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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 間幕
Name: ソーイ◆9368f55d ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/03/23 07:49
「一つ、大きな問題があるなぁ」

「せやな」

「ですね~」

 うむ、まったく気にしてなかった。
 と言うより、そこまで考えてなかった、とも言える。

「晩飯、どうするか?」

「しょうがありまへんし、今日は外で食べます~?」

 ダイニング兼俺の部屋にて、小さなテーブルを囲んでの第一回同居人会議である。
 議題は晩飯をどうするか。
 うーむ、まさかこんな所で同居生活が躓くとは。というか、一歩目ですらない気がする。
 ダイニングとキッチンが一体のようになってる部屋なので、ここからだとキッチンが良く見える。
 新品同然のキッチンには、冷蔵庫も置いてあり……その中は、俺の部屋にあったもの。
 つまり、今は酒とそのツマミくらいしか入ってない。
 …………料理しない人間の冷蔵庫なんて、こんなもんだ。
 ちなみに俺を含めた三人、料理が出来ない。
 それを知ったのは、仕事から帰ってきて、すでに自分の部屋を決めていた2人と話した時だった。
 ――別に、個室が欲しい訳じゃないけどさ。
 まぁ、友達が遊びに来たら、自分の部屋で遊んでもらえばいいか。

「だなぁ」

「でも、あのキッチンは勿体無いなぁ」

「ああ。ちなみに小太郎、料理したことは?」

「した事無いなぁ」

「ウチも右に同じく~」

「だよなぁ」

 さっき出来ないって言ってたもんな。
 ちなみに俺も、簡単なのしか出来ないし……なにより、今までする気が無かった。
 問題である。ある意味、大問題である。
 ダイニングのフローリングの床にテーブルを挟んで三人で座りながら、2人で小さく溜息。
 月詠はどうでも良いようで、ニコニコ笑ってる。
 ……出来そうな雰囲気はあるんだがなぁ。
 流石に、今日からはコンビニ弁当とはサヨウナラしないといけないだろう。
 長年世話になったが……明日からはバイバイだ。
 だって、この年頃の子達に、それはあんまりだろう、と。

「折角道具もありますしな~。小太郎はん、作ってみたら~?」

「こういうのは女の仕事やろがっ」

「それは女性差別ですえ~」

 うーむ。
 とりあえず、そこは月詠に同意だ。
 ちなみに、小太郎も月詠も私服である。
 お金は学園長から貰ったとか……明日、頭下げないと。
 一通りの服と、家具をもう部屋に運び込んでいた。
 2人とも布団派らしいので、この部屋では俺だけベッドだ。
 小太郎は、今時の子供が着るような、ラフな格好で、月詠は、なんかマクダウェルが着てそうな可愛らしい服装である。
 マクダウェルは黒ばっかり着てたけど、こっちは白である。
 きっと並んだら絵になるんだろうなぁ、と軽く現実逃避。
 いやいや、そうじゃなくて。

「そうだぞ、小太郎。大体、今の時代男も料理出来ないと色々厳しい」

 主に、財政的な意味で。
 ……はいそこの2人、そんな目で俺を見ないでくれ。
 どうせ俺も料理出来ないよ。

「開き直りよった」

「開き直りましたな~」

「出来ない事を出来るって言うより、いくらかマシだ」

「……ま、そこは同意しますわ~」

 うむ。判ってくれて嬉しい限りだ。
 で、だ。

「どうする? 今から材料買ってきて、作ってみるか?」

「それも悪かないかもなぁ」

「ウチは、外で食べる方がええですわ~」

 まぁ、失敗の事考えるなら、月詠が正しいだろう。
 というか、多分月詠が正しい。
 うむ。

「確実に失敗しそうですから~」

「身も蓋も無いヤツやな……」

「小太郎はん、お米洗った事あります?」

「ない」

 胸を張るな、そこは。
 まぁ、自炊した事無いなら、そうだろうな、とは思うけど。

「お兄さんは~?」

「それくらいはある」

「なんか料理は~?」

「……目玉焼き?」

「はい、外で食べましょ~」

 そうだな。
 それに、まず米もパンも無いし。
 料理以前の問題である。

「兄ちゃん、この辺りでお勧めって知ってる?」

「んー……この辺りだと、超包子かな?」

 安いし、美味いし。

「超包子、ですか~?」

「おお。月詠の同級生になる子たちがしてるんだ」

「……お~」

 驚い……てるんだよな?
 どうにも、この独特の喋り方というか、起伏の無い喋り方は、感情の動きが判り辛い。
 小太郎みたいに感情豊かに、とも言わないが。
 この辺りが、学園長が言ってた事なのかもな。
 まぁ、それは今は良いか。

