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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前
Name: ソーイ◆9368f55d ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/04/27 22:48
――――――エヴァンジェリン

「……超鈴音」

「ん? おや、エヴァンジェリン」

 はぁ、と。
 やっと見つけたと思ったら、あまり慌ててはいないんだな。
 一応お前は、魔法使い側からは追われてる立場なんだが。
 噴水のある広場で、葉加瀬と2人で居る所を見つける。
 まったく――これだけ麻帆良を騒がせておいて、こういう所は何と言うか……。
 会うなら、もう少し人目を気にしたらどうだ?
 ……探している方は、楽で良いんだが。
 だが、どうにもな。
 ――この身の奥の熱を、鎮めるのに苦労する。

「どうかしたかナ?」

「どうしたもこうしたも……先生は何処だ?」

 あと、なんだ? 退学届って。
 お前、この騒動の後は行方をくらませる気か?
 これだけの騒動を起こしておいて……。
 それに――。

「あー、エヴァンジェリン? 一つずつ言ってもらって良いかナ?」

 ちっ。

「先生は?」

「こっちで預かってるヨ」

 ……はぁ。
 やっぱりか。
 あの人はまったく……これじゃ、月詠を付けた意味が無いじゃないか。
 月詠も月詠だ。
 まぁ、あの人に引っ張られたのかもしれないが……。
 もしかしたら、明日菜よりあの人の方が厄介かもしれないなぁ。
 その事に溜息を吐き、後で説教してやる、と内心で思う。
 昨日の夜に言ったばかりだというのに……これじゃ、本当に目を話せないんじゃないのか?
 はぁ。

「あ、怪我はさせてないから安心して良イ」

「当たり前だ……」

 額に手を当てて、溜息を一つ。
 その時は、ただで済ませる気は無い。
 月詠が居るし、荒事ならばそう心配はしていないが。
 そうなったら、超の方も無事では済まないだろうしな。
 この女が、そんなリスクを負うとも思えない。

「おやおや、ズイブンと御執心ネ」

「そんなのじゃない……」

 あの人は魔法も使えないくせに、何でもしようとするからな、と。
 そこだけは、どうにかしてほしいものだ。
 具体的には……出来れば、私か誰かに一言言ってほしい。
 あの悪魔に攫われたというのに、そういう所は全く無防備なのだから……困った人だ。

「エヴァンジェリンさん、こんばんは……」

「葉加瀬か。お前も超の仲間だったんだな」

「そうだヨ」

 そこは予想外だったが、なるほど。
 じじいがあの武闘大会を事前に知る事が出来なかったのは、葉加瀬が絡んでいたからか。
 まぁ、個人でこの騒動を起こしたとは思っていなかったが。
 まさか葉加瀬とはなぁ。
 葉加瀬は機械に強いし、な。

「しかし……退学届を出したんだって?」

「ああ。その事カ……そうヨ」

「どうして?」

 これだけの騒動を起こしたんだ、麻帆良には居られないだろう、とは思う。
 だが、それでもキチンとした理由を、一度聞いておきたかった。
 そうでなければ納得できない。
 これだけ魔法使い達を騒がせたんだ。
 それくらいの権利が、こっちにはあるだろう。
 それに、私の一日も潰されたわけだし。

「しょうがないヨ。それだけの事を、私は成そうとしてるからネ」

「ふぅん。お前の目的と言うのは、麻帆良に居ては出来ないのか?」

「……そう言えば、エヴァンジェリンには言ってなかたか」

 ふん。
 私には、か。
 と言う事は――先生には言ったのか。

「聞かせろ」

 噴水の淵に腰を下ろし、そう言う。

「理由も判らずにお前を殴るのも、気が引ける」

 知らない仲でもないしな、と。
 茶々丸の件もある。
 そう言う意味では、お前の事はそれなりに信用はしている。
 こんな事をしたんだ。
 ……どんな理由があるんだか。

「それは言えないネ」

「おい?」

 お前に拒否権は無いんだが?

「言え。超鈴音」

「どうしてそんな事を聞く?」

 なんだと?
 それは、どう言う意味だ?

