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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版
Name: ソーイ◆9368f55d ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/04/28 23:46
『ようこそ、麻帆良生徒及び部外者の皆さまっ!』

 うーん。
 予選会場の客席の片隅で、頭を抱えてしまう。
 痛い。頭が痛い。
 目頭を指で軽く揉みながら、どうしたものか、と。

『優勝賞金一千万円! 伝統ある大会優勝の栄誉とこの賞金、見事その手に掴んで下さい!!』

「朝倉さん、生き生きしてますね~」

「……何をやってるんだ、アイツは……」

 コレが終わったら一言言ってやろうか。
 まったく。
 せめて、そう言うのは係の人に……って、学生主体のイベントか、コレ。
 でもきっと、何かおかしいと思う。うん。
 しかもなんて格好だ。
 女子中学生はもう少し慎みを、というのは言って良いと思う。

「あ、せっちゃんや」

「ん?」

 何やら武闘大会の司会を務めている朝倉に頭を悩ませていたら、近衛の声に頭を上げる。
 桜咲?
 そう言えば、ネギ先生と一緒に居たんだったっけ?
 近衛の視線の先を向くと、客席の人混みの中から、確かに桜咲がこちらに向かってくるのが見えた。
 ……何でセーラー服なんだろう?
 何かのコスプレか?

「このちゃん、先生に綾瀬さん……月詠とも一緒だったか」

「おー、桜咲。そんなに慌ててどうしたんだ?」

 小走りにこちらに駆けてくる桜咲は、いつもより少し慌てた様子だった。
 何かあったんだろうか?
 それに、ネギ先生と一緒じゃないし。

「なんか、ウチだけ呼ばれ方が違う気がします~」

「気のせいだ」

 一応、そこは律義に返すのな。
 しかし、そんなに慌ててどうしたんだろう?

「せっちゃんは出ぇへんの?」

「あ、いえ。今回は遠慮しておきます」

「そうなのですか? 桜咲さんなら、良い所まで頑張れると思うのですが」

「少し用事が……先生、ネギ先生を見ませんでしたか?」

「ネギ先生?」

 首を傾げてしまう。
 いや、桜咲が一緒に居たんじゃないのか?
 そう聞いてたんだが……隣の近衛に視線を向けると、こちらも首を傾げていた。
 てっきり、近衛がああ言ってたから、魔法使いの仕事の方をしているとばかり思っていた。

「どないかしたん、せっちゃん?」

「あ……ちょっと、ここでは……」

 そう言って、綾瀬に気付かれないようにだろう、少しだけそちらへ視線を向ける。
 綾瀬に聞かれたらまずい事、ってなると。

「ちょっと、桜咲と一緒にネギ先生を探してくるから、綾瀬と近衛を頼んで良いか?」

 そう、月詠に言う。
 多分魔法関係の事……なのかな?
 ネギ先生の事なら、多分月詠よりも俺の方が役に立てるだろう。
 無理そうだったら、また戻ってくればいいだけだし。

「ウチも先輩と一緒に行きたいですわ~」

「今度何か言う事聞くから、今は勘弁してくれ」

「しょうがありませんね~。お兄さん、貸し一ですですわ~」

「後が怖いなぁ」

 ま、しょうがない。
 その貸しがどうなるかは判らないが、今は桜咲の用事の方を聞こう。

「それじゃ、探しに行くか、桜咲」

「は、はい。すいません、気を使ってもらって……」

 最後の方は、小声で謝られてしまった。
 それに苦笑する。

「いい、いい。急ぎなのか?」

「このイベントの事なのですが……」

 このイベント?
 近衛達から離れ、人混みに紛れると、そう言って来た。
 この武闘大会がどうかしたんだろうか?

「はい。このイベントが当初予定していたものより大きくなってしまっていると言うのは……」

「ああ。それは気付いてるけど……それが?」

「……実は、このイベントを買収した人物なのですが……」

 丁度、そこまで言った時だった。

『では、今大会の主催者より、開会のあいさつをっ』

 会場の奥で開会の言葉を言っていた朝倉が、主催者の紹介に移る。
 ソレに何気なく視線を移動させると……。

『学園屋台【超包子】オーナー、超鈴音!』

 …………は?
 その言葉と、その姿を見た瞬間、桜咲と一緒に足が止まってしまう。
 どういう事だ?
 そう思い、視線を隣……何か知っているであろう、桜咲に視線を向ける。
 何か、苦虫を潰したような顔をしていた。

「……どうなってるんだ?」

「やはり……」

 桜咲、お前何を知ってるんだ?
 超と言えば、クラスじゃ目立たない――と言うよりも、少し一歩引いた所がある生徒だ。
 こんな大それた事をする性格じゃないって思ってたんだが……。
 それに賞金なんて大金、どこから?
 色々と、思考がまとまらない。
 だって、あそこに居るのは、良く知った生徒なのだ。
 そして――昨日、ガンドルフィーニ先生に追われていた。
 ……どう言う、ことなんだ?
 そう言うより先に、

『私が、この大会を買収して復活させた理由はただ一つネ』

 ――理由?
 その続きに耳を傾ける。
 隣の桜咲にまで思考を割く余裕が無い。

『表の世界、裏の世界を問わず、この学園の最強を見たい――それだけネ』

 …………裏の世界?
 それは……もしかして。
 嫌な予感が、頭をよぎる。
 だって、それは……。
 周囲のざわめきが、大きくなる。
 それはそうだろう。
 あんな女の子が一千万なんて大金を用意しただけではなく、いきなりそんな事を言い出したのだ。
 きっと、この場に居るのは殆どの人が裏の世界、と言うのを知らない参加者達なんだろう。

『二十数年前まで、この大会は元々裏の世界の者達が力を競う――伝統的大会だたヨ』

 ……二十数年前?
 どうして、超がそんな事を知ってるんだ?
 調べた、にしてもどこか不自然と言うか……。
 その後も、なにか色々と言っているが。

「桜咲、お前この事を知っていたな?」

 それは、殆ど確信だった。
 そう言うと、驚いたような顔を向けられた。
 ……そんな悔しそうな顔をされれば、誰だって判るって。

「はい」

「そうか」

 しかし、どう言う事だ?
 何でこんな――危ない事を?