「なんや、子供が店やっとるんか?」

「でも出店許可証も取ってるし、何より美味い」

「マジか!?」

 まったく。

「お前はもう少し言葉遣いを直せ」

「う」

「そんなんじゃ、学校で教師に目を付けられるぞ?」

「それは、あんまし良くないなぁ」

「昼休みと放課後が生徒指導室で潰れるだろうな」

「うへ」

 そう舌を出して、嫌そうな顔。
 それに、そうなったら俺や、後見人の学園長にも話が来るだろうし。
 ……その場合、どうなるんだろう?
 俺の教育不足になるんだろうか?
 なるんだろうなぁ……。

「月詠は、その辺りはしっかりしてるのに」

「おおきに~」

 こっちは、心配無いだろうな、と。
 まぁ、まだ良く知らないから油断できないけど。

「んじゃ、今日はそこで食べるんか?」

「だな。明日の朝は、なんか作るよ」

 帰りに、米買って帰るか。
 それとなんか適当な食材。
 …………。

「明日の明後日、何か食いたいのあるか?」

「ん~、ウチは食べれればなんでも~」

「ワイも何でもいいわ」

 そうか。

「あ、でもお米がええですわ~」

「なら、帰りにスーパーにでも寄って帰るか」

 そこで一緒に考えよう、と。
 ……何とかなるだろ、多分。
 まさかこんな所で、今まで料理して来なかった事が響いてくるとは。
 人生、どうなるか判らんもんだ。

「そやな」

「ですね~」

 うーむ、幸先不安である。
 どうにも、同居、というのを軽く考えていたかなぁ。
 どうするかなぁ。
 上着を取りに部屋に戻る小太郎の背を目で追いながら、小さく溜息。
 うむぅ。

「どないしました~?」

「いやぁ、初日からあんまり役に立ててないなぁ、と」

「役に、ですか~?」

「君らに世話になってる立場だからなぁ。少しは何かしてやりたいんだが……」

 どうにもなぁ、と。
 俺に出来る事って無いなぁ。

「そんなんは、あんまり気にしてまへんから」

「でもなぁ」

「……多分、その辺りが、ウチらとお兄さんの“違い”なんでしょうな~」

「“違い”……かぁ」

 難しいなぁ、と。

「ですね~」

 2人で、小さく溜息。
 何が違うのか、と聞かれたら答えられない。
 そんな“違い”が、確かにあるんだろう。
 一般人の俺と、魔法使いの2人とじゃ。
 でもまぁ、今はしょうがないか。
 まだ初日だし。

「前途多難ですわ~」

「だなぁ」

 今度は溜息をつかず、2人して苦笑い。
 これからどうなるんだか、と。

「? 2人とも、どないかしたんか?」

「お犬は、悩みが無さそうで羨ましいわ~」

「いきなりかっ!?」

 しかし、

「仲良いなぁ、お前ら。付き合い長いのか?」

「仲良ぅないっ」

 間髪いれず否定された。
 それに苦笑し、立ち上がる。
 月詠も俺に続いて立ち上がり、3人で玄関に向かう。

「一月くらい前に知り合いましたっけ~?」

「やなぁ」

「ふぅん、案外最近なんだな」

 意外だった。
 歳も近いし、もっと長い付き合いなのかな、って思ってた。
 それに、仲良いし。
 本人達は否定するけど。

「そですね。ネギのぼん達と初めて会ぅた時に会いましたしね~」

「おー、そんくらいやな」

「ネギ先生な?」

「……は~い」

 しかし、ネギ先生って……修学旅行の時か?
 まぁ、多分あの3日目だろう。
 マクダウェル達と一緒になんかしてたらしいし。
 思い当たるのはその時くらいか。

「それじゃ、修学旅行の時に、俺とも会ってるかもな」

「かもしれませんね~」

「覚えてへんけど、かもしれへんなぁ」

 靴を履きながら、そう言う。
 もしかしたら、これが初めて会った、ってわけじゃないのかも、と。
 そうか、あの時からすでに、近衛達は頑張ってたのか……。
 俺は、全然知らなかったな。

