先生の事を信用してないようですね」

「そーみたいだなぁ」

 疲れたと言うか、何というか。
 一気に気力を持っていかれた気分だ……。

「揃ったですか?」

「どう言う事ですか、コレ?」

 何の集まりですか? と言う声に耳を傾ける。
 さて――。

「ネギ先生の為だよ。皆で集まったの」

「佐々木さん?」

「水臭いアル、先生」

「クーさん?」

「そうでござるよ」

「え? え? どう言う事ですか?」

 ふぁ――欠伸を一つし、そのやり取りを離れた場所から観察する。
 さて、どうなる事か。じじいの思惑通りか、それとも……。
 自然と頬が緩むのが判った。

「マスター、楽しそう」

 ああ、と
 そうだな、と。――認めよう。私は今、楽しんでいる。
 この、じじいの用意した茶番劇を。
 その結末を。
 ナギ……お前の息子がどれほどのものか、見せてくれ。
 どれほど澄み、どれほど淀んでいるのか。

「な、何で僕の課題の事知ってるんですか!?」

「皆知ってるアル」

「えーーっ!?」

 しかし、課題内容をバラすのはどうかと思うぞ?
 まったく……。
 それとも、ぼーやがその辺りをキチンと情報管理をしていなかったのか。
 どっちもありそうで、余計に頭が痛くなってしまう。
 はぁ……ナギ、お前の息子は、何と言うか……なぁ。
 まぁまだ10にも満たないガキだしな。

「それで、そんなネギ君の為に魔法の本を探しに来たんよ」

「木乃香さん……え? 魔法の本、ですか?」

「そうえ、読むだけで頭が良くなるらしいしなぁ」

「いや。そんなの無いから、木乃香」

 ……この中で一番の常識人がお前か、神楽坂明日菜。
 あの先生の苦労が何となく判った気がするよ。
 頭痛を抑えるために、目頭を押さえる。
 ついでに、気付かれないように小さく溜息も吐く。

「それじゃ、揃った事ですし、早速潜るです」

「え? え?」

「明日も学校でござるしな」

「図書館の下は罠ばかりですから、気をつけないと」

 さて――と。
 進み始めた一団に付いていこうとし

「ま、待って下さいっ! 罠ってなんですか!?」

「え? 図書館の地下の罠ですよ」

「……な、なにそれ? 聞いてないんだけど?」

 さも当然と言った風に言うな、宮崎のどか。
 その異常性に少しは気付け。
 普通の図書館に、罠なんか無いからな?

「危ないですよ!?」

「大丈夫です。今回は長瀬さんとクーさんも居るですし、私達も地下に潜るのは慣れてるです」

「そんな問題じゃないですよ」

 まぁ、そうなんだがな。
 ふむ――上げた腰を再度下ろし、ぼーやの出方を見る事にするか。

「皆さんにもしもの事があったらどうするんですか!?」

「大丈夫アル。ワタシ達馬鹿な分、荒事は得意ネ」

「そういう問題じゃないでしょ!? 何、罠って!?」

「貴重書狙いの盗掘者から本を守るための罠です」

「あっさり言うなっ! そんな危ない事――」

「駄目ですよー」

 ……そんな罠なのか、ここのは。
 たかが本に、物騒だな……まぁ、地下に置いてある魔道書の類だけだろうが。
 しかし、一般人が立ち入る事が出来る所に魔道書とは……流石にどうかと思うぞ、じじい?

