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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 51話
Name: ソーイ◆10de5e54 ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/04/01 23:50

「できたー!!!」

 と言う声と共に、クラスに居た皆が腰を落としたり、てに持っていた道具を頭上に掲げたり。
 それぞれの方法で喜びを表現する。
 何が出来たかと言うと、それは今年の麻帆良祭の出し物――メイド喫茶である。
 クラスの入り口から、内装まで。
 その全部が手作りという手の込みようだ。

「喜ぶのは良いが、明日から本番だからなー?」

「うぅ、先生が虐める……」

「苛めてないだろ」

 そう泣き真似をする朝倉に苦笑し、さて、と。

「でもまぁ、明日が本番なんだから、ハメを外し過ぎて怪我なんかするなよ?」

「判ってるって」

 そう言って親指を立てる姿を見ると……不安になる。
 いやもう、こう言う時が一番危ないからなぁ。

「ま、これから前夜祭もあるんだし、早く片付け終わらせよう」

「はい、先生も遅くまで付き合わせてしまいまして、申し訳ありません」

「そこは気にしなくていいが……」

 そう苦笑し、金槌やらを適当に纏める。
 コレを返して、生徒をちゃんと帰せば、俺の今日の仕事もお終いだ。
 後は明日。
 本番は、明日。
 そう思うと、感慨深いものがあるなぁ。
 たった二週間だったけど、それでも皆で頑張ったんだ……上手く行くと良いな。

「あ、先生」

「ん?」

 そう考えていたら、絡繰から声を掛けられた。

「どうした?」

「いえ。お荷物を持ちましょうか?」

「?」

 荷物……って、コレか?
 金槌やら、余った釘やらが入った荷物に視線を向ける。

「危ないし、重いからいいよ」

 それに、こういうのを生徒に運ばせるのは気が引ける。
 そう思い、それなりの重量がある荷物を抱え直す。

「大丈夫ですか?」

「大丈夫大丈夫」

 そうまで細く見られるのかな?
 心配してくれるのは嬉しいが、俺だって男なのだ。
 これくらいなら問題無い。

「絡繰も早く帰って、明日の準備をしなさい」

 ただでさえ、マクダウェルの準備も一緒にしないといけないんだろうし。
 それに、折角の祭りの前日なんだ。
 こういう細かいのはやってあげたいとも思う。
 明日からも、この子達が頑張る番だ。
 手伝ってあげれるのは、きっとこれくらいしかないし。

「雪広達も帰る準備してるし……」

「お手伝いします」

「ん……」

 そう強く言われてもな。
 どうやって断るかな、と悩んでいると、小さな影。

「せんせー」

「どうした、月詠?」

 月詠は、ちゃんと学園では先生、部屋では兄と呼び方を使い分けてくれる。
 この辺りは本当に小太郎にも見習ってほしいものだ。
 アイツはどこでも変わらないからなぁ。
 ま、それもアイツの良い所なんだが。

「どないしました~?」

「ああ、いや」

 顔に出ていたのか、月詠の心配した声。
 それに何でもないと応える。

「それで、どうした?」

「いえ、学園長さんにお呼ばれしまして~」

「学園長?」

「はい~」

 どうしたんだろうか?
 月詠を、と言う事は……まぁ、きっとそう言う事だろう。
 ん、と。

「判った。それじゃ先に……晩ご飯はどうする?」

「多分、そこまで遅くなりませんと思いますえ」

「そうか。小太郎もか判るか?」

「多分一緒だと思います~」

 なら、晩飯はいつも通りか。
 明日からは忙しいだろうし、焼き肉でもするかなぁ。
 小太郎喜ぶし、楽だし。

「判った」

「それで、宜しければ~」

 そう言って、その視線を隣……絡繰に向ける。

「判りました」

「よろしくお願いします~」

「ん?」

 そこで、2人で納得されてもな。
 一人首を傾げると、月詠が絡繰に頭を下げてくる。

「それでは、お兄さんをお願いします~」

「かしこまりました」

「……えっと」

 どういうことかな?
 出来れば、俺にも判るように教えてほしいんだが……?

「それでは先生、行きましょう」

「いや、だからな?」

「せんせー」

「ん?」

 そして、今度はこっちに頭を下げてくる。
 どうしたんだろう?