『私はここに、最盛期の【まほら武道会】を復活させるネ』

 裏の世界……それはきっと、魔法使いの事だろう。
 もしくは、それ以外にもあるのかもしれないけど。
 でも――どうしてこんな危ない事をする?
 その必要性が判らずに、眉を潜めてしまう。
 それに、こんな大きな事を一人で、とは考えにくいし。

『飛び道具及び刃物の使用は禁止――そして、呪文詠唱の禁止! この二点を守れば、いかなる技を使用してもOKネ』

「……」

 耳を疑った。
 いま、何と言った?
 俺の聞き間違いじゃないなら……。

「あいつ……一般人の前でなんて事をっ」

 やっぱり、聞き間違いじゃなかったか。
 今確かに、呪文詠唱の禁止、と言った。
 それは多分――魔法の事を指したのだろう。
 しかし、

「なぁ、桜咲?」

「……何でしょうか、先生」

 色々と疑問はあるが、まず一番最初に聞いておきたい事があった。

「超は、魔法使いなのか?」

「……いえ。少なくとも今まで一緒に居て魔力を感じた事はありません」

 そうか、と。
 他の人達に聞かれないように、なるだけ小声でやり取りをしながら、内心で首を傾げてしまう。
 だったらどうして、魔法使いの事を知っているんだろう?
 確か認識阻害の結界とかで、そう言った事は気付きにくい、って話だったけど。
 それとも、その結界の効果以上に、魔法の事を知ってしまったんだろうか?
 俺みたいに、巻き込まれたのか……。
 それにしても、どうしてこんな事を?

「この事は、学園長は……」

「恐らく、まだ知られてないかと」

「そうか」

 まぁ、そうだろうな。
 学園長ならこうなる前に、イベント自体を起こさせないだろうし。
 しかしそうなると、だ。

「……他の魔法使いの人達は、この事を知らない……んだよな」

「そうですね。それに、」

 魔法の事をどうにかした方が良いのか? と悩んでいると、桜咲がそこで言葉を切る。
 それに?

「あの女。ネギ先生に手を出してきました」

「……クラスメイトをあの女なんて言ったら駄目だろ?」

 う、と。言葉を詰まらせる桜咲。
 まったく。
 頭に血が上ると、少し暴力的になるのかな?
 そう注意する。

「落ち着こう。まだ、全部知られた訳じゃないんだし」

「は、はい……」

 まぁでも、これからどうなるかなんて予想もつかないけど。
 ……困ったな。
 学園祭中、超の様子を見ておくってガンドルフィーニ先生に言ってた手前……なぁ。
 小さく溜息を吐き、これからどうするべきか考える。
 でも、俺と桜咲の2人で出来る事なんて無いんだよな。
 超の演説を聞きながら、足を動かす。
 止まっていても、あまり良い事もなさそうだし。
 それより先に、ネギ先生か、他の魔法使いの人を見つけた方が良いだろう。

「桜咲は、まずはネギ先生を探すのか?」

「はい。……嫌な予感がしますので」

 そうか。
 そう言えば、

「さっき、超がネギ先生に手を出してきたって……」

「そ、そうでした」

 どう言う事だ?
 まぁ、変な意味じゃないだろうけど。

「それが……あまりに突拍子も無い話なんですが」

「ああ」

「……タイムマシン、って信じますか?」

「……なに?」

 タイムマシン?
 それはまた……。

「そんな魔法まであるのか?」

 魔法って言うのは、本当に凄いな、と感心してしまう。

「い、いえ……時間跳躍術は、魔法世界でも実現は不可能とされています」

「……ん?」

 いまいち良く判らない単語が出てきたが、多分それがタイムマシンみたいな効果のある魔法の名前なんだろう。
 でも、魔法でも実現が不可能な事?
 だったら何で、いきなりタイムマシンなんて言葉が出てくるんだ?
 そう思い首を傾げると、たどたどしく説明が入る。
 桜咲が言うには、それを可能にする機械を超からネギ先生が受け取った、と。
 どうしてそんなのを超が持ってるんだろうか?
 話を聞けば聞くほど、判らない事が増えてくる。
 この格闘大会の事と言い、そのタイムマシンの事と言い。
 本当に、どういう事なんだろうか?
 まぁ、魔法の事なんて何も判らない俺じゃ、そっちの事じゃ役に立てないか。

「それ、使ったのか?」

「はい……」

 なるほどなぁ、と。
 それがどれほど重要なのかは、今は判らない。
 でも、タイムマシン……なぁ。
 夢があって良いとは思うけど、現実には……と思ってしまう。
 事故とかあったら、どうなるか想像もつかないからなぁ。

「それで、ネギ先生はどうしたんだ?」

「……それが、今日はスケジュールが詰まっていたらしくて」

 そう言えば、クラスの連中から良く聞かれてたな。
 まぁ、ネギ先生は人気があるからなぁ、とは思っていたが……。

「それを使って、スケジュールを全部こなした訳か」

「はい」

 はぁ、と。
 小さく溜息。
 判らなくはない。
 そう言うのには俺も憧れるし、使えるなら使ってみたいとも思う。
 でも、そういうのは――何か、違うと思う。
 何がと言われたら、上手く答えきれないけど。
 ……その事は、今度会った時にネギ先生と話してみよう。
 その事を、ネギ先生はどう思っているのか。
 まぁ、それは今度として、だ。

「桜咲は月詠と一緒にネギ先生を探してくれ」

「はい。先生は?」

「マクダウェルと龍宮の場所を知ってるから」

「判りました」

 確か、受付の手伝いしてるって言ってたからな。
 そっちに行ってみよう。
 俺と桜咲よりも、何か良い対策出してくれそうだし。
 それに、もう知ってるだろうし。

「マクダウェル達にもこの事を話したら、携帯に連絡を入れるように言うから」

「よろしくお願いします」

 そう言って、頭を下げてくる桜咲に、苦笑してしまう。
 良いんだよ。
 俺に出来る事なんて、動き回る事くらいなんだから。

「急いでも、魔法は使わないようにな?」

「先生も、なにがあるか判りませんので、お気を付けて」

「おー」

 まぁ、俺なんて魔法も使えないしな。
 知ってはいるけど使えない。
 結構もどかしいもんだな。
 でもまぁ、しょうがない。
 今は出来る事をやるべきだろう。
 ……問題を起こしたのが、自分の生徒なら尚更だ。
 それに、超を見ておく、って言ったのは俺達なんだから。