「でも、テストで点数取らないと、ネギ先生課題合格できないんでしょ?」

「……大丈夫、です」

「そんなの良いですから、危ないのは駄目ですっ」

 ――ほぅ。
 少し離れていたが、その声はハッキリと耳に届いた。

「ネギ先生……お前にとっては、課題は“そんなの”程度なのか?」

「え? ――ぁ」

 は、はは。
 面白い事を言うじゃないか、ネギ=スプリングフィールド。
 本当に、面白い事を。

「そうだよ、ネギ先生。課題クリアしないと」

「で、でも」

 私が言いたいのはそんな事じゃないんだがな、佐々木。

「皆さんにもしもの事があったらどうするんですかっ」

「拙者とクーが居るでござるよ」

「長瀬さん達の手が届かない所に居たら、どうするんですか?」

「ぅ……それは、離れないように」

 ふん、私を見るなよ。
 私は離れて動くぞ? その方が楽しそうだからな。
 笑ってその視線に答えると、長瀬は頭を垂れた。

「でも、それじゃどうするです? 2-Aが最下位脱出なんて」

「大丈夫です、きっと出来ますから」

 ……そうは思えないがな。
 少なくとも、今までのままなら。

「先生から聞いてますし、僕も確認しました。
 皆さんちゃんと成績が上がってきてるんです。今の状態なら、きっと最下位脱出できますっ」

「うーん、そうアルか?」

「はいっ。それに、そんな魔法に頼ったら、きっとまた来年もその魔法の本を探さないといけませんし」

「それもそうアルね。……流石にもう一度は、面倒臭いアル」

「大丈夫です。自信を持って下さい――皆さんは、馬鹿じゃないんですから」

 そう言った顔は、笑顔。
 ふぅん――。

「でも、私達皆からバカレンジャーって呼ばれてるし」

「なら、期末テストが終わったら、誰にも呼ばせません。きっと誰も呼ばなくなります」

 ――随分と、前向きな事を言うじゃないか。
 まるで、一端の教師のようだな。
 しかしそれは、結果ありきの答えだ。
 結果が散々だったら、きっとまた誰もがバカと呼ぶだろう。

「明日菜さんだって、先生から褒められてましたし、夕映さんだってきちんと勉強すれば出来たじゃないですか」

「ぅ」

「まだ3日あります。土日もあります。きっと大丈夫です、魔法の本なんかに頼らなくても、皆で頑張りましょう」

「ですが……」

 最後の抵抗は、綾瀬。
 まぁ、この雰囲気ではもう無理かもしれないが……。

「ぼーや」

「何ですか、エヴァンジェリンさん?」

 それじゃ、じじいは納得しないんだよ。

「その魔法の本があれば、最下位脱出どころか、学年トップだって狙えるんだぞ?」

「そ、そうですっ。やっぱり、一度はトップも取りたいですっ」

「――」

 お前の場合は、魔法の本が目当てだろうが、綾瀬。
 ……私は、どうでもいいが。

「綾瀬さん、本当に学年トップが取りたいんですか?」

「――はい」

 そして、一呼吸置いて

「なら、今から一緒に勉強しましょう」

「へ?」

「一夜漬けじゃなくて、三日漬けですけど、綾瀬さんなら詰め込めば大丈夫なはずですっ」

「いえ、そうじゃなくてですね……」

「綾瀬さん」

 その顔は、今まで見た事の無いネギ=スプリングフィールドの顔。

「魔法の本なんか頼って点数を取っても、駄目です。きっと、駄目なんです」

「………ぅ」

「それは、担任として許可しません。出来ません」

 ――迫力のある、怒り。
 だがそれも、吸血鬼である私にとっては可愛いものだが。
 そして、その怒りは、何に対してか……。

「大丈夫です、皆さんなら出来るって僕は信じてますから」

「………はい」

 それも一瞬。
 だが、

「よくもまぁ、今までが今までの奴らを信じられるな」

「え?」

「判ってるのか? 信じた結果が、駄目だったら」

 課題失敗。おそらく、魔法界へ帰される――事は無いだろう。
 だが、信じた結果、裏切られた者の末路が――。
 その目は、まっすぐに私を見、

「それでも、信じます」

 それは、まるでどっかの先生を思い出させる目だった。
 まっすぐと、ちゃんと目の前の人を“見ている”目。
 ……まぁ、アレと比べると、まだ弱々しいものだが。



「僕は先生ですから」



 さぁ、帰って勉強しますよー、と言う声は遠い。

「マスター」

「ああ、帰るか」

 なんだ……と、自然と笑みが零れた。
 じじいの茶番を潰したのは結局、ネギ=スプリングフィールドでも、私でも、予想外の生徒でもなかったのか、と。
 本当に、ただの茶番だった訳だ。