「今は色々、ゴタゴタして危ないですから茶々丸さんとエヴァさんと一緒に帰ってもらえますか~」

「……へ?」

「申し訳ありません~」

 いや、そう楽しそうに言われてもな?
 一応絡繰の方を見ると……いつもと変わらない表情。
 むぅ。

「いや、そこまでしてもらわなくても」

 一応大人だから、自分の身くらいは……と言えたら良いのだが。
 そう思い頬を掻こうとして、両手が荷物で塞がっている事を思い出す。

「あー……迷惑だろ?」

「いえ」

 ……そう。
 どう断るかな、と思うがどうにも断れそうにない雰囲気でもある。
 困ったな。

「それでは」

 そう悩んでいたら、その手が荷物を受け取ろうとこちらに差し出される。

「いや、こっちは持つから」

「……そうですか?」

「おー」

 それくらいは、と。
 しかし……良いのかなぁ。
 教室から出ると、日ももうすぐ沈もうという時間帯。
 他に生徒も良無くて、絡繰と2人で廊下を歩く。

「良かったのか? 他にやる事もあるだろうし……」

「大丈夫です」

「そうか?」

「はい」

 うぅむ。
 まぁ、絡繰が言うなら……と言う訳にもいかないだろ。

「こっちは何とかするから、先に帰って良いぞ?」

 そうそう、あんな物騒なのも……居ないと思うし。
 あの雨の日を思い出すと、少し息苦しい。
 ……本当に、月詠達は危ない世界に生きているんだと、理解してしまう。
 そう思うと、あの子の言う事を無碍にするのもな、と思う。

「いえ」

「そうか」

 まぁ、今後ああ言った人が来なければ、大丈夫だろう。
 今はまだ、言う事を聞いていないといけないか。

「なら、今日は一緒に帰るか」

「――はい」

 そう言うと、小さく笑う。
 ふむ。

「笑えるじゃないか」

「え?」

「いや、この前は笑えないって言ってたから……」

 今は簡単に笑えるじゃないか、と。
 そう言うと、驚いた顔。

「どうした?」

「……いえ」

 そうしてまた嬉しそうに笑い、その顔が伏せられる。
 少し、言い回しがアレだったかな……。
 心中で反省し、どうしたもんかな、と。
 とりあえず、今後はあんまりこう言う事は言わないでおこう。うん。

「先生」

「ん?」

 そのまま無言で歩き、職員室に道具を返した帰り、絡繰から声を掛けられた。

「どうした?」

「あの、こちらを」

 そう言って差し出されたのは、二枚のチケット。

「?」

 なんだろう?
 それを受け取り、眺める。

「マスターの囲碁大会の招待状です」

「……囲碁?」

「はい。囲碁です」

 それはまた……なんというか。
 そう言えば、マクダウェルは囲碁部と茶道部の兼用だったな。
 となると、こっちの茶道部のなんとかって書いてあるのは、茶道部用のか。

「こっちは?」

「そちらは……」

 学園祭中の茶道部の出し物って……なんだろう?
 思い付くのはやっぱりお茶だよな。
 それを振舞うのだろうか?

「……茶道部の、野点の、招待状です」

「野点?」

 って、えーっと……。

「屋外でのお茶会……のようなものです」

「へー」

 そう言うのも――そう言えば、偶にテレビでやってたような?

「でも、作法とか判らないぞ?」

「問題ありません。野点では、細かな作法は簡略化されております」

「というと?」

「以前よりはお気軽に、楽しめるかと」

「なるほどなぁ」

 それは良い。
 一度ネットで作法なんか調べたが、全く判らなかったからな。
 それなら俺でも何とかなるだろう。

「折角誘ってもらったからな、何とか時間作って行かせてもらうよ」

「はい。お待ちいたしております」

 お茶かぁ。
 本格的なお茶なんて、以前絡繰に点ててもらって以来だな。
 いつも飲むみたいなのじゃなくて、本格的なのはそう簡単に飲めないからな。
 コレは行かないとな。

「お待ちいたしております」

「時間とか書いてないけど、何時来た方が良い、ってあるか?」

「……あ」

 ん?