「それじゃ、桜咲。また後でな」

「はい」

 ――俺に、何か出来る事があるんだろうか?
 魔法使いでもない俺に。
 ……それで悩むのは、今じゃないか、と小さく頭を振る。
 でも、こんな形で魔法が周囲に知られるのは良い事じゃないってのは判る。
 こんな形じゃなくて、もっと、ちゃんとした形じゃないと……って。
 桜咲と別れて、人混みに揉まれながら、足早に歩く。
 最後にもう一度、参加者の前に立つ超に視線を向ける。

『裏の世界の者は、その力を存分に奮うがヨロシ』

 ……聞けば、答えてくれるんだろうか?
 少し近づいて声を掛ければすぐに届く距離なのに――とても遠い。
 何を考えてるんだろう?
 どうしてこんな事をしたんだろう?
 何か目的があるんだろうけど。
 超。
 ――俺がお前にしてやれる事は、なにも無いのかな?
 魔法の事を知っているから何か出来る。魔法の事を知らないから何も出来ない。
 それは……少し嫌なだ、と。
 



――――――エヴァンジェリン

 やられた、と。
 最初に思った事はそれだった。
 受付で見ていたテレビから聞こえる声に、眉を潜めてしまう。
 そのテレビに映る相手には見覚えがあるなんてものじゃない。
 超鈴音……クラスメイトで、昨日、色々と問題を起こしたヤツだ。
 茶々丸の事でも色々と世話になってはいたが……。

「ちょ、ちょっと。これってマズいんじゃないの?」

「ああ。それも、凄くね」

 だな。
 真名の言葉に無言で頷き、唇を噛む。
 こんな大勢の前で、ああも堂々と言われてしまっては手が出せない。
 力ずくで潰してしまえば、きっとまだ向こうに策があるだろう。
 こうまで大胆に行動したのだから。
 まったく――。

「だ、大丈夫なの?」

「少し落ち着け。大丈夫だ」

 あまりに明日菜が慌てるから、逆にこっちが落ち着いてしまう。
 口から、デマカセが出るくらいには。
 はぁ。
 そう、デマカセだ。
 どうするかな……これは、また魔法使い連中から睨まれるな。
 あの女は私が見ている、と言ったのだから。
 ……くそ。
 どうしてこうも、上手くいかないのか。
 どうして……と。
 折角、神社の仕事も終わって、これから帰る所だったと言うのに……とんだ厄介事を。
 ただ静かに生きる事も――難しいのか?
 友達と喋って、笑って、楽しんで……それすら、私には許されないのか?
 超……どうして?

「どうする、エヴァ?」

「どうしたものかな……」

 しかし、今はその事は置いておこう。
 まずは超をどうにかしないとな。
 あごに指を添え、これからどうするか考える。
 まずは、だ。

「なにが狙いだと思う?」

「……さっき言ってた事じゃないの? 最強を知りたいって」

「バカ。そんな訳あるか」

「う」

 それだけなら、どれだけ楽か。
 しかしまぁ……狙いがいまいち判らないから、その線もあるのか。
 ……限りなく低いだろうが。

「一番は、魔法を知る事……じゃないかな」

「そうだな」

 もしくは、魔法を知らせる事か。
 超鈴音は魔法使いではない。
 それは私も知っているし、真名も同じだろう。
 しかし、それだけでは腑に落ちない。
 テレビの中に居る超鈴音を睨みつける。

「魔法を皆に知ってもらう為とか?」

「その利点が無いだろうが」

 その考えもある。
 が……利点が無い。
 超にプラスになる事が、一つも無いのだ。

「ぅ」

 魔法を世間に知らせてどうする?
 いたずらに混乱させるだけだ。
 下手したら、世界から魔法使いが消えるか――戦争だ。
 ……そんな事は、超も判っているはずだ。
 理由が判らない。
 どうして、こんな事をするのか。

「マクダウェルっ」

 ――――。
 その声、その呼び方をするのは。

「先生」

「龍宮と神楽坂も一緒だったのか」

 そう言いながら、人波に引っ掛かりながらもこっちに向かってくるのは……見慣れた顔。
 どうしたんだろうか?
 とも思うが……まぁ、あの場に居たなら、理由は一つか。

「先生も、超の演説を聞いたのかい?」

「ああ。それと、桜咲から少し話を聞いた」

 刹那?
 どうしてそこで、刹那の名前が出てくるんだ?

「えっと……」

 そこまで言うと、周囲を見渡す先生。
 ああ。

「真名、話せる場所はあるか?」

「ああ。こっちに――それで先生、刹那達は?」

 真名に案内してもらい、従業員が泊まり込む時に使う一室に案内してもらう。
 結構広いし、冷蔵庫とかも完備か……。
 なにか……神社にテレビとかは、風情が無いと思うのは私だけか?

「ネギ先生を探してる」

 ぼーや?

「ぼーやなら、予選に出てるぞ?」

「は?」

 む、そこまで予想外だったか?
 ……まぁ、確かにそうだろうな。
 こんな大会、教師が出るようなものでもないしな。

「……むぅ」

 しかし、私の予想以上に考え込んでしまう。
 どうしたんだ?

「どうした、先生?」

「いや……超がな? 今朝ネギ先生と……まぁ、それは月詠達を呼んでから話した方が良いか」

 俺より、桜咲が詳しいし、と。
 なんだ、月詠も一緒なのか……なら、木乃香もか。

「木乃香は……」

「綾瀬の相手をしてもらってる。いきなり全員居なくなったら、変に思われるかな、って」

「そうだな」

 ……この人、よっぽど魔法使いより周りに気を使ってないか?
 そう思い、小さく笑ってしまう。

「どうした?」

「いや」

 気を回すのは、性分なのかもしれないな。
 それがこの人らしくて、でも、少し危ないな、と。
 この人には魔法の事には関わってほしくない。
 でも――魔法の事を知っているこの人は、関わってしまいそう。
 それは明日菜も一緒。
 知っているから、見て見ぬ振りを出来ない――なんというか。
 きっと、不器用なんだろう。
 自分に不利な事なのに、危ないと判っているのに、それでも関わろうと進んでくる事は。
 私から見たら……ひどく、不器用な生き方に見える。
 危ないから、危険だから……自分には関係ないから。
 そう思う事は無いんだろうか?
 どうだろうな。
 まぁ、それは今考える事じゃないか。
 とりあえず、私は今――この不器用な人達を、危険から遠ざけないとな。

