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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 44話
Name: ソーイ◆9368f55d ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/03/23 23:24
 その日、携帯の電子音で目を覚ました。
 うー……。
 枕元にあるそれを止め、二度寝しないように上半身を起こす。
 ねむ……。
 昨日に続いての、早い時間の起床。
 ふぁ、と欠伸を一つしてベッドから抜け出す。
 この新しい部屋での生活二日目……この場合三日目になるんだろうか?
 まぁいいや。
 とにかく、今日も朝食と――今日は、昼食も作らないといけないのか。
 昼食というか、弁当。
 弁当である。
 ……やっぱり、一回誰かに料理というものを教わった方が良いかなぁ。
 そんな事を考えながら、キッチンへ。
 うん、ご飯は炊けてるな。

「ふぁーーーーー」

 ねむ。
 一回顔洗うか。
 丁度キッチンだし……って、タオル無いや。
 ……絶対指切るよな、俺だし。
 内心で肩を落としながら洗面所へ行き、顔を洗う。
 少しさっぱりした。
 とりあえず、頑張るか。
 小太郎達が起きてくる前に着替えてしまい、その上から昨日買ってきた藍色のエプロンを付ける。
 ……ちなみに昨日の朝食時は付けて無かったので、シャツを一枚駄目にしました。
 油って跳ねるんだ、という事を知りましたね。
 そんな事を思い出しながら、キッチンにたつ。
 弁当って言ったらやっぱり卵焼きだよなー、と。
 うむぅ。
 一応メニューとしては、卵焼きに焼き魚、アスパラの肉巻きとサラダの予定。
 楽そうだし。……卵焼き以外。
 スイマセン、多分料理舐めてます。
 まず最初に心中で謝ってから、キッチンに立つ。
 ふぅ。

「よっし」

 気合を一つ。
 今日からはあの子達も学校だ。
 昼は弁当が必要だろう。
 ついでに朝食の分も作るとして……うーむ。
 どれくらい作れば足りるんだろう?
 その辺りの分量が、さっぱりわからない。
 ……少し多めに作って、余ったら晩飯にすれば良いか。
 グリルに昨日買った塩サバを入れ、まずはアスパラを豚のバラ肉で巻く事にする。
 アスパラ2本をバラ肉でグルグルに巻き、爪楊枝で形が崩れないように。
 それを一人2つだから……6つ。
 一応作り方は、昨日ネットで調べたんだけど、結構簡単だな。
 後は塩コショウを振って味付けだろ?
 俺って料理の才能あるのかもなー、と調子に乗りながら、人数分作っていく。
 ……この時点で、30分くらいかかってた。
 何で気付いたかというと、途中で魚が焼き上がったから。
 うん。俺に料理の才能は無いな。
 そう再確認して、肉巻きを油をひいたフライパンで焼いていく。
 良い匂いだなぁ。
 というか、少し煙い……換気扇回してなかった。
 むぅ。

「おはよー……」

「おー。おはよう小太郎、顔洗ってきたか?」

「まだー。ええ匂いしたからー」

 匂いで起きてきたのか……そう言えば昨日より10分くらい早いな。

「顔洗って来て、テレビでも見ててくれ」

「おー……」

 朝弱いのかな?
 昨日は結構目が覚めてたけど。
 まぁ、疲れが取れてないんだろうな。
 それに、いきなり他人と一緒に生活……環境が変わったんだから。
 精神的にもキツイんだろう。
 こればっかりは、慣れてもらうしかないしな。
 っと。
 程良く焼けた肉巻きをまな板に取り上げ、フライパンは流しへ。
 さて、と。

「おはよーございます~」

「おはよう、月詠。……?」

 あれ? 小太郎は?