「先生の都合が良いお時間は、何時でしょうか?」

「俺?」

 んー……。

「学園祭期間中は、見回りばっかりしてるからなぁ。何時でも良いけど?」

「そうですか」

 まぁ、見回りの合間にクラスの出し物とかに顔を出すつもりだけど。
 他にも、いくつか見ておきたいのもある。
 だからまぁ、どっちかと言うと時間を指定してくれると助かる。
 こっちが合わせやすいから。

「それでは――」

 マクダウェルの囲碁大会の方は時間が決まっているので、絡繰の野点の時間を聞いて、携帯のアラームに時間登録しておく。
 学園祭は忙しいから、メモ帳に書いてても開くのを忘れるかもしれないし。
 アラームで鳴らせば、忘れる事は無いだろう。

「お待ちいたしております」

「さっきから、そればっかりだなぁ」

 苦笑してしまう。
 そんなに待たれると、何と言うか。
 こっちは初心者にもなれないような素人なんだから、そう期待されてもなぁ。

「そうでしょうか?」

「ま、絶対行くよ」

 折角誘ってもらったしな。
 眼前で2枚のチケットをヒラヒラと揺らす。
 そう言えば、こうやって生徒から誘われるのって初めてだなぁ。
 うん――こう言うのは、本当に嬉しい。

「……はい」

「絡繰のお茶は美味かったからなぁ」

 うん。
 楽しみだ。

「――お待ちいたしております」

「また言ったな」

「……そうみたいです」

 そう言って、笑う。
 嬉しそうに、楽しそうに。
 うん。
 やっぱり、こうやって笑ってる方が良い。
 クラスの皆の前でも、笑えば良いのに。
 そうすればもっと、皆と仲良くなれるだろうに。
 まぁ、そこは俺が言うような事じゃないか。
 そう言えば、囲碁のルールも判らないなぁ。
 後で調べるか。







「へ?」

 最初に漏れたのは、そんな気の抜けた声だった。

「世界樹伝説って……アレ?」

「ああ。この前新聞に載って無かったか?」

 ……やっぱりアレか。
 少し頭痛を感じるのは、きっと気の所為なんかじゃない。

「え? あれって本当なのか?」

「まぁ、普通は信じられんだろうなぁ」

 まさか、本当に願い事が叶うなんてお呪いがあるなんてなぁ。
 魔法って、結構身近にあるもんなんだな。
 帰り道、マクダウェルから告げられるのは――世界樹伝説、それが本当だと言う事だった。
 いや、さすが魔法。
 そんな事まで出来るのか……教師としては、頭が痛いばかりである。

「そう言う訳だから、くれぐれも告白されないようにな?」

「それは大丈夫だが……見回りが大変そうだな」

 今までは少し簡単に考えていたけど、コレは少し骨が折れそうだ。
 告白したら、その成功率は100%。
 呪いにも似たものらしい。
 ……どうしてそんな魔法なんか作ったんだろう?
 そう聞くと、マクダウェルは呆れたような溜息を吐き、一言。

「魔法使いは馬鹿が多いんだよ」

 らしい。
 お前も魔法使いじゃないのか、とは言わないようにした。
 きっと、魔法使いにも色々居ると言う事だろう。

「まぁ、その辺りはじ……学園長の方からも話が来たから、きっと麻帆良の魔法使い総出でどうにかするだろうよ」

「へぇ……魔法使いって、そんなに多いのか?」

 それは初耳だった。
 知ってる魔法使いって、ネギ先生にマクダウェル、近衛に瀬流彦先生と葛葉先生くらいだし。
 後桜咲と月詠と小太郎か。
 きっと、まだまだ居るんだろうなぁ。

「興味があるのか?」

「……んー」

 どうだろう?
 魔法使いに興味がある、って聞かれたらあるけど……多分マクダウェルが聞きたいのは、別。
 魔法使いではなく、魔法。
 見上げてくるその視線が、厳しい。
 う、と思わず少し怯んでしまう。

「あんまり、そう言うのは?」

「ああ。関わらないでほしい」

「そうか」

 なら、もう聞かないようにしよう。
 それが無くても、出来る事は……少しだけどあるんだし。

「んじゃ、どうする? これから晩のおかず買って帰るけど?」

「……ふん。月詠に頼まれたからな」

 付き合うさ、と。

「そうか? アレなら……」

「付き合うと言っただろうがっ」

 ……少し、気まずい。
 魔法、か。
 こうやって一度関わってみると、それがどれだけ身近にあったのかが判ってしまう。
 世界には不思議が満ちている。
 あの老人は、俺が最初に出逢った……魔法使い、と言えるのかもしれない。
 そして、2人目は。

「どうした?」

「いや」

 本当に、違う。
 悪魔と吸血鬼、なんだよな。
 見た目は本当に人間なのに。

「ウチで食べていくか?」

 どうして、そう言ったのか。
 多分、少し――不安になったからだろう。
 マクダウェルとの距離。
 吸血鬼と人間。
 生徒と教師。
 それが、ひどく脆いものに感じてしまったから。
 なんの力も無い人間が、凄い魔法使いに出来る事が――。