「案外化けるかもな」

「誰が、でしょうか?」

 考えろ、と答え、帰路につく。
 文字通り茶番に付き合わされたのに、そう気分は悪くない。

「これから面白くなりそうだな」

「そうですか?」

「ああ――」

 魔法使いとしては、間違った答えだ。
 だが教師としては、正しい答えだろう。
 なら……あのぼーやが目指す“立派な魔法使い”としては、どうなのだろうか?
 本当に、化けるかもしれんな――。





――――――

「おはよう、絡繰」

「おはようございます、先生」

 毎朝恒例となった、マクダウェル宅前での朝のあいさつの後、いつものようにリビングに通されると、

「おはよう、先生」

「……おはよう、マクダウェル」

 なんと、マクダウェルが起きて朝食を摂っていた。

「どうした、私が起きているのに……そんなに驚いたか?」

「ああ、いや。うん。おはよう」

 すまん、驚いた。
 それはさっき聞いた、という声を聞きながらソファに腰を下ろす。

「ふん――それより」

「ん?」

 なんだ? やたら機嫌が良いな。
 まぁ、生徒が機嫌が良いのは良い事だ、うん。

「どうした? 昨日何かあったのか?」

「話の腰を折るな。それより、期末の調子はどうだ?」

「んー?」

 生徒がそんな事聞いてくれるなよ……。
 苦笑し、

「答えられる訳無いだろ。お、すまんな絡繰」

「いえ」

 差し出された紅茶を受け取り、一口啜る。

「相変わらず、絡繰はお茶を入れるのが上手いなー」

「恐れ入ります」

 この会話も何度目か。
 そんな事を思いながら、もう一口。

「なんか機嫌が良いな。良い事でもあったのか?」

 この前の……何だっけ? そう、魔法の本とかの時とは正反対だ。
 うん。朝から機嫌が良いのは良い事だ。

「そうでもない――が、一つ予言をしてやろう」

「……またか?」

「そう言うな」

 いや、正直お前の予言は嫌な予感しかしないんだ。
 最初が最初だっただけに……。
 自分でも頬が引き攣るのが判った。

「くく――今回は、先生にもそう悪い話じゃないと思うがな」

「……ふぅん」

 もう一口――と、あ、紅茶無くなった。

「ま、そんなに聞くのが嫌なら、言わんよ」

「って、ここでそれか」

「ああ」

 楽しそうだなぁ。
 何でそんなに機嫌が良いんだろう?
 ……でも、他の生徒達のご機嫌に比べたら、まだほんの些細な変化なんだよな。
 飛び上がって喜んだりしないんだろうか?
 まぁ、キャラじゃないか。
 自分の中のマクダウェルがあまりに可笑しくて、小さく笑ってしまう。

「何を笑ってる?」

「んー、ま、マクダウェルが朝から機嫌が良いからな」

「なんだそれは――それに、そんなに機嫌が良い訳じゃない」

「はいはい」

 あ、絡繰おかわりー、と声を掛けて、時計を見る。

「もう少ししたら出ないとなぁ」

 しかし、今朝はゆっくりできるな。

「今日は時間があるな」

「マクダウェルが起きてるからなぁ」

 これからもこの調子で頼む、と言ったら一言で断られた。
 はぁ。

「ふん――こういうのは偶にだから価値があるんだ」

「いや、それは自分で言うなよ……」

「誰が言っても意味は変わらんだろ」

 まぁそうなんだけどなー。

「それより、ちゃんと試験勉強はしてるか?」

「……ま、気が向いたらな」

「絡繰、マクダウェルがちゃんとしてるか、見といてくれないか?」

「判りました」

「……だから、何故――まぁ、いい」

 その小さな溜息を聞きながら、紅茶をもう一啜り。

「魔法の本」

「ん?」

「魔法の本、もし手に入ったらどうする?」

 あの頭の良くなる? と聞くと首肯された。
 うーん、手に入ったらねぇ。

「マクダウェル、要るか?」

「……もういい、判った」

 どうせ、そんなの手に入らないからなぁ。
 どうすると言われても答えようがないのが本音なんだが。

「真面目だな」

「ま、先生だからなぁ」

 生徒の見本にならないと。
 結構大変なんだよ、先生も。



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