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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 5話
Name: ソーイ◆9368f55d ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/04/08 23:43

――――――エヴァンジェリン

「おはよう、先生」

 もう慣れつつもある朝の光景に頭を痛めながら挨拶をすると、
 茶々丸と話していた顔が、こちらを向く。

「おはよう、マクダウェル」

「おはようございます、マスター」

「うむ」

 まったく――本当に一月来たな、この男は。
 普通は途中で嫌気がさすと思うがな、私の相手は。
 あのタカミチですら諦めたんだがなぁ……と思いながら、席に着く。

「先生、朝食は?」

「おー、ちゃんと食べてきたから大丈夫だ」

「それは良かった」

 何気ない会話をしながら、朝食を摂る。
 本当なら、別に食べなくても良い――と言うか、私は朝食は摂らない主義なんだが。
 どうにもこの先生、煩い。
 はぁ……お陰で、ここ最近は規則正しい吸血鬼になってしまって困る。
 早寝早起き、ちゃんと朝食を摂って挨拶をする吸血鬼なんてどんな文献にも載って無いだろうな。

「そうそう、今日は新しい先生が来るぞー」

「それは昨日も聞いた」

「いやー、嬉しそうだったからもう一回」

「別に、嬉しそうではなかったと思うがな」

「そうか?」

 普通に先生の話を聞いていただけだと思うがね。
 良い方に解釈し過ぎだ……ポジティブと言えば聞こえは良いが。

「先生は、今日は急いで行かなくて大丈夫なのですか?」

「ああ、迎えには高畑先生が行ってくれるんだと」

 俺も行くって言ったら、断られたんだよなぁと。
 ……なんだそれは?

「大丈夫なのか? 副担任」

「しょうがないだろ、あんなに念押して大丈夫って言われたら」

「何をやってるんだ、タカミチは」

「高畑先生な?」

「はいはい」

 あーもう、だからそう簡単に落ち込むなっ。

「判った。高畑先生、これで良いな?」

「物凄い投げ遣りだな……」

 五月蠅い、黙れ。
 まったく……私の静かな朝は何処に行ったんだ?
 はぁ……。

「先生、お茶のおかわりは如何ですか?」

「ん、いつもありがとうな、絡繰」

「……茶々丸、私にもだ」

「判りました」

 ふぅ。
 やはり、朝からだとそう食べれないな。
 もとから少食だし。

「まぁ、そういう訳で、今日は早めに登校すると言う事で良いか?」

「どう言う訳か判らんが……まぁ、偶には良いだろう」

 私も、早くその天才先生とやらを拝みたいしな。
 ……どうして自分から話を振ったくせに、そんな驚いた顔なんだ先生?

「おい」

「いや、すまんすまん」

「どういう意味だ?」

「あー……特に意味は無い。うん」

「こっちを見ろ、せ、ん、せ、い?」

 おい、怖いとか言うな。
 最近は結構おとなしくしてる方なんだぞ? まったく。

「茶々丸、用意しろ」

「判りました。先生、少々お待ち下さい」

「あ、ああ。すまないな、こっちの都合で」

「いえ、構いません」

 おい、その言葉は普通私に向けるんじゃないのか?

「先生?」

「ん、な、なんだ?」

「その言葉は私に向けるもんじゃないのか?」

「あ、すまん。こっちの都合で早く登校する事になってすまないな」

 お前の言葉も投げ遣りに聞こえるのは気の所為か?
 まったく、この先生は。

「……はぁ。いや、副担任と言うのも大変なんだな」

「あー、いや。そうでもないぞ?」

 そんな私の嫌味に若干引き攣った笑みで応える先生。
 そんなに怖がるなら、近寄らなければ良いだろうに。まったく。
 確かに私は、多少過虐的な所が無いでもないが……その顔を見てると、そんな気も起きんな。
 先生は私の趣味ではない、うん。
 それが判っただけでも、この朝の時間は無駄では無かったという事か。

