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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前
Name: ソーイ◆9368f55d ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/04/27 22:47
――――――エヴァンジェリン

 うーむ。
 なんというか、まぁ、うん。
 ぼーや……あー、えーっと。

「いやはや、近頃は化学もバカになりませんねぇ」

「……そんなレベルか?」

 何と言うべきか迷い、とりあえずそう答える。
 うん。

「駄目だろ。科学部」

「科学部じゃなくて、工学部ですよー」

 ……問題はそこじゃないだろ、葉加瀬。
 私の隣に立つ葉加瀬が、律義にそう返してくる。
 麻帆良武道大会の第一試合。
 ぼーやと、田中とか言う奴の勝負だったのだが……だ。
 むぅ。
 空いた口が塞がらないと言うか、溜息も出ないと言うか。
 顎に手を添え、とりあえずコメントは控えておく。
 もう、なんだ。
 色々酷いと思う。
 あと茶々丸? お前後でお仕置きな?
 なに暢気に大会の解説なんてやってるんだ。
 そりゃ、お前に何をしたらいけない、とは言ってないが……。
 流石に、こういった大きな大会に関係する事をするなら、一言言ってくれ。

「うっわ、すっげぇ!? 姉ちゃん、ロケットパンチやでっ」

「そ、そうだな」

 その葉加瀬の隣では、小太郎が年相応の子供のようにはしゃいでいた。
 そして、会場の約半分であろう――男連中のテンションも、上がってきている。
 なんでだろう?
 そんなにロケットパンチが良いのか?
 あんなの、効率的じゃないだろうに。
 一回使ったら回収しないといけないんだぞ?
 田中のは有線だから、線切られたら多分もう使えないんじゃないのか?
 実際、一発撃ったら線を巻いているのだろう。連射は出来ていない。
 不便じゃないか。
 ……そう言ったら、物凄く怒られた。
 …………納得がいかん。
 が、面倒なので反論はしないでおく。
 ちなみに真名は長瀬楓の激励に、控室へ行っている。
 このテンションの連中の中に置いていかれると、こう、なんだな。

「エヴァンジェリンさんには、浪漫が無いです」

「まったくや」

 …………物凄く、納得がいかない。
 私が悪いのか?
 だって有線だぞ?
 明らかに効率悪いじゃないか。
 まだ手に火薬仕込んで、単発のミサイルパンチにした方が便利だと思うんだがなぁ。
 ……言わないけど。
 さっき葉加瀬に怒られた時、少し目が血走ってたから。
 あとクソ犬? お前、この私に良くもそんな口が聞けるなぁ。

「ロケットパンチとドリルは男の浪漫ってヤツや」

「そ、そーか」

 そういうものなのか?
 ……良く判らん。

「杭打ち機は流石に許可が下りませんでしたが……」

「……死ぬだろ、ソレ」

 というか、ロケットパンチはともかく、ドリルと杭打ち機は殺傷能力が高過ぎるだろう。
 レーザーもあまり言えないだろうが。
 あれって熱線だろう?
 ルールに引っかからないんだろうか?
 まぁ、朝倉も何も言わないし、良いんだろうなぁ。
 というか、何気にアイツ、反射神経良いよな。
 上手い具合に田中のレーザーやらロケットパンチやら避けてるし。
 半泣きだけど。
 ざまぁみろ。
 しかしまぁアルの奴も子供みたいにはしゃいで……こういうのが好きなんだろうか?

「なぁ、アル?」

 私を挟んで、葉加瀬の反対側に立つあるを見上げながら、声を掛ける。
 ……お前、もう結構良い歳だよな?
 あんな非効率的なのを見て、どうにも思わないのか?

「なんですか、エヴァンジェリン?」

「……こー言うのが、お前好きなのか?」

「男なら、田中さんの可能性に胸を躍らせない人はいないでしょう」

「…………そ、そうか」

 そういうものなのか。
 男というのは、良く判らんのが好きなんだなぁ。
 あんな筋肉ダルマの、どこが良いんだか。

「エヴァンジェリンには、まだ男の浪漫は早かったようですね」

「……はぁ」

 なんだ。
 言い返す気力も無い。
 とりあえず、頑張れ田中。
 私の為に。
 ……そう応援する事すら、なんか嫌だ。
 視線の先。
 特設リングでは、ロケットパンチやら、レーザーやらを避けるぼーやが頑張っている。
 何でだ?
 ロケットパンチは連射出来ないんだから、その合間に攻めればいいじゃないか。
 そう言ったら、また怒られた。
 ……何故怒られたのか、全く判らない。
 私か? 私が悪いのか?
 むぅ。