「良いのですか?」

 応えたのは絡繰。
 それに苦笑し。

「付き合ってもらったからな。晩は焼き肉にでもしようかなって思ってるんだが……」

「お作りいたします」

「いい、いい。客に晩ご飯を作ってもらう訳にも……」

「いえ」

 そのまま、何度か問答を繰り返していると、

「良いから、茶々丸に任せておけ」

「……だがなぁ」

「どうせ、マトモな料理はまだまだ苦手なんだろう?」

「う……」

 いやまぁ、そうなんだがな?
 それでも少しは、こう、大人の見栄と言うか……。

「なら、言い方を変えよう。茶々丸に手伝わせてやってくれ」

 珍しく、マクダウェルからそう言われてしまった。
 いや、珍しくと言うか……初めて?
 まぁどちらにせよ――だ。

「ぐ……楽しそうだな」

「勿論だとも」

 そんなに俺が困る所を見るのが楽しいか。

「……よろしく頼む」

「かしこまりました」

 そう言った時だった、

「先生」

 そう、絡繰から後ろに引き倒された。




――――――エヴァンジェリン

「超、どうした?」

 いきなりこちらに倒れ込んできたのは、知った顔だった。
 超鈴音。
 クラスメイトであり、色々と――。

「おや、エヴァンジェリンに先生。丁度良い所に」

「丁度って……」

 そう言った瞬間、

「マスター」

 黒い影が、10体ほど。
 おいおい……いくら人通りが少ないからって、いきなりか?
 というか、これだけの数に囲まれるとアレだな……あの台所の黒いのに見えてくるな。
 かなり気持ち悪い。

「ちっ」

 コレだからこの学園の魔法使いは……。

「私、怪しいヤツに追われてるネ」

「嘘付け」

 まったく。
 この“影”は知っているぞ?

「そう言う事は、ぼーやにでも言った方が良かっただろうな」

 あっちは、この影の事は知らないだろうしな。
 ……知っていても、この外見だ。
 “敵”と勘違いされても、あの女も文句は言えんだろうが。
 何だこれは?
 黒いマントに漆黒の体躯を隠し、白い仮面で顔を覆っている異形。
 まさに“悪魔”そのものじゃないか。

「げ、エヴァンジェリン。この影の事知ってるカ?」

「当たり前だ」

 はぁ。

「え、っと……」

 っと。

「茶々丸、警戒を解け」

「よろしいのですか?」

「構わん。…………味方だ」

 味方、と言うのは少し違うだろうが。
 そうあながち間違い、と言うものでもないだろう。
 少なくとも、この学園都市に居る間は。
 しかし……。

「先生、怪我は?」

「あ、ああ。無いけど……コレ、何だ?」

「気にするな」

「……いや、これはちょっと……」

 だよなぁ。
 だが、その驚いた顔は少し新鮮だ。
 悪いとは思うが、小さく笑ってしまう。

「安心しろ、こんなの1000体居ても、私の敵じゃない」

「それは頼もしいネ」

「……いきなりこっちを巻き込んだお前を、助ける義理も無いがな」

「冷たいネ」

 そうか?
 いきなり首を刎ねないだけでも、随分と温情ある扱いだと思うがな。

「超、大丈夫か?」

「はい。先生は優しいネ」

「はぁ……お前も魔法使いなのか?」

「ううん、私は……秘密の多い女ネ」

 なんだそれは? まったく。
 まぁ、超の事は後で良いか。

「茶々丸、誰がこっちに来ている?」

「ガンドルフィーニ先生と、高音さんです」

 ……また、頭の固いのが……。
 こっちは頭が痛くなってしまう。
 一体何やらかしたんだ、コイツは?