「そんな風には見えんがな」

「ぅ――まぁ、好きでやってる事だしな」

「もの好きだな、本当に」

 心からそう思うよ。

「はぁ……」

「くく――溜息を吐いたら、その分幸せが逃げるらしいぞ?」

「あ、すまん」

 ふん。茶を一口啜り、気を落ちつける。
 まぁ、落ち着かせるほど乱れてもいないが。

「それで、新任の先生の担当は何になるんだ?」

「ん? あー、英語だ」

「そうか」

 英語か。なら、私には問題無いな。

「でも、テストの点数とかは逐一見ると思うから油断するなよ?」

「……ふん」

 笑うな、くそ。
 判っているよ、自分の成績くらいはな。

「だから絡繰に勉強を教えてもらえと、あれほど」

「判った判った。まったく、教師と言うのは皆先生みたいに小言が多いのか?」

「それが仕事だからな」

 開き直るなよ、まったく。
 変な所は打たれ強いな、この男は。
 すぐ落ち込む癖に。

「マスター、先生。準備が出来ました」

「おー、それじゃ行くか」

「はぁ」

 自然と溜息が洩れてしまうのも、しかたがないだろう?
 この変わり者の先生の所為で、この私が、真祖の吸血鬼が、普通の学生の真似事をさせられてるんだからな。
 大体なんで、お前はそんなに茶々丸と親しげなんだ?

「先生、一つ予言をしてやろう」

「ん? 予言?」

「ああ、当たる確率100%の予言だ」

 ありがたいだろう? と言うと……本当に、楽しそうに笑う。
 ……どうせ冗談だとでも思ってるんだろう。
 だが、私には確信があった――この気紛れに言う予言は、必ず当たると。

「先生はこの後、そうだな……とても苦労する羽目になるぞ」

「は、はは――それは怖いな」

 その笑顔が引き攣る。はは、良い気味だ。
 それで、どんな? と聞かれたが、そこまで答える義理も無い。無視して歩き出す。
 先生はきっと、ネギ=スプリングフィールド、そして私の事で苦労する……辛い目にあう。
 必ずだ――その確信が、あった。





――――――

 いつもより早く職員室につくと、それとなく新しい顔を探してみる……が、あれ?

「おはようございます、新田先生。新任の先生知りません?」

 まだ来てないのかな?
 まぁ、高畑先生が迎えに行ってるから問題ないと思うけど。

「あ、ああ。おはよう、先生……今は学園長室の方に、挨拶に」

「そうですか」

 なら、その後で会えるかな……と?
 荷物は机に置き、自分の席に腰を下ろす。
 さって、HRはネギ先生を2-Aに紹介するんだったな。

「どうしたんですか?」

 顔色悪いですよ? と言うと、ぎこちなく頷かれた。
 本当にどうしたんだ?

「大丈夫ですか?」

 風邪ですか?

「いや。まぁ……なぁ」

「??」

 全然要領を得ない新田先生……あ、

「源先生、おはようございます」

「おはようございます、先生。もう新任の先生は見られましたか?」

「いえ、どうも入れ違いだったようで……見ました?」

「え、ええ」

 ……副担の俺だけ見てないのか。
 やっぱり、マクダウェルは絡繰に任せて、早く来るべきだったか。
 だがアイツの事だ。あと2日の余裕がある――絶対ギリギリまでサボろうとするだろうからな。
 まぁ、マクダウェル宅で朝話すのも結構楽しいと思ってたりもするけど。

「どんな先生でした?」

 鳴滝姉妹ではないがやはり、天は二物も三物も与えたんだろうか?
 まずそこが気になる。

「まぁ、えー……可愛らしい方でした、よ?」

 その感想は予想外だった。
 ソッチ系か。ウチのクラス、悪乗りしないと良いんだが。

「可愛い、ですか」

「というか、若い?」

 まぁ、そりゃ学生ですからね。
 ……俺より、は若いでしょうけど。

「先生」

「は、はい?」

「一応、私も新田先生も注意しときますけど……何かあったら、相談して下さいね?」

「はぁ……」

 何だ? どうなってるんだ?

「日本語は流暢でしたけど、私も英語教師ですから相談には乗れますから」

「それは助かります」

 正直、英語は苦手なんで。

「ああ。私も相談に乗りますよ」

 あ……復活した。

 
「ど、どうしたんですか? 二人とも」

 それに、瀬流彦先生達は?

「他の先生方は授業の準備とか……」

「それより先生、新任の先生ですよ」

「は、はぁ……」

 何があったんだ?