「まぁ、良いか」

 このまま、ぼーやがあの田中とかいうロボットに負ければ、仕事が一つ減るし。
 後は、反対側のトーナメント表の小太郎が負ければ、私がこの大会に出る理由も……。
 ……あー。

「なぁ、アル?」

「なんですか、古き友よ? 今少し忙しいんですが」

 何もやってないだろうが。
 まったく。

「田中さん、頑張って下さい」

 応援し始めてるよ。
 お前、ぼーやが勝つのにか賭けてるんじゃないのか?
 ……相変わらず良く判らんヤツだ。
 楽出来るから、別に問題は無いが。
 というか、だ。
 お前、今まで隠れて生活してたんだろうに、そうやって声出して応援して良いのか?
 まぁ、これだけ回りも応援してるならそう目立たないだろうが。
 なんか良く判らん“男の浪漫”とやらで田中を応援する男連中と、
 見た目可愛らしい子供であるぼーやを応援する女連中。
 どっちもどっちと言うか……格闘技の事は、誰も楽しんでないよなぁ。
 ふぁ……賑やかな連中に囲まれながら、欠伸を一つ。
 なんだかなぁ。
 なんといか……。

「暢気なもんだ」

 それは私の事か、私の周りで騒ぐこいつ等の事か――両方か。
 超鈴音の事もある。
 それでも……それを判っているからこそ、暢気だな、と。
 どうしてだろうか?
 昨日はああも慌てたが、今日はそう慌ててはいない。
 そりゃ、超の目的が判らないから、というのもある。
 どう行動するかも予想できないしな。
 じじいからは、魔法先生はこの事に当てると言われている。
 超の行動への対応へと。
 タカミチも、超のマークについているはずだ。
 その代り、魔法生徒は見回りを、と。
 魔法生徒の件は聞いていなかったが、律義に真面目な魔法生徒が報告しに来たしな。
 ……はぁ。
 そりゃ、私も魔法使いの一人だ。
 そうやって言ってもらえると助かるが……なぁ。
 やはり、何と言うか……そうやって言ってもらえると、何かと助かる訳だ。
 いろいろと。今まではそんな事は、こっちで調べるか、無視してた訳だし。

「おや、エヴァンジェリン。楽しんでないようですね」

「考える事が多いんでな」

「おやおや、そうですかそうですか」

 ……ムカツクなぁ。
 誰かこいつを、一回黙らせてはくれないものか。
 物理的にでも良いから。

「しかし良いのか? このままじゃ、ぼーや負けるんじゃないのか?」

 明らかに、劣勢だし。
 これが魔法有りなら、ぼーやの勝利は揺るがないだろう。
 ロケットパンチやらを確実に避けれる距離から、魔法で攻撃すれば良いだけだから。
 だが今は違う。
 “戦いの歌”で肉体を強化して避けてはいるが、そこまでだ。
 そこから先――近付いてからの攻撃が無い。
 それはそうだろう。
 私は、ぼーやを砲台として教育してきたのだから。
 それはぼーやも判っているはずだ。
 一人では戦えない。
 勝負以前の問題だ。戦闘になりはしない。
 近付かれたら何も出来ない、典型的な魔法使い。
 それが今のぼーやだ。
 しかも、逃げ道の無いリングの上。
 それでも、何か策があるのか、とも思っていたが。
 ……あの調子じゃ、なにも無いんだろうなぁ。
 田中の攻撃を無様に避ける姿を見ながら、小さく溜息。

「あの子も、必死なんですよ」

「ん?」

「ナギの事です。手掛かりを求めてこの大会に出場したんだと思います」

 ナギ?
 ……まぁ、そうかもな。
 15年前は、この麻帆良に居たわけだし。
 それに、日本にもいくつか隠れ家を持ってるみたいだし。
 京都然り、である。
 だが、それと今回のが何か関係あるのか?