「以前の貴女なら、そんな事は聞かなかったヨ」

「…………ふん」

 それもそうだな。
 ああ、聞かなかっただろうな。
 それに――今回の事も、そう気にしなかったかもしれない。

「エヴァンジェリンさん、超さんは……」

「お前は黙っていろ、葉加瀬聡美」

 私は超に聞いているんだ。
 それに、この女から直接聞かなければ――誰も納得できないだろう。

「ここには私だけだ。一応真名も見ているが、声は聞こえていない」

「……貴女は甘いネ、エヴァンジェリン」

「なんとでも言え。何も知らないままお前を殴っても、意味が無いからな」

「それは怖いネ」

 ふん。
 お前が何をするつもりかは知らんが、まずはそれを知らない事にはな。
 殴るのはその後だ。

「どうして、先生を巻き込んだ?」

 お前なら、それこそ相手にもせずに行動を起こせたはずだ。
 月詠も、荒事は得意だが、搦め手にはそう強くないしな。
 そういう意味では、あの2人ではお前には会う事も出来なかっただろうに。
 どうして会ったのか。
 それは、昨晩も思った事だ。
 何故あの人に会ったのか。
 そこに、どんな意味があるのか。

「こちらに引き込みたかったヨ」

「ふぅん」

「……結果は、エヴァンジェリンの思う通りだがネ」

 フられてしまったヨ、と。
 なんだその言い方は……相変わらずふざけた物言いというか。
 私だって、何でも知っている訳ではない。
 お前だって、私の全部を知ってる訳ではないだろうに。
 ……まぁ、いいが。
 その言い方だと、先生は超の目的には賛同しなかったのか。
 それがどんな事かは判らないが……あの人は、まったく。
 あれだけ魔法使いの事に首を突っ込むなと言ったのに……。
 はぁ。

「何の力も無いだろうに……」

 あの人を引き込んでどうするというんだか。
 ……というか、あの悪魔の時と言い。
 良く巻き込まれるな、先生。

「そうでもないネ。この世界で、あの人ほど特異な人は居ないヨ――エヴァンジェリン」

「なに……?」

 先生が?
 確かに魔法の事を知ってはいるが……特異と言うほどではないだろう。
 それならば、世界に一人だけの吸血鬼である私や、サウザンドマスターを超える魔力保持者である木乃香の方が、特異と言える。
 あの人の特異性。
 ……それは、超しか知らない事だろう。

「だから、一時の間……自由を奪わせてもらったネ」

「お前――先生の何をそんなに……」

 危険視しているんだ?
 言ってはなんだが、あの人は特別ではない。
 お人好しではあるが――それは、超にとっては恐れるような事ではないだろう。
 口は立つが、何かを成せるほどの力は無い。
 だったら、なにを。

「エヴァンジェリン。私が未来から来たという事は、聞いているダロ?」

「……ん?」

 そう超が言った時、小さな振動音が響いた。

「む……」

「誰からだ?」

「……ネギ坊主からネ」

 ぼーや?
 そう言えば、武闘大会の後から会っていないが……。
 まぁ、ぼーやの方は他の大人連中に任せるが。

「ふむ――良い機会ね。エヴァンジェリンの疑問にも、少しは答えられるかもしれないヨ」

 ん?

「ネギ坊主からの、デートのお誘いネ」

「……ほぅ」

 麻帆良祭の最終日前に、粋な事をするもんだ。
 子供だと思っていたが、中々どうして。

「私からの質問には答えずに、ぼーやの質問には答えるのか?」

「しょうがないヨ。担任だからネ」

「なるほどな」

 だから、お前の目的と言うのを先生も聞いているのか。
 そう言う意味では、私がこう聞くのも無粋なのかもな。
 確かに――“先生”としては、真っ当な事をしているのかもな。
 心配ばかりかけさせられてるが。
 ……それが良い事かどうかは、別として。

「葉加瀬は先に戻っていると良いネ」

「そ、そうですか?」

「荒事は苦手だろウ?」

 ……はぁ。
 それは結局のところ、私への宣戦布告となるんだろうか?