「そのですね、非常に言い辛いんですが」

「どうしたんですか?」

 そんな改まって言われると、物凄く不安なんですが?
 昨日何かしたかな……別に、何もなかったと思うんだけど。
 今日の準備もちゃんと終わらせたし。

「その、新任の先生」

「ああ、ネギ先生ですか?」

「子供だったんですよ」

 はぁ。

「学生ですし……見た目が幼いって事ですか?」

 でも、優秀な先生らしいですよ? 学園長と高畑先生曰く。
 まぁ第一印象が可愛いと言うくらいだし、結構幼い外見なんだろうな。

「いや、もうそう言うレベルじゃなくて」

「先生、ネギ先生なんですが……おそらく先生の予想より、10歳ほど若いと思うぞ」

「……はい?」

 10歳? 新田先生、今なんて言いました?

「も、もう一度良いですか?」

「確か、数えで10歳……いま9歳だそうだ」

 ちょっと頭痛がしたので、目頭を指で揉む。
 う、うーん……ええ?

「10歳?」

「一応、9歳ですね」

 訂正ありがとうございます、源先生
 でもここは、せめて10歳で。何一つ変わらないけど。

「天才?」

「なんじゃないですか?」

 10歳ですし、と。
 ……えぇ。

「アレですか。偶に聞く大学の飛び級とかですか?」

「だと思いますよ?」

 居るんだ。
 本当に居るんだ、そんな人。

「――――えー」

「まさか、ウチの学園にそんな天才が来るとは思いませんでしたね」

「いや、そうは言うがな源先生。……未成年って、大丈夫だと思いますか?」

「まぁ……問題はあると思いますが、その辺りの契約をどうされてるか判りませんからね」

 二人の遣り取りが、どこか遠い。
 だって、なぁ。

「はぁ」

「まぁ不安なのは判りますが、大丈夫ですよ」

「そう思います?」

 俺は果てしなく不安なのですが。
 ……さっそく、今朝のマクダウェルの“予言”が現実味を帯びてきたなぁ、と。
 苦労、か。
 それが生徒のための苦労なら別に良いんだが……はぁ。

「私達も居るじゃないですか」

「そう言ってもらえると助かります」

 担任に据えるくらいだし、優秀なんだろうが。
 ――生徒にどう説明しよう。
 小学生の先生とか……誰も言う事聞かないぞ、絶対。
 特にウチのクラス。
 ……自分のクラスなのにその筆頭とか、ちょっと泣けるんだが。







「初めまして、今日から一緒に働く事になりましたネギ=スプリングフィールドです」

「え、ええ……初めまして」

 初めて見たネギ先生は――やっぱり、さっき新田先生達に聞いたように、小さかった。
 身長で表すなら、俺の予想より40cmほど小さい。
 さらに言うなら、見下ろさなきゃならないくらいに。
 それと、自身の身長くらいの木の棒……杖のような物を持っていた。
 ………………イギリスじゃ流行ってるのかな? 

「それでは、学園長。こちらの少年が?」

「あー、うん。ネギ=スプリングフィールド先生じゃ」

 はぁ。
 やっぱりそうなんですね。
 まぁ、さっき自己紹介してたけど。綺麗に流しましたね。

「それで」

「ん?」

「どないしました、先生?」

「どうして神楽坂と近衛も居るんだ?」

 あと、何で神楽坂はジャージ姿?
 その事を聞くと、何故か神楽坂は顔を赤くし、ネギ先生は顔を逸らせた。
 何かあったのかな?
 まぁ、それは後で聞くか。

「ネギ先生は修行で、日本の学校の先生を――と聞いておる」

「はぁ」

 それで2-Aに、らしい。

「は、はい。よろしくお願いします」

 頭を下げられてしまった……こっちは、どうにも対応に困っているのに話はトントン拍子で進んでしまってる。
 でも断る事も出来ない訳だ。こっちは一教員でしかないんだし。

「ええ、こちらこそよろしくお願いします、ネギ先生」

「先生もあっさり認めちゃうんですか!?」

 いや、こっちも苦渋――とまではいかないけど、結構もう一杯一杯なんだよ、神楽坂。
 まさかこんな子供が来るとは予想してなかった。

「もうここまで話が進んでるからなぁ、先生じゃどうにも出来んのよ」

「そんなぁ」

 いや、まぁ。
 神楽坂にとっては、と言うか2-Aにとっては担任は高畑先生のままが良かっただろうけど。
 もう決まった事だからなぁ。
 学園長が近衛の婿にー、とか言ってるのを聞きながら、二人で小さく溜息。
 まさかこんな事になろうとは。

