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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 43話
Name: ソーイ◆9368f55d ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/03/21 22:44

「先生、おはようございます」

「あ、あー……うん、おはよう、那波。それと、村上」

 朝のHR終了後、ネギ先生と一緒に教室から出るとそう声を掛けられた。
 ニコニコといつもの笑顔の那波と、その背に隠れるように立つ村上。
 そう言えば、先週は体調悪いから話してなかったけど、小太郎の事を説明してなかった
 ――しまった。
 内心で汗を流しながら、どう言ったもんかな、と。
 それ以外の質問では、という考えは浮かばない。
 この子はそういう子だ。
 ……きっと、下手な良い訳じゃ無理だろう。色々と。

「先生ー、あの犬の事なんだけど……」

「それで、あの子はどうなったのでしょうか?」

「う、あー。こ、小太郎ね……」

 どう言ったもんかなぁ、と。
 頬を掻いて中空に視線を逸らす。
 HR後の廊下、生徒も多い。
 そして那波は、色んな意味で有名人である。主に容姿的な意味で。
 ……いくらここが女子校でも、目立つ。
 余所のクラスの子達からも見られるくらいには、目立つのだ。

「あの子、小太郎って言うんですか?」

 可愛い名前ですねぇ、と。
 う……。

「先生、どうしたんですか?」

 とはネギ先生。
 うぅ、どう説明したものか。
 だって、魔法の事って言わない方が良いんだろうし。
 小太郎の名前って、言って良かったのかなぁ、と。
 スマン。

「実は、あの後飼い主が見つかってなぁ」

「そうなんですか?」

「ああ。動物病院に連れて行ったら、そこに迷子犬の張り紙があったんだ」

 もう嘘ばっかりである。
 生徒に嘘を、とか内心では思ってしまうが、あんな危ない事を説明する訳にもいかない。
 ……運が悪ければ、俺ではなく那波が巻き込まれてしまっていたのだ。
 そう考えると、俺にとっては運が良かったのか……まぁ、それは今は置いておく。

「その飼い主さんの連絡先とかは……」

「ちょっと聞いてないんだ。あちらさんも、急いでいてな」

「急いで?」

「ああ。どうにも、お金持ちの所の犬だったらしいんだ」

「お金持ちの? 凄いねー」

 どう言ったもんかなぁ。
 ……ここまで来たら、なるようになれ、か。
 自己嫌悪で膝を付きそうである。

「治療も向こう持ちでな……あの後どうなったか判らないんだ」

「……そうなのですか」

「でも、ちゃんと犬の事は大事にしてるみたいな人達だったし。きっと大丈夫だと思うぞ?」

「……はぁ。もっと撫でたかった」

 そこには俺も同意である。
 小太郎はともかく、あの犬は可愛かった。
 もしあの犬がただの犬だったら……うむぅ。

「そっかー……でも、ちゃんと飼い主に会えてよかったね、ちづ姉」

「そうね。やっぱり、飼い主さんと一緒が一番良いものね」

「だなぁ。すまんな、那波。言うのが遅れて」

 そう言って、軽く頭を下げる。

「いえいえ。先週は体調悪いみたいでしたし……」

「いや……」

 それも、なぁ。
 原因はアレだし。
 苦笑するしかない。

「千鶴さん、小太郎君の事知ってるんですか?」

「ネギ先生、あの子の事知ってるんですか?」

「はい」

 ……あれ?

「それじゃネギ先生、職員室に戻りましょうか?」

「あ、そうですね」

 授業の準備もありますし、と。

「それではネギ先生、また後で」

「へ?」

 ……やっぱりか。
 別に、バラして……は駄目なんじゃないのかな?
 どうだろうなぁ。

「ネギ先生ー、また後でねー」

「はい? え、あ。また後で」

 絶対ネギ先生判ってないよなぁ、那波達のまた後で、の意味。
 むぅ。

「ネギ先生」

 小声で、隣のネギ先生に声を掛ける。

「はい?」

「小太郎がその……魔法使い? って事、那波達は知ってるんですか?」

「いえ、知らないはずですけど?」

 ですよねぇ。
 はぁ。

「その、言ってなかったんですけど……」

「どうしたんですか?」

「那波が拾った小太郎って、犬の時なんですよ……」

「え?」

「ですから、さっき話してたのって、犬の小太郎の事なんですよ」

 でも、アイツって人間に変身できるんですよねぇ、と。
 ……那波と会わせて良いものか。
 というか、会うこと出来るのかな?
 アレから会ってないけど……月詠も、元気だと良いけど。
 たった数時間だけ喋った子達だけど、その時間は濃密だった。
 もう一度、とも思うけど、魔法使いなんだし、もう会えないかな、とも思ってしまう。