「これからは私達の時間だ。先生と明日菜は……私達から、少し離れていた方が良い」

「そうか?」

「う……やっぱり」

 ふん。
 先生と違って、お前は本当に危ないからなぁ。
 そういう意味では、あまり目を離したくはないが……進んで関わらせる気も無い。
 まぁ。魔法が本当に危険だ、というのは理解して入るみたいだが。
 だからと言って、それで退くような性格にも思えない。

「真名、刹那を呼んでくれ」

「ん、判った」

 そう言い、私も携帯を取り出す。
 電話先はじじい。
 これからどうするか、相談する必要があるだろうし。
 勝手に動いてこれ以上睨まれるのも面白くないしな。

「気を付けてな」

 そんな事を考えていたら、そう言われた。
 むぅ。
 別に、今回の件は政治的な問題はあるが、そう危険がある訳でもない……と思う。
 そこにどんな罠があれ、私なら問題は無い。
 吸血鬼で、知らない人がいない様な魔法使いでもある訳だから。
 だから――そう、心配される必要も無いのだ。うん。

「ふん。超ごときに後れはとらないさ」

「うわー。相変わらず強気ねぇ」

 うるさい。
 ……まったく。
 お前が居ると、焦るのも馬鹿らしくなるな。

「すまないな、明日菜」

「へ?」

 いや、と。

「今晩の事なんだが……な。ほら、私から言った事だろう?」

 さすがに、今晩は少し忙しくなるだろう。
 そうなるとだな、と。

「あ、ああっ。まー、いいわよ」

「……そうか?」

 もう一度、すまないな、と。
 私から言い出した事なんだが、こっちの用事で反故にしてしまうのも――。
 気にしない気にしない、と。
 そう言って手をひらひらと揺らす明日菜に、苦笑してしまう。

「学園祭の終わったらさ、祝勝会気分でパーっとやりましょ」

「それは良いね」

「はぁ」

 お前という奴は……。
 祝勝会、か。
 まだ問題は解決していないと言うか、問題に着手すらしていない状態なんだが……。
 気が早い、というより能天気だな、と。
 ……まぁ、それが明日菜らしいか。
 お前が告白できなかった事の為なのに、祝勝会とは。
 お祝いの為に言った訳じゃないんだがなぁ。

「そうだな。さっさと終わらせるから、あんまり落ち込むなよ?」

「そこまでヘコんでないわよっ」

 ふん。
 まったく。コイツという奴は……。
 そこまで話し、携帯でじじいの連絡先を呼び出す。
 呼び出し音を右耳で聞きながら、左手を小さく振る。

「じゃあな……先生も、何も無いと思うが……」

「おー。それじゃ、気を付けてな?」

「ああ。ま、そう事が大きくなる前に終わらせるさ」

 流石に、それは魔法使い側も望んじゃいない。
 麻帆良の魔法使い総出で、事に当たる事になるかもな。
 そうなると、見回りは先生達だけになって……少し忙しくなるかもな。
 それが判っているのか、いないのか。

「何か手伝える事があったら言ってくれて良いからな?」

「……そうだな。その時は、声を掛けるよ」

 はぁ。先生もこれから大変になると思うんだがな。
 きっと……それでも、文句一つないんだろうな。
 少なくとも、言葉にはしないのだろう。

「それじゃ、エヴァ。私帰るけど……気を付けてね?」

「ふん。――お前に心配されるほど、私は弱くない」

「そう? 真名、エヴァをよろしくね?」

「大丈夫だって言ってるだろうがっ」

 何故そこで真名に振るっ。
 ……まったく。
 真名っ、お前も笑うなっ。

「相変わらず仲良いね」

「……眼科に行け」

 ふんっ。
 そんな事を話していたら、呼び鈴が止まる。

『エヴァか?』

「出るまで時間掛ったな」

『色々と忙しくての』

 そうか。
 携帯が繋がったのが判ったのだろう、先生と明日菜が小さく手を振って歩き去っていく。
 ……大丈夫。
 これ以上、巻き込んだりしないからな。
 あ。

「明日菜っ、木乃香がチャチャゼロと一緒に居るから、お前が一緒に居てくれ」

「へ?」

「お前一人じゃ何するか判らないからな」

「……そこまで信用ないの、私?」

 ああ。
 目の届かない所に居ると、お前は何するか予想もつかないからな。
 チャチャゼロが居れば、一応安心できる。
 ついでに、さよとあのオコジョも面倒を頼む、と。

『エヴァ?』

「あ、ああ……それでじじい、どこまで把握している?」

『ふむ。今何処に居る?』

 私の質問に、質問で返すな。
 その事に小さく呆れ、まぁ、ここでそれを言って時間を無駄にするのもアレか。

「龍宮神社だ」

『そうか』

「ぼーやは、超鈴音主催の大会に出場してるぞ」

『……は?』

 まぁ、普通は驚くよなぁ。
 まさか、裏がどうこう言ってるような大会に魔法使いが出場するなんてなぁ。
 魔法を隠匿するという理念に反する行為。
 それを、英雄の息子が、である。
 じじいは、コレをどう処理するんだろうか?
 それは今は良いか。

「もしかしたら、コレも超鈴音の策の一つなのかもな」

『どうかの……まぁ、それは今は置いておこう』

「ああ。それで、私はどうしたらいい?」

『ん?』

 いや、そこで止まられてもな。
 私は、お前の指示を待ってるんだが……。

「どうした? 私は、今は待機していればいいのか?」

『あ、ああ。いや――お主からそう言われるとはのぅ』

 そうか?
 別にそう珍しくは……どうだろうか?
 今まで、じじいに何か言う事はあっても、じじいに指示を仰ぐのは初めてかもしれない。
 どうだろう。
 その辺りは、考えた事が無かったなぁ。

『……そうじゃな。大会の方は、ネギ君に任せるとするかの』

「大丈夫か?」

『どうじゃろうな……だが、そう言ってもこれ以上魔法使いを大会に出すのも……』

 そうだな。
 いくら超が裏が、魔法が、と言おうが、それを証明できなければ意味が無い。
 ぼーや。
 それと先生の所の犬っころ。
 この2人が“力”を使わないなら、言い訳は……まぁ、それもどうにも難しいだろうが。
 だからといって、これ以上魔法使いを試合に出しても良い方には働かないだろう。
 魔法使い側としては、まずは“魔法を知られない”事が重要だしな。
 そこは私も同意だ。
 ならどうするか……となると、私としては、様子を見るしかないと言うか。
 今はそれくらいしか思い浮かばない。
 ……私が出て、大会を優勝すると言うのも悪くは無いが……。
 裏があると、動きにくそうだしなぁ。