「こんな子供が担任だなんて、おかしいじゃないですかっ」

「そうは言ってものぅ、もう決まってしまった事じゃ」

「ぅ」

 そこで俺を見ないでくれ、神楽坂。
 俺ももうどうしようもないんだ。

「ネギ君。二度のチャンスは無い――失敗したら故郷へ帰る事になるが、やるかね?」

「はいっ」

 返事は良いんだが……ねぇ。

「えー」

「よろしくなぁ、ネギ先生」

 特に異論のない近衛と、不満たっぷりの神楽坂。
 何と判りやすい対比だろう。
 ちなみに俺は、多分引き攣った笑顔だろう。

「それでは先生、ネギ君の補佐をよろしくの」

「はい、これからよろしくお願いします、ネギ先生」

「よろしくお願いしますっ、先生っ」

 ……本当に小さいなぁ。
 そんな元気いっぱいに言われると、余計に子供に見えてしまう。
 うーん……本当に大丈夫なのかなぁ。

「あ、それとアスナちゃん、木乃香」

 ん?

「しばらくの間、ネギ君を二人の部屋に泊めてくれんかのぅ」

 はい?
 空いた部屋が無いんじゃ、と言われても。

「学園長、流石にそれはどうかと」

「えー!?」

「ええよ」

 あ、良いんだ。
 ……って、良いわけあるか近衛。

「ネギ君もまだ10歳じゃ。そう問題は無いかと思うが……」

「生徒と教師が同室は、どう考えても問題あると思いますが」

 年齢とか、そんな問題以上に。
 性別的にも、社会的にも。
 しかも二人は女子寮住まいだし。
 あ、頭が痛い。

「ウチは構へんけど」

「ちょっと、このかっ」

 ……本気ですか?
 近衛の天然っぷりが、余計に現実味をおびさせて怖いんだが。

「学園長、部屋はどうにもならないんですか? 二人は女子寮住まいですよ?」

「うむ。申し訳ないんじゃがの」

 そう即答されてもなぁ。
 風紀とか体裁とか考えてるんだろうか、この人。

「部屋に空きが出来るまで、自分と同室でも」

「先生の部屋は独身用――いくら子供とはいえ、二人で住むには狭すぎるじゃろ?」

「………………女子寮ですよ?」

 それでも、生徒と一緒に住まわせるなら、と言いそうになるが――相手は学園長である。
 下手に機嫌を損ねても、なぁ。
 きっと、もうそういう風に手配してるんだろうし……。

「……木乃香、明日菜ちゃん。ちょっと外で待っておいて貰ってよいかの?」

「うん」

「判りました」

 小声で頑張って、先生。と神楽坂の声援を頂いたが――現状は、厳しい。
 相手は学園長。この学園の頭である。
 この人が白だと言えば、黒でも白なのだ……そんな事は無いと思うけど。
 さっき自分の部屋を提供したのが、俺の精一杯の抵抗だったのだ。
 それが駄目だしされた今、もう俺に切れるカードは無いのである……。

「ネギ君はどうじゃ? あの二人と一緒は嫌か?」

「いえ、アスナさんは少し怖いですけど、このかさんは優しいですし」

 少し恥ずかしいですけど、と。
 頭痛がして、目頭を指で押さえる。
 本心からそう言ってるんだろう、学園長の問いに間も開けず答えたし。
 この子は、教師と生徒が同室という状況をどう考えてるんだ?

「だ、そうじゃが?」

 そこで俺に振りますか。

「ネギ先生は、歳が近い女の子と同室でも大丈夫なんですか?」

「はい、向こうでもお姉ちゃんと一緒に暮らしてましたから」

 近衛達とお姉ちゃんは違うだろ、とツッコミたい。
 これじゃまるで、クラスの子を相手にしてるようだ……。

「さて」

「……何でしょうか?」

「そろそろ、HRを始めんと授業に間に合わんのではないか?」

「そう、ですね」

 すまん、神楽坂。
 最初から勝ち目の無い勝負だったのだろうが、心中でそう謝罪しておいた。







 とりあえず、職員室まで戻って荷物を置き、教室に向かう。
 向かう。
 無言で廊下を歩く……何で神楽坂とネギ先生はギスギスしてるんだ?
 部屋の問題以前に、何か様子が変だったけど。