「ガンドルフィーニ先生?」

 あ……。
 しまったな。

「茶々丸、先生を連れて先に買い物に――」

「いえ、もう遅いかと……」

 しまった。
 右手で顔を覆うように隠し、溜息を一つ。
 くそ――少し、浮かれていたかな。
 はぁ。

「む……」

「よう……」

 互いに引き攣った声が出た。
 そりゃそうだろう。
 以前は、水と油みたいな関係だったんだ。
 それが顔を合わせて……しかも、厄介事の最中だ。

「一人か?」

「いや……しかし、どうして“闇の福音”が超鈴音と?」

「――人前で、その名を呼ぶな」

「……すまなかった」

 ふん。
 やはり、お前達魔法使いのそう言う所は嫌いだ。
 危機感が無く、人前で平気に魔法を使う。
 ……記憶を消さばいいと、そんな甘い考えなんだろう。

「この影をさっさとひっこめろ。仮装で隠せるか怪しいぞ?」

「ぅ……それもそうだな」

 まったく。

「あの影使いの娘は?」

「もうすぐ……来た」

 そう言って来たのは……2体の黒い影人形を従えた女。

「おい、影使い。人前で魔法を使うなっ」

「う……コレは護衛にですね」

「そんな言い訳があるかっ」

 何を堂々と使ってるんだ、このアホは。
 そこにはガンドルフィーニも同意らしく、頭を抱えていた。

「グッドマン?」

「へ?」

 なに?

「……先生。こんな所で何を?」

「いや、帰ってた途中なんだが……」

「お2人は、知り合いなのですか?」

 ああ。
 それは知らなかったぞ。
 そう視線を向けると、

「ああ、この前――」

「わ、わーっ、そ、それは今は良いんじゃないでしょうかっ」

 …………怪しい。

「何を話したんだ?」

「ん? ……ま、まぁ、グッドマンも嫌そうだし……」

 む。

「……後で教えてもらうぞ?」

「いいではないですかっ、別にっ」

「まぁまぁ。それより、まずは高音君?」

「あ、はい」

 そう言うと、私達を囲んでいたゴ……黒い影が、その自身の影に沈んで消える。
 ……だから、目立つ事をするなと。
 まぁ、こんな事だろうから、この街の認識阻害の結界があるんだろうが。
 はぁ。

「それで、何があったんだ、超?」

 そう切り出したのは、先生。
 慣れたと言うか、危険が無いならそう気にしないのだろうか?
 そう言う所は、本当肝が据わってるな。

「彼女が問題児、要注意人物からですよ、先生」

「要注意?」

 そう言えば、そうだったな。
 でも、麻帆良に来てからこれまで、行動らしい行動もしてなかったしな……。
 ついに何かしたのだろうか?

「先ほども、私達の話を盗み聞きしていたみたいだしね」

「う」

「……何をやってるんだ、お前は」

 はぁ、と。
 小さく溜息を吐いて、その頭を軽く――触れる様に叩く。

「先生、彼女を渡してもらえるかな?」

「どうしても、でしょうか?」

「……聞いていなかったのかい?」

「先生」

 その袖を、軽く引く。
 止めておいた方が良い、と。
 分が悪い、と。

「超、どうしてお前は盗み聞きなんかしたんだ?」

「興味本位ネ」

「よくもまぁ、そう言えるもんだね」

 だな。
 今回ばかりは、私も同意見だ。
 目が付けられているのに、そう言った行動に出たのだ。
 きっとリスク以上に何か目的があったんだろうが……。
 茶々丸に視線を向ける。
 ……どうやら、何も知らないらしく、首を小さく横に振られた。

「超、本当にただの興味本位なのか?」

 そう言い、再度質問。
 しかし、

「そうネ」

「そうか、判った」

 先生は、相変わらず“先生”だった。
 はぁ……。
 これからこの人が何を言い出すか判っているだけに、こっちは頭を抱えるしかない。
 まったく。
 良いのか? 苦労する事になるぞ?