「以前。この大会にナギが参加した事があるんですよ」

「……は?」

 なんだそれは?
 初耳なんだが。
 というかじじい、お前知ってて何で黙ってるんだ?
 まぁ、こっちは知らなかったから、聞いていないんだが。

「知らなかったのですか?」

「ああ。本当なのか?」

「ええ」

 そう言い、楽しそうに笑う。
 それは本当に――楽しそうに。

「子供が親を求めて、ああやって頑張ってるんです」

「ふぅん」

 なるほどなぁ。
 しかし、こんな大会に出ても、ナギの情報なんて何もないだろうに。
 親を求めて、か。
 はぁ。

「馬鹿だな」

「貴女から見たら、そう見えるかもしれませんね」

 ふん。
 それじゃまるで、私以外には別のように映っていると言うのか。
 だがまぁ、ナギ、か。

「アル。お前の仮契約カードを見せてくれ」

「嫌ですよ」

 む。

「答えが簡単に判ったら、面白くないじゃないですか」

「……ならせめて、それをぼーやに見せてやれ」

 そうすれば、もうこんな馬鹿な事はしないだろう。
 少なくとも麻帆良に居る間は。
 アルビレオ・イマはナギ・スプリングフィールドの友人であり、従者。
 それは、魔法界側の一部では良く知られている事だ。
 そして仮契約カードは、ある意味で最も有効な生存確認に使える。
 生死でカードの模様が変わるからだ。

「言ったでしょう? 時期尚早だと」

「どういう事だ?」

「あの子が私を納得させられるだけの“力”を付けたら、教えましょう」

「……別に、そこに“力”が必要か?」

「ええ」

 聞くだけで“力”が必要か?
 まぁ、試練と言えば、聞こえはいいが。
 お前はムカツク奴だが、そんな意地悪はしないと思っていたんだが。

「だってあの子。ナギが今どういう状況か知ったら、きっと何もかも捨てて行動しますよ?」

「……あー」

 否定は出来んなぁ。
 現に、今は勝手に動いた結果が、この大会の、この状況な訳だし。
 アルが言う“力”は、私が考えていたのとは、少し違うのか。
 まぁ確かに。
 それだと“力”は必要だな。
 毎回こんな行動をされていたら、じじいの首がいくつあっても足らないだろうし。

「そういう訳です」

「そこは気長に待つしかないなぁ」

 地道な毎日が一番の近道とは……きっと、ぼーやには思いもしないだろうな。
 だがまぁ……それを教えてやるほど、私も、世界も優しくはないが。
 何時それに気付くのか。
 それとも気付かぬまま、麻帆良での任期を終えるのか。
 そこはぼーや次第か。

「それに、英雄の息子なら確かな“力”が必要なのも事実です」

 手を抜いた私を下せる程度の、と。
 それはどうだ?
 10歳の子供にそこまで求めるのは……まぁ、世界は求めるんだろうが。
 そう考えると、ぼーやも可哀想だな。

「今のままじゃ、他人も自分も守れません」

 そうだな、と。
 それどころか、自分から危険に飛び込んでるしな。
 戦う力と、把握する力。
 そのどちらも欠けている。

「貴女は、ナギの事は聞かないのですか?」

「ん?」

 ナギの事か……。

「生きているんだろう?」

「……どうでしょうか?」

 ふん。
 お前の態度を見れば判るよ。
 それに、仮契約カードを見せない所も……きっと。
 以前ぼーやが言ったのは本当だったのか。
 ナギが生きている――か。

「それが判れば、十分だ」

「おや?」

 ふん……なんだ、そんなに驚いて。
 そんなに変な事を言ったか?

「以前の貴方なら、一も二も無く飛びつくと思ったんですが」

「――どうだろうな」

 そうなのかもな。
 それとも、そうじゃないのか。
 今となっては、もう判らない。
 確かに私は、ナギが好きだ。
 うん。
 ……好きなのだ。

「生きているのが判れば良いさ。探しに行けば良いだけだしな」

 登校地獄の呪いの目処も立っている。
 来年にでも良いし、高校くらいまではここに居ても良い。
 それか……。
 ま、先の事はまだ判らないか。

「ふむ――貴女にしては、やけに殊勝ですね」

「お前にだけは言われたくないがな……」

 本気で顔の形を変えてやろうか。
 まったく。
 試合の方は、ぼーやが劣勢。
 このまま負けるかな?
 それはそれで楽ではあるが……。

「む」

「賭けは私の勝ちのようだな」

 流石に、もうそろそろ疲労もピークだろう。
 それなりに体力強化の修行もしたが、実践と訓練じゃまた度合いが違う。
 特にぼーやは、こんなに大勢の前で戦うのは初めてだろうし。
 開き直れるような性格でもないしな。
 魔力はまだあるだろうが、体力が先に底をついたか。
 ま、これで自分がどれほどのものか良く理解できただろう。