「小太郎知らないか?」

 お前より先に起きてきたんだけど、と。

「見てまへんえ~」

「そっか。顔洗ってきたか?」

「いえ~」

「なら、先に顔洗ってきてくれ」

 はい~、と少し間延びした声。
 聞いてると眠くなってくるなぁ、と苦笑い。

「おはよう、兄ちゃん」

「おー。さっぱりしてきたか?」

「おう」

 月詠と入れ替わりに来たのは小太郎。
 顔を洗ってたのか。
 そう言いながら、テレビを付けてニュースを見始める。
 その音を聞きながら、肉巻きを包丁で二つに切り分ける。
 あとは……卵焼きか。
 サラダはキュウリとレタスを適当に切って、マヨネーズを使えば良いだろうし。
 ……卵焼きである。
 フライパンを手早く洗い、コンロの火を点けて乾かす。

「兄ちゃん、朝飯はー?」

「ちょっと待ってろー」

 上手くいくだろ、うん。
 使う卵は3つ。
 ボウルに纏めて割り、それを解く。
 これくらいかな?

「お兄さん、調子はどうですか~?」

「おー、小太郎とテレビでも見て待っててくれ」

「…………ん~」

 そうは言ったが、なんでかこっちに来る月詠。

「どうした?」

「おいしそーですね~」

「……食うなよ?」

 昼飯無くなるからな。
 解いた卵に砂糖を入れながら、そう言う。
 目分量って書いてあったけど、これくらいかな?

「生殺しですわ~」

「そう思うなら、テレビでも見てなさい」

 まったく。
 凄く強いらしいけど、こういう所は子供だなぁ、と。
 でもまぁ、ここで甘やかすと今日の弁当が無くなるしなぁ。
 そんな事を考えていたら、呼び鈴が鳴った。

「ちょっと見てきてもらって良いか?」

「はい~」

 新聞の勧誘とかだったら断れよー、と。
 まぁ、こんな時間に新聞の勧誘なんて無いだろうけど。
 ……そう考えると、こんな時間に誰だ?
 うーむ。
 ま、いいか。

「よし」

 一つ気合を入れ、フライパンに解いた卵を少し垂らす。
 それを薄く伸ばし……一つ気付いた。
 あれ? 卵焼きって四角じゃないっけ?
 フライパン丸いんだけど。
 ……あれぇ?
 薄く伸ばした卵を、箸で何とか四角にしそれを丸めようとしたら……崩れた。
 うむ。
 それを一か所に纏め、残った卵を垂らす。
 さっきまとめた卵で巻いていくんだよな……。
 そう考えながら、箸を動かす。
 月詠が部屋に入ってきて何か言ってたので、適当に相槌を打つ。
 ここをこうして……。
 ……失敗した。
 やっぱり、丸いフライパンで卵焼きは無理だよなぁ。
 ちなみに卵は、スクランブルエッグになりました。
 ――素人だからしょうがないさ。
 そう自分に言い訳をする。
 ゆで卵でも作るかなぁ。

「こっちですえ~」

「ん?」

 月詠?

「おはようございます、先生」

 月詠の後に部屋に入ってきたのは絡繰だった。
 なんで?

「料理を出来る方が居られないと聞きましたので」

「…………おー」

 こう言っちゃ悪いんだろうけど、絡繰が救世主に見える。
 しかし、だ。

「その背中は何だ?」

「マスターです」

 何で寝てるんだ、そいつは。
 はぁ、と小さく溜息。
 まぁ早い時間だしな。

「俺のベッドで良かったら、寝かせてやってくれ」

「……申し訳ありません」

 いやいや、こっちこそ来てもらって悪いな、と。
 油断した。
 多分、一昨日超包子で晩ご飯を食べた時だろう。
 あの時の話を覚えてたのだ。

「良かったですね~」

 絡繰と挨拶をしている小太郎を見ながら、そう一言。
 ……教師としては、情けない限りではあるが、本当にそう思う。
 やっぱり、独学で料理は少し無謀だったか。
 甘く見てたなぁ。

「で~、これは何でしょうか?」

 スクランブルエッグを指差しながら。
 むぅ。

「今日の朝飯?」

「上手いこと言いますね~」

 褒めてないだろ、絶対。
 まぁ判るけどさ。

「お待たせしました」

「いやいや、全然待ってないぞ」

「そうですか?」

 あ、

「エプロン、使うだろ」

 自分が使っていたのを脱ぎ、絡繰に差し出すと……首を傾げられた。
 なんで?
 あ、男物だし、やっぱり気にするのかな?