「どう説明しましょうか?」

「……どうしましょう?」

 二人並んで、首を傾げてしまう。
 これは困った。
 那波は絶対、昼休みくらいにはネギ先生の所に来るだろう。
 あの外見、あの性格ではあるが……めちゃくちゃ行動力あるからな。
 うーむ。

「でもまぁ、連絡が取れないとか、そう言うしかないですね」

「そうですね……それにしても、小太郎君を最初に保護したの、千鶴さんだったんですね」

 流石に本当の事を言う訳にもいかないだろう。
 それに、信じてもらえないだろうし。
 そう思うと、少し気も楽になる。
 うん、連絡を取れない、それだけで良いのだ。
 ……連絡先を調べたりまではしないだろうし。

「ええ。雨の中、最初に小太郎を見つけたのは那波ですよ」

 でも、那波が小太郎を見つけなかったら、俺はネギ先生達の事を何も知る事はなかったんだよなぁ。
 そう考えると、那波にも感謝……なのかな?
 苦笑してしまう。
 死にそうな目にも遭ったと言うのに、と。
 しかし、

「那波は押しが強いですからね、注意しましょう」

「う……そ、そうですね」

 ネギ先生、押しが強い生徒に弱いですし、と。
 そう言うと、困ったようにこちらを見上げてくる。
 雪広とかが良い例だし。

「うー。那波さんは、優しいですけど……はぁ」

「溜息なんて、あんまり吐くもんじゃないですよ?」

 せめて、生徒の居ない所で、と。
 でも、俺も最近は多分溜息増えたかもなぁ、と。
 これはあんまりネギ先生にだけも言えないな。

「はいぃ」

「那波だって生徒の一人なんですから、ほら」

 胸を張って下さい、と。
 その背なかを軽く叩く。
 ……まぁ、精神年齢、という所は明らかに他の生徒より高いだろうけど。
 ボランティアで子供の相手をしてるからだろうか?
 どうも、それだけじゃないと思うのは、失礼だろうけど……。
 アイツもなぁ、もう少し年相応というか……まぁ、深くは思うまい。
 感、鋭いし。

「どうしたんですか?」

「いえ……それより、小太郎達って、どうなるんでしょうか?」

「う……それは僕も聞いて無くて」

「そうですか」

 助けてもらったお礼も、まだ満足には言えてないんだよな……。
 あの夜。
 雨の降る中、頭を下げてきた2人。
 別に、そう悪くは思っていない。
 痛かったけど、別に、あの2人をそう悪くは思えない。
 子供だからか、それとも、他に理由があるのかは判らない。
 だからだろう。
 もう一度会って、ちゃんとお礼を言いたかった。

「多分その事も、今日学園長からはお話があると思います」

「あ、そうか……」

 そう言えば、昼休みに学園長に呼ばれてたんだっけ。
 忘れていた、というより考えから外していた。
 言われる事は、多分あの夜の事だろう。
 ……何を言われるのか、想像できないだけに、少し怖い。
 学園長の事は信頼している。
 でも、きっと魔法使いには魔法使いのルールがあるだろう。
 その存在を知ったら……どうなるんだろうか?
 胃がキリキリ痛む。
 はぁ。

「ま、今は授業に集中しますか」

「そうですね」

 どうなる事か。
 窓の外に視線を向ける。
 先日の雨が嘘のような晴天。
 麻帆良祭まであと約2週間。
 それまでこの天気が続いてくれると良いんだけど。







「今回はすまんかった」

 まず学園長に入り、勧められるままソファに座るなり、そう頭を下げられた。

「いえいえいえっ!? そんな、頭を上げて下さいっ」

「……そうか?」

「はい。頭を下げられても……こっちも困ってしまいます」

「う……すまんの」

 いえ、と。
 あー、びっくりした。
 学園長から頭下げられるなんて、思っても無かった。

「怪我と、体調の方はどうじゃ?」

「それはもう。色々とご迷惑をおかけしました」

 というか、こっちが頭を下げる。
 結局、先週は午後からは学園側からの仕事、という名目で休みを貰った事になってる。
 つまり、俺はまだ有給は丸々残っているのだ。
 そこまでしてもらって、こちらも心苦しいばかりである。