「ふん。さっさと写真を寄越せ」

「――――――」

 そう言うと、無反応。
 このまま賭けを反故にするつもりか、と思いアルの方を向くと、

「お前、何やってるっ」

「何の事ですか?」

 なにしれっと――。

「いま――」

「試合がありますからね、少し瞑想していただけですが?」

「――んな」

 わけあるかっ。

「今お前――ッ」

「なんですか? 私が何かをしていましたか? 目を瞑っていただけですが?」

 ――い、言えるかっ。
 と言うかお前、私の前でよくも堂々とっ。
 慌ててぼーやの方を向く。
 すると、視線がこちらを向いていた。
 いや、正確には私ではなく私の方……。 
 隣を見る。
 ……口笛なんか吹いてた。

「反則だろ、それはっ」

「何の事ですか?」

 とぼけるなっ。
 今お前、念話――あの時か!?
 控室でぼーやの頭撫でた時っ!
 こ、こいつ……。

「そこまでして勝ちたいかっ」

「何の事か、さっぱりですねぇ」

「嘘吐けっ」

 な、な、な……。

「田中ぁっ、勝てっ!!」

「おお、エヴァンジェリンさんも、やっとタナカの良さに――」

 そんなんじゃないわっ。
 くっ――まだだ。
 ぼーやの体力は底をついている。
 なら後は……。

「さぁ、ここです」

「――――」

 アルのその言葉は無視。
 田中のロケットパンチを、今までのように大きくではなく、最低限の動きで避ける。
 その際に、間合いを間違えて左の二の腕を軽く裂き――そのまま駆ける。
 そこは、今まで通り。
 ここからだ。
 ここから先の武器を、ぼーやは持っていない。
 それをどうアドバイスしたのか――。
 “戦いの歌”で強化した脚力で一気に間合いを詰め、その懐へ――。
 潜り込む前に、田中の口が開く。
 レーザー。
 それを判っても、その足は止まらない。
 いや、更に加速し、一気に懐に潜り込む。
 さっきまでのぼーやには無い、思い切りの良さ。
 おそらく、自分で考えたのではなく――誰かのアドバイス。
 その誰かの足を踏みながら、右の親指の爪を噛む。
 田中、勝て。
 まだやれるだろうが。
 ――ただの一撃くらい耐えてみろ。
 しかし、