「近衛、あの二人何かあったのか?」

「まぁ、明日菜の名誉のために伏せさせといて下さい……多分すぐ仲直りできますえ」

「……そうか」

 何やったんだ、ネギ先生?
 空気が重いなぁ。

「こほん」

 お、先手は神楽坂か。

「私は、あんたと同室なんてお断りよ」

 そっちかよ。
 近衛と二人で、同時につっこんでしまう。
 まぁ、言いたい事も判るが……俺も、出来ればどうにかしたいんだが。
 どうやって学園長を説得したもんかな。

「じゃぁ先生、先に行ってますねっ」

「え、え? あ、あすなーーー」

 そう言うと、近衛を引っ張って走って行ってしまった。

「廊下は走るなよー」

 一応、注意はしないといけないので言っておく。
 うーん。
 やっぱり、どうにかしないとなぁ。

「うぅ、何ですか、あの人は」

「まぁ、神楽坂は……そう悪い生徒じゃないですよ」

 むしろ、こっちが聞きたい。何やらかしたんですか、ネギ先生。
 長引くようなら、近衛から話聞かないとなぁ。
 っと。

「ネギ先生、これ。クラス名簿です」

「あ、ありがとうございます」

 日本語は読む事も出来るんですよね? と一応確認しておく。
 大丈夫らしいので、そっちは心配ないだろう……多分。

「日本語は、いつ覚えたんですか?」

「こちらに赴任が決まった時から勉強しまして」

 へぇ。
 少し、見直した。
 優秀だと聞いていたが、そっちは本当なのかもなぁ。
 外国語を短期間で習得できるなんて、やっぱり飛び級で卒業しただけはあるな。

「賑やかなクラスで、振りまわされるでしょうけど……ま、頑張りましょう」

「はいっ」

 元気だなぁ。
 俺はもう、朝一で疲れてるのはなんでだろう?
 さっきの学園長室の遣り取りは、疲れたなぁ……本当に。

「それじゃ、ここが今日からネギ先生の職場です」

 さて、と。
 ドアに挟まれていた黒板消しを取り、ドアを開ける。

「おはよう、皆」

 って、今度は足を引っ掛ける紐か。
 危ないな、まったく。
 バケツには――水か。
 何という古典的な……。

「これ誰だー?」

「ちっ」

 思いっきり舌打ちしたな、鳴滝姉。
 はぁ。注意しといてよかった。
 いきなり先生に怪我させるのも問題だしな。

「後で覚悟しとけよー、まったく。じゃぁ、ネギ先生どうぞ」

「は、はい」

 そこからは地獄だった……少なくとも、ネギ先生にとっては。
 やっぱりなぁ、と。
 この年頃の子にしたら、弟とか、そんな感じだよな、あの子。

「はいはい、落ち付けー」

 ぱんぱん、と手を叩いて落ち付けると、皆を席に着かせる。

「それじゃネギ先生、自己紹介を」

「はい。みなさん、初めまして――」

 ネギ先生の自己紹介を聞きながら、次はそのまま英語の授業だったなぁ。
 大丈夫なんだろうか……っと。

「それじゃ、ネギ先生。点呼もお願いします」

「あ、はい。判りました」

 ――マクダウェル?
 楽しそうに笑ってるなぁ。そんなに嬉しかったんだろうか?
 普通は、逆に落ち込むと思うんだが。こんな子供が来たら……あ。
 学園長と知り合いみたいだし、もしかして知ってたとか?
 ……無いな。

「神楽坂、何しようとしてるんだ?」

「い、いえっ!!」

 しかし、心配だ。はぁ。
 イタズラ好きが多いからなぁ、このクラス。







 ……特に放課後まで問題は無かったなぁ。
 ネギ先生は落ち込んでたけど。
 どうやら授業中、またクラスの連中にイタズラされたらしい。
 ネギ先生の住む部屋も考えないといけないし、ネギ先生の授業も一回確認しに行かないとなぁ。
 でも、ネギ先生ってまだ10歳だから一人暮らしって無理だよなぁ。
 やっぱり神楽坂達に面倒見てもらった方が良いのかもしれん。
 こんな感じで思考が堂々巡りしてます。
 ――――担任が変わって仕事が増えるとは判ってたけど、こうまで疲れるとは。
 どうにも落ち付かないなぁ……。