 ぼーやが指定した場所に行くと、ぼーやと……茶々丸が一緒に居た。
 ……どうしてお前も居るんだ?
 まぁ、別に良いんだが。

「ネギ坊主、お話とは何かナ?」

 進路相談カ、と。
 相変わらずのマイペース振りに小さく溜息を吐いてしまう。
 ぼーやが指定したのは、世界樹が良く見える休憩所だった。
 しかもここは、パレードからは離れた場所なので、人も居ない。

「どうしてエヴァンジェリンさんが?」

「気にするな、ぼーやと同じ理由だ」

 超から見せられたぼーやからのメールには、特に理由は書いてなかった、
 会って話がしたい、と。
 だが、タイミングがタイミングだ。
 恐らくクーフェイ辺りから超が退学すると……麻帆良を去ると、聞いたのだろう。

「それより、どうしてそっちに茶々丸が居るんだ?」

 それこそ、聞きたいんだが?
 正直、その組み合わせは中々見ないからな。

「超には聞きたい事がありますので」

「はぁ――ずいぶんとAIが育ったものネ」

 ん?

「あの人には本当に、頭が上がらないネ」

「どう言う意味だ?」

「こっちの事ヨ」

 頭が上がらない、と言うのは先生の事か?
 茶々丸のAIが育った、か。
 確かになぁ。
 ……超がそう言うのなら、きっと誰も気付かないうちに育てたんだろうな。
 葉加瀬も知らなかったしな。
 凄いのか、そうじゃないのか。
 本当に良く判らない人だ。
 ま、その人には後でキツイ灸を据えてやるとしてだ。

「ぼーや、聞きたい事があるんだろう?」

 さっさと聞いてくれ、と。
 私が聞いても、コイツは答えないからな。
 担任が聞いたら答える……そこに、どんな違いがあるかは知らないが。
 超本人が言っているんだ、さっさと教えてくれ。
 ……お前の目的を。
 そう私が言うと、ぽつぽつと、ぼーやがその口を開く。
 控えめに、静かに。

「超さん……困っている僕にタイムマシンを貸してくれて、とても感謝しています」

 でも、と。

「教えて下さい。何で突然退学届なんかを? 何で……悪い事をするんですか?」

 ……悪い事?
 武闘大会の事か?
 たしかに、魔法どうこうは言ったが……お前もソレに参加しただろうに。
 その事に、小さく首を傾げてしまう。

「悪い事、ネ。魔法先生達に、私の話を聞いたカ?」

 ああ、なるほど。
 武闘大会、麻帆良祭以前の事を言っているのか。
 何だかんだで、頭が固いからな、ウチの魔法先生達は。
 そういう意味では、あまり良い情報源とは言えないのかもしれない。
 まぁ、正しい情報でも受け取る方次第なんだが。

「でも、まだ先生達から話を聞いただけですっ。僕は、先生として――超さん自身から」

 話を聞くまでは、信じません、と。
 ふむ――言う事は立派だな。
 さて。

「もしそれが本当だとしたら、どうするネ?」

「理由を教えて下さいっ」

 そうだな。
 そこだ。
 私も聞きたいのは。
 ……お前の今回の行動の理由はなんだ?
 これではまるで、敵を作るだけにしか思えない。

「理由は言えない、と言たら?」

「教えて下さいっ。なにか――僕達に手伝える事があるかもしれないじゃないですかっ」

「―――――――」

 ……ふぅん。
 なかなか、面白い事を言うじゃないか、ぼーや。
 その一言で、超の顔色が変わる。
 まるで――驚いたかのように。

「まったく。調子が狂うネ……」

 そして、そう疲れたように呟く。

「まるで、誰かに言われたような言い方だな」

「……さて、何の事やら」

 なるほどな。
 ――お前、その目的とやらを、一人でやるつもりだったのか。
 はぁ……あのお人好しのお節介焼きめ。
 あとで説教追加だ。

「私がこれからやる事は、魔法使いにとっては“悪”だろウ」

 そして、その理由は教えない、と。
 まったく……厄介なヤツだな、お前も。
 その目的が何なのかは判らないが――どうやっても、それを一人でやる気らしい。
 難儀な性格だな、お前も。