「制服が汚れるぞ?」

「そ、そうですね」

 どうしたんだろ?
 もしかして、男物が恥ずかしいとか?
 ……うぅむ。
 まぁ、絡繰に限ってそれは無いか。
 ほら、受け取ってエプロン着たし。

「ご飯はどうします~」

「そのまま詰めるつもりだけど……」

「おにぎりにでもしません?」

「……おにぎりか?」

 別に良いけど。

「あと、何を作る予定だったのでしょうか?」

「あ、えっと……あと、卵焼きとサラダを」

「了解しました」

 でも、

「フライパンそれしかないけど、大丈夫か?」

「問題ありません」

 うお……。

「心強いですね~」

「おー」

 本気で、今度なんか絡繰にお礼しないとなぁ。
 その手元を見てると、俺なんかとは違い、スムーズに行動している。
 だって片手で卵割ってるし。
 なにそれ。凄すぎるんだけど……。
 もうなんか、次元が違うな、うん。

「見とれてないで、おにぎり握りましょ~」

「お、そうだったな」

「……………………」

 さて。
 おにぎりか。
 炊飯ジャーを開けると、ちゃんとご飯は炊けている。
 
「月詠、おにぎり握った事あるか?」

「おにぎりくらいでしたら~」

 うお、そうか。
 俺は無いなぁ。
 まぁ握るだけだろ? 卵焼きに比べたら、簡単過ぎるな。
 そう思ってた時が、俺にもありました。

「ぷっ」

「……あれ?」

 何で丸?
 三角にならないんだが?
 どうしてだ?
 手をくの字に曲げて、握ってるんだけどな……なんでだ?
 あれー?

「ほっ、と」

「……上手だなぁ」

 真似してるつもりなんだけどなぁ。
 何が違うんだろう?
 これで三つ目である。丸のおにぎり。

「おい、小太郎ー」

「んー?」

「ちょっとおにぎり握ってみてくれ」

 えー、とは言いながらもこっちに来る小太郎。
 少しは興味あったのかな?
 そう考えていたら、隣に小太郎が来る。

「マクダウェルは?」

「めっちゃ寝てる」

 ……さすが吸血鬼。
 朝は苦手なのか、やっぱり。
 でも今まで起きれてたんだが……って、それでもまだ早い時間なのか。
 学園も近いし、この時間に起きれるなら楽出来るなぁ。

「うお、丸おにぎりやんか」

「……今日の昼飯だ。お前も握ってみろ」

「おっけー」

 そう言って袖をまくりあげる小太郎。
 流石に4人だとキッチンが少し狭いので、一歩下がって、後ろから絡繰を見る。
 ……丸のフライパンで、どうやって四角の卵焼きが作れるんだろう?
 本気で凄いな。

「…………………」

「凄いな」

「……そうでしょうか?」

「おー」

 どうやったんだろう?
 まぁ、今日の帰りにでも四角のフライパン買ってこよう。
 卵焼き用のって売ってあるよな?

「あれ?」

「お犬も人の事言えまへんなぁ」

「うっさい。ちょっと待っとれっ」

 ん?