「いや、頭を上げてくれ。巻き込んでしまったのはこっちの落ち度なんじゃから」

「ですが、巻き込まれたのはこっちですし……」

「……良いからさっさと話を進めろ」

 う。
 学園長と2人頭を下げ合ってたら、マクダウェルからの声。

「それもそうじゃな」

「そうですね」

 昼休みも、あまり無いですし、と。
 今学園長室に居るのは、この前の夜に居たメンバー。
 つまり、小太郎と月詠もである。
 それに龍宮。
 マクダウェルは学園長の隣に立ち、他のメンバーは俺と同じようにソファに。
 小太郎と月詠の2人は、こちらも学園長の隣――学園長を挟んだ反対側に並んで立っている。

「みな、今回は色々とすまなかったの」

「ふん。そんな事より、だ」

 お前、もう少し学園長の話をだなぁ……。

「よいよい。年寄りの話は長くて面白くないからの」

「う……すいません」

「なんの。エヴァがここに居る事だけで、十分じゃ」

 ? それはどう言う……とも思ったが、今聞く事じゃないか。

「先生、どうする?」

「はい?」

 どうする、って……。
 先ほどまで笑っていた顔ではなく、真剣な顔。
 きっと、こちら側が、学園長の本当の顔なのだろう、と思った。

「このまま関わらずに、という事も出来る」

 ああ、なるほど。

「その場合は、申し訳無いが……その、なんじゃ。先生の記憶をじゃな」

「……記憶?」

「うむ。記憶を、消させてもらう事になる」

 …………記憶を、消す?
 それはどこか、遠くから聞こえた気がした。

「そんな事が出来るんですか?」

「うむ」

「じいちゃんっ」

「木乃香は黙っていなさい」

 その一声で、静かになる近衛。
 でもまぁ、これは俺の問題なので――近衛には悪いが、

「その――消すのは、どのくらいの記憶を?」

「……そうじゃな」

 その豊かな髭を撫でるように触りながら、

「魔法に関わることすべて」

「………………」

「それと、エヴァの記憶、じゃな」

「……マクダウェル?」

 どうして、と思った。
 魔法の事なら分かる。
 きっと、それが俺の為だから。
 俺みたいななんの力も無い人間が知っていても、巻き込まれるのがオチだろう。
 きっと次は助からない。
 それは、誰よりも、俺が一番良く判っている。
 でも……。

「どうしてそこで、マクダウェルが出てくるんですか?」

「私の存在自体が、先生にとって危険だからだよ」

 俺の問いに応えたのは、学園長ではなく、その隣に立つマクダウェルだった。

「なんで?」

「……判るだろうが」

 吸血鬼だから、だろうか?
 ソレは――そんなに、難しい問題だったのだろうか?
 そうなのかもしれない。
 マクダウェルは危険じゃないけど、きっとそう知らない人も多いのだろう。
 ……映画やマンガみたいに。

「――消さなかった場合は?」

 これまで通りの生活が送れるのだろうか?
 やっぱり、何かしらの制約とかがあるのかもしれない。

「その時は、責任は自分で取ってもらう事になるの」

「責任……?」

「死んでも、そっちの責任という事じゃ」

 ――死。
 それは、もう遠い存在じゃない。
 あの夜はすぐ身近にあった。
 あの夜、運が悪ければ俺は死んでいた。
 今日の俺が在るのは、本当に――ただの幸運でしかない。
 後一瞬、マクダウェル達が来るのが遅かったら……。
 あの老人に掴まれた首に、手を添える。
 あの感覚。
 きっと――俺は、当分忘れられない。