「超」

「どうしたネ、茶々丸?」

「ネギ先生の言う通りです」

「……だろうネ」

 そう茶々丸に言われた時の顔は――とても、本当にとても……寂しそうだった。
 まるで、諦めにも似た表情。
 たかだか14年程度の年月で、そんな表情が出来るものなのか。
 この私が、そう思えるほどに。

「茶々丸、お前――超の目的を知っているのか?」

「はい」

 ……しかし、意外な落とし穴だ。
 と言うよりも、今回の騒動は茶々丸も知っていたはずだが、言い出さなかったからな。
 完全に失念していた……私の落ち度か。
 これは流石に――私もバツが悪い。
 隣の超も笑っているし。

「ですが、口外する事は禁止されています」

「そ、そうか……」

 それが唯一の救いか……はぁ。

「エヴァンジェリン。貴方も随分と丸くなたネ」

 うるさい。
 まったく……お前が喋ること喋れば問題無いんだよ。

「それで、どうするネ? 私は喋る気はないヨ?」

 それはまるで、現状を楽しんでいるような気がした。
 だが――今、茶々丸は言った。
 ぼーやの言うとおりだ、と。
 ぼーやは何と言った?
 手伝える事があるかもしれない、と。
 そう言った。
 なら……超の目的は、一人では難しい事?
 それも、茶々丸がそう言うのだ。信憑性は高いだろう。
 となると、だ。
 そこまで考えた時――。

「世界樹が!?」

「ほぅ」

 ……話には聞いていたが、これほどとは。
 淡い、と言うにはあまりにも強い輝きに目を細める。
 世界樹の大発光。
 22年に一度しかないその現象は――あまりにも、綺麗だった。
 今回は異常気象の関係で21年らしいが。

「これで、私を止める事は――かなり難しくなたネ」

「……何?」

「マスターッ」

 茶々丸の声と同時、いやそれより速く超から離れる。
 今――。

「超さん、あなたは魔法を使えないんじゃ――!?」

 何をした……?
 一瞬。
 いや、一瞬よりも早く――私の後ろに立った?
 気付いたら後ろを取られていた。
 そうとしか表現の出来ない動きだった。
 この私が、後ろを取られるまで反応が出来なかったのだから――。

「ネギ坊主。現実が一つの物語と仮定して――君は、自分を正義だと思うカ?」

「え?」

 なに?

「自分の事を、悪者ではないか、と思った事は?」

「超さん?」

 英雄の息子。
 そうして育てられてきたぼーやだからこそ、その意味は判らないのかもしれない。
 それとも、その考えに至れないほどに若いか。
 それは――誰だって、いつかは思う事だ。
 自分は正しいのか。
 間違っていないか。
 そう、不安になる。
 そして、私のように悪と呼ばれるようになるのか――ナギのように英雄となるのか。
 だがそれは、結局は他人が決める事だ。
 自身の正義。
 その確かなものが……ぼーやにはまだ無い。
 思う所はあるのだろう。
 京都から帰って来た時に、その片鱗は見せてもらった。
 だが、それはまだ心の内に在るだけで、形を成していない。

「世に正義も悪もなく、ただ百の正義があるのみ……ネギ坊主。貴方の正義はどんな形かナ?」

「…………」

 しん……と。
 遠くのパレードと、騒ぎの音が耳に届く静寂。
 その中で、ぼーやと超が対峙している。
 世界中の発光が――それを彩る。
 ひどく美しい空間なのに……。

「超、お前の正義はどんな形なんだ?」

「それは、明日……いや、数年後にお見せするネ」

 数年後?
 ……お前の目的は、本当になんなんだ?
 はぁ。

「あ」

 そんな時だった。
 その場違いな声が、この静寂を破ったのは。

「……おや?」

「……マクダウェルに、ネギ先生?」

 絡繰も、どうしたんだ、と。
 ――――――。
 うん。
 私は怒って良いと思う。
 近くの建物から、ひょっこりと出てきたのは、行方不明になっていた先生と月詠。
 しかも、

「先生こそ、こんな所で何をしてるんだ? ……って」

 なんで先生の上着を月詠が着ているんだ?
 それに、月詠の服はボロボロだし。
 近付くと、月詠は酷い有様だった。
 服はボロボロ、しかも汚れてるし……今までどこに居たんだ?
 というか、そんな危ない所に居たのか?
 超、お前は――。

「何かあったのか?」

「あー……」

 こっちを見て話せ。
 まったく。
 私は怒ってるんだからな?