「何だ小太郎。この丸いの」

「……兄ちゃんだって、丸やん」

「……まぁ、なぁ」

 うむ。
 だがまぁ、何となく嬉しい訳だ。うん。

「男の人は、料理が下手ですな~」

「「……むぅ」」

 言い返せないのが辛い。
 この丸が答えだし。
 って言うか、炊いてたご飯が全部おにぎりになっていた。
 まぁ、朝食に食べても良いか。

「お野菜は、適当にお使いしても?」

「おお。そっちもお願いして良いのか?」

「構いません。少々お待ち下さい」

 ……絡繰は凄いなぁ。
 俺もう、頭上がらないな……。







 おにぎりを弁当箱に詰め終え、朝食を運んでいたら、マクダウェルがベッドの上で上半身を起こしていた。
 絶対まだ寝てるな。
 ……どうして制服姿なんだろう? 絡繰が寝てる間に着せたのかな?

「…………何で先生が居るんだ?」

「そりゃ、俺の部屋だからなぁ」

 あ、俺たちか。

「…………なに?」

「顔洗ってきたらどうだ?」

 玄関の隣に洗面所あるぞ、と。

「……ああ、そうする」

 アイツ、本当に朝弱いんだな。
 フラフラと部屋から出ていくマクダウェルを目で追いながら、そう思う。
 ……そう言えば、寝起きのマクダウェルは初めて見た気がする。
 まぁ、生徒の寝起きなんて見る機会無いんだけどさ。

「どないかしたん、兄ちゃん?」

「んあ、いや」

「はよ、飯にしようや」

「そうだな」

 小さなテーブルにおにぎりやら、弁当の残りやらを置きながら、テレビを点ける。
 ……今日は晴れか。
 来週も晴れだと良いんだが。

「さ、ご飯たべましょ」

「だな。絡繰も一緒にどうだ?」

「はい」

 四人で小さなテーブルを囲み……マクダウェルが戻ってくる。

「中々良い部屋じゃないか」

「新しいからな」

「そうだな。あまり汚さないように、気を付けるんだな」

 だなぁ。
 掃除もしないとなぁ。
 視線は、まだ開けていないダンボールへ。
 まぁ、こっちは俺の私物だからいいか。

「掃除の当番も決めないとなぁ」

「……マジでか」

「マジでだ」

 まったく。
 おにぎりを一つ取りながら、そう問答する。
 まだまだ、決めて無い事とかいろいろあるなぁ。
 やる事も多いし、多分まだ気付いて無い事もあるだろう。

「お、うまい」

「おおきに~」

 やっぱ、三角おにぎりは良いなぁ。
 ちなみに、何の罰ゲームか、丸のおにぎりは弁当箱の中に一個ずつ収まっている。
 ……勘弁してほしい。
 朝食は、おにぎりにスクランブルエッグ、サラダに味噌汁である。
 ――絡繰には、本当に頭が上がらない。