「せんせ、ウチ……」

「木乃香、黙っていなさい」

「……でも」

「木乃香。それを決めるのはお前じゃない……黙っていろ」

 学園長とマクダウェルに言われ、口を紡ぐ近衛。
 そうだな。
 これは、俺の問題だ。
 俺の、これからの問題だ。
 どう生きるか。どう在るか。
 ふぅ、と息を軽く吐く。
 それだけじゃまだ胸が重いので、もう一度、深く吸って、深く吐く。
 でもまぁ、考えられた事だ。
 ……そう、なるだけ簡単に考える。
 きっと、答えは決まってる。
 “先生”なら、答えは決まってる。
 だって――そうじゃないなら、きっと俺は、マクダウェルの事を迎えに行ったりしなかったから。
 でも、怖い。
 申し訳無いが、怖いのだ。
 今にも足が震えてしまいそう。
 あの時感じた冷たさが、蘇る。
 ――でも。

「判りました」

 無茶とかしないなら大丈夫かなぁ、と。
 今はそう思っておく。
 ……そう思わないと、先に進めなくなりそうだから。
 あの夜よりももっと怖い目に遭うかもしれない。
 魔法がどんなのか見た事無いけど、きっと危ないんだろう。
 でも。それでも。

「顔色が悪いが、大丈夫か、先生?」

「は、はい」

 情けないなぁ。
 ここでこう、ビシッ、と格好良く決めれないものか。
 そう苦笑してしまう。
 格好悪いなぁ、と。

「……それでは、記憶は――消さない、で、下さい」

「先生、声が震えてるぞ?」

 わ、笑うなよ……まったく。
 こっちは魔法なんて使えない一般人なんだ。
 魔法がどんなのか知らないけど、危ないってのは判ってる。
 あの老人みたいなのも沢山居るんだろう。
 でも――。

「何とか、死なないように頑張ってみます」

「……よいのか?」

「はい」

 返事だけは、震えずに言えた……と思う。
 言えてると良いなぁ。

「後悔する事になるじゃろう。きっと、恐ろしい目にも遭う……それ以上にも」

「そ、そうですね……」

 多分、そうだと思います。
 俺はきっと簡単に考えてるんだと思う。
 でも、それでも。

「……でも、やっと知る事が出来た事を、忘れたくないですし」

 マクダウェルの事情。
 近衛の事。
 ネギ先生の事。
 これらはきっと、普通に生きていたら気付かなかった事。
 きっと気付けなかった事。
 それに気付けたんだから――忘れたくないと思う。
 それに。
 それに、だ。
 俺は、マクダウェルを、許すと言ったのだ。
 この言葉に何の意味も無いのかもしれない。
 俺なんかがどうにかできる問題じゃないんだと思う。
 でも、それでも――これだけは、嘘にしたらいけないんだって判る。
 吐いていい嘘と悪い嘘がある。
 那波を巻き込みたくないから嘘を吐いた。
 生徒を危険に晒したくないから、嘘を吐いた。
 でも、これだけは、嘘にしてはいけないんだって判るから。

「マクダウェルと、約束しましたし」

 約束、とは言えないのかもしれない。
 俺の一方的な思い込みかもしれないけど。

「その……御迷惑かも知れませんけど」

「いや、よいよい」

 そ、そうですか?
 ほっ、と小さく胸を撫で下ろす。

「なら、次の話に移ろうかのぅ」

「つ、次……?」

「うむ。先生の処遇は決まった」

 う、そ、そうですね……。
 処遇、といわれると、どうにも重く考えてしまうなぁ。

「次は、今後の生活じゃ」

「……や、やっぱり今まで通りじゃ」

「そうじゃな。こちらとしても、危険じゃとは思うしの」

「そうですか……」

 やっぱり危険なのか、魔法に関わるって。
 大丈夫かなぁ、と今から不安だ。

「それに、今住んでおる所も少し荒れておるようじゃしの」

 それは、あの靴箱の事か?
 マクダウェルと見ると、視線を逸らされた。
 もしかして、マクダウェルが言ってくれたのかな?