「ここは、あんまし星が見えまへんな~」

「そうか?」

 俺はこれでも、多いと思うんだけど……。

「ワイの住んでた所は、もっとよぅ見えとったで?」

「良いなぁ。俺は、これでも良く見える方だと思ってた」

 部屋から出、鍵を閉めてから空を見上げる。
 ……もっと良く見えるのか。
 きっと、綺麗なんだろうなぁ。

「兄ちゃん、星好きなんか?」

「どうだろうな? でも、綺麗な景色は見てみたいな」

 知ってるのは、PCの画像とか、本の絵とかである。
 実際に見たモノって言えば……。

「京都は綺麗だったなぁ」

「そうですか~?」

「自然も多かったし。まぁ、泊ってた所が少し街から離れた所だったしなぁ」

 歩きながら、思い出すのは、朝の散歩。
 アレは気持ち良かった。

「アレでか?」

「ん?」

「なら今度、もっと凄い景色見せたるわ」

 腕を頭の後ろで組んで、そう自慢げに言う。

「お犬は、山は得意そうですしな~」

「犬犬言うなっ」

 ……仲良いなぁ。

「でも月詠も、あんまりそう言ってやるなよ?」

「は~い」

「あんまりって何で!?」

 だって、見てる分にも楽しいし。







 今日も、超包子は繁盛していた。
 というか、今からの時間が稼ぎ時なんだろう。
 丁度部活終わりの連中が、今から来るだろうし。

「おや、先生?」

「あ、新田先生」

 こんばんは、と。
 超包子のカウンターで飲んでいたのは、新田先生だった。
 それと、

「葛葉先生も」

「こんばんは、先生。月詠と小太郎君も、こんばんは」

「こんばんはです、刀子先生~」

「……ども」

 小太郎の頭を、軽く小突く。

「ちゃんと挨拶をしないか」

「う……ども、えっと、葛葉先生?」

「そう言えば、名乗って無かったですね」

 あ、そうなんだ。
 葛葉先生も魔法使いだって言ってたから、面識があるとばっかり思ってた。

「おや、そちらの2人は?」

「先生の遠縁の子達だそうです。月詠の方は明後日からネギ先生のクラスに」

「……聞いてないんだがね?」

「急な事だったようで、学園長も今晩は仕事に追われてるようですよ?」

「ふむ」

 そう言って、持っていた酒をあおる新田先生。

「すみません、自分も聞いてなかったもので」

 というか、俺の遠縁の子になるのか……。
 その辺りも全然話し合ってなかったな。
 助け船を出してくれた葛葉先生に頭を下げると、小さく微笑んで手を振ってくる。
 どうやらこちらも、結構出来上がってるようだ。

「どうしたのですか?」

「いえ……まぁ、その」

 はは、と。
 どう言うかなぁ、と考えていたら。

「晩ご飯を食べに来ました~」

 あっさり、月詠に言われてしまった。
 とっさに、葛葉先生から視線を逸らす。

「……なるほど」

「う」

 声が冷たい。
 きっと呆れられてるんだろう。

「兄ちゃん、よっわいなぁ」

 男ってのはこんなもんだよ、多分。
 そう内心で返し、葛葉先生とは反対側、新田先生の隣に座る。

「失礼します」

「どうぞどうぞ。先生も一杯?」

「いえ、今日は遠慮しておきます」

 月詠達も座るように言うと、俺の隣に並んで座る。
 さて、と。

「メニューはこれだけど、何食う?」

 好きに選んでいいぞ、と
 俺は何食うかなぁ。

「なぁ、姉ちゃん。オススメってなんかあるか?」

「はい。今日はですね――」







「こんばんは、先生」

「おー。こんばんは、絡繰」

 注文した品を持ってきたのは、絡繰だった。
 何だ、今日はこっちに居たのか。

「御注文の品です」

「ありがとなー」

 それを受け取りながら、礼を言う。
 月詠達も、だ。

「ありがとーございます~」

「あんがとな、ねーちゃん」

「いえ……晩ご飯、ですか?」

 ん?