『おぉっと!? 田中選手……選手? まぁいいや。子供先生のボディへの一撃でダウンっ』

「立てーっ!!」

「田中さん、立って下さいっ」

「タナカーっ」

『この大声援に答える事が出来るか、田中選手っ』

 ……やけに人気あるなぁ、田中。
 なんでだ?
 私としては、確かに勝ってほしいんだが……どこが良いんだ?
 さっぱりだ。
 それよりも、だ。

「遅延呪文か」

「まぁ、動きながらは慣れてないようで、一矢だけですが」

「……やはりアドバイスしたんじゃないか」

「いえいえ。見てただけですよ?」

 嘘吐けっ。
 このっ、このっ。

「ははは、キティ? そんなに足を踏んでも、痛くありませんよ?」

「五月蝿いっ」

 反則じゃないかそんなの。
 賭けは無効だっ。

「しかし、賭けたネギ君が勝ったとはいえ……田中さんには、もっと頑張ってほしかったですね」

「……いや、賭けは無効だろ? 反則だろ? さっさと写真寄越せよ」

「何を言ってるんですか?」

 お前こそ何を言ってるんだ?
 殴るぞ、本気で。

「私は真名さんと勝負しましたからねぇ」

「だったら代わりに、私がその写真を貰うっ」

「駄目ですよ、賭けは賭けなんですから」

「五月蠅いっ! 良いから寄越せっ!」

 あんな写真、誰それに見せられるかっ。
 ……ああ、どうして私は、昨日あんな格好で予選に出たんだか。
 面倒臭がった罰か……はぁ。

「それでは」

「あ、ちょ――待てっ」

 そう一瞬油断した時、その隙にアルは気配を消した。
 ……器用だな、アイツ。
 と、妙に感心してしまったが、そうじゃない。

「おい、犬」

「……その呼び方、いい加減にやめへん?」

「今はそんな事はどうでも良い」

「良くないって!?」

 ふん。

「先生は何処に居るか判るか?」

「兄ちゃん?」

「ああ」

 あのアルの性格だ。
 絶対あの写真を――。

「麻帆良のどっかにおると思うけど……」

「役に立たないな」

「酷いっ」

 何がだ。
 まったく……しかし、どうしたものか。
 ああ、そうだ。
 携帯があったな、そう言えば。
 そう思い出して取り出そうとし……。
 そう言えば、控室に置いてきたんだった。







――――――

「まだ食べるのか?」

「甘いのは別腹ですえ~」

 なんか、前にも同じようなこと誰からか聞いたような気がする。
 まぁ、残さないなら別に良いか。
 それにしても、今日は告白しようってカップルはあんまり居ないなぁ。
 お陰で仕事は楽だけど。
 そうやってカップルを探す俺の隣には、チョコバナナを食べている月詠。
 ちなみに、アイスから始まって、コレで四種類目である。
 昼前なのに……まぁ、本人は昼はちゃんと食べるって言ってるから、良いけど。

「良く入るなぁ」

「ですねぇ。自分でも不思議ですわ~」

 いや、自分で不思議がるなよ、と笑ってしまう。
 しっかし、その小さな体のどこに、そんなに入るのか。
 確かに不思議だな。

「誰も告白してませんね~」

「まぁ、昼間だしな。それに、こんなに人通りが多いんじゃ、したくても出来ないんだろ」

 お陰で、こうやって食べ歩きが出来るんだが。
 ……夕方とか、忙しくなりそうだなぁ。
 昨日は歩き回ってたら瀬流彦先生とかと良くすれ違ったんだけど、今日は全然会わないし。
 多分、超の事で忙しいんだろうな。
 ……うーむ。
 俺に何かできる事があれば良いんだけど。

「どないします? どっか、別の所に行きますか~?」

「ん? そうだな。行きたい所とかあるか?」

「んー、ウチはお祭りは初心者ですので~」

 そうか、と。
 でもなぁ。俺もそう詳しい訳じゃないからなぁ。
 とりあえず、麻帆良祭のパンフレットを開き――。

「なら、図書館島にでも行ってみるか」

「図書館島ですか~?」

「島一つが図書館なんだ。行った事あるか? それに、景色も良いし」

 行った事無いなら、行ってみないか、と。

「ええですね~。話には聞いた事ありますけど、まだ行った事は無いですわ~」

「そうかそうか。湖に囲まれててな、良い所だぞ」

 まぁ、遠いのがアレだけど。
 学園からは結構近いからな。

「それはええですね~」

「んじゃ、図書館島で良いか?」

「はい~」

 そういったのは良いんだが……。

「コスプレ?」

「わ~」

 うーむ。
 こんなイベントは聞いてないんだがなぁ。
 企画打ち合わせの時の話を思い出すが、やっぱり聞いた覚えは無い。
 書類にも、こういうのは書いて無かったはずだし。
 ミスコンはあったが、それは三日目のラストの目玉だったからなぁ。
 それに、コスプレとミスコンは、また違うだろうし。

「綺麗なお姉さん達ばっかりですね~」

「んー、そうだなぁ」

 しかし、やっぱりこういうのに出るっていうのは、綺麗な子が多いなぁ。
 麻帆良祭だし、出てるのって全員学生なんだろうか?
 ……化粧とかすると、本当もう学生に見えないよな。
 月詠じゃないけど、お姉さんばっかりだ。

「見ていくか?」

「ええんですか~?」

「ああ」

 楽しそうだし、とは心中で。
 流石に、こうも楽しまれたらなぁ。
 祭りを楽しんでいる、と言えばいいのか。
 本当に、こんな調子だと何言われても断れないと言うか……。

「まさか、こっちに居るとは思いませんでしたよ」

「はい? ………えっと…自分ですか?」

 不意に、その人混みの中から白ローブの男性から声を掛けられた。
 誰だろう?
 会った事は――無いよな。

「どちら様ですか~?」

「これはまた、元気なお子さんですね」

 ――声を掛けられた時には、その男性と月詠を挟む形になっていた。
 何時の間に?
 さっきはあんなに楽しそうに、ステージの方を見てたのに。
 いくら世界樹の近くじゃないからって、ここはイベント会場なのだ。
 人は多いのに、この人混みの中、それでも月詠はこのローブの男性と対峙する。

「いえいえ、私はエヴァンジェリンの友人ですよ」

 マクダウェル?
 と言う事は、この人も魔法使いなんだろうか?
 ローブ着てるし。
 その名前を聞いて安心してしまうのは、少し不用心なのかな?

「エヴァさんですか~?」

「はい。渡し物を持ってきました」

 渡し物?
 そう言えば、今日はマクダウェルは武闘大会に出てるんだったな。
 ……だからって、友人の方を使うのはどうかと思うが。

「すみません」

「いえいえ。私から言い出した事ですから」

 ん?
 どういう事なんだろう?

「これです」

 そう言って、そのローブの袖から出されたのは……写真?
 なんだろう?

「どうぞ」

「あ、すいません」

 それを両手で受け取り、眺める。
 はて?

「マクダウェル?」

「はい。可愛いでしょう?」

「は、はぁ……」

 そこの写っていたのは、昨日のマクダウェルだった。
 巫女装束の。
 恐らく予選が終わった時のなんだろうけど。
 どうしてマクダウェルの写真?
 裏には……何も書いてないな。
 どういう事だ?
 なんかの謎掛けか?

「む……」

 しかも、目の前のローブの男性からは、なんというか。
 確認するよう、とでも言うのか。
 そんな感じで見られるし。

「え、えっと……?」

「これは失礼」

 謝られてしまった。
 いや、別にそう気にしては無いですけど。

「それで、この写真がどうかしたんでしょうか?」

「せんせー、見せてもらってええですか~?」

「ん? あー……」

「構いません。どうぞ、見て感想を下さい」

 あ、別に見せて良いのか。
 そう思い、その写真を月詠に渡す。

「おや、可愛いですね~」

「でしょう? 私のお気に入りの一枚です」

 ?

「その写真、貴方の持ち物なんですか?」

「はい」

 どういうこと?
 俺……この人から写真貰うような事したかな?
 と言うか、初めて会ったはずだよな……ローブで顔は見えないけど、この独特の雰囲気はな。

「先生も、可愛いと思いませんか?」

「はぁ……そうですね」

 可愛いと思います、と。
 とりあえず、良く判らないので相槌を打っておく。
 まぁ、可愛いと聞かれれば、可愛いと思うし。

「それは良かったです」

 と言うか、この人は誰なんだろうか?
 月詠は、あんまり喋らなくなったし……結構危ない人?
 マクダウェルの知り合いって言ってたけど、信用ならないのかな?
 結構良い人そうだけど……。
 っと。

「すいません、少し失礼します」

 そんな事を考えていたら、携帯が鳴る。
 誰だろう?
 ……高畑先生だったりして。
 あ。
 マクダウェルだ。

『先生か?』

「マクダウェルか?」

「おや、キティ。こっちに来なかったのですか」

 キティ?
 マクダウェルの事か……って、マクダウェルのミドルネームだったな。そういえば。
 結構仲良いのかな?

『やっぱりそっちに居たのかっ』

 うわっ!?
 いきなり大声を出すなよ、耳が痛い……。
 驚いて、携帯を耳から離してしまう。

「おやおや、そんなに大声だと、先生も耳が痛いようですよ?」

『あ、すまん』

「いや、良いんだが……こちらの方と、知り合いなのか?」

 そう聞くと、ローブの男性は、小さく頷く。
 まぁ、友人だって言ってたしなぁ。
 
『知り合い? 違うな。赤の他人だ』

「そ、そうなのか?」

「それはあんまりでしょう、キティ」

『そう呼ぶなっ』

 だからっ、大声出すなって。
 耳が痛いから。
 というか、良く携帯からの声が聞こえるな、この人。
 耳が良いのかな?

「ほらほら、先生が困ってますよ? 落ち着きなさい、キティ」

「仲良いんですね~」

 だなぁ。
 月詠の言葉に頷き、携帯越しに話す二人に苦笑する。
 ……というか、俺が携帯持ってる意味無いよね?

「あ、マクダウェルと話しますか?」

「いえいえ。2人の逢瀬を邪魔するつもりは無いですよ」

『黙れっ』

 逢瀬って……会う時に使う言葉じゃなかったかな?
 携帯越しに逢瀬って、言うのかな?
 どうだろう、考えた事も無かった。

「おや、怒られてしまいましたか……」

『いいから戻ってこいっ。殴ってやるから』

 いや、殴るなよ。
 そう内心で言ってしまうのは、きっとこんなマクダウェルに慣れてるからだろうなぁ、と。
 それはそれで、どうかと思うけど。

「はいはい。寂しがって、しょうがないですねぇ」

『誰がだっ』

 仲良いなぁ。
 ……言ったら怒られそうだから言わないけど。
 この人、本当にマクダウェルとの会話を楽しんでる。
 そんな感じがする。

「それでは先生、こんな形ではありますが――また」

 そう言って、こちらが何か言葉を返す前に……そのローブの男の人は消える。
 文字通り、ふっ、と消えたのだ。
 ……凄いな。
 魔法って、こんな事も出来るのか。
 瞬間移動、ってヤツなのかな?

『む……アル?』

「ん? さっきの人なら、多分そっちに行ったと思うぞ?」

『そ、そうか……それより先生、あの、な?』

「ん?」

 珍しいな、マクダウェルが言い淀むなんて、と。
 そう言うと怒られた。
 すまん。

『コホン、そうじゃなくてだな……その、あのバカ、何か渡さなかったか?』

「ああ、写真を渡されたけど」

 あと、人をバカって言うもんじゃないぞ、と。

『捨ててくれ』

 綺麗に無視された。
 しかし、またいきなりだなぁ。
 理由くらい話してくれても良いだろうに。
 まぁ、恥ずかしいとか……かな?
 昨日も、この服装の時は恥ずかしがってたし。

「勿体無い。折角良く似合ってるのに」

 それに、麻帆良祭の記念に飾る……と言うのは言い過ぎか。
 でも、捨てるのは勿体無いと思うぞ、と。
 そう言うが、反応が無い。

「マクダウェル?」

 そう言うと、切られた。
 なんなんだ?
 そう思い、切られた携帯を眺めながら、首を傾げてしまう。

「どないしましたか~?」

「いきなり切られた」

「ま~、お姉さんがいきなりなのはいつもの事ですよ~」

 それはそれで、ちょっとアレだけど……まぁ、そうだな、と。
 しかし、写真なぁ。
 どうしよう?
 今は月詠の手にある写真に視線を向ける。

「お姉さん、何か言ってましたか~?」

「んー……写真捨ててくれって」

「恥ずかしがってますね~」

 だなぁ。
 似合ってるのに、勿体無い。

『それではエントリーナンバー18番、ちうさんですっ』

 あ、次の人が出てきた。

「あ~、千雨さんですえ~」

「……へ? ウチのクラスの?」

「はい~」

 へぇ。
 アイツ、こんな趣味があったのか。
 クラスでは目立たないけど、うん。
 楽しそうだなぁ。
 良かった良かった。
 楽しめる趣味があるっていうのは良いもんだしな。




――――――チャチャゼロさんとさよちゃんとオコジョ――――――

「なー、姐さん? どうしたんスか?」

「なんでもない」

 いや、姐さん? 姐さんの試合終わってから、ずっと屋根の上で体育座りじゃないっすか。
 なにがあったんスか?
 誰だって判りますって。
 次は兄貴との試合だって言うのに、大丈夫なのかな?

「しっかし、さっきの試合は見事っすね。相手が一撃で前のめりに倒れるなんて、テレビの中だけだったっすよ」

「うー」

 ……聞いてないっすね。

「唸ッテルシ」

 っすねぇ。
 さよ嬢ちゃん抱きしめてるから、もう本当。
 吸血鬼に見えませんぜ?

「これも全部、ぼーやの所為だ」

 兄貴っすか?
 ……また何かして、姐さん怒らせたのかな?
 懲りないなぁ。
 まぁ、そこが兄貴らしいと言うか。

「エヴァさん、何かあったんですか?」

「いや……別に」

 だから、誰が見ても何かあったって判りますって。
 まぁ、深刻そうじゃないし、良いのかな?
 チャチャゼロさんも、何も言わないし。
 と言うか、楽しんでません?

「ケケケ」

「うるさい」

「エヴァさーん?」

「うー」



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