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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
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[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
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[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2
Name: ソーイ◆9368f55d ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/05/25 23:21

 パチン、と。
 纏めたプリントをホチキスで固定し、それを机にしまう。
 ふぅ。
 これでやっと、今日の仕事も終わりか、と一つ息を吐いて背を伸ばす。
 あー、今日も一日頑張ったなぁ。

「ふふ、お疲れ様です」

「っと」

 そんな所を見られていたのだろう、すぐ後ろに居た源先生に、小さく笑われてしまう。
 う、仕事が終わったからって、少し油断したなぁ。
 その笑い声に苦笑で返し、伸ばしていた背を戻して振り返る。

「お疲れ様です、源先生」

「そうみたいですね、先生?」

「……う」

 少し恥ずかしくて視線を逸らすと、その先に俺が職員室に置いている湯呑みが差し出される。

「息抜きにどうですか?」

「すみません、気を使ってもらって……」

 その事に礼を言い、その湯呑みを受け取る。
 程良く冷えた麦茶を一息で飲み、息を吐く。
 はぁ、生き返るなぁ。
 冷房は点けてなく、窓を開けて風で熱を逃がしているせいか、今日はやけに蒸し暑い。
 だからだろう、いつもより余計に麦茶が美味しく感じられる。

「これからお帰りですか?」

「ええ」

 源先生は? と、そう聞くと、笑顔で首を横に振られる。

「私はまだ、少しやる事が残ってまして……」

「そうですか」

 まぁ、帰る時間が一緒だからと言って、一緒に帰る訳じゃないんだけど。
 それでも少し残念に感じてしまう所も少しあったりするのは……まぁ、なぁ。

「夕方でも、まだまだ暑いですから気を付けて下さいね?」

「はは、大丈夫ですよ」

 自己管理には……まぁ、それなりに?
 風邪だって、まぁここ最近は……いや、そういえば、麻帆良祭前に一回こじらせたな。
 ……あの時は、色々あったからな、うん。大丈夫大丈夫。

「丈夫なだけが取り柄ですから」

「それは頼もしいですね」

 そして、源先生に笑われながら、席を立つ。

「あ、いいですよ。湯呑み、私が洗っておきますから」

「いえ、そこまでは……」

「良いですから」

 そう言い、俺の湯呑みを取られてしまう。
 むぅ。

「……すみません」

 なにからなにまで、と。

「気にしなくて良いですから」

 いや、そういう訳にも、いかないですって。
 うーむ。
 今度は、俺が茶を淹れるかなぁ。

「ここ最近は色々と疲れてるみたいですし、偶には早く帰ってゆっくりした方が良いですよ?」

「ぅ」

 ここ最近暑いからだろうか、多分そう言われるくらいには疲れが溜まってるんだろう。
 暑さにはそんなに弱くは無いと思うんだけど、どうにもなぁ。
 夏バテ、なのかもな。

「そういう訳で、どうぞお帰り下さい」

「……それだと、追い出されるみたいな感じですね」

「う……そうでしょうか?」

 そう返すと、今度は源先生が少し恥ずかしそうに、はにかんで小さく笑う。

「それでは、お言葉に甘えまして」

 えっと……別に、持って帰ってやる仕事も無いよな。
 うん、急ぎは無いな。

「お疲れ様です」

「はい、それではまた明日」

 職員室から出、もう一度伸びをする。
 気を、使われたんだろうなぁ。
 はぁ。
 いかんなぁ。
 そう息を吐き、首をコキ、と一度鳴らす。
 ……凝ってるなぁ。
 そう、苦笑してしまう。