「近場に家族用の教員寮があるのは知っておるじゃろう?」

「え? ええ。でも……」

「うむ。そこを一室、先生用に開けておる」

 ……はい?
 一瞬、思考が止まった。
 家族用の寮をですか? と。
 だって、今住んでる所が1DKのトイレと風呂付き。
 これだけだって十分なのに、家族用になったら2LDKである。
 正直、広過ぎて困る。

「そこで、この子達と暮らしてはもらえんか?」

 そう言って紹介されたのは、学園長の隣で並んで黙っている2人。
 小太郎と月詠である。

「…………はい?」

「だから、この2人と共同生活」

「ちょ、ちょっとじいちゃん!?」

「……木乃香?」

 今までの学園長とは思えない、低い声だった。
 ……やっぱり、こういう所は家族でもちゃんと言うんだな。

「ぅ……」

「別に、ずっととは言わんよ。先生の安全が確認されるまでじゃ」

「安全ですか……?」

 俺、もしかして結構危ない立場なんだろうか?
 でも、何もした覚えはないんだが。

「あの悪魔は結構なモノでの。それが先生と接触した……目的は一応把握しておるが、次が無いとも限らん」

「えっと、どういう……」

「エヴァじゃよ」

 マクダウェル?
 だから、どうして俺とマクダウェルが?
 ……そりゃ、助けてもらったけど。

「エヴァは少々立場があっての。それが、表に出て動いたんじゃ……“あちら側”に警戒されるかもしれん」

「は、はぁ」

 正直、良く意味が判らない。
 何とか自分なりに理解しようとは思うんだけど……。
 マクダウェルの立場っていうと、吸血鬼って事か?
 そして“あちら側”って言うと、あの悪魔の事だろう。
 他にも仲間がいたと言う事だな。

「先生はな、エヴァにとっての人質になりえる、と思われたかもしれん」

「……はい?」

 人質。
 人質である。あの映画とかで良くある。
 ……また攫われたりするんだろうか?
 と少し現実逃避。

「そこでじゃ、この2人なら腕も立つし鼻も利く」

 そうなんですか?
 まぁ、小太郎は元は犬ですから鼻が利くでしょうけど。

「それに、今この2人は身寄りが無い。住む場所もな」

「そうなんですか?」

「……着の身着のままで京都からこっちまで来たようじゃしな」

 少し呆れたような学園長の声。
 ……そうなのか。
 京都から来た、というのは本当だったんだ。
 何と言うか……行動力があるなぁ、と。

「そこで、先生は身を守ってもらう代わりに、この2人の保護者役をしてほしいんじゃ」

「えー!?」

「……木乃香ぁ」

「近衛、少し静かに、な?」

「は、はぁい」

 学園長が泣きそうなんだが。
 もう、何だか難しい空気が続かないなぁ。
 コホン、と一つ咳払い。
 スイマセン、学園長。

「それで、どうじゃろうか?」

「えっと……小太郎と月詠は、それでも良いのか?」

 見知らぬ他人との共同生活なんて、2人の年頃だと酷いストレスだろう。
 大丈夫だろうか、と思ってしまう。
 俺なんかの為に、と。

「構わへんで? 兄ちゃんの傍なら、退屈せぇへんやろし」

「ウチも構いまへんわ。センセーの周りは、楽しそうですから」

 ……というか。

「月詠は、問題ありませんか?」

 隣で近衛が何度も頷いていた。
 だよなぁ。

「でものぅ、この子の面倒を見てくれる魔法先生も……家庭の中にいきなり放り込むのも、酷じゃろう?」

 独身女性の魔法使いって、少ないんだろうか?
 葛葉先生は……彼氏が居るのか。
 今が大事な時期だろうしなぁ。

「ウチは構いまへんよ~」

「それに、本人もこう言っておるしのぅ」

「……ぇー」

 そうは言ってもなぁ、近衛。
 どうにも変えようも無いみたいだぞ?
 それに、俺も安全は欲しいし……助けてもらった恩もある。
 これが少しでも恩返しになるのなら、良いかな、とも思ってしまう。
 ……誰かと暮らす、というのも悪くないだろうし。
 それはきっと、一人暮らしが長いからだろう。

「という事じゃが、どうじゃ?」

「えっと……自分の方は、良いですけど」

「ウチもええですよ~」

「俺もええで。楽しそうやし」

 ふぉふぉ、と学園長が笑い。

「では、そう言う事じゃ」

 ふぅ、と一つ息を吐く。

「申し訳ありません、迷惑を……」

「迷惑ではないよ?」

「……そうですか?」

「うむ。予定通りじゃ」

 …………はい?