「おー。ちょっとなぁ」

「ご飯を作れる人が居ないそうなのよ」

 そうあっさり言わないで下さい、葛葉先生。
 こっちにも教師の面子というのがですね……まぁ、あんまり無いですけど。
 うーむ。

「そうなのですか?」

「う」

「「いただきまーす」」

 こんな時は仲良いのな、お前ら。
 まぁいいけどさ。

「まぁ、明日からは何とかするさ」

「どうなさるのですか?」

「……まぁ、頑張ってみるよ」

 料理、と。
 自信無いけど。

「そうですか」

「ま、気にしないでくれ」

 さて、ご飯ご飯。
 暖かいうちに食べよう、っと。

「それでは、失礼します」

「ありがとなー」

 そうして晩御飯を食べていたら、

「なんや、お兄さんはお知り合いが多いですなぁ」

「まぁ、生徒だしなぁ」

 知り合い、というのとはまた違う……のかな?
 どうだろう?

「あのねーちゃん、料理できんの?」

「おー。凄い美味いぞ」

「マジか!?」

 ああ。アレはやばい。食べたらコンビニ弁当はちょっと……。
 近衛も上手いし……。

「お嬢様もですか~」

「お嬢様?」

「木乃香お嬢様ですわ~」

 そう呼んでるのか?
 まぁ、お嬢様って……やっぱり、近衛って良い所のお嬢さんなんだなぁ。

「誰かに頼もう、兄ちゃん」

「あのなぁ。自分で出来るかもしれない事を誰かに頼む訳にもいかないだろ」

「料理できへんやん」

 あっさり言うな。

「大体、迷惑だろうが」

「……う」

「料理くらいどうとでもなるさ……多分」

「最後が無かったら、格好ええんですけどね~」

 おお、また腕上げたな、四葉。

「ちなみに、ここの料理作ってる人もウチの生徒だぞ?」

「めちゃめちゃ料理得意な人と知り合いやな」

「俺達は料理出来ないけどなぁ」

「そこは言わないお約束ですえ~」

 うむ。
 ……どうしたもんかなぁ。

「悩んでるようだね、先生」

「ええ。どうにも、一つ問題が……」

「料理なんて、覚えようと思えば覚えるモノですよ」

 ……葛葉先生、格好良いです。
 とても女の人には見えない。

「なにか?」

「いえ、なにも」

 しかし、料理か……はぁ。

「ごちそうさま」

 両手を合わせて、お辞儀を一つ。
 うーむ。
 四葉は料理が上手だなぁ。

「まぁ、何とかなるか」

「そうですね~」

 ……はぁ。

「月詠も料理はする事になるんだぞ?」

「え~」

「当たり前だ。こういうのは当番制だろう」

「って、俺も!?」

 うむ。

「楽しそうだねぇ」

「そうですね」

 楽しくはありますけど、あんまり笑って話せる内容じゃないかもしれないです。
 だから、人を酒の肴にしないで下さい。

「よし、明日の朝食を買いに行くぞ」

「……しょうがありませんな~」

「……ま、いいか」







 という訳で、近所のスーパーへ。

「タイムサービスって、結構残ってるんですね~」

「せやなぁ」

 何で肉ばっかり入れるの、君達?
 というか、小太郎。
 判り易いなぁ。

「野菜も食うぞ、野菜も」

「は~い」

「えー」

 実に対照的な声である。
 ……もう月詠が姉で良いよな。
 きっと誰一人文句は言わないだろう。

「料理も魔法でぱぱっと出来たら楽ですのにね~」

「だなぁ……だが残念ながら、そんな魔法は無い」

「西洋魔術師はん達は、きっと損してますわ~」

「……どんな魔法や」

 というか、魔法ってどんなのがあるんだろ?
 やっぱり、こー、火の玉とかだろうか?
 うーむ。
 そんな事を話しながら、とりあえず明日一日分の食材を買い込む。
 朝と昼の分……だと思う。
 一日にどれくらい食べるかなんて、考えた事無かったし。
 一応朝は3人分、昼は2人分なので……かごいっぱいである。米もあるし。

「小太郎は力持ちだなぁ」

「そう? へへ」

 普通、小太郎の歳くらいだと10キロの米は結構重いんじゃないだろうか?
 軽々と持ってるし。
 やっぱり凄いんだなぁ、子供なのに。
 ちなみに、結構な出費でした。
 ……良くこんなに買って、節約とかできるなぁ。
 食材の使い方とかだろうか?
 そう言うのも少し勉強した方が良いんだろうなぁ。