「晩飯は、なんか良いの食うかなぁ」

 と言っても、何も思い浮かばないけど。
 何が良いかな。
 そんな事を考えながら校門を出ると……見知った小さな姿があった。

「おー、マクダウェル」

「ん?」

 その小さな背に声を掛けると、長く豊かな髪を靡かせて、振り返る。
 夕焼け、と言うにはまだ明るい時間だが、暑い日差しで髪を輝かせるその姿は、どうにも……。
 日本人離れしている、と言うか、人間離れしているというか。
 いや、マクダウェルは日本人でも、人間でもないんだけどさ。
 どこか西洋人形みたいな綺麗さがある。

「先生か」

「どうしたんだ?」

 こんなところで、と。
 まぁ、生徒なんだからおかしくはないけど。
 でも、一人で居るような所じゃないよなぁ、校門は。

「いや……何もする事が無くてな」

「?」

 だったら帰れば良いのに、と。
 まぁ、帰っても暇だからここに居るんだろうけどさ。

「神楽坂達は?」

「今日は部活だと」

「そりゃ残念だったなぁ」

 うーむ。

「絡繰は?」

「超包子の方だ」

「……帰って勉強という考えは?」

「……気が向いたらな」

 ま、だろうなぁ。
 俺だって、帰って勉強なんて考え、学生時代は無かったと思うし。

「それで、神楽坂達を待ってるのか?」

「いや……ただなんとなく、ここで時間を潰していただけだ」

 もうすぐ帰るよ、と。
 何と言うか、勿体無い時間の潰し方だなぁ、と。
 まぁ、マクダウェルらしい……って言えるのかな?
 そう思いながら、小さく笑ってしまう。

「あんまり遅くなるなよ?」

「……別に、私なら何があっても大丈夫だよ」

「あのなぁ」

 そう言うんじゃないんだよ、と。

「判ってるよ。心配性だなぁ」

「お前は特にな」

 心配にもなるわ。
 なんか、すぐ危ない事してそうだし。
 吸血鬼だからって、生徒である事に変わりは無いんだよ。

「……何で私は特になんだ?」

「だって、そんな雰囲気だし?」

「どんな雰囲気だというんだ? まったく……」

 そう言うと、小さく溜息を吐かれてしまう。
 むぅ。

「それで、先生は何時までここに居るんだ?」

「ん? んー……それもそうだな」

 一緒に居ても、特に話す事も無いよなぁ。
 それに、教師と一緒っていうのもあんまり良い気分じゃないだろうし。

「それじゃ、また明日な?」

「ああ」

 そこまで言って背を向け、一歩を踏み出し……振り返る。

「途中まで、一緒に帰るか?」







 まぁ、一緒に帰るからと言って、別に特別な事なんて何もないんだけどさ。
 というか、何であんな事を言ったんだか。
 ……いや、判ってる。
 冗談半分だって、自分でよく判ってる。
 問題は、だ。
 その冗談と判りきった冗談に、マクダウェルが乗ってくるとは思わなかった、と言う事だ。
 むぅ。
 からかわれた、んだろうなぁ。
 ……絶対俺、マクダウェルに教師らしく見られてない気がする。
 いまだにタメ口だし。

「でも、珍しいな」

「何がだ?」

「いや、マクダウェルが一人で居るのって」

「……そうか?」

 ああ、と。
 何だかんだで、今までだって……。

「私は今まで、ずっと一人だったよ」

「……そうだったか?」

 そう言われると、そうだったような?
 いや、何時も絡繰と一緒に居たんだったよな。
 そうだ。
 絡繰と2人。
 ずっと、そうだった。
 でも今は違う。
 友達に囲まれてる。
 だからこそ、そう思ってしまった。
 珍しい、と。
 マクダウェルが、一人で居るのが。

「そうだよ、先生」

「茶々丸も、少し前までは……本当に、人形みたいだったからな」

「……そうだっけ?」

 そう聞くと、小さく……口元を手で隠して、肩を震わせる。
 いや、そこ笑う所か?

