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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 42話
Name: ソーイ◆9368f55d ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/03/20 23:12

 ポツポツと、雨が窓を叩く音で目が覚めた。

「ん……」

 身体が重い。
 どうにも風邪が治らないなぁ、と。
 それとも、貧血が続いてるのか。
 まぁそのどちらでも今は良いか、と。
 もう一度眼を閉じてベッドに潜り込む。
 眠いし、頭が重い。
 考えるのが億劫で、今日ばかりは何もする気にが起きない。
 休みだし。
 今何時かも判らずに、大きく息を吐く。
 外は少し明るかったから、結構遅い時間なのかもしれない。
 ……朝飯、どうしよう。
 食べないといけないだろう。薬も飲みたいし。
 でも動く気になれない。
 マクダウェルもちゃんと学園に行くって言ったし、近衛も落ち着いてたし。
 今日はもう一日休んでても良いだろう。
 そう思うと、目が覚めたばかりなのに眠くなってくる。

「ふあ……」

 でも、薬飲まないとなぁ。
 そうなると起きないといけない訳だ。
 ……しょうがないか。
 明日は、少しでも体調良くして学園に行かないと。
 授業あるし。
 体調悪いままだと、生徒達にも悪いし。
 あー……起きるか。
 そう思い、上半身を起こす。
 眠い。
 頭を書きながら、枕元の携帯に手を伸ばし時間を確認。
 ……俺って真面目だなぁ、と。
 まだ8時だし。

「はぁ」

 でもまぁ、起きたし……朝飯を買いに行くか。
 私服を適当に用意し、着替える。
 そのまま洗面所へ行き、身嗜みなんかを整える。

「顔色悪いなー」

 自分で言うのもなんだけど。
 ……もしかしたら、ゾンビとかもこの世界には居るんだろうか?
 それは嫌だなぁ、と苦笑してしまう。
 でも悪魔も居たんだし、吸血鬼だっているんだ。
 その可能性もあるかも。
 世界に不思議は満ちている。
 きっと、俺の知らない事はまだまだあるんだろうなぁ。
 そんな事を考えながら部屋から出、近場のコンビニへと向かう。
 何食うかなぁ……まぁ、食べるのなんて弁当かカップ麺、それかパンだけど。
 傘をさしながら、今日の朝食を考える……ついでに、昼飯も買うか。
 それとも、昼は何処かに食べに出るか。
 ……病人だし、今日は一日大人しくしておくか。
 こうやって歩くのも億劫だし。
 昨日はよく、午前中だけとはいえちゃんと仕事したもんだ。







 朝食と昼食を買って部屋に戻ると……。

「おはようございます」

 そう言って礼儀正しく一礼する絡繰と、

「おはよう、先生」

 そう、軽く片手を上げて挨拶マクダウェルが居た。
 しかも私服姿で。
 絡繰の手には大きめのビニール袋が二つ。
 それと反対の手にも大きめのバッグを一つ持っている。
 大荷物だけど、どうしたんだろう?
 いやまぁ、今日は休みだから、時間の使い道は2人の自由なんだけど

「……どうしたんだ?」

「ん。いやな……体調が悪いだろう?」

 まぁ、それほどでもないぞ、うん。
 とりあえず、生徒に心配されるのは嫌なのでその辺りは誤魔化しておく。
 でも、それがどうしたと?

「……迷惑掛けたからな、栄養ある物を、とでも思ってな」

 どうせ料理なんてしないんだろう、と言われてしまった。
 いや、そりゃしないけどさ……そう言いきられてもな。
 少しショックである。

「そう言うのはしなくていい、って言っただろ?」

「……どうせ暇だったんだ。それに、最初で最後だ」

 いや、そうは言ってもだな……。
 うーん、と髪を掻く。
 困った。
 本当、こう言うのは良くないと思うのだ。
 俺は教師で、マクダウェル達は生徒なのだから。
 どうやって断ろうか、とも考えるけど、せっかくの好意を、とも思ってしまう。
 それに、実際体調は悪い、というのは本当だし。