「おー、絡繰。また猫にエサやってたのか」

 そういう時は動くのが良い、と言う事で散歩していたらいつもの場所で絡繰を見つけた。

「先生。お疲れですか?」

「んー、どうだろう」

 猫達に触ろうと腰を下ろし……逃げられた。
 何故だ?
 タバコも吸わないんだけどなぁ。
 そうやってしばらくの間遊んでいたら

「マスターが楽しそうでした」

 そう、絡繰が言った。
 ん? ああ、朝の事か。

「そうだな」

 英語の授業も真面目に受けたみたいだし、やっぱり知り合いなのかな?

「なぁ、絡繰」

「どうかしましたか、先生?」

「マクダウェルって、ネギ先生と知り合いなのか?」

「……ネギ先生と直接の面識は無いかと」

 そうなのか、やっぱり。
 うーん、だとすると……純粋に“天才”に興味があるのかな?
 ま、なんにせよあの子が何かに興味を持ってくれるのは良いな。
 クラスでも孤立気味だし、これが何か少しは切っ掛けみたいなのになると良いけど。

「おー、お前は撫でさせてくれるのかー」

 4匹目にして、やっと逃げない猫発見。
 真っ黒いから覚えやすいな、うん。

「この後ネギ先生の歓迎会がありますが、先生は行かれるのですか?」

「ああ。絡繰たちは?」

「マスターは欠席されるそうです」

「そうかぁ」

 なら、また迎えに行かないとな。
 マクダウェル宅は遠いから、今から行くか。

「マクダウェルはもう帰ったのか?」

「はい」

 今日は朝と夕の二回……良い運動になるね、まったく。

「お仕事の方は大丈夫なのですか?」

「……生徒はそういう事を気にしなくても良いんだよ」

「すみません」

 絡繰のこの堅苦しい喋り方にも慣れたもんだ。
 前は肩が凝りそうな気がしてたんだけどな。

「そうだ、絡繰。マクダウェルの携帯番号知ってる?」

「マスターは携帯電話を持っていません」

 機械が苦手なのです、と。
 今時珍しいアナログだな、アイツは。
 ちょっと笑ってしまった。

「あ、笑ったのマクダウェルに内緒な?」

「……はい」

 怒ると怖いんだよな。
 あの雰囲気は絶対中学生に思えない。
 さすがどこかのお嬢様。

「それじゃ、呼びにいくとするか」

 ん、と立ち上がって伸びを一つ。
 あー、猫に癒された。

「はい」

 あれ?

「絡繰は教室に行って良いぞ?」

 一人で行ってくるから。
 そう言おうとしたが、隣に並ばれていた。
 猫も散っていくし……もしかしたら、本当に絡繰と意思疎通してるのかもしれん。

「参りましょう」

「……絡繰は、マクダウェルが本当に好きなんだなぁ」

「そう、思われますか?」

「おー」

 前言ってたけど、“従者”って絡繰みたいな人の事を言うんだろうな、と。
 そう思った。
 今の時代は見かけなくなったけど、昔はこうだったのかもなぁ。

「そうですか」

「あ、そうだ」

「何でしょうか、先生」

「ネギ先生と仲良くしてくれな」

 絡繰は礼儀正しいから、他の連中みたいにはならないだろ。多分。
 ウチのクラスって、本当悪乗りが好きだからなぁ。

「……善処します」

「よろしくな」

 ちなみに、迎えに行ったマクダウェルに同じ事を言ったら物凄く怒られた。
 怒られたと言うか、何も喋ってもらえなくなったと言うか、睨まれたと言うか。
 とにかく怖かった。うん。
 迫力あるなぁ、アイツ。

「絡繰、さっきの内緒は、本当に内緒にしてくれ」

「判りました」

「………………何か言ったか?」

「いや、別に、何でも無い」

「ふん」

 ちなみに、ネギ先生は気付いたら宮崎と仲良くなってた。
 接点が無いと思ったんだが、意外な組み合わせである。
 神楽坂とも仲直りしてた。
 思ってたより、行動力があるのかもしれないな。
 この調子なら、大丈夫かもなぁ、と……淡い期待を抱いてみたり。
 しっかし、夜は大丈夫なんだろうか?
 はぁ……。



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