「ああ。だから私は、去年の今頃は……一人だったんだ」

「……自分で言ってて、寂しくないか?」

「まったくだ」

 そう言い、今度は、嬉しそうに笑う。
 寂しいか。
 それもきっと、去年のマクダウェルからは聞く事が出来ない言葉なんだろうな。
 あの頃は――なぁ。
 今よりもっとツンケンしてたもんなぁ。
 いやはや、中々どうして……。

「どうした?」

「いや……」

 あの頃は、想像もできなかったな。
 こうもマクダウェルが明るくなるなんて。

「変わったなぁ、と」

「私がか?」

「ああ」

 そう言うと、少しだけ憮然とした表情で、前を向く。
 怒った、というよりも拗ねた、といった感じで、まるで見た目相応の少女のよう。
 でも、俺よりも長生きなんだよなぁ。
 ……年齢は聞いても教えてくれないけど。

「変わったというのは、茶々丸みたいなのを言うんだよ」

 今はもう、全然人形らしくないしな、と。

「そうか?」

 人形、と。
 絡繰の事をマクダウェルは偶に言う。
 本心ではそう思ってないんだろうけど、それは本当の事。
 機械仕掛けの生徒。
 でも、感情はちゃんと合って、喜怒哀楽が判り易い。
 以前はもっと人形らしかった――らしい。
 どうだったかな?
 俺としては、以前から人間らしかったと思うんだけどな。
 猫の事で困って、マクダウェルのちょっとした事で喜んで。
 俺にとって絡繰は、そんな生徒だ。

「前から、今みたいな感じだったと思うけどなぁ」

「……本当、先生の前では、アイツはどんな感じだったんだ?」

「ん?」

「先生から聞いてるのと、私が知ってる茶々丸が違い過ぎてな」

 なんだそりゃ?

「俺より、マクダウェルの方が、絡繰の事は知ってるんじゃないのか?」

「知ってるのとは、ちょっと違うんだがな」

 ?

「アイツは……まぁ、それは今はいいか」

「そこで切るのか……」

「知りたかったら、茶々丸から聞いてくれ」

 ふぅん。
 まぁ、別に良いけど。

「それよりマクダウェル、進路はどうするんだ?」

「なに?」

「進路だよ」

 夏休み明けたら、進路相談するぞ、と。
 そう言うと、何と言うか――驚いた、というか、どう表現すれば良いのか……。
 とりあえず、初めてそんなマクダウェルの顔見たなぁ、と。

「どうせ、まだ考えてなかったんだろ?」

「……ふん」

 図星だからって拗ねるなよ、と。
 そんな所は、本当に子供っぽいよなぁ。
 これで俺より年上で、長生きしてるっていうんだからな。
 まったくもって信じられないよ。

「なんだ?」

「いや、なにも?」

 鋭いな、と内心で苦笑して、肩をすくめてその視線を避ける。

「ま、夏休みにでも、ゆっくり考えてくれ」

「……今言う事じゃないだろ?」

「何度も言わないと、忘れて考えないだろ?」

「……そんな事は無い」

 はいはい、と。
 本当、進路はどうする気なんだか。
 神楽坂達と一緒に、麻帆良の女子校に通うんだろうか?
 それとも、専門的な高校かな?
 学力的には、どっちでも大丈夫そうではあるんだよな。
 本格的に勉強すれば、ウルスラにだって手が届くかもしれない。
 不真面目ではあるが、頭は良いからなぁ。

「もっと真面目に勉強してくれると、こんな事も言わなくて良いんだがなぁ」

「……はぁ」

 む。

「小言が多いのは、年取った証拠らしいぞ?」

「それが仕事だから、しょうがない」

「……ちっ」

 教師に向かって舌打ちするなよ、まったく。
 ――そういえば、面接とかも練習しないといけないんだよなぁ。
 はぁ。

「なぁ、先生?」

「ん?」

 二学期からも大変だな、と。
 ちょっと内心で溜息を吐いていたら、マクダウェルからの声。
 マクダウェルの方を向くと、気付いたら俺を見上げてきていた。

「なんだ?」

「先生はどうして、教師になったんだ?」

「教師になりたかったから」

 そう答えると、何故か溜息を吐かれた。
 あれ? なんで?