「っと。それと、2人の生活費は先生の今月の給与から足させてもらうからの」

「へ? あ、そうしてもらえると助かります」

 そう言えば、そう言うのもあるんだよなぁ。
 全然気にしてなかった。
 まぁ、今までの貯金とかあるから大丈夫だとは思うけど。
 それに、麻帆良の教員職の給料って結構良いし。
 ……今日から、節約生活するかなぁ。

「引っ越しはいつしますか?」

「そうじゃな……早い方が良いんじゃが、今日はどうじゃ?」

「……今日!?」

 それには、俺が驚いた。
 早いと言うか、いきなりすぎるだろう。

「今、業者の方を待機させておるからの。電話一本で引っ越しが始まるぞい」

「……え?」

 いや、ちょっと待った。
 それだと、この話は初めから決まってたような……。
 何でそんな嬉しそうに言うんですか?
 え? そう言えばさっき、予定通りとか言ってたような。

「もしかして……」

「どうじゃ、先生? 引越しの準備をしても良いかの?」

 楽しそうだなぁ、と思った。
 さっきまでの厳しい顔が、嘘のようだ。
 どっちが本当の顔なのか判らない。

「は、はぁ」

「そうかそうか」

「……ぅー」

 そして、隣の近衛は頬を膨らませていた。
 そんなに、月詠が俺と暮らすのは嫌なんだろうか?
 まぁ、同年代だし思う所があるんだろう。
 でも女子寮も部屋一杯だって話だしなぁ。

「話は以上じゃ。明後日からは、2人には学園に通ってもらうからの」

「え!?」

 これはネギ先生。
 俺は驚きで声も出ない。

「まぁ、小太郎君の方は男子中学の方じゃが。月詠君は、ネギ君、君のクラスじゃ」

「……え、っと」

「事後報告になって申し訳無いがの」

「は、はい……」

 明後日からは、同じ教室で会えるのか……。
 月詠の方を見ると、嬉しそうにニコニコしてる。
 ……あっちは、そう嫌がってる訳じゃないんだな。
 まぁ、なら俺がする事は変わらないか。

「制服とか教科書は……」

「明日には用意できるはずじゃ」

「そうですか」

 あれって、そう簡単に用意できるもんでもないと思うんだけどなぁ。
 しかも2人分。
 たった2人分である。
 一学年とかなら問題無いんだろうけど……その辺りってどうなのかな?
 まぁ、用意してもらえるなら助かるから良いか。

「身分証の方も、こちらで用意するでの。そっちではまず生活になれる事に気を付けてくれ」

「判りました」

「2人は、今まであまり人と接した生活をしてきておらん。面倒を見てやってくれ」

「は、はぁ……」

 人と接した生活をしてない?
 どういうことだろう?
 小太郎は、少し悪いと思うけど何となく判る。
 きっと、自分の体質を隠して生活してたんだろうから。
 でも、月詠は?
 ……それも、もしかしたら、いつか教えてもらえるのだろうか?
 きっと、今は聞かない方が良いんだろう。

「話は以上じゃ。何か質問があったら、放課後にまた来てもらえるかの?」

 昼休みも、もう終るしの、と。
 そう言えば、午後は全部授業入ってたんだっけ。

「判りました」

「うむ――巻き込んですまんの、先生」

「いえ。こちらこそ、ワガママで御迷惑を……」

「いやいや。ワガママとも迷惑とも思っておらんよ」

 そう言ってもらえると助かります、と。
 ……でも、やっぱり忘れたくないのだ。
 マクダウェルの事。近衛の事。魔法の事。
 これは、俺の記憶だから……後悔する事になっても、大切にしたいって思う。
 後悔した事も忘れてしまうより、きっと後悔する方が良いと思う。
 ――甘いんだろうな。
 きっと迷惑掛けるんだろうな。
 ソファから立ち上がり、一礼してドアに向かう。

「失礼しました」

「うむ――部屋の事は、また追って連絡するからの」

「判りました」

 学園長室からして、大きく息を吐く。
 これからどうなるんだろうか?
 不安と、小さな期待。
 今日から、俺の“世界”は変わるんだろう。
 そんな事を考えていたら、学園長室の外に控えていた絡繰が一礼してくる。

「お疲れさまでした、先生」

「おー。絡繰も、外で待ってたのか?」

「はい。マスターも呼ばれましたので」

 そう言えば、マクダウェルが出てこない。
 まだ学園長と話があるのかな?