「それで、どうして私は先生の部屋に居るんだ?」

「……さあ?」

 俺に聞かれても。
 絡繰が連れて来たとしか言えないんだが。
 そう思い絡繰を見ると、

「…………………」

 黙々とおにぎりを食べていた。しかも、丸を。

「…………美味いか?」

「はい」

 そりゃ良かった。

「聞いてるか?」

「絡繰が連れてきたんだが?」

「……茶々丸?」

「なんでしょうか?」

 はぁ。

「食べながら話すんじゃない、絡繰」

「申し訳ありません」

 一応、形だけだがそこは注意しておく。
 月詠はともかく、小太郎は確実に真似するだろうから。

「だからな? どうして私を先生の部屋に連れてきたんだ?」

「朝食をこちらで取れば問題無いかと」

「……いや、おかしいだろ」

 そう言うマクダウェルに意見に、俺も頷く。

「ですが、マスターの同意もいただきました」

「……なに?」

「今朝早くにですが」

 …………絶対寝惚けて相槌うったな、マクダウェル。

「でも。助かったけど、そう言うのは良いからな?」

「……はい」

 うーむ。
 今度、誰かに料理教えてもらうかなぁ。

「美味い飯が食えるなら、俺は大歓迎やけどなぁ」

「そう言う訳にもいかないんだよ」

 色々あるのだ、教師には。
 ……世間体とか、色々。
 大人の世界ってのは、難しい。

「ま、いい。とりあえず食うか」

 そうしとけ。
 なんか小太郎が凄い勢いでおにぎり食べてるから。
 すぐ無くなるぞ。

「しかし、これは無いだろ」

「う」

 まぁ、なぁ……。
 なんで丸なんだろう?
 ちゃんと月詠の真似をしたんだがなぁ。

「下手だなぁ」

「「う」」

 むぅ。

「そう言うマクダウェルは、おにぎり握れるのか?」

「三角に握るだけだろう? 簡単だろうが」

 ……ふむ。
 絶対握れないな。
 そう思いながら、味噌汁を飲む。
 朝から味噌汁が贅沢に思えるのは、今までどんな食生活だったのか。
 まぁ、そう言われたらコンビニ弁当だったんだけど。
 味噌汁なんて、何時振りだろう?
 豆腐とわかめの味噌汁を飲みながら、おにぎりを食べる。
 つい数日前は一人の朝食だったのに……一気に賑やかになったなぁ。

「どうしたんですか~?」

「いやぁ、賑やかだなぁ、って」

 こう言うのも偶には良いなぁ、と。
 そう思い、苦笑。
 これからは、しばらくは一人の朝食じゃないんだな、と。







「おはよーございます、せんせ」

「うわ、今日は賑やかね、エヴァ」

「……ふん」

 結構な人数で学園に向かっていたら、学園近くの十字路で神楽坂達と会った。
 といっても、その話しぶりだとマクダウェルを待ってたって所か。

「おはよう、2人とも。龍宮と桜咲もおはよう」

「おはよ、先生」

「おはようございます」


「ネギ先生、おはようございます」

「おはようございます、先生」

 しかしまぁ……。

「賑やかやなぁ」

「だなぁ」

 しかも、男は俺と小太郎、ネギ先生の三人である。
 まぁ、仕事柄……と言って良いのかな?
 ネギ先生は、こんな気持ちをずっとなんだろうなぁ。
 歩きだした女子の一団を後ろから眺めながら、そう思う。

「女子寮の生活も大変なんですね……」

「は、はは……」

「なんや、ネギ。お前女ん所に住んでんのか?」

「え、う――」

 コツ、とその頭にゲンコツを軽く落とす。
 まったく。

「ネギ先生、な?」

「う……わ、わかった」

 ま、同い年くらいだしな。
 そう堅くも言えない……のかな?

「ま、せめて休みの日以外はそう呼んでくれ」

「……あ、ああ」

「小太郎君は本当に先生と一緒に暮らしてるんだね」

 ん?

「ええ。昨日もそう言ったじゃないですか?」

「先生は、この前まで魔法の事なんて何も知らなかったじゃないですか」

 ……まぁ、そうですね。
 というか、存在してるのは知ってますけど、まだ見た事無いですけど。
 見せて、って言ったらやっぱり怒られるんだろうな。
 魔法使いって秘密らしいし。

「そういや、ガッコこっちやったか」

「ん?」

 ああ。

「そうか、ちゃんと授業受けるんだぞ?」

「判ってるって」

「それと、判らない所はちゃんと聞くんだぞ?」

「はいはい」

「はい、は一回」

「はい」

 えっと、あとは……。

「喧嘩はするなよ?」

 お前、なんか喧嘩っ早いらしいし。月詠の話だと。
 そう言うのはすぐ目を付けられるからなぁ。

「う……ま、まぁ気ぃつけるわ」

「よし」

 うん。

「頑張ってこいよー」

「……はぁい」

 しかし……大丈夫だろうか?
 心配だ。凄く。
 俺たちとは別の方向に歩いていくその背を、目で追う。
 担任の神多羅木先生には話はしてるんだが……大丈夫かな?
 うぅむ。
 やはり、初日くらいは付いて行くべきだったか。
 けど、神多羅木先生も魔法使いの先生らしいし、事情は判ってくれる……だろう。
 うん。凄く不安だ。

「どうしたんですか?」

「いやー……小太郎が、ちゃんと出来るかなぁ、と」

「小太郎君だって、授業はマトモに受けますよ」

「だと良いんですが……」

 先生は心配性ですね、と言われてしまった。
 でもですねぇ……うーむ。
 口悪いからなぁ、アイツ。
 心配だ。





――――――エヴァンジェリン

「それでは。月詠さん、入ってきて下さい」

「はい~、失礼します~」

 ふあ、と欠伸を一つ。
 眠い。
 しかしまぁ、このクラスは賑やかだなぁ、と。

「今日からこちらでお世話になります『犬上 月詠』言います~」

「ええ!?」

 まぁ、驚くよなぁ。
 あのじじいも何考えてるんだか。
 もしくは、詠春の方か?
 ……どっちでも良いか。

「き、聞いて無いんですがっ」

 立ち上がり、そう言うのは朝倉。
 昨日、先生言わなかったしな。
 それに、学園に来たのが先週末……数日前だしな。

「はいはい。まずは落ち着け。知らなかったんだよ」

「うー……転校生がいきなりなんて、アリエナイし」

「判った判った。すまんすまん」

「すごいおざなりな返事っ!?」

 あー、うるさいなぁ。

「家族構成は!?」

「弟が居ます~」

 そうは言っても、ちゃっかり質問してるし。
 というか、アレは弟なのか。

「今どこに住んでるの?」

「センセーと一緒に、この近くの家族寮にすんでますえ~」

「先生と!? って、家族寮?」

「あー……遠縁の子でな。今度、こっちに越してきたんだ」

「親戚って――やっぱり先生、月詠ちゃんの事、事前に知ってたんじゃないっ」

「……しまった」

 その朝倉に同調するように、数人……鳴滝姉妹や早乙女のヤツが騒ぎ出す。

「皆さん、お静かにっ。ネギ先生の迷惑になりますわよっ」

「……いや、クラス全体の迷惑だろ」

 その呟きは届かない。
 まぁ、別に良いがな。

「ふぁ……」

 ねむ。
 目じりに浮かんだ涙をぬぐい、視線を教卓に向ける。
 ……あの戦闘狂が、ねぇ。
 朝見た限りじゃちゃんと馴染んでたが……どうなることやら。

「それじゃ、席はエヴァンジェリンさんの隣に」

「んな」

 いま、聞き捨てならない言葉が……。

「聞いて無いぞっ」

「言ってなかったからなぁ」

「そんな問題かっ」

 私の隣って……。

「席が無いぞ?」

「HRが終わったら持ってきます」

 ぬぅ……。
 まぁ、一番後ろにスペースがあるからしょうがない……のか?
 なんか納得いかないなぁ。

「という訳で、HRはこれで今日は終わりだ。席持ってくるまで、質問タイムだ」

「っしゃー!!」

「……女の子が、その声はどうかと思いますよー」

 もっと大きな声で言ってやれ、ぼーや。







「本当に、ウチのクラスに来たんだな、月詠」

 所変わって昼休み。
 最近は恒例となりつつある昼休みの昼食時、今日は何時もの面子で屋上に来ていた。
 天気良いし。
 ……これにも慣れたもんだ。

「あれ? 刹那さん、犬上さんと知り合いなの?」

「月詠でええですよ、明日菜さん~」

「え? 会った事あったっけ?」

 ああ、そう言えば明日菜は……一応簡単に説明したけど、ごたごたしてたからな。

「明日菜、あの時――先生が浚われた夜、簡単に説明しただろう?」

「攫われた? ああ……え? 犬上さんが脱走した人?」

「はい~。先輩と、エヴァンジェリンさんから聞いてますえ~」

 弁当を広げながら、そう言う月詠。
 ふむ。

「中々美味そうじゃないか」

「そうですか~」

「月詠、お前料理で来たのか……」

 何ダメージ受けてるんだ、お前は。
 まぁ、あんまり料理出来るイメージじゃないよな、お前も。

「作ったのはお兄さんですえ~」

「お兄さん?」

「センセーです」

「へぇ……うわ、何気に上手くない?」

 だなぁ。
 初めて作ったにしては……。

「卵焼きとサラダは茶々丸さんです~」

「……茶々丸さん?」

 あ、喋った。
 さっきまで黙ってた木乃香が、茶々丸の名前に反応する。
 名前が出た茶々丸は、軽く一礼して自分の弁当を開く。

「はい。先生は、あまり料理が得意ではありませんので」

「えー!? ズルイっ」

 何がずるいんだ。
 まったく。

「月詠さんにも手伝っていただきました」

「おにぎりですけどね~」

 ふぅん。
 そう言えば、朝のおにぎりはコイツも握ってたな。

「うー」

「お嬢様、箸を噛まれるのはどうかと……」

「木乃香も、明日作りに行ったら?」

「うん」

 そこは即答なのか。
 明日菜とぼーやはどうするんだ?

「あ、その時はあやかの所にでもお世話になるから」

 ネギが居れば大丈夫だし、と。
 そ、そうか……ぼーや、大変そうだな。
 一応、少しは同情しておいてやるからな。

「だが、あまり良い顔はされないぞ?」

「ウチらは助かりますけどね~」

 だろうな。
 誰も料理出来ないらしいし。
 あの人も、ついこの前までコンビニ弁当と外食の二択だったからな。

「でも、形バラバラなおにぎりやねー」

「……ウチの男性陣は、丸いおにぎりしか握れませんから~」

「せんせも握ったん?」

「はい~」

 そう言って、先生が握ったであろう丸おにぎりを食べる月詠。
 ……たかがおにぎりだろうが、木乃香。

「多芸だな、あの先生も」

 まったくだ。
 そこは真名に同意だ。

「うー」

「どないしました~?」

「うー」

 なにを鳴いてるんだ、お前は。

「そんなに良いもんか?」

 料理下手だぞ、あの人?
 朝食べたの、一個は塩辛かったし。

「でも、ええ天気ですね~」

「そうね。それに、もうすぐ麻帆良祭だし。月詠さんも良い時に来たわね~」

「そうなんですか~?」

「うん。ウチの祭りは凄いわよー」

「お祭りなんて、初めてですわ~」

「そうなの?」

 そして、早速仲良くなってるな、明日菜は。
 もう一種の才能だな。
 ……まぁ、そう言う所が明日菜らしい、と言えるのかもな。

「午後からは出し物決めるし。今年は何になるのかなー?」

「喫茶店じゃないか?」

「真名は巫女服だったっけ?」

「……勘弁してくれ」

 というか、アレは怒られてただろうが。
 普通の喫茶店じゃないのか?
 ま、どうでも良いか。
 ――どんな出し物だって、きっと楽しいだろう。
 もう慣れた……というか飽きた麻帆良祭だが、今年は少しは楽しめそうだ。




――――――チャチャゼロさんとオコジョ――――――

「腹減った……」

「オ前モ災難ダネェ」

「うぅ」

 何で今日は茶々丸の嬢ちゃん居ないの?
 ぬぅ……女子寮の方も、この時間帯だと誰も居ないんだよなぁ。
 はぁ。
 軒先で日向ぼっこしながら、丸くなる。
 腹が減った時は、動かないに限る。

「良イ天気ダシ、狩リニデモ行ッタラドウダ?」

「いや、無理ですよ」

「即答カヨ」

 狩りなんて何年振りか……。

「……飼イ馴ラサレテルナァ」

 そこは言わないで下さい。
 うぅ……腹減ったよぅ、茶々丸の嬢ちゃんー。





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