「先生はどうして、教師になりたいと思ったんだ?」

「……いや、聞いてどうするんだ?」

「参考までにな」

 ……むぅ。

「そんな事聞いても、楽しい事なんか無いぞ?」

「良いだろ、別に」

 そう言われてもなぁ……俺にだって、こう、黙秘権的な?
 そんなのもあると思うんだ。

「恥ずかしいから、パス」

「全然恥ずかしそうに見えないんだが?」

「これでも、内心はドキドキしてるんだよ」

 というよりも、生徒に自分の身の上なんか話してもなぁ。
 
「なんだ。マクダウェルは教師に興味があるのか?」

「……別に、そう言う訳じゃない」

 なら良いだろ、と。
 言えないよなぁ。
 俺が教師を目指した理由なんて……本当、在り来たりな理由だし。
 こういうのは、秘密にしておくに限る。うん。

「それに、私の学力じゃ、教師は無理だろ?」

「なんで?」

 そんな事は無いと思うけど。

「誰だって、本気で頑張れば、出来ない事なんてあんまり無いと思うぞ?」

「……そうか?」

「ああ」

 マクダウェルだって、頑張れば教師になれるよ、と。
 それに、マクダウェルみたいな教師、っていうのにも興味がある……っていえば怒られそうだな。
 でも、見てみたくもある。
 サボリの常習犯だったマクダウェルが教師か……。
 想像して、小さく笑ってしまう。

「……やはり、似合わないと思ってるんだろう?」

「そんな事は無いさ」

 うん。
 きっと、似合うと思う。

「きっと……俺なんかより、よっぽどいい先生になれると思うぞ?」

「……ふん」

 それは本心なんだけど、また拗ねたように視線を逸らされてしまう。
 笑ったのは拙かったかなぁ。

「どうせ、変だとでも思ってるんだろう?」

「思ってないって」

 そんな姿が、マクダウェルらしくなくて、また笑ってしまう。
 でも、きっとこんな姿が本当のマクダウェルなのかもしれないな。
 外見相応に子供っぽい。
 拗ねてしまってるその姿は、人間の少女そのものだ。
 とても吸血鬼なんだって、信じられない。

「応援するから、そう拗ねるなよ」

「拗ねてないっ」

 はいはい、と。
 困ったなぁ、と苦笑し、周囲を見渡し……。

「何か飲むか?」

 奢るぞ、と。

「……ふん。ジュース一本で、許してなんかやらん」

「いや、俺が喉乾いただけだ」

「………………なんか適当に。炭酸以外で」

「ああ」





――――――エヴァンジェリン

 手渡されたオレンジジュースを一口飲み、喉を潤わせる。

「なぁ、先生?」

「んー?」

 先生は、いつものように缶コーヒーを飲みながら、私の隣をのんびりと歩いている。
 まったく。
 いきなり進路の事やら話したと思ったら……結局はいつも通りじゃないか。

「私は、どんな事が出来ると思う?」

「……どんな事?」

 そうだな。

「私は……まぁ、普通とは違うだろう?」

「ああ」

 そこまで言うと、得心したように一つ頷き、

「別に、何だって出来るだろ?」

「……あっさり言うんだな」

「むしろ、俺より出来る事は多いんじゃないのか?」

 先生より?
 ……想像がつかないな。
 私に出来る事……と言ったら、得意な事なんて、数えるくらいしかない。
 人形作りと、魔法。
 私が本当に得意と言えるのは、それくらいだ。
 少なくとも、一般社会で使えるスキルとは、とても言えない。