「――よく入れたな?」

 とりあえず、そう言って言葉を濁す。
 いくらそうセキュリティが緩いとは言っても、一応男性職員寮である。
 女子生徒がそう簡単には入れるとは思えないんだが。
 それに、こう言う所って、女の子は入るの躊躇いそうだし。

「ふん。ま、色々な……それより、ソレはなんだ?」

 色々って? と聞いたがそこは無視された。
 ……色々ってなんだろう?
 そう言って、右手に持ってるコンビニのビニール袋を指差される。
 あ、そうだ。

「……今日の朝食と昼食だよ。今買ってきた」

「はぁ」

 あからさまに溜息吐かれた。
 後ろの絡繰も、何と言うか……表情は同じなんだが、ちょっと違う。
 何が違うと言われたら困るが、とにかく――なんか違う。
 うん。多分呆れられてる。

「鍵を開けろ」

 命令系だった。
 お前、絶対俺の事教師だなんて思ってないだろ、と言いたい。
 言いたいが、正直ちょっと頭が痛くなってきた。
 あと、立ってるのもキツイ。
 相当体力が落ちてしまってるようだ。
 これじゃ、まだ歩いてる方が気がまぎれてマシだ。

「先生、顔色があまりよろしくないかと……」
 
「あー、ちょっとな……で、本当に、その、なんだ。ご飯作りに来たのか?」

 聞いたら、マクダウェルが顔を伏せた。
 いや、恥ずかしがるくらいなら来るなよ、と言いたい。
 そう言うのはしなくてい言って、この前言ったばかりなのに。
 まぁ、言ったのは絡繰と近衛にであって、マクダウェルには言ってない、と言われたらアレだけど。
 
「はい。先生には栄養が必要だと思います」

「弁当食べて、薬飲んで寝るから大丈夫だぞ?」

「先生。コンビニのお弁当では、十分な栄養は得られないかと」

 そう言うなよ。
 世の中のコンビニ業者の人達が泣くぞ。
 それに、これで……大学の時からだから、何年だ?
 随分と世話になってるからなぁ。

「それに、立ち話を続けていては、他の教師の方に見つかるかと」

「う」

 ソレは困るな、と。
 どうしたものか。

「あー……」

 コホ、と咳が出た。
 う、外に出たから、少し冷えたかな。

「ほら、諦めて開けろ」

「……はぁ」

 溜息を、一つ。
 頭が痛くて、これ以上考えれない。
 疲れたし。

「判った判った。すまないな、せっかくの休日に」

 ドアに歩み寄り、その傍に立っていたマクダウェルの頭に、手を乗せる。
 ポン、と一度優しく叩くように撫で、鍵を取り出し、開ける。

「……ふん」

 まったく、と。
 嬉しいし、何と言うか……昨日あんな事を話した後だから、余計に少し特別に思ってしまう。
 人間じゃない、とマクダウェルの事を言ったけど――こういう気遣いは、純粋に喜んでしまう。
 だって、あのマクダウェルがである。
 喜びと一緒に、驚きまで来てしまう。

「散らかってるけど、気にしないでくれ」

「……散らかっている、ってレベルか?」

「……しょうがないだろ。片付けようにも、キツイし」

 最初に目につくのは、壊れてしまった靴箱。
 玄関のすぐそこに在るし。

「どうせ俺一人だしな、来週には片付けるよ……怪我しないようにな?」

 一応小さな破片とか尖った破片とかはもう捨てたけど、危ないことには変わりない。

「ふむ……まぁ、いい」

 何か一人納得したように頷き、靴を脱いで部屋に上がるマクダウェル。
 何かあったかな?
 まぁ、何かあったら言うだろ。

「茶々丸、準備しろ」

「はい」

「準備?」

 何の、と思い聞き返すと……また溜息。
 ……なんか、今日一日でなんか良溜息吐かれるか数えるかな、と少し現実逃避。
 はぁ。

「先生? 私達が何をしに来たか、もう忘れたのか?」

「ああ」

 料理の準備ね。
 ……本当に作るんだ、と何処か他人事のように考えてしまう。
 というか、俺弁当買ったんだけどなぁ、と。
 ――夜にでも食うか。
 はぁ、と小さく溜息を吐き2人がキッチンに居る間に部屋を軽く片付ける事にする。
 正直、男の一人暮らしである。
 部屋の中は……あまり綺麗とは言えないのだ。
 特に、マクダウェルの家を知ってる身としては。
 この前、小太郎達も来たし。
 散らばった雑誌とかプリントとかを適当にまとめ……どうしよう?
 マクダウェル達には見せられないのもあるし。
 ……はぁ。
 適当に、本棚の中とか、ベッドの下とかに放り込んでいく。
 何でこんな事を……と、内心で膝を付きそうになる。

「先生、苦手なのはあるか? ……何をしてるんだ?」

 部屋を軽く掃除していたら、マクダウェルがキッチンからこっちに来て……呆れたように言う。

「掃除」

「寝てろ」

 ……うん、いつものマクダウェルだ。
 一言でバッサリと来たな。
 でもな? 学校の書類とかもあるから、そう言うのは見せられないんだよ。

「病人は病人らしくしてろ」

「……いや、流石に生徒に何でもさせるのも……」

「気にするな」

 気にするよ。
 大人しく寝てるの、凄い悪い気がするし。
 そう思い髪を掻く。
 なんだか、俺の方がこれじゃ子供みたいだな、と。
 うーむ。

「い、い、か、らっ、寝てろ。良いな?」

「……判った判った」

 むぅ。
 でも、正直体調が酷いので、早く寝たいという気持ちもある。
 書類とかは片付けたし……座る場所も一応ある。
 これくらいで良いか。

「着替えて寝るよ」

「それでいい。静かにしてろよ? もう起きるなよ?」

 ………………。

「起きるくらいは良いだろ?」

「駄目だ」

 駄目か……はぁ。
 とりあえず、着替えるか。

「じゃあ、着替えるから」

「ああ」

 ………………。

「着替えたいんだが?」

「……あ、ああっ」

 慌ててキッチンに引っ込んだ。
 ……危ないよなぁ、アイツ。
 男に免疫無いんじゃないか? と思ってしまう。
 それとも、あんまりそう言うの気にしないのか。
 さっきの反応見る限りじゃ、どうもそんな事はないみたいだけど。
 そんな事を考えながら着替えをすませ、ベッドに潜り込む。
 冷たくて気持ち良い。

「ふぁ……」

 疲れてたんだろう。
 目を閉じると、すぐに意識が沈んだ。







 良い匂いで、目が覚めた。
 う、ん。

「起きたか?」

 え?

「――――――っ」

「ど、どうした?」

 び、びっくりした……。

「夢じゃなかったのか」

「……失礼だな、先生」

 というか、夢であってくれたら……それはそれで悲しいか。
 どんだけ料理に飢えてるんだ、と。
 まぁ、いいか。
 ベッドの脇に座ったマクダウェルがこちらを覗き込むように、手を額に乗せてくる。

「おはよう、マクダウェル」

「おはよう、寝坊助な先生」

「……しょうがないだろ、病人は寝るのが仕事なんだから」

「上手い事言うなぁ」

 そりゃどうも。
 うお、マクダウェルの手、冷たいなぁ。
 気持ち良い……どうも、熱もあるみたいだな。
 体温計るとキツイから測って無かったけど、解熱剤も一緒に飲むか。

「本当に大丈夫か? 熱があるみたいだぞ」

「おー。ご飯食べたら、薬飲むよ」

 しかし、気持ち良い。
 もう一度目を閉じてしまう。

「寝るな」

 っと。
 ベッドから起き上がると、テーブルに色々料理が乗っていた。
 お粥に味噌汁、焼き魚とサラダである。
 美味そうだなぁ。

「食欲の方はどうでしょうか?」

「あ、ああ。大丈夫だ……絡繰が作ったのか? ありがとうな」

「……いえ」

 さて、ご飯食べるかな。
 そう思いベッドから出ると……座っていたマクダウェルが見上げてくる。

「どうした?」

「私も作ったんだが?」

「おー。ありがとなー」

 さて、と。
 ご飯食べたら、薬飲もう。キツイし。
 そう思いながらテーブルに着くと、その対面にマクダウェルが無言で座る。
 ……はて?

「どうしたんだ?」

「別に」

 何で機嫌悪いんだ、お前は?

「?」

「ほら、さっさと食べてもう一度寝ろ」

「お、おう」

 むぅ……まぁ、そうまで機嫌悪くないみたいだし……良い、のかな?
 首を傾げていたら、絡繰が土鍋からお粥を小鉢によそってくれる。
 ……?

「うちに土鍋ってあったか?」

 買った覚えないんだけど。
 そう首を傾げて聞くと。

「持ってきました」

「……持ってきた?」

 えっと……どうリアクションを返せば良いんだろう?
 驚けば良いのかな?

「持ってきたのか?」

「はい」

 あの大荷物には調理道具から一式入ってたのか。

「先生は料理をなさらないと聞いていましたので、調理器具も無いかと」

 正解でした、と。
 いやそうだけどさ……そうだけど、と思ってしまう。
 俺がおかしいのだろうか?
 まぁ、美味いご飯にあり付けたから良いけど、と思っておこう。
 よそってもらったお粥を受け取り、両手を合わせる。

「いただきます」

「……どうぞ」

 ちなみに、大変美味しかったのです。
 絡繰はきっと、将来は料理人とかになって良いと思う。

「御馳走様でした」

「……お口に合ったでしょうか?」

「おー。凄い美味かった」

 薬を飲んで、そう一言。

「あの時の弁当も美味かったし、絡繰は本当に料理が上手いなぁ」

「…………いえ」

「マクダウェルも、ありがとうな?」

「ふん。まぁ、色々世話になったしな」

 世話なんか、何かしたかな、と。
 俺としては、本当に何かをした、というつもりが無いので心苦しいばかりである。
 頬を掻き、苦笑してしまう。
 さて、と。

「今日はありがとうな?」

「ん?」

「いや、朝食用意してもらって」

「ああ。気にするな……どうせ、暇だったからな」

 そうか、と。
 うーん、照れ隠し、なんだろうか?
 そう考えると、マクダウェルも可愛いもんだな。
 とても吸血鬼なんだと思えない。

「それでは、後片づけをしてきます」

「……何から何まですまないな」

 立ち上がら、使った食器を片づけようとする絡繰に声を掛ける。
 いやもう、本当に申し訳ない気持ちである。

「いえ、お気になさらずお休み下さい」

「そうは言ってもな……洗うの手伝うか?」

「――いえ。お休み下さい、先生」

 そうか?

「良いから寝てろ。病人は寝るのが仕事なんだろ?」

 む……。

「上手い事言うなぁ」

「ふん」

 そっぽ向かれた。
 でもまぁ、今日ばかりはお言葉に甘えるか。

「それじゃ、すまないけど寝かせてもらうな」

 立ち上がり、ベッドに向かう。
 キツイのは本当だし。
 それに、こんなに美味いの食べたし。
 これで寝たらきっと良くなってるだろ、と。

「そうしろ。片付けはやっておく」

「すまないなぁ」

 教師というか、大人として非常に心苦しい限りである。
 生徒に、子供に面倒を見てもらうだなんて。
 …………。

「そう言えば、マクダウェル」

「ん?」

 ベッドに横になりながら、ふと思った。

「お前って何歳なんだ?」

 傍に置いてあった雑誌を投げつけられた。
 ……病人なんだがなぁ。
 毛布でそれを防ぎつつ、目を閉じる。
 眠気はすぐに来た。




――――――エヴァンジェリン

 ――――まったく。
 いきなり何を聞いてくるかと思えば……。
 女に歳を訪ねるなんて、マナーがなってない。まったく。
 そう心中で憤慨しながら、その辺りに散らばっていた雑誌を適当に纏める。
 ふう……もう少し掃除とかしないのだろうか?
 まぁ私もその辺りは茶々丸に任せっきりだから、そう強くは言えないんだが。
 そんな事を考えながら、一応形だけ部屋を掃除し、腰を下ろす。
 一息吐くと、ここが先生の部屋なんだなぁ、と見渡してしまう。
 特に何かある、という訳じゃない。
 というか、本と雑誌と書類ばっかりである。
 もう少し趣味みたいなのは無いんだろうか?
 立ち上がり、本棚に近寄る。
 ……マンガ本とかないのか。
 面白くないな。
 
「どうかなさいましたか、マスター?」

「いや……片付けは終わったか?」

「はい」

 昼食までは、まだ時間があるな。
 どうするか……。

「どうぞ」

 テーブルに置かれたのは、お茶。

「ああ」

 一服入れるか。
 そう考え腰を下ろし、そのお茶を一口飲む。

「それでは、洗濯物をしてきますので、マスターもお休み下さい」

「……いや、流石にそれはどうだ? 嫌がるんじゃないか?」

「そうでしょうか?」

 さ、流石に成人男性の洗濯物をするのはどうかと思うぞ?
 私も、異性に服なんかを洗濯されるのは嫌だし。
 眠ったのであろう、先生を起こさないように若干小さな声で喋る。

「私は気にしませんが?」

「お前だって、先生に服やら下着やら洗濯されたら嫌だろう?」

「…………はい」

 判ったか?
 まったく、こんな所の常識はまだないのか……男と暮らした事なんて無いからな。
 そういった経験が無くて当たり前か。
 そう溜息を吐き、もう一口茶を啜る。

「お前も随分変わったなぁ」

「そうでしょうか?」

「……お前が誰かの見舞いに、など初めて聞いたがな」

「……そうでしょうか?」

 弁当と言い、見舞いと言い……先生と関わってから、本当に退屈しないな、と。
 あの時――あの日、先生が来なかったら、どうなっていたんだろうか?
 きっと、茶々丸もここまで自己を表したりはしてないんだろうな。
 あの頃は、どうだったかな、と。
 もっと人形らしかった、とは思う。
 だが、ソレがどのように人形らしかったか――とは思い出せない。
 喋り方か、仕草か……それとももっと別の所か。
 茶々丸は変わったと思う。
 だがそれがどこが、どんな風に、とは判らない。
 その変化があまりにも自然で、正しく“成長”と呼べるモノだからか。

「楽しそうだな」

「そうですか?」

「ああ」

 そう言うと、不思議そうに首を傾げ――その指を、胸に添える。
 本当に茶々丸に感情があるのかどうかは判らない。
 茶々丸は人形だ。
 人の形を模した存在だ。
 それは、どうしようもない事だ。
 だが――茶々丸は私の家族でもある。
 だから、その変化は、その心の動きは――素直に喜ばしい。

「なるほど」

「どうした?」

「いえ。コレが“楽しい”という事でしょうか?」

「――そうかもな」

 小さく声に出して、笑ってしまった。
 心の内など誰にも判らないと言うのに、それを聞いてくる茶々丸に。
 まるで、本当に子供だ。
 外見は私よりも随分と年上なのに、その中身はまだまだ子供。
 だからこそ、先生に懐いているのだろう。
 良い見本だから。
 誰よりも、きっと茶々丸の為になるだろう。
 そう思うと、また笑ってしまう――。

「マスター、楽しそう」

「楽しいとは少し違うな」

「……そうなのですか?」

 ――この気持ちは、きっと。

「私は今、嬉しいんだよ」

 お前の変化が、私の周囲の変化が。
 昨日言われた事を思い出す。
 私が変わった、と。
 確かにそうかもしれないな。
 以前の私なら、こんな事考えもしなかっただろう。認めなかっただろう。
 そして、茶々丸の些細な変化には気付けず、ただ感情を手に入れた、成長した。
 ただそんな事だけを見ていたのかもしれない。
 こんな風に――些細な変化に喜んだりは、しなかったかもしれない。

「嬉しい、ですか」

「ああ。多分な」

 嬉しいなんて気持ち、もうどれほど振りに思い浮かべたか。
 ……きっと、ナギが居た時以来だ。
 明日菜達と居る時は楽しい、少しだけ嬉しいと言う気持ちとは違うんだと思う。
 私も、茶々丸の事は言えないな。
 自分の感情に、自信が持てない。
 この気持ちがなんなのか。
 どんな感情の波が、嬉しいだったか。
 だがきっと――そう悪い事じゃないんだと思う。
 そう思える。
 立ち上がり、ベッドの傍へ。

「マスター?」

「……」

 その呼びかけには答えず、ベッドの脇へ腰を下ろし――静かに眠るその額に、自身の手を添える。
 熱い。
 人の体温なんて計った事はないが、きっと高いんだろう。
 ふむ……。

「茶々丸、水とタオルを用意しろ」

「はい」

 さて。
 やった事はないが……上手くいくか。
 自身の手に、魔力を通わせる。
 イメージするのは水。
 手の体温を下げ、再度その額に添える。
 熱い。
 冷たい私の手が、先生の熱を奪う。
 だがそれは攻撃的なものではなく、治療の為に。
 魔法。
 ただの一言で人を傷つけ、物を壊せる力。
 だが、こんな使い方もある。
 ――考えはしたが、使った事はなかったな、と。
 治療の為の魔法。
 敵を傷つける為じゃない、そんな使い方じゃない魔法。
 ……そういえば、こんな使い方もあったんだな、と。

「小言を言わなければ、もう少しマシなんだがな……」

 だがまぁ、そんな事になったら、きっと面白くないんだろうな、と。
 何が面白くないと言うのかは判らないが、きっと、今みたいな気持にはなれないだろうな、と。

「すまないな、先生」

 巻き込んで。
 折角の休日に、体調を崩させてしまって。
 ワガママで迷惑を掛けてしまって。

「マスター、用意できました」

「そうか」

 茶々丸が用意したタオルを水に浸し、絞る。
 そうした時、玄関のドアが叩かれた。
 ……呼び鈴があるだろうに、何でそっちを使わないんだろうか?

「誰だ?」

「見てまいります」

 そう言って立ち上がる茶々丸に、

「のぞき窓から確認するんだぞ? 魔法関係者ならドアを開けろ、そうじゃなかったら無視しろ」

 面倒になるからな。
 教師の部屋に生徒がいるだなんて――きっと、あまり良い様には見られないだろう。
 先生の迷惑になるのは、あまり良くないからな。

「かしこまりました」

 そう言って玄関に向かう茶々丸を目で追い、絞ったタオルを先生の額に乗せる。
 そのまま数瞬。
 ……寝顔から、視線を逸らす。
 さて、どうするかな。
 そう考えた時、ドアが開く音。
 誰だ?
 足音が近づいてくる。

「やあ、エヴァンジェリン」

「瀬流彦か。どうしたんだ?」

「それはこっちの台詞なんだけどね? ま、いいや」

 ふん。

「これ。お見舞いに」

 そう言って差し出されたビニール袋には、数種類のゼリーと缶詰。
 む――そう言えば、こういうのは買ってこなかったな。

「寝てるの?」

「ああ。さっき朝食を食べさせた」

「…………そっか」

 何だその間は?
 気に障る奴だな……。

「熱は?」

「高い。まぁ、薬も飲んだし大丈夫だとは思うが……」

「なんか、そう言う魔法薬は持ってないの?」

 はぁ、と。

「一般人に魔法薬を渡してどうする? 拒絶反応が出ても、責任は持てんぞ」

「それもそうか……悪い考えだね、ごめん」

「ふん。まぁ、私の薬にそんな不備はないがな」

 それでも、極力、そんな些細な事でも先生には関わって欲しくないと思う。
 これ以上、この人の“世界”を壊したくないと。
 でも、関わっていたい。
 矛盾していると思う。
 私と関われば、日常が壊れる。
 私はこの人の日常を壊したくない。
 でも、関わっていたい。
 ――どうかしてる、と思う。

「瀬流彦先生、お茶をどうぞ」

「あ、すまないね茶々丸君」

「いえ」

 ……しかし、先生の許可を取らずに瀬流彦を上げて良かったものか。
 まぁ、今更出て行けとも言えないか。
 茶々丸と三人でテーブルを囲みながら、静かに座る。

「しかし、驚いたね。まさか、先生の部屋に居るなんて」

「ふん――お前こそ、見舞いに来るなんてな」

「そりゃね。彼は僕の後輩だから」

 ふん。
 ま、いいさ。

「最近ずっと頑張ってたみたいだし、ちょうど良い休みじゃないかな?」

「体調崩して、ちょうど良い休みもあるか」

「でも、こうでもしないと休まないんじゃない?」

 ……それもそうだな。
 妙に納得してしまうのは、きっとあの人が先生だからだろうなぁ。
 その事が可笑しくて、瀬流彦と一緒に小さく笑ってしまう。
 しかしまぁ、

「お前と、こうやって喋る日が来るなんてなぁ」

「……そうだね」

 妙にしみじみしてしまう。
 考えた事も無かった。
 思った事も無かった。
 魔法使い。
 私の敵。
 そいつと、茶を飲みながら、笑い合うなんて。
 じじいならともかく、だ。

「変わったねぇ」

「……よく言われるよ」

 まったく。
 もう聞き飽きそうになるくらい、だ。
 変わった……か

「なぁ、瀬流彦?」

「ん?」

 2人して茶を飲みながら、どう言ったものか……と。

「……私は、どんな風に変わった?」

「んー……そうだね」

 他の魔法使いには、私はどう見えているんだろう?
 そう、思った。
 魔法使いにとって、吸血鬼は――どう見えるのか。

「僕はさ。エヴァンジェリンの事を、良く知らなかったんだよね」

 うん、と。

「知ろうとも思ってなかったんだ。知らなくても良い。どうせ、君が僕に興味を持つ事なんて無いんだし、って」

「……そうか」

「こうやって話す事なんて考えた事も無かったし。きっとそうなったら、僕は怖くて話せなかったんじゃないかな?」

 ――怖い、か。
 そうだよな。
 私は怖がられてたんだよな。
 ……その通りだ。

「でも、今はこうやって話せる。話せるなら、喋ってみたいと思う。知りたいって思う」

 そこで一言区切り、

「怖くなくなった、って言うのが……僕の意見かな?」

「そうか」

 茶を、口に含む。

「それじゃ、僕はもう帰るね?」

「――もうか?」

「起きて僕が居たら驚くだろうし」

 それもそうか……。

「茶々丸君、お茶ありがとうね」

「いえ」

 そう言って立ち上がり、去っていく瀬流彦。
 ドアが閉じる音を聞きながら、ほう、と息を吐く。
 無言。
 以前は、当たり前だった静かな時間。
 だが今は、静かだと思う静かな時間。
 その中で、ただぼんやりと――窓の外を見る。
 雨が窓を叩く音。
 時計が時を刻む音。
 そして――微かな、寝息。
 静かな時間。
 静かと思う時間。
 でも、そう悪いとは思えない時間。

「魔法使いも、そう悪くないのかもなぁ」

「そうかもしれません」

 そう思った事も無かった。
 そう思いながら、先生の額に乗ったタオルを取り――水につける。
 水を切りながら――小さく、声に出さず、茶々丸から見えないように……笑う。

「茶々丸、魔法使いは好きか?」

「判りません」

 そうだな。

「私もだ」

 判らないな。
 私も――判らないよ。
 きっと……判ろうとしてなかったんだろう。
 水で冷えたタオルを、額に乗せる。

「昼食の準備をしてまいります」

「ああ」

 この変化も、先生のおかげかなぁ、と。
 そう思うと、頬が綻んでしまう。
 早く治ってくれよ?
 看病は、面白くない。退屈だ。
 ……笑いながら言っても、説得力が無いかな?






――――――チャチャゼロさんとオコジョ――――――

「あれ? どうしたんすか、チャチャゼロさん?」

「……オオ、オ前カ」

 うぅ、外は雨で、びしょ濡れだぜ。
 玄関の軒先で水気を飛ばしながら、何でか玄関先に居たチャチャゼロさんに声を掛ける。

「イヤナ、御主人ガ機嫌ガ良イワケヨ」

 あ、出掛けてるんだ。
 お見送りしてたのかな?

「マジデ? 昨日何かあったんすか?」

 一昨日はまるで通夜みたいに暗かったのに。

「イヤー、舐メテタワ」

「へ?」

「御愁傷様ナンテ言ッテ悪カッタヨ」

「あ、そう言えば何か言ってましたね」

 アレって、結局どう言う事だったんすかね?

「ヨウコソ。コレカラモ宜シク頼ムワ」

「だから、誰に言ってるんすか?」

「多分、オ前モ近イ内ニ会ウンジャネェカ?」

「……誰?」

 なんのこっちゃ?



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