「私はマスターと一緒に授業に戻ります」

「判った。それじゃ、また後でな?」

「はい。すぐに戻ります」

 ま、すぐに戻ってくるだろう、と思い教室に戻る事にする。
 絡繰も居るし。
 もうサボらないって言ってくれたし。

「頑張って下さい、先生」

「おー。これからもよろしくな、桜咲」

「はは――これからは楽しくなりそうだね」

「……楽しくなると良いんだがなぁ」

 お前は楽しそうだなぁ、龍宮。
 ネギ先生は苦笑して……近衛はこっちを見上げてくる。

「どうした?」

「いえ……せんせ、やっぱり優しいなぁ、って」

「ん?」

 優しい?

「どっちかというと、俺が助けてもらう側なんだけどな……」

 苦笑しながら、そう言う。
 いちばん大人の俺が、この中じゃきっと、一番弱いんだろうから。

「ウチがせんせを守りますからね?」

「……それはちょっと、なぁ」

 苦笑してしまう。
 生徒に危険な事をしてほしくないんだが、俺が護る、とも言えないのだ。
 残念ながら。

「ま、これからよろしくな?」

「はいっ」

 元気だなぁ。
 ……今日から、どうなるんだろうな、俺は。
 沢山の不安と、一握りの期待。
 不謹慎だな、と。
 でも……あの二人との生活は、きっと楽しいんだろう、と。
 そう思えるのだ。




――――――エヴァンジェリン

「良かったのか?」

「ふん……それがあの人の決めた事なら、文句は言わんさ」

 きっと後悔する。
 きっと危険な目に合う。
 でも、それでも……私は、素直に、嬉しい。
 嬉しいのだ。
 ……これからも、あの人と一緒に居られる事が。
 あの人が、一緒に居てくれる事が。

「なんや。姉ちゃん、兄ちゃんの事好きなんか?」

「そんなんじゃない。そんな事より……」

「わーっとる。任せとけって」

 その無駄に自信がある所が不安なんだがな。
 まぁ、鼻の良さなら私以上の人狼だ。
 そこは信じるしかないだろう。

「ウチも頑張りますえ~」

「うむ、期待してるからの? 2人とも」

 ……楽しそうだな、じじい。

「しかし、先生は大丈夫かのぅ?」

「危険は承知してるだろ。あの人は馬鹿じゃないからな」

「ふむ――ま、それでも死んでは欲しくないのぅ」

「ふぅん?」

 お前がそう言うなんて珍しいな。

「お気に入りじゃからの」

「そうだったのか?」

 初耳なんだが。

「それより、お主も早く授業に行かんか」

「……判ってるよ」

 ふぅ、と小さく息を吐く。
 緊張していた。
 ――私は、さっきまで緊張していたのだ。
 それを、気付かれたくなかった。
 ここで一息吐けば、またいつもの私で先生と話せると思ったから。

「じじい、手続きで手抜きするなよ?」

「判っとるよ」

 それだけ言って理事長室から出……ようとして、声。

「エヴァ」

「何だ?」

 振り返る。

「危なくなったら、頼むの?」

「ああ。その時は、私があの人を守るさ」

 明日菜も、木乃香も、刹那も、真名も。
 守るさ。
 この生活を。守りたいもの全部を。
 ……私は、変わると決めたんだから。

「ふぉふぉふぉ」

「――ふん」

 何か吠えていた駄犬を無視して、学園長室から出る。
 どうせ自分で十分とか言ってたんだろうけど。

「お疲れさまでした、マスター」

「ああ。教室に行くぞ」

「はい」

 これからどうなるかは判らないが……きっと、楽しくなる。
 今まで以上に、楽しくなる。
 沢山の不安と、一握りの期待。
 でもきっと――私は、この選択を後悔はしない。
 きっと、だ。




――――――チャチャゼロさんとオコジョ――――――

「ナァ、オイ」

「なんっすか?」

 暇だなぁ。
 なんか面白いの無いかなぁ?

「暇ダナァ」

「っすねぇ」

 でも、ゲームも飽きたッスねぇ。
 そう呟いて、また沈黙。

「暇ダゾ」

「暇っすよ」

 ………………
 …………
 ……

「ヒーマーダーゾー」

「……別荘の中でも探検します?」

「それはもう飽きた」

「そっすか」

 うーむ……。
 軒先で日向ぼっこしながら、のんびりと。
 今日も平和だなぁ……あの女子寮とは大違いだ。




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