「大丈夫か? 重くないか?」

「あのなぁ、兄ちゃん。そう心配せんでも大丈夫やって」

「そうか?」

「そうですえ~。力しか能無いし」

 それは言い過ぎだろう、と。

「お前は何も持ってないやんかっ」

「ウチ、女の子ですから~」

「うわ、ムカツクわ……」

 でもまぁ、女の子に荷物持たせる訳にもいかんだろ。
 俺が買い物袋二つ、小太郎が10キロのコメを持って、月詠は俺の隣を歩いている。

「これで、後は明日の朝しだいやな……」

「おー」

 うむぅ。
 ハッキリ言って嫌な予感しかしない。
 それは他の2人も一緒なのか、そこだけは笑って無い。
 いや、月詠は笑ってるんだけど、あんまり触れてこない。

「まぁ、食べられるのが出来れば御の字ですな~」

「だな」

「そうやな」

 そこが妥協点である。
 食べられるもの……まぁ、大丈夫だろう。
 目玉焼きとかその辺りなら。
 卵焼きなら、保証は出来ない。
 ……同じ卵料理でこの差である。

「お兄さんには期待してますわ~」

「まぁ、朝は良いけどさ。明日の昼と夜くらいは手伝ってくれよ?」

「気が向きましたら~」

 ま、それで良いか。
 女の子だし、そのうち料理に気が向くかもしれないし。
 今時、料理の出来ない女の子ってのも……まぁ、出来た方が良いだろうなぁ。
 作る時は誘う様にするか。
 レシピだって、パソコンで調べればすぐ見つかるだろうし。

「明日から頑張らないとなぁ」

「そうですな~」

「……そやなぁ」

 まぁ、ハムとか肉とかは焼くだけだし。
 野菜は適当な大きさに切るだけだし。
 何とかなるだろ、うん。
 ……きっと四葉とか近衛とかに聞かれたら怒られるんだろうなぁ。
 すまん、料理の出来ない教師で。

「こういうのは楽しいですね~」

「そうか?」

 俺は不安でいっぱいなんだが。

「こんな沢山の人と一緒に生活するの、初めてですし~」

 沢山?

「3人じゃないか」

「3人も、ですえ~」

 ……ふむ。

「そうだな。確かに楽しいな」

「お兄さんもですか~?」

「一人暮らしが長いからなぁ」

 えっと……指折り数えて。

「7年くらいか?」

「結構長いんですね~」

「月詠達よりは、長く生きてるからなぁ……小太郎は?」

「……ま、兄ちゃんほどじゃないけどな」

 そっか。

「なるだけ楽しくしていきたいな」

「ですね~」

「せやな」

 うん。

「という訳で、料理は当番制が良いと思うんだが……」

「ウチは料理はきっと全然ですえ~」

「肉焼くだけなら……」

 …………はぁ。
 でもまぁ、きっと楽しいさ。







 明日のご飯の準備をし、タイマーをセット。
 ……3合くらいで足りるかな?
 まぁ、余ったら今度焼き飯にでもすれば良いか。
 コンビニのおにぎりって、どれくらいの量なんだろう?
 そう言うのって、全然気にしてなかったなぁ。

「月詠ー、フロ空いたで」

「はい~」

 ちなみに、風呂場もかなり綺麗で広かったので、一番風呂はじゃんけんだった。
 勝ったのは小太郎。
 次に月詠で、最後は俺である。

「それでは、お先にです~」

「おー。温まってこいよー」

「は~い」

 テレビを見ていた月詠と交代するように、今度は小太郎がテレビの前に。
 ……今度、大きなの買うかなぁ。
 3人で見るには小さいよなぁ。
 というか、この部屋が大きいんだが。

「うわ、難しい本ばっかりやな……」

「マンガとかは、あんまり読まないからなぁ」

 すまないな、と。
 読んでる週刊誌とかはあるんだが、コミックを買っても読む時間がなぁ。
 ……一回読み始めたら、最初から最後まで読んでしまう性格なのだ。
 学生時代は良かったが、仕事するようになってからは、本は手元に置かないようにしている。
 あるのは参考書とか、そんなのばっかりだ。
 きっと、そう言うのは読んでも面白くないだろう。