「昨日言った事を覚えているか? ん?」

「……怒ってるか?」

「怒ってないとでも思ったか?」

 月詠、お前もお前だ。
 まったく。

「先生を見ていろと言っただろうが」

「はい~、見てましたよ~」

 ……そうか。
 私の言い方が悪かったのか。
 それは悪かったなっ。

「怪我はしてませんし~」

「……はぁ」

 その溜息は、後ろ。
 あ。

「本当に、調子が狂うネ」

「超」

「良く出れたネ」

 月詠さんを少し甘く見てヨ、と。
 そう言って、消える。

「―――――――」

「明日、答えは出るヨ」

 次に現れたのは、ぼーやのすぐ隣。
 ……どう言う動きだ?
 あれではまるで、瞬間移動だ。
 動きが目で追えないどころか、判らない。
 あの動きでは、また後ろを取られたとしても気付かないだろう。
 ぽん、と。
 ぼーやの肩を叩き、そう言う。

「どうするね、ネギ坊主?」

「――」

 動きについていけない。
 魔法どうこうじゃない。
 ――現状、私達では勝負にならない。

「と、止めます。超さんの先生として……僕達で」

「……なるほどネ」

 また、消える。
 それと同時に、一瞬の気配を追ってそこに無詠唱の氷の矢を一矢放つ。
 が、それも避けられる。
 ――まったく。
 デタラメだな。

「どういう仕掛けだ?」

 飄々と立つ超に、そう声を掛ける。
 通路の桟に立ち、世界樹を背にしながら……笑いながら、こちらを見てくる。
 本当に――楽しそうに笑いながら。

「火星人の企業秘密ネ」

「――ふん」

 面白い冗談だ、と。
 さて、どうしたものか。
 魔力が封じられた私と、満身創痍の月詠の2人では……勝負にならないか?
 いや、一太刀は入れれるだろうが――先生が居る。
 それは得策ではないだろう。
 先生を後ろに庇うように、月詠と並んで立つ。
 ……まったく。
 私の平穏は本当に遠いようだ。

「それでは――」

「超っ」

「―――――――先生の話は、もう聞かないネ」

 ……何?
 どう言う事だ?
 庇うようにしていた先生が声を掛けると、超がそれを否定する。
 そういえば、先生は超の目的を知っているんだったな……。
 また何か言ったな、この人。
 はぁ。
 呆れるというか、何と言うか。

「2年――いや、それ以上の時間を、費やしたヨ。手放したものも、捨てたものも――多すぎる」

「……超」

 まるで、胸の内を吐露するかのように、言う。
 私達と今まで話していた時の超ではない。
 それは――。

「私の仲間ではないのなら、口は出させないヨ」

「だがな、超? ……お前――」

「今更、言葉で止まれないネ」

 そう言って、今度こそ消えた。
 ――どう言う事だ?
 残された私達は、本当に訳が判らないんだが?
 2年? 仲間?
 はぁ、

「せんせい?」

「あー……」

「こっちを見て、話してもらおうか?」

「……判ってるよ」

 ……そ、そんなに怖いか、私は?
 まぁ、怒ってるんだから、別に良いんだが……。







 なるほどな、と。
 先生から話を聞いた後、そう一言。
 ベンチにぼーやと月詠と私の4人で座りながら、どうしたものかな、と。
 茶々丸は、座らずに私の隣に控えている。
 しかし……未来、か。
 過去を変えて、未来を救う。
 なんて――。

「聞いた限りでは、難しいだろうな」

「だよなぁ」

 世界樹の輝きで薄れてしまった星を見るように、夜空を見上げる。
 瞬く大発光の輝きと、パレードの光。
 そして騒音。
 その世界の中で、超の目的は――なんというか。
 難しいだろうな、と。
 そのやり方では、反発しか出ないだろう。
 ……恐らく、明日。
 世界樹の魔力が溢れる時。
 その時に何かしら動きがあるだろうが。
 それが超の本命か。
 それは先生に言わず、後でじじいに言おうと思う。
 ……この人、それを教えたら、絶対また動くだろうし。

「でも、このままじゃ未来も危ない……と思うんだ」

「そうみたいだな」

 どうしたものか。
 目的は判った。
 後はその手段だが……それを知っているのは、茶々丸か。

「茶々丸」

「申し訳ありません……」

「そうか」

 言えない、と。
 おそらく、超か葉加瀬にそうプログラムされているのだろう。
 まぁ、こちら側に居るだけでも助かるのだが。
 ……明日は、茶々丸を先生に付けるかな。
 超が絡んでいる以上、茶々丸もどうなるか判らない。
 それに、そっちの方がこの人も大人しくなりそうだし。

「それで、先生はどうするつもりなんだ?」

「俺?」

「超のやり方では、難しいというのは判るんだろう? なら、先生は良い案ないのか?」

「……あー」

 無いのか。
 まぁ、そうだよな。
 こういう事をいきなり言われても、答えなんて出ないか。
 超が言っていた2年以上をかけた計画……言葉では止まれない、か。
 確かにそうだな。
 それだけの時間を使って、考えに考えたんだろう。
 ……一人で。

「すまん。まだ何も思い浮かばないんだ……」

「いいさ。そんなのすぐに思い浮かぶようなら、聖人になれるだろうよ」

「は、はは……」

 なんだぼーや?
 そんなに私は変な事を言ったか?
 まったく。

「でも……何とかして、超を説得しないと」

「はぁ」

「ん?」

 まったく、この人は。

「危ない目に遭ったんだろう? それでも――」

「う……」

 ……それでも、貴方は超に手を差し伸べるのか。
 先生らしい、と言えるだろうが――。

「誰彼に手を伸ばしても、いつかきっと取り零す時が来る」

 人の手は、全部に伸ばせるわけではない。
 手は2本。
 指は10本。
 掴めなかった手は落ち。
 掬えなかった物は指から零れる。
 先生の在り方は、まるで全部に手を伸ばしてる。
 ……その手を掴めなかった時、どうするんだろうか?
 そう心配してしまいそうなほどに。

「でも、さ。だったらどうすれば良い?」

「……ふん」

 そんなの、決まっている。
 掴めなかった分は諦めるしかない。
 ――それが、正しい生き方だろうよ。

「立派だと思うんだ。一人で世界を救おうとしてる」

「そうですね……」

 そう同意するぼーや。
 そうだな。
 立派だよ。
 でも――。

「でも、世界を一人で背負う必要はないと思う――超が、どんな立場であっても」

「未来から、その為に来ているのに?」

「ああ」

 そうか、と。
 そうだな、と。

「14歳の女の子なのに、そんな難しい事……って、不謹慎だとは思うけど」

 そこで、一息。

「それでも、学園長やマクダウェル、ネギ先生に他の魔法使いの人達も居るんだ」

 超一人じゃないんだし、と。
 はぁ――この人は、相変わらずと言うか。
 魔法使いを、ちっとも恐れていない。
 ……今度一度、魔法を見せた方が良いのかもしれないな。
 またこんな事をされたら――。

「私は、吸血鬼なんだがな」

 そうは思いながらも、口ではそう訂正する。
 いや、大事なことだし。

「吸血鬼だって、人助けをしないって訳じゃないだろ?」

 ……ふん。
 そう、先を促す。

「超が一方的にじゃなくて、学園長達と話し合って、魔法使いの人達と一緒に魔法を知らせる事って……難しいかな?」

「難しいだろうな」

 魔法使いの、魔法秘匿は異常とも取れる。
 最悪、魔法に関わった記憶を消してしまうのだから……。

「だが――超の情報があれば、話は変わるかもな」

「へ?」

「世界の為に、魔法使いを動かす――それなら、難しくはあるが、無理ではないだろうな」

 何だかんだ言っても、世界の為に。
 それは魔法使いも同じだ。
 超が知る未来。
 それがどういうものか判れば……。

「ま、そこは私達の仕事だ」

 先生は、ここから先は駄目だ、と。
 超と話すのも禁止だからな、とも釘を刺しておく。

「……ぅ」

「そうですよ~」

「月詠もか……」

 当たり前だ。
 どれだけ――まぁ、いい。

「ぼーや、今聞いた事をじじいに伝えてこい」

「え?」

「……私は、説教してから行く」

「…………は、はぃ」

 さて、と。




―――――――

「えーっと……」

「さて、先生?」

「なんだ、マクダウェル?」

 横目でマクダウェルを見ながら、どう言ったものか、と。
 ちなみに、ネギ先生と月詠は学園長の所へ。
 月詠は今度はネギ先生の護衛らしい……俺の所為で疲れてる時に、スマン。
 今度、なんか埋め合わせするからな。

「私が昨日、どれだけ注意したか覚えてるか?」

「……ああ」

 それでも、今日みたいな事をしたんだな、と。
 はい、しました、と頭を下げる。

「今度は気を付ける」

「……本当だろうな?」

「ああ」

 今度は、危ない事になる前になんとかするよ、と。
 そう言うと、溜息を吐かれてしまった。

「……今度がある時は、せめて一言言ってくれ」

「あ、ああ」

 生徒に怒られる。
 と言うのは、結構恥ずかしいというか、精神的に来るというか。
 ああ、心配掛けてしまったんだな、と。
 そう判ってしまう。
 ……マクダウェルが、本気で怒ってるし。

「心配掛けて悪かったな……」

 本当に、と。
 麻帆良祭が終わったら、何か考えた方が良いかもなぁ。
 と言っても、教師が生徒に出来る事なんて……勉強教えるくらい?
 逆に嫌がられそうだな。
 うーむ。

「……心配していない。怒ってるんだっ」

「そ、そうか……」

 そうはっきり言われるのも、結構効くな。
 まぁ、そう耳まで赤くされると、どう怒っているのか気にもなるんだが。
 さっきまでこっちを見ていた視線を前に向け、誰も歩いていない道をじっと見ている。
 ぽん、と。
 いつもみたいに、その頭を優しく叩くように、小さくその髪を撫でる。

「次は気を付けるよ」

「……次が無いのが、一番良いんだがな」

「それもそうだな」

 こういうのは、少しばかり俺には荷が重い。
 魔法も使えないし、月詠みたいに剣が使えるわけでもない。
 足ばっかり引っ張ってる。

「絡繰も、今日は折角誘ってもらったのに……行けなくて悪かった」

 マクダウェルから手を話し、そう絡繰に言う。
 本当に、申し訳ない気持ちになる。
 折角誘ってくれたのに。

「いえ――御無事でしたら、それで」

「すまないな。また今度、誘ってくれ」

「はい。是非――」

 はぁ、と。
 世界樹を見る。
 これが超が言っていた、大発光か。
 凄いもんだ。

「超に、何か役に立てることがあると良いんだけどな……」

 超が言う特異、とはどういう事なんだろう?
 俺には何の力もない。
 きっと、超を止める事は、俺には出来ない。
 言葉では止まらない、と言った。
 そしてマクダウェルも――ここから先は、私達の仕事だと。
 そこに俺の出来る事なんか、何も無い。
 それこそ、足を引っ張らないように、静かにしてるくらいだ。

「あるさ」

「ん?」

「……何も出来ないなんて、そんな事は、きっと無い」

「…………そうか」

「ふん」

 励まして、くれたんだろうか?
 はは。
 あのマクダウェルがだ。

「ん、頑張るよ」

 何が出来るか、まだ全然判らないけど。
 うん。
 頑張ろう。
 何とか、誰にも迷惑を掛けないように。
 超が無茶をしようとしてるなら、何とか力になろう。

「…………頑張られると、困るんだが」

「ん?」

「……何でもない」

 はぁ、と。
 その溜息は、今日一番深い気がする。



――――――今日のオコジョ――――――

「ぐぅ」

 姉御っ!?
 重いっ、重いって!?
 偶にこうやって寝てくれるのは嬉しいけど、オレっちが潰れるっ!?

「うーん」

「ぐぇ」

 ね、寝返りで首がっ!?
 し――死ぬ!?
 オレっち、こんな所でっ!?


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