「そう言えば、刹那が何か知ってるらしいが……私達がそっちに行くか?」

『そうか? ふむ』

 そこで、数瞬。
 考え込むじじいの声に耳を傾けながら、視線は備え付けのテレビへ。
 映るのは、予選の第一回戦。
 20人1グループで、最後の2人になるまでのサバイバル形式。
 ぼーやは……写っていない。
 おそらく、このグループではないのだろう。

「真名、ぼーやに釘を刺してきてもらって良いか?」

「ああ、判った」

 すまないな、と。
 そう言うと苦笑された。
 む……。

「いやいや、エヴァからそんな言葉を聞けるとはねぇ」

「ふん。急いで行け……ぼーやの試合が始まるぞ」

「はいはい」

 ……ふん。

『まずは、情報の整理といこうかの』

「そうだな。それで、どうする?」

 まぁ、妥当だな。
 超の目的が何なのか予想も出来ない現状では、動きようが無い。
 この大会を潰すにしても、だ。

『それとエヴァ、お主今暇か?』

「ん?」

 ……まぁ、予定は無くなったが。

『暇なら、お主。やはり、今から大会に出てもらえんか?』

「――なに?」

 どういう事だ?
 大会に魔法使いを出したら、もしかしたら超の思惑通りなんじゃないのか?
 ……じじいの考えがいまいち判らず、もう一度聞き直す。
 予選に出るのは問題無い。
 予選終了までにエントリーすれば、誰でも参加できるからだ。
 予選は今、やっと第三試合。
 第八試合まであるらしいから、まだまだ余裕はある。

『いや。こちらで把握しておる限り、魔法使いで大会に出ているのはネギ君だけじゃ』

「それと、先生の所の犬も出てるぞ」

『……はぁ』

 まぁ、溜息を吐きたい気持ちは判る。
 私も、何も知らないで魔法の事を世間に知らせようとしている大会に知った顔が出ていたら、きっと溜息を吐いている。
 というか、私も溜息を吐きたい。
 折角の祭りなのに、こんなにも頭を悩ませなければならないとはな。
 超に小言の一つでも言わないと、気が済まない。

『その2人では、何かあった時に対応できんじゃろ』

 こっちの言う事にすぐ反応するのものぅ、と。
 まぁなぁ。
 感情的だからな、あの2人は。

「だが、魔法使いをこれ以上増やしても……」

『お主なら、魔法無しでもそれなりに戦えるし、機転もきく。危険が無いと判れば勝手に負けても構わん』

 ……まぁ、そうだが。
 ぼーやよりは、私の方が安全ではあるか。
 ぼーやは戦えないのに出てるからな……。
 どうしたものか。

『小太郎君の実力もワシは良く理解しておらんからの。その点、お主なら安心じゃ』

「アレはアレで、それなりには戦えるんだがな」

 特に、こういった事ならぼーやじゃ手も足も出せないだろう……魔法無しだと。
 どうしてぼーやがこんな大会に出たのか判らないが、出る事に――勝つことに意味があるのかもしれない。
 なら、もしかしたら魔法を使うかもしれない。
 バレないように。
 そうなったら最悪だ。
 英雄の息子だとしても、教師という肩書があっても、まだまだ子供だからな。
 あの犬っころもそうだ。
 冷静に戦えるほど、アレも成長している訳じゃない。
 クーフェイや長瀬楓が出場しているのだ。
 強い相手に全力で――と考えかねん。
 はぁ。

「私が大会に出るとして、だ。それを他の魔法使い達は……」

『ワシからの言葉と言っておくよ』

「そうか」

 ……どうするかな。
 今回は、私が悪いんだよな……超から目を離して、こうなったわけだし。
 まぁ、こんな大掛かりなイベントだ。
 私が気付く前から準備はしていたんだろうが。
 はぁ。
 どうしてこうなるんだか。
 純粋に祭りを楽しむのも、一苦労だな。

「判った」

『すまんの。タカミチ君も今少し離れた場所におっての』

「気にするな。それに……まぁ、ぼーや達二人を落とすなり、さっさと優勝すれば良いだけの話だしな」

 私が目を離したから、と言おうとして、止める。
 それはきっと、私らしくないだろうから。

『ほっほ。簡単に言うのぅ』

「簡単だからな」

 それより問題は、クーフェイや長瀬楓である。
 あの2人と当たったら、少し面倒だな。
 別格も良い所だからな……ほぼ独学で、ああもまぁ……規格外になれるものだ。
 今回ばかりは、少し厄介である。
 出来れば、序盤でぼーや達2人と当たりたいものだ。
 まぁ、ぼーやなら予選すら危ないだろうが。
 そう思いながら、まずはどうするかな、と。
 真名が戻ってくるまで待つか、それとも動くか。

『それではの、エヴァ』

「ああ。じじい、そっちも気を付けろよ」

『ほほ――お主に心配してもらえるとはのぅ』

「……ふん」

 まったく。
 流石に、今回の事は悪いと思っているさ。
 そうは言わず、電話を切る。
 そうして数分待つと、真名が刹那達と一緒に戻ってきた。
 真名の後ろには、刹那、木乃香、月詠の三人。

「どうなった、エヴァ?」
 
「刹那と木乃香は、じじいの所に行け。仕事で、学園長室に居るはずだ」

「判りました……超の事を話せば?」

「ああ。私は、後でまとめてじじいから聞く」

 刹那の説明を聞くより、そっちの方が効率は良いだろう。
 私は、やる事が出来たしな。

「月詠は、もう帰って良いぞ」

「え~」

「えー、じゃない。お前は何のために麻帆良に居るんだ?」

 まったく。
 まぁ、そう急いで帰らなくても問題は無い……とは思うが。
 こうなると、なにがどうなるか判らないからな。
 明日菜にはチャチャゼロが居るが、先生は一人だからな。
 危険は無いと思うが、保険は掛けておくべきだろう。