「えーっと、今回は……自分からきつく言っときますから、見逃しては――」

「駄目だ」

 ですよねぇ、と。
 はぁ。
 ま、今更か。
 そしてそれは――きっと、私も同じだ。

「私も見張っているよ」

 そう思った時は、声を出していた。

「なに?」

「先生と私と茶々丸と、あと先生の所の居候二人。この後怒って、学園祭中は目を光らせとく。それでどうだ?」

「……本気で言っているのか?」

「ああ。それに、学園祭中は何かと忙しいんじゃないか? 今年は特に」

「む……」

 今年は確か、じじいが何とかって言ってたからな。
 その事で、魔法使い連中は忙しいはずだ。
 超一人に割く時間は無いだろう。

「だが」

「偶には信じろよ」

「――――――」

 そ、そこまで驚かれると、怒るどころか、逆に笑えてくるんだが?
 はぁ……まぁ、今までが今までだったからな。

「頼む」

「……一応、学園長に、その事は伝えるからな」

「ああ」

 そうしてくれ、と。
 逆に助かるよ。こっちから言いに行かずに済むしな。

「――――本当に、良いんだな?」

「ああ」

「判った」

 そう言い、向け歩み去ろうとするその背に

「すまないな」

「――――」

 はは……。

「見てみろ先生、手と足の動きが変だぞ」

「……そう言うのは、言わないの」

 ポン、と、撫でるように頭を叩かれる。
 ふふ。
 確かにこれは――楽しいな。

「これで……」

「ん?」

「いや」

 少しは――役に立てただろうか?
 だが、問題はこれからか。
 はぁ……今年の麻帆良祭は、本当に……楽しくなりそうだなぁ。

「お前も帰れ、影使い」

「……エヴァンジェリンさん」

「なんだ?」

 そして、何かを言い淀むように、その右手で口元を隠す。

「あ、いえ」

「言いたい事があるなら、言え」

 今までは、言いたい事は言ってただろうが……陰から、だったが。
 それはそれで問題なんだが、今は良い。

「ほら、待っててやるから」

「う……」

 まるで明日菜にするように、待つ。
 静かに、のんびりと。

「え、えっと……ですね」

「ああ、なんだ?」

 ――――そして、勢い良く頭を下げた。
 な、なんだ?
 驚いて、一歩後ろに下がってしまう。

「すみませんでしたっ」

「は?」

「これからは、私も――エヴァンジェリンさんを……」

「私を?」

 ……そこまで言うと、何を思ったのか、逃げだした。
 何なんだ、一体?
 そりゃ、言いたい事を言えとは言ったが……意味不明なのは困るんだが?

「何を笑ってるんだ?」

「あーいや……うん」

 そう言えば、

「どうして、あの影使いと知り合いなんだ?」

「……う、思い出したか」

「ふん。後で聞かせてもらうからな?」

「うへ」

 ……ふん。
 まぁいい。
 まずは、

「先生も魔法使いだったカ?」

「へ? いや……」

 はは、この人が魔法使いか。

「魔法は一つも使えないがな」

「……しょうがないだろ」

 そうだな。
 しょうがない。
 でも、魔法が使えないのに、魔法使いの問題に首を突っ込むのはどうかと思うがな。
 ――しょうがないか。
 “先生”だもんな。

「ま、もう庇えないと思うからもう問題は起こさないでくれよ?」

「判ったヨ」

「おー」

 はぁ。

「超。お前のお陰で、私達は仕事が一つ増えたんだが?」

「それは悪いと思ってるネ」

 本当か?
 疑わしいもんだ。

「でも、今は何も返せる物が無いネ」

「気にするな。ま、だれにも迷惑掛けずに学園祭を楽しんでくれればそれで良いよ」

「……難しいかもしれないネ」

「……そこは、同意してくれよ」

 まったくだな。
 元気に走り去っていく背に、先生と2人で溜息を一つ。

「晩飯、買いに行くか」

「そうだな」

 先生の提案に同意し、歩き出す。
 はぁ、疲れた……。

「そう言えば先生は、前夜祭にはいかないのか?」

「前夜祭? ああ、世界樹前広場の……」

 んー、と悩む事数瞬。

「小太郎達が帰ってきたら、考えるよ」

「そうか」

 ま、

「行くなら、一緒に行くか?」

「そうだな」

 しかし、超のヤツ……何をする気なんだか。
 魔法使いと敵対でもする気か?
 はぁ。
 今年の麻帆良祭は、先生ではないが……苦労する事になりそうだな。

「先生。今晩は何を食べたいですか?」

「マクダウェルは、何食べる?」

「……悩みなさそうだな、2人とも」

「まさか」

 そうか?
 さっきの超の事、どうする気なんだか。

「しょうがないだろ。先生なんだから」

「そうだな」

 先生だからな、貴方は。
 クツ、と。
 小さく笑うと、先生も釣られたように笑う。

「ありがとうな、マクダウェル」

 それは、さっき口を挟んだ事だろうか?
 それに苦笑し、

「……気にしなくていい」

 これは、私の為でもあるのだから。






――――――チャチャゼロさんとさよちゃんとオコジョ――――――

「祭りだぜ、さよ嬢ちゃんっ」

「そうですねっ」

「テンション高イナァ、オ前ラ」

「祭りでテンション低かったらどうするんすかっ」

「まったくですっ」

「ソーカイ」

 うわぁ。

「テンション低いっすね」

「人混ミ嫌イダシ」

「そうなんですか?」

「マ、俺ハ俺デ楽シムサ」

「うっす」

「今日は早く寝ますよー」

「睡眠必要無インダガナ、俺タチハ」

 あー、早く明日にならないかなぁっ




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