「それこそ、何だって出来るだろうけど」

「……とても、そうは思えないな」

「お前、変な所で弱気なんだな」

 ……悪かったな、変な所だけ弱気で。

「そう拗ねるなよ」

「別に、拗ねてない」

 ふん。

「もし、だ」

「ん?」

「もし私が……そうだな、いつか――本気で教師になりたいと言ったら……」

 手伝ってくれるか、と。
 そこまでは言えず、口を噤む。
 私は、自分で言うのもアレだが……性格が良い方じゃないと思う。
 それに、人の為に、というのもイマイチ得意じゃない。
 今まで自分勝手に生きてきた。
 変わりたいと思うし、明日菜達と一緒に行きたいとも思う。
 だが、そう簡単に変われるほど、私が生きてきた時間は短くない。
 私の中で造られた“私”は、私が思っている以上に頑固だと思う。
 そして、頑固な私は、そんな事は言えず……。

「……笑わないか?」

 こんな、バカな事を聞いてしまう。
 聞いて、何と言うか……自分で自分を殴りたくなった。
 いや、こんなのは私のキャラじゃないだろ。

「もちろん」

 でも、この人は相変わらず……あっさりと、肯定してくれた。

「教師だろうが、宇宙飛行士だろうが、パン屋だろうが。本気でなりたいんなら、笑ったりしないよ」

「……ふん」

 私の将来、か。
 考えた事も無かったな。
 今までずっと、その日を精一杯生きてきた。
 明日がどうなるかなんて、考えた事も無かった。
 いや――最近は、少し考えるようになった。
 将来への、漠然とした不安。
 私のソレは、きっと普通の人とは少し違うのかもしれない。
 でも……。

「パン屋ってなんだ、それに宇宙飛行士って」

 繋がりが無さ過ぎだろ、それは。

「いや、小学生とか、将来なりたいものってそんな感じじゃなかったか?」

「………………」

 しょうがくせい?
 ……そ、そうか……子供扱いか、この私を。

「……あー、マクダウェル?」

「なんだ?」

 自分でも、驚くほど静かな声だと思う。
 というか、私もこんな声が出せたんだな……うん、忘れてたよ。

「すまん」

「ふん」

 謝ったって……。

「小学生扱いは、流石に悪かった」

「そこじゃないっ」

「え?」

 いや、確かにそこも問題だがっ。

「本気で不思議そうにするなっ」

 このっ――私をなんだと思ってるんだ?
 この吸血鬼、エヴァンジェリンを……なんだと。
 まったくっ。
 夕焼け色の街を、並んで歩きながら、肩を怒らせる。
 今まで何度かあったが、こうもあからさまに子供扱いか!?

「じゃあなっ、先生っ」

「あ、ああ……それじゃあ、気を付けてな?」

「子供扱いするなっ」

「……こ、今度から気を付けるよ」

 ふんっ。
 そのまま別れ、帰路につこうとして……また、声を掛けられた。

「マクダウェルー」

「……なんだ?」

「そう怒るなよ」

 怒ってないっ。

「何かあったら、相談してくれな?」

「……気が向いたらな」

「ああ。それで良いよ」

 …………ふん。
 きっと、笑ってるんだろうな。
 貴方はそんな人だって知ってるから……だからこそ、振り返れずに、足を進める。
 判ってる。
 こんな所が子供っぽいんだって。
 怒りやすい。短気。背もこんなに低いし、体つきだって貧相だ。
 そんな私が子供扱いされるのは……別に、今に始まった事じゃない。
 あの人だってそうだ。
 話すようになってからこれまで、何度もそんな所はあった。
 でも――だ。
 しょうがないじゃないか。
 ……子供扱いされるのは、嫌なんだから。

「はぁ」

 そう思う所が、きっと子供なんだろう。
 溜息を吐いてしまう。
 もし。
 もし、だ。
 私が将来、教師になったと仮定する。
 そう仮定して、だ。
 ……あの人と一緒に、教卓に立ったなら。

「――――――」

 その時は、その時こそは……子供扱いしないでくれるだろうか?



 きっと、夕日に焼けたからだろう。
 ――頬が、少し熱い。



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