「はーい。お姉さんの言うことには従っておきますわ~」

「ふん。誰がお姉さんだ」

 見た目だけなら、お前の方が年上なんだがな。
 まぁいい。

「私は?」

「ん?」

「私」

 真名か?
 ……別に、コレといってないな。
 大体、コレは魔法使いの問題だ。
 傭兵の真名は関係無いだろう。

「祭りを楽しんで良いぞ?」

「ここまで来て、それは無いんじゃないかな?」

 む。

「だが、コレは魔法使いの問題だからな」

 巻き込むのは……本意じゃない。
 京都の時みたいに、人手が無くて切羽詰まった状況でもないしな。
 それに――なんというか。
 ……金で雇う、というのが、な。
 うん。

「魔法使いの問題には、巻き込めないしな」

 それに、厄介事は嫌いだろう? と。
 我ながら――どうかしていると思う。
 以前なら、こういう時は迷わず使える手は全部使う、そう生きてきたんだがなぁ。
 どうしたんだか……はぁ。

「ふむ。なるほどね」

 それをどう思ったのか、顎に指を当てて、少し考え込む真名。
 まぁ、戦力は随分と下がるが、真名に頼るのは、最後の最後だろう。
 その方が良い。

「エヴァちゃんは、これからどうするん?」

「私は大会に出て、ぼーやと犬っころを退場させる」

「……酷ない?」

「しょうがないだろ。普通の大会なら問題は無いが」

 これはもう、普通の大会じゃないからな。
 それに、流石に一般人に負ける、というのはあの2人にはキツイものがあるだろう。
 特に犬っころには。
 妙に、その辺りにはプライドがあるしな。
 弱いくせに。

「ふぅん」

「真名? 今回の問題は魔法使い側の事だからな……今の所は」

 今後はどうなるかは判らないが、今は魔法使いの問題だ。
 部外者――と言えば聞こえは悪いが、その真名を巻き込むのは、あまり良くないだろう。
 きっと、そう言うのは誰も気にしないのだろうけど。
 私はあまり、巻き込みたくは無い。

「刹那」

「はい?」

「超の事、じじいの所で話を纏めたら、後で私に教えに来い」

 この予選が終わったら、家に居るから、と。
 刹那が居れば、とりあえず木乃香も問題が無いだろう。
 この予選がおこっている間は、超もそう大きく動けないだろうし。
 そう言い残し、予選会場へ足を向ける……。

「……真名?」

「ん?」

 どうして一緒に来るんだ、と。
 そういう意味を込めて、隣を歩く真名を見上げる。
 ……しかし、身長あるよなぁ。

「私は今から、忙しいんだが?」

「うん、知ってる」

 いや、知ってるなら何故ついてくる?
 お前って、そう言うキャラだったか?

「面倒だぞ?」

「いやいや、私は優勝賞金に興味があるだけだよ?」

「そうか?」

「ああ。それに、ネギ先生が出て――当たれたら、一勝分浮くからね」

 そうか?
 一応、飛び道具抜きだと危なくないか?
 まぁ……ぼーや程度にどうこうできるレベルじゃないだろうが。

「……すまないな」

「何の事やら」

 ――ふん。
 ま、いい。
 コレで少しは楽が出来る……かな?
 まぁ、私一人でも問題無いんだがな。







 予選会場は……何というか、人ばかりだった。

「これはまた、凄い数だね」

「だな」

 どうしたものかな。
 予選くらいは、真名と同じグループでも問題無い……のだろうか?
 トーナメントの組み合わせが同じグループの勝者からだと、効率悪いな。
 ふむ……。

「どうする真名? グループ分けるか?」

「そうだね」

 同じ事を考えていたんだろう、真名からも異論は上がらない。
 そうなると――周囲を見渡す。
 今は第5グループまで終わったのか。
 8組から勝者2人ずつの計16人が本戦出場だから、後6人か……。
 ぼーやは、と。
 探してみるが、そう簡単に見つからないか。
 はぁ、面倒だな。
 あわよくば予選で落としてやろうと思ったが。

「それじゃ、エヴァ。予選で落ちないようにね?」

「あのなぁ……私を誰だと思ってるんだ?」

「同級生」

 そう言って、人混みに紛れていく真名。
 …………まったく。
 私は真祖の吸血鬼なんだがなぁ。
 そう頬を掻き、私もどこか空いたグループに混ざるか、と歩き出す。

「あ、エヴァーっ」

 ……は?
 それは、どこかで聞いた事のある様な……というか、さっき聞いた事のある声だった。
 その声の主を、捜す。
 何処だ?

「こっちこっちー」

「……あのバカ」

 声は、客席の方から。
 手を振るな、手を。
 恥ずかしいヤツだな。
 その左腕にチャチャゼロを抱き、右手を大きく振っている明日菜。
 そして、その隣には苦笑している先生と綾瀬夕映の2人。
 ……は、恥ずかしいヤツだな。
 右手で顔を覆うように隠し、どう怒ろうか思考する。
 はぁ。

「何やってるんだ?」

「いや、応援だけど?」

 なんで、何言ってるの? みたいな顔で私を見る?
 私は早く帰れ、と言ったつもりだったんだが……はぁ。
 どうしてこうなってるんだ?
 客席に近づき、溜息交じりに、視線を明日菜へ向ける。
 客席と言っても、試合用に造られた台から少し離れた場所に、適当に立札があるだけなんだが。

「しっかし、あんた。その格好で出場するの?」

「ん? 何か問題あるか?」

 そう言われて、自身の格好を見る。
 ……問題あるか?
 着ているのは、明日菜に無理やり着せられた巫女装束である。
 着替えるのが面倒だったからこのまま来たが……。

「真名もだぞ?」

「うは。いい宣伝になるわね」

「そうか?」

 巫女装束なんて、そう珍しい物でもないだろう。
 神社に行けば、何時でも見れるんだし。
 というか、着せたのお前じゃないか。
 そこは忘れないからな?
 まったく。
 そんな事を話していたら、隣から小さな笑い声。
 ……む。

「話してていいのか? 予選が終わりそうだぞ?」

「あ」

 そうだったな。
 予選会場に視線を向けると、第6グループには真名の姿があった。
 それと、クーフェイ。
 ……あそこは、もう勝ち残るのが決まったなぁ。
 他の参加者には悪いが、あの2人に勝てるのはそういないだろう。

「エヴァンジェリンさん」

「ん?」

 そう考えていたら、綾瀬夕映からの声。
 ……そう言えば、コイツから話しかけられたのは、図書館島の一件以来のような気がする。

「貴女は、このようなイベントは、あまり好きではないと思っていました」

 そういう言葉は、お前に返したいな。
 お前こそ、こういうイベントには興味なさそうなのに、何で居るんだ?
 そこをぜひ聞きたいものだ。

「そう? エヴァって結構賑やかなの好きだよ?」

「何でお前が答えるんだっ」

 はぁ。
 私はこー……うん。
 もう少し、物静かというか、謎があると言うか。
 そういうキャラだったと思う。
 きっと綾瀬夕映が正しい。
 だから明日菜? お前少し黙れ。
 好き勝手に喋るな。
 私は、あまり人と慣れ合うのは嫌いなんだ。
 だからな?

「明日菜、後で覚えてろよ?」

「なんで!?」

 綾瀬夕映に、我がもの顔で好き勝手に喋る明日菜にそう言う。
 このバカ。
 私はカエルは食べたと言ったが、虫は食べた事無いっ。
 勝手に私の過去を捏造するなっ。

「仲良いなぁ、お前ら」

「でしょ?」

「どこがだっ」

 まったくっ。
 ……明日菜、お前と居ると……色々と疲れるなぁ。
 はぁ。

「それじゃ、行ってくる」

「おー、頑張れよー」

「……ああ」

 ま、少し頑張るか。
 目立たない程度に。





――――――

 しっかし、マクダウェルのこういう事は初めて見たが……。

「強いんだなぁ」

 まぁ、吸血鬼って言うくらいだからな。
 でも魔法を使ってないんだよな……だとしたら、あの投げ飛ばしてるのって、合気道とか、そう言ったものだろうか?
 なんか、マクダウェルに触れた途端、人が宙を舞うのは見ていた見ていて爽快だ。
 なんというか、テレビで見る舞踏みたいだな。

「そりゃそうよ。生意気だけど、こういう事で嘘吐かないし」

「はは」

 そうだな。
 ならきっと、この問題も、マクダウェルが言うみたいに簡単に終わるかもな。
 隣で、マクダウェルの活躍を自分の事のように喜ぶ神楽坂に釣られるように笑ってしまう。
 本当に仲良くなったよなぁ。

「エヴァンジェリンさんって、強かったですね」

「だなぁ」

 俺も初めて見たよ、と。
 隣の綾瀬と同じように、顔には出さずに驚いてしまう。
 なにせ、綾瀬とあまり変わらない身長なのに、俺と同じくらいの身長の男を投げ飛ばしてるのだ。
 凄いなぁ、と。

「なんか、なんとかって有名な人から習ったらしいし」

「誰だよ……」

 一番大事な名前が判らないんだが……。
 そう言い、綾瀬と2人で笑ってしまう。
 っと。

「ちょっと……神楽坂、予選終わったらどうする?」

「はい? 私は帰りますけど」

「そっか。まぁ……」

 チャチャゼロが居るから大丈夫か。
 まぁ、まだ終わりそうにないしな。

「ちょっと席外すな?」

「はい。でも、エヴァンジェリンさんのあの調子だと、すぐ終わりそうですので、早く戻ってきて下さい」

「ああ」

 トイレトイレ、と。
 どこだろう? って、立て看板あったし。
 その指示に従って生き、用をたす。
 そのまま、人混みに紛れ……ふと、視線を感じた。

「?」

 その視線の方に顔を向けるが、人混みばかりで誰だか判らない。
 と言うか、気のせいか?
 足を止め、首を傾げる。

「きゃっ」

「――っと」

 足を止めていたので、後ろから歩いてきた人とぶつかってしまった。
 慌てて振り返り、頭を下げ――。

「源先生?」

「あら、先生」

 こんばんは、と。
 そう言われ、こっちも慌てて頭を再度下げる。
 すぐ後ろに居たのは、よく知った顔だった。
 しかし、こう言ったら怒られるかもしれないけど……予想外だ。
 こういったのは苦手なイメージと言うか。
 まぁ、人の趣味はそれぞれなんだろうけど。

「すいません、少し余所見をしてまして……」

「いえ、こちらも同じですから」

 そう頭を下げなくてもよろしいですよ、と。
 うぅ、すいません。

「先生もこういうのは好きなんですか?」

「自分も、ですか?」

 となると……。

「源先生も、格闘技とか好きなんですか?」

「いえ、私はそうではないんですけど」

 葛葉先生が、と。
 へぇ……って。
 でも、

「葛葉先生も、確か剣道……剣術? 確か、何か習ってるんじゃなかったですっけ?」

「あら、先生も御存知だったんですか?」

 ええ、と。
 確かそんな事を……何時聞いたんだったか?
 聞いた覚えがあるんだが、それが何時だったか思い出せない。
 まぁ、それは今は良いか。

「ですから毎回、こういったイベントにはあの人も目が無くて」

 困ったものです、と。
 そう苦笑して、口元をその手で隠して肩を振わせる。

「へぇ」

 あの葛葉先生がなぁ。
 脳裏に浮かぶのは、いつも難しい顔ばかりしている葛葉先生。
 いや、本当はそんな事はないんだけど。
 でもイメージと言うか、なんというか。
 俺の中では、新田先生以上に……。

「何考えているか、当ててあげましょうか?」

「……あー、すいません」

「ふふ」

 そう謝って頭を下げると、また小さく笑われてしまう。
 うむぅ。

「先生は、お1人ですか?」

「あ、いえ。小太郎……従姉弟が出場してるんですよ」

「あら、そうなんですか?」

 その予選の応援に、と。
 本当ならこの時間帯こそ見回りをしないといけないので、少し気まずくて頬を掻く。
 
「源先生は?」

 さっきの言い方だと、葛葉先生と一緒なのかな?
 しかし、そう思って周囲を軽く見まわしてみるけど葛葉先生の姿はない。
 何だかんだで、あの人は目立つから、こういった所でも見つけれると思うんだけど。
 ちなみに、容姿的な意味で。
 そう言った意味では源先生もだが、まぁそれはいい。

「葛葉先生に振られてしまいまして」

「振られた?」

 どう言う事だろう?

「なにか急用が出来たとかで、学園長から呼び出しが」

「……ああ」

 そう言えば、葛葉先生も……そうなると、その呼び出しの内容も思い付いてしまう。
 超、か。
 うーむ。
 しかしまさか、超がなぁ。
 何を考えているんだろうか、と少し心配になってしまう。
 やっぱり、魔法の事とかは危ないと思うし。

「どうかしましたか?」

「あ、いえ」

 っと、いかんいかん。
 話してる途中で考え込んでしまった頭を、軽く振る。
 流石に、超の今回の事は魔法使いの問題だろうしなぁ。
 俺に何かできる事があるとは、とても思えないしな。

「そうだ」

「はい?」

 考え込んでいた事を謝ろうとしたら、何か思いついたらしく、掌を叩く源先生。
 しかも、顔はやたらと嬉しそうだし。
 どうしたんだろうか、下げようとした頭を傾げてしまう。

「先生、明日はお暇ですか?」

「自分ですか?」

 暇か、と聞かれたら暇だけど……。

「一応、暇ですけど」

 見回りがありますけど、と。
 そう言うと、また笑われてしまう。

「真面目ですね」

「はは。まぁ、あんまり真面目とも言えないと思いますけど」

 見回り半分、出店の冷やかし半分ですから、と。

「それでしたら、明日は一緒に回りませんか?」

「……はい?」

 はて?
 俺は今、誘われてるんだろうか?
 ……俺が?

「は、はぁ……」

「葛葉先生に振られてしまって、明日は暇なんですよ」

 ですから、付き合って下さい、と。
 まさか、そう言われるとは思ってなかったので、どう応えるかな、と。
 いや、断る理由はないんだけど。

「それじゃ、どこで待ち合わせしましょうか?」

「良いんですか?」

「ええ」

 自分も、明日は一人で暇ですから、と。 
 ……そう言えば、午後からは絡繰と約束があったな。
 忘れないようにしないと。
 一応、携帯のアラームをセットしてるから大丈夫だと思うけど。

「午後から少し用事がありますけど、良いですか?」

「あら? 誰からか誘われてるんですか?」

「はい、少し」

 生徒からですけど、と。

「……そういう関係ですか?」

「違いますよ……」

 何言ってるんですか、と。
 そういう話題って、生徒も教師も変わらないのかもなぁ。
 女性は恋話が好きというか。
 まぁ、悪いとは思わないけど、自分がネタにされるのはなぁ。
 そう思い、苦笑してしまう。

「それでは、また明日」

「ふふ。はい、それでは」

 そう言って別れて……はぁ、と小さく溜息。
 ……絡繰と?
 無いと思うなぁ。
 相手は生徒だし、そういう対象とはなぁ……。
 見れないというと、少し失礼かもしれないけど。
 そう首を振り、武闘大会の予選会場に戻る。

「遅かったですね、先生」

「すまんすまん」

 そんなに遅かったかな?
 神楽坂にそう返すと……予選は終わっていた。

「……マクダウェル、どうだった?」

「ん? エヴァンジェリンならさっきこっちに顔出しに来たです」

 怒ってましたよ、と。
 そう綾瀬から言われ、小さく溜息を……気付かれないように吐く。
 うーむ。
 着替えてくるらしいです、という声に頷き、どう言い訳するかな、と。
 まぁ、源先生と会ったから話してたってだけだけど。
 やはり、生徒が頑張ってる所は見ておくべきだったか。
 
「先生、遅かったけど何してたの?」

「ん? 源先生と会ったから、話してた」

「……あー」

 ん?

「先生って、源先生の事好きなの?」

「……どうしてそうなるんだ」

 そう言って、溜息。
 本当、どうしてこの年頃の子は、こういう話に持っていくのか。

「明日の見回りの事で話してただけだよ」

「なーんだ」

「ご期待に添えなくてすまんなぁ」

 まったく。
 まぁ、そういうのは今に始まった事じゃないから慣れてるけどなぁ。

「先生、これからどうするです?」

「ん?」

「私達は、もう帰りますが」

 そうだな……。

「こっちも、もう帰るよ」

 晩ご飯はどうするかなぁ。
 あ、そういえば。

「小太郎はどうだった?」

「小太郎さんなら、」

「ばっちりっ」

 綾瀬の言葉を遮り、答えたのは神楽坂。
 親指を立てて、そう教えてくれる。
 ふむ、勝ったのか。
 なら晩ご飯は、少し豪勢に外食でもするかなぁ。

「そうか」

 良かった、って言って良いのかな?
 あんまり危ない事は、って思うけど。
 でも、やっぱりここは喜ぶ所だろうな。

「そりゃ良かった」

「危ないですけどね」

「はは」

 そんな事を話していたら、人混みの向こうからマクダウェルと龍宮、それに小太郎がこっちに歩いてくる。
 さて、と。

「それじゃ、帰るか」

「はいです」

 そう言った時には、神楽坂はもうマクダウェルの所へ。
 相変わらず、元気だなぁ。
 その後ろ姿に、綾瀬と2人で苦笑してしまう。

「元気です」

 お前も同い年なんだがなぁ、と。
 その言葉は口にせず、神楽坂についていくように、俺もマクダウェル達の所へ。

「よーし。それじゃ、帰るかー」





――――――さよちゃんとオコジョ――――――

 うーむ。
 結局、姐さんとは会えなかったなぁ。
 ……後が怖いぜ。

「どうかしたんですか、カモさん?」

 人混みから隠れるように、木陰で一休みしていたら、隣に座ってるさよ嬢ちゃんがそう聞いてくる。

「いやー、姐さんと会えなかったなぁ、と」

「そんなに会いたかったんですか?」

 と言うか、後が怖い……。
 言った通りにならないと、偶に子供みたいに怒るからなぁ。
 まぁ、さよ嬢ちゃんも居るし、大丈夫だとは……思いたい。

「ま、いいか」

「?」

 こっちの事だよ、と。
 そう呟き、欠伸を一つ。
 ……あとで、学園長にちゃんと言ってもらえるように、さよ嬢ちゃんからもお願いしてもらうか。
 主に、オレっちの未来の為に。

「ふふ、眠そうですねぇ」

「いやぁ」

 はしゃぎ過ぎた、と。
 まぁ、折角の祭りだし、楽しまなきゃ損だしな。

「もう少し人が落ち着くまで、隠れてましょうね」

「おぅ」

 ま、もう少し二人でのんびりしとくかぁ。


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