「なんか面白いのやってたかな……」

「なんかやってるか?」

「んー、ちょいタンマ」

 そう言いながら、チャンネルを変え、

「なぁ兄ちゃん?」

「んー?」

「俺らの事、怖ないの?」

 そうだなぁ、と。
 突然聞かれたけど、別に驚きは無かった。
 いや、驚くより……それは、言わないといけない事だったから、驚かなかったんだろう。

「ああ。怖くないよ」

「……俺、人間とちゃうで?」

 マクダウェルと同じだ、と思った。
 人間と違う事を気にしてる。
 ……そう簡単に言ったら、怒るだろうか?
 きっと怒るだろう。
 マクダウェルや小太郎にとっては、きっととても大切な事だろうから。
 別に軽く思ってる訳じゃない。
 でも、俺は人間で小太郎は人間じゃない。
 それはどうしようもない事で――きっと、どうにも出来ない事。
 俺が一般人で、小太郎がそうじゃない、というのと同じ事だ。

「そうだな。でも、俺は何となくだけど……お前の事を知ってるからな」

 テーブルを挟むように座り、持ってきた水を少し飲む。
 小太郎の方にも、コップを差し出す。

「人が怖がるのは何でだと思う?」

「相手が怖いからやろ?」

 苦笑する。
 うーん、と。

「何で、怖いんだ?」

「……相手が、どんだけ強いか判らないから?」

「そうだな」

 小太郎らしいな、と。
 このやんちゃな少年らしい物言いだ。

「それが答えだよ」

「……どれ?」

 はぁ、と小さく溜息。
 テレビからはニュースの声。

「判らないから、怖いんだよ。人は、知らない事は怖いんだ」

「ふぅん」

「でも俺は、小太郎と月詠の事は……少しだけ知ってる。ほんの少しだけだけど、判ってる」

 きっと、殆ど、何も知らないと言える程度だろうけど――それでも、知ってる。
 この子達が、俺を助けてくれた事を。
 だから、怖くない。
 ……大の大人が、まるで子供の理論だな、と。
 でもまぁ、それが俺の答えなのだ。

「だから、怖くないよ」

「その程度で?」

「その程度で、だ。人間なんて、単純なもんだ」

「……そやな。兄ちゃんは単純やな」

 どうやら、単純なのは俺一人だけらしい。
 ま、良いけどさ。
 判ってるし。

「助けてもらったら感謝する。他人を知って仲良くなる。そうやって、人ってのは友達なんかを作るもんだ」

「――そか」

「おー」

 そう言えば、明日使う小テスト用意してなかったな。
 ……作るか。

「それじゃ、今から仕事するから」

「判った」

「テレビ見てていいからな。寝たくなったら、消して欲しいけど」

「おっけー」

 それじゃ、少し頑張るかなぁ。
 仕事出来ないでクビになったら、この2人に悪いし。
 パソコンを立ち上げ、いつも使っているファイルを起こす。
 さて、と。
 カタカタとキーボードを叩いていたら、月詠が風呂からあがってきた。
 ピンクの可愛らしいパジャマ姿で、髪を拭いている。

「お風呂空きましたえ~」

「ちゃんと温まったか?」

「ばっちりですわ~」

 そか。
 なら、俺も温まって寝るかな。
 残った仕事も後少しだし。
 後は風呂からあがってからでも1時間もかからない。

「んじゃ、寝るならテレビ消しといてくれなー」

「は~い」

 とは、冷蔵庫から牛乳を取り出している月詠。
 小太郎は……寝ていた。
 まったく。

「しょうがないヤツだな……」

「あら、わんこはお眠ですか」

「月詠はどうする?」

「……もう遅いですし、寝ますわ~」

「ん」

 腹も膨れて、風呂に入って疲れが出たんだろう。
 京都から着の身着のままって言ってたけど、疲れてるんだろうな。
 なんな悪魔とも戦ったし。
 そんな事を考えながらテレビを消し、小太郎を抱え上げる。

「それじゃ、おやすみ」

「おやすみなさい~」

 あ、と。
 自分の部屋に入ろうとした月詠の背に、声を掛ける。

「これからよろしくな、月詠」

「はい~」

 そう言い、小太郎の部屋に入ろうとして

「寝る前におやすみなんて、初めて言いましたわ~」

 そう、声を掛けられた。

「そうなのか?」

「ええ~」

「……おやすみ、月詠」

「おやすみなさい~」

 もう一度言う。
 今度は何気なくではなく、笑って。
 さて、と。
 布団を敷いて小太郎を寝かせ、風呂へ。
 明日から大変だなぁ、と。
 それでも、笑って――溜息